量産兵のボクにチートなアドバイザー(オレ)がつきました 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「ゆうべはお楽しみでしたね」
《オレ》がその言葉は言っておけって言われたので、2人に洗浄の魔法をかけながらその言葉を呟いた。
エレンとミラは照れくさそうに、申し訳なさそうに……そして何処か満足げな感じだった。
しっかし……魔族になったからなのか、それとも元々素養があったのかわからないけど、エレン凄い絶倫だね。
「じゃぁ朝食を食べる前に体操しようか」
「「体操?」」
ボクが《オレ》に教わっている体操。
《オレ》はラジオ体操って言っているけどラジオってなんだろうと思う。
とりあえずボクの動きに合わせて2人が真似をし始める。
ちゃっかり最近はスクエニーも一緒に起きてきてやるようになってきていた。
「1、2、3、4」
「「「1、2、3、4」」」
真似して動いているが、体操でどうにかなるって話でもない。
体操が終われば柔軟と呼ばれる体を柔らかくすることをして、朝食を取りに行く。
メニューは昨日と一緒。
ボクもそうだけどミラもエレンも美味しそうに食べるなぁ……。
これがもっと裕福な立場の生まれの人間だったら文句も出るんだろうけど……。
〈幸福度の問題だな。元の幸福度が低かったから、多少の幸福で満足できるし、順応することができる。今回は開拓村と底の底から捕まえてきたし、好んでいる相手が互いにいるから余計に刺さったんだろうけどな〉
(なるほど……町とかでやる場合はこの作戦は使えないんだね)
〈ああ、もっと絶望して心が折れていたりしないと厳しいだろうな〉
なるほど……《オレ》に聞いて色々あるのだなってわかった。
朝食を食べ終えたボク達はエレンとミラをウルフ達と顔合わせさせることに決めた。
2人を連れてウルフ達の営舎に行くと、各々武器を持って鍛錬の最中だった。
「おう、バーンにスクエニー」
「こんにちはー」
「こんにちはウルフ! 多分隊長から聞いていると思うけど新入り」
「お、これが元人間の……どっちもガキだな」
ジロジロとウルフ、ポーク、モンキーの3人が見るけど、3人も少年の姿なので迫力があまりない。
「どうも……エレンです」
「ミラよ」
「既に名前持ちなのか?」
ウルフがボクに聞いてくるが、ボクは首を横に振り、名前に関しては人間時代の名前をそのまま使っていて、固有名ではないと話す。
「種族的にはエレンがスキュラの亜種、ミラが堕天使だと思います」
スクエニーが他3人に説明した。
〈普通に強い種族何だよなー……流石聖女の両親〉
(本当に両親なの?)
〈名前も一致しているし、ミラの方が堕天使だからほぼ確定じゃないか? 〉
《オレ》はほぼ確定というが勘違いの線も無くはない。
あとは肉体の質は低かったけど魂の質と素材としてボクの肉体の一部が魔族としての格を上げたんじゃないかって《オレ》は言う。
〈実際ゲームでも同じ魔法はその計算式で出てくる魔族が決まっていたし〉
(ちなみに種族的に得意なことって何があるの?)
