量産兵のボクにチートなアドバイザー(オレ)がつきました 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
夢を見せられたからどうしようもないわけど、言い方を変えてしまうと、魔王軍が今の今まで戦えているの人間側の技術のお陰って考えると……凄い皮肉が効いているよね。
〈まぁゲーム作った制作陣の性格悪そうな要素幾つかあるし、流れを変えれなければ人間の作った技術を使った魔王軍は人間側の天才フランに振り回されて結局滅びを迎えるってことだけどな〉
(そのフランを探さないといけないってわけか……)
無人島……いや、エデン島だったか。
エデン島の散策を数日行って、ダンジョンに関しては時間が掛かるだろうから、後日サードアイ達を使ってサキー隊全員で、探索することが決まり、入植の計画を立てていた。
隊長的には人間側が兵糧攻めの動きを見せてからでいいって言っていたけど、《オレ》が言っている暗殺だったら一気に崩れる可能性もあるんだよなぁ……。
とはいえ、まだ魔王様側が攻勢を続けているから、もうしばらくは大丈夫かもしれないけど。
「どう? ヒトミさん見える?」
「うーん……私の探知範囲外かもしれない」
《オレ》に教えてもらったフランの容姿と名前でヒトミさんの持つ人探しの魔眼を使って、探知をしてもらったけど、見つけることができなかった。
ヒトミさんから本人の触れた物とか魔力の痕跡とかあれば、より広範囲に調べることができるけどって言われたけど……。
(《オレ》、痕跡になる物とかある?)
〈うーん……あ、確かここから半日飛行したところにある人間側の町にフランの書いたとされるノートが古本屋に売りに出されていたはず……時期が微妙だからあるか分からないけど行ってみる価値はあると思うぞ〉
(よし、早速行こう)
隊長からも誰を探しているか聞かれたけど、凄腕の錬金術師が人間側で埋もれているらしいから、引き抜こうかと思って言うと、
「よくそんな人物の情報を掴んでくるね……」
「避難場所を探している最中に聞いた話で」
「私でも聞いたけどないな〜フランって人物。でも名前が出るってことは人間側から重宝されているんじゃないの?」
「それが何か潜伏生活をしているらしくて」
「なんじゃそりゃ?」
「ボクもなんで潜伏生活をしているかまでは……」
とりあえず今はこっちも余裕があるから探して見て良いよって許可が出たので、人間領に潜入する準備を十分に整えてから行くことにするのだった。
「うわぁぁぁ!」
朝っぱらから大声で何かエレンが叫んでいる。
日数的に名付けで名前が馴染んだ頃だろうか?
「なに朝から騒いでるんだー」
ボクがエレン達の部屋をノックして入ると、エレン達が成長していた。
前まで10歳くらいの容姿だったのに、今は15歳くらいか?
ミラとエールなんか出るところが出ているし……前までペチャパイと膨らみかけって感じだったのに。
「ミラとエールのお腹が昨日と今日で一気に膨らんでいて!」
ああ、騒いでいたのはそのせいか。
身体の成長に合わせて赤ん坊も成長しちゃったのかな?
こりゃ今日中に出産が始まってもおかしくはないかもな。
パンパンに膨らんでいて、手が下腹部を触れることができないくらいだし。
「とりあえず、エレンができることは落ち着いて、ぬるま湯を用意したり体を拭くためのタオルを用意して。ボクは出産に対応できる人物を呼んでくるから」
「は、はい!」
「スクエニー、エレンのこと見てやって」
「了解〜」
というわけで、肉体に引っ張られて急成長した赤ん坊の出産。
ヒトミさんやサードアイの青年期の女性陣は出産経験がある人物が多かったので、呼びかけると何人か集まってくれて、テキパキと出産の準備に取りかかっていた。
というか母体に負担がかかり過ぎないように強制的に母体から赤ん坊を摘出する技術があるらしく、急成長で普通の赤ん坊の倍近く大きくなってしまったミラとエールの赤ん坊はヒトミさんが魔法で強制出産となった。
まぁ一種の転移魔法で、赤ん坊を産道を通らずに取り出す……普段は野菜や果物の種を果実を切らずに取り出す魔法を応用すればできるらしい。
なんか一緒に来ていた隊長が
「この魔法覚えれば体内で作られる卵を楽に産むことができるかもな……」
って言っていた。
ミラとエールの2人はお腹が張って少し苦しかったらしいけど、出産の痛みとかは特に無く、今は赤ん坊や羊水、胎盤が順番に摘出されたからベコって膨らんでいたお腹がへっこんで、ボクが治癒魔法をかけたら、綺麗なお腹に元通りになっていた。
「大きな赤ちゃん……」
生まれた赤ん坊は既に髪の毛が生えていたりしていたが、生まれた瞬間から更に成長を続けて5歳くらいの姿になっていた。
ミラの赤ん坊はなんというか……凄い神々しい。
頭に母親と同じくエンジェルリングがついているし、なんか翼じゃなくて、幾何学的な模様の円盤が体と一緒にくっいていた。
エールの赤ん坊はサードアイの種族の特徴とエレンと同じく下半身がタコっぽい触手が生えていた。
『ふう☆やっと生まれてこれた☆もう遅いよ〜パパ、ママ〜
☆』
なんかミラの赤ん坊いきなり念話で喋り始めたんだけど……。
『えっとバーンさんだっけ、2人に名前付けてくれてありがとうね