量産兵のボクにチートなアドバイザー(オレ)がつきました 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
ホムンクルス達を魔族化する作業が8割終わった頃、元ホムンクルスの人達からもボクの補佐的人材を出した方がいいってジンが言い出した。
「どういうこと?」
「人数的にぽっと出の私がサキー隊長よりバーンと同じ副官のポジションをいただくことになりましたが、それだと絶対に元ホムンクルス……サードアイの者達で自分達は偉いんだって勘違いする者が出てきてもおかしくない。なので、バーンの下に元ホムンクルス達の中でも人気のあった者を送り込んで、バーンや先人の魔族の方が部隊では上であるとわかるようにした方がいいと考えまして」
「私もそれには同意したよ」
サキー隊長もこれには同意らしい。
今のところサードアイの人達の年配者の方が魔王軍に参加することを希望し、魔族化した人によっては幼すぎる体になってしまったり……。
《オレ》によると、元ホムンクルス達は肉体も早熟だったが、精神も早熟だった。
それ故に実年齢10歳、肉体年齢は三十路くらい、精神年齢20歳前後みたいなことが普通に起こっていたのが、実年齢基準に皆戻っていったので、労働力で主力だった5歳から12歳くらいの元ホムンクルス達が幼い少年少女で魔王軍として従軍させるのは厳しいって感じになってしまった。
隊長も精神的には成熟していても、体力が足りてなければ従軍していても邪魔として、魔王軍の行動に体力的に厳しそうな者は入隊を先送りにさせた。
お陰でサキー隊に補充できた人数は元ホムンクルス、現サードアイの10人のみ。
まぁ魔族は早く肉体が成長して、強くなればなるほど老化が遅くなって繁殖力が落ちる傾向があるからサードアイの皆も1年、2年で魔王軍に参加できる肉体になれると思うが……。
(それを言ったらエレンやミラも若いからなぁ……)
エレンもミラも人間の年齢だと10歳前後である。
というかウルフ達もショタ化した影響で、サキー隊の見た目は少年兵を率いているお姉さん隊長というのにしか見えないわけであるが……。
うん、他の魔王軍に舐められるわな。
そりゃ後方に回されますわ。
というわけで、初めてサードアイにした女性……ヒトミの娘のエールをボクの補佐として付けてもらった。
「初めて会ったときは取り乱したわね。バーンさんのお陰で母が生きながらえるどころか若々しく新しい人生を謳歌していて感謝しているわ!」
黒に近い茶髪、両目の瞳も同じ色であるが、おでこにある第三の目は赤く充血したジト目をしている。
あと肌の色は元々色白の肌色だったけど、今はスクエニーみたいに青ベースの肌色に変わっている。
そして実年齢が10歳だったからエレンとミラと同じように若干幼い容姿である。
入隊の体力テストを気合いで乗り越えて、ボクの下に配属……という感じ。
エレンとミラからすれば少し年上のお姉さんが入ってきた感じだろうか?
「とりあえずよろしく」
「はい! 頑張ります!」
彼女も同じ家で住み込みで働くことになったのだが、エレンとミラの交わりを見て自慰する姿を偶に目撃することになり、そのうちミラが1人じゃエレンが持たないからとエールを巻き込んで、2人でお腹をボテ腹にしていたり……。
お盛んだな……エレン。
なおエレンは人気のあったエールを恋人にしたことで、同年代のサードアイから嫉妬され、よく組手を挑まれることに……。
頑張れ、エレン!