〈エレンのスキュラ亜種は水への親和性が高いのと単純にパワーがある。ミラは魔族では珍しい聖とか光とかの魔法の適性が高い。水や聖は治癒や回復効果が高い魔法の属性だ。それこそ短期間だったら死者蘇生とか2人から生まれてくる子供はできるんじゃないか? 〉
と言っていた。
ただそこまでになると治癒の魔道書より質の高い魔道書か聖書を手に入れないといけないし、今のエレンとミラだとそこには到達しないだろうから、生まれてくる子供に期待だなって《オレ》は言う。
「当面は基礎訓練をエレンとミラにするけど、体力や実力がついてきたら2人に武器の扱い方を教えてあげて欲しいな。ウルフやポーク……特に手先が器用なモンキーは武器を扱うの上手だし、今は体格が近いから教えやすいんじゃないかな?」
「おう! バッチリ教えてやるよ! じゃぁ俺達は隊長から勉強するように言われてるから言ってくる。頑張れよ新人!」
「「は、はい!」」
ウルフ達と顔合わせも終わり、2人のトレーニングに移るのだった。
《オレ》がトレーニングメニューを組んでくれたけど、人間の軍隊のトレーニングメニューに似ているらしい。
これを数ヵ月行えば立派な肉体に育つと太鼓判を押してくれた。
まずはどれぐらいの運動ができるかの確認から。
腕立て伏せ、腹筋、スクワットを連続でできる回数を記録する。
参考にボクが名付けの成長前……トレーニング初日でそれぞれ500回ずつ。
名付けで成長する前がそれぞれ800回ずつくらいできるようになっていて、名付けによる成長してからは3000回くらい連続でできるようになった。
名付けの成長が大きいけど、数週間のトレーニングで300回近く回数を増やせているので、地道だけど成長できることは実践済み。
「スクエニーもやる?」
「そうだね……僕も参加するよ」
というわけで4人揃って腕立て伏せの姿勢になり、腕立てを開始。
僕が数を数えていく。
1秒に1回のペースで腕立て伏せをするけど、疲れ(乳酸)が腕にどんどん溜まっていって、腕が途中で体を持ち上げられなくなる。
しかもペースがこっちで管理しているから連続でできない分余計に辛い。
「もう無理……」
最初に脱落したのはミラ。
回数は250回。
人間の頃は10回もできなかったらしいから強くはなっている。
次にリタイアしたのがエレン。
男の意地を見せたけど350回で脱落。
軽く休憩を取らせながら、少ししたらまた腕立て伏せに参加するように言って回数は減るけど何回も2人にはやらせる。
スクエニーは1500回まで粘ってギブアップ。
とりあえずそこで計測はストップして、皆に治癒魔法をかけていく。
「魔法って気軽に使えるものじゃないって使える人は言ってたんだけど……」
ボクが気軽に魔法を使うからエレンが質問してきた。
答えとしては、魔法に適性がある魔族は人間よりも魔法を扱えるスタミナ(《オレ》曰くMP……マジックポイント)が多いとのこと。
とはいえボクも無限に使えるわけではないけどね。
ドラゴノイドという種族が魔法の適性と魔力量が高くて多いってのがあるけど。
「それにボクが魔法を使っているのを感じさせることで魔法の感覚が体に染み付くから、魔法を覚えやすくなるんだよ」
「なるほどー」
実際に使っているところを見れば覚えやすい。
ボクも魔道書読み解くよりも隊長に教えてもらった水を生み出す魔法とか凄く分かりやすかったし。
治癒魔法で傷付いた筋肉を癒して回復を促す。
コツは元に戻すよりも多くの魔力量を送り込んで治癒する感じ。
そうすると欠損した肉体を戻す感覚で筋肉が前よりも多くなる。
《オレ》に教えてもらったけど、実際にボクはこれで筋トレの回数が劇的に増やすことができた。
同じ感じで腹筋とスクワットも行っていく。
だいたい腹筋とスクワットも腕立て伏せと同じくらいの回数で3人共ギブアップ。
「今回の回数を覚えておこう。毎日やればこの回数が増えていくから、それすなわち強くなってるってことだから」
「「は、はい!」」
スクエニーはこれがバーンが毎日やってることかって呟くけどまだまだこれだけじゃない。
あとは基地の周りをぐるぐる周回。
疲れて足がガクガクになり肺がきつくなるペースで自分で負荷をかけて走る。
今まではこれをやりながら訪問診療もしていたからそれで1日が終わってしまっていた。
(もっと負荷かけた方が良いから腕立て伏せの時は盾でも背負おうかな? 腹筋とスクワットは盾を抱えて……)
そんなことを考えながらトレーニングを一通り終わらせると昼食の時間になるのだった。