「いや~、料理が上手な人が多くて良かった」
「あらあら、やっぱり外の人の知識というのは大切ですね〜。このカレーという料理は初めて知りましたし、渡された香辛料は早速農地で量産してみますね〜」
ヒトミやエール含めたサードアイの女性陣は料理が上手で、ボクが教えると、直ぐに吸収して覚えてくれた。
「魔族って食料をどう確保しているか疑問だったけど……なるほど魔物を食べていたのか」
ジンは早速魔族と人間側の文化とか軍政の違いについてボクや隊長に聞きながら吸収していたけど、ミートスライムやライススライム、油カエルや風船エビを見ながら食用の魔物を使っているから、魔王軍の兵站が破綻しないんだなって関心していた。
「領地を急拡大している影響で農業の効率は人間側に負けているし、農作業をするより略奪の方が手っ取り早いって思っている魔族が多いこと……しっかりとした兵站拠点を持たないと持久戦になったらひっくり返されかねないからねぇ」
「ジンも隊長も味見と言ってこっち来なくても……もう少ししたらできますから」
「「へへ……」」
カレーの魔力に取り憑かれた2人が兵站のことを語り合っていたけど、台所でやらなくていいので追い出す。
「全く油断も隙もない」
「ふふ、ジンさんも若返って年相応の態度と明るくなって良かったわ。お父さんが亡くなってからずっと集落の未来ばっかり考えていたから憑き物が落ちたみたいで」
ジンは相当気に病んでいたんだろう。
不安から解放されて今はだいぶはっちゃけているけど。
今はエレンやミラと一緒にボクが教えた筋トレや基礎体力をつけること、攻撃魔法の習得、弓や武器の練習と気合いを入れてやっていながら、畑の管理とかもしてくれていた。
農作業の殆どが魔法でできるようになっていても、一部は手作業が残っているので、ウルフ達もいい経験だならとジンと一緒に農作業や家畜の世話をやっていたり。
モンキーとポークが結構農業というか農民適性が高くて皆驚いていたり……なんてことや、ウルフは戦い以外は不器用ってのが露呈したり。
「しかし、トマトにあんな使い方があるとは思いませんでしたわ」
ヒトミが言ったのは、《オレ》が伝えたトマトを使ったソース類。
定番というかトマトのソースと言ったらこれと思っていた、トマトを潰し、塩を振って茹でたのを瓶詰めにしたトマトピューレ。
トマト、ニンニク、玉ねぎ、バジルを細かく刻んで塩を入れて煮詰めて作るトマトソース。
そこにレモンと香辛料、砂糖を少々入れるトマトケチャップ。
トマトだけでも色々なソースが作れることに感心したし、《オレ》の料理の知識は本当凄い知識量だと感心させられる。
というか《オレ》はこの集落が味噌を作っていることにも感動していて、味噌と似た作り方で黒い液体になる醤油なるソースを作ろうとボクを動かしていたり、ライススライムやミートスライムに過剰に水と栄養を与えて分裂を促して個体数を増やそうとしたり……色々やっていた。
〈《オレ》も体が欲しい! 分身の魔法の魔道書ねーかな? 〉
書庫には分身の魔道書は無かったから現状習得できないけど、分身の魔法が使えれば《オレ》も自由に動けるからもっとえげつない戦い方ができそうだけど……。
〈まぁ分身の魔法が確実に覚えることができる人物がいる場所は知っているから、余裕ができたら行くぞ〉
(あ、覚えることできるんだ)
〈まーな〉
その後ボクは《オレ》から調味料や加工食品の作り方を永遠と聞かされるのだった。
〈ちゃっかりここの村砂糖作ってるんだよな〉
魔王軍……いや、人間側の軍でも貴重な砂糖。
元商人の補給兵達は砂糖を固めて金平糖にしたのを別の部隊に持って行って色々戦利品と交換していたりするらしい。
何なら将軍様の取巻きに砂糖を献上して、名前を与えられた魔族もいるらしい。
《オレ》とボクはその砂糖を作る際に出る廃糖蜜……サトウキビを絞って砂糖を作るときに出る砂糖にはならない甘い液体を使ってお酒を作り、それをエレンが作る回復薬と混ぜることで味をだいぶマイルドにすることができないか試していた。
砂糖を混ぜれば良いんじゃないかって思うかもしれないが、砂糖を混ぜると回復薬の価格が高く成りすぎる。
廃糖蜜も十分に甘い液体だが癖があるので、マイルドにするために酒(ラム酒)にしてから回復薬に混ぜてみたところ、口に残るドロっとした感触や苦味がマイルドになり、だいぶ飲みやすくなった。
なんなら糖分が高まることで効能が高まることが《オレ》のアドバイスでわかり、ラム酒を入れるのではなく、廃糖蜜を回復薬を一緒に煮詰めてよりドロっとさせることで軟膏の様にして、傷口に塗り込むことで、止血したり、回復薬の保存性を高めたりすることに成功するのだった。
まだ数が作れないから出回ってないけど、これ……奴隷を購入する対価として使えたりしないだろうか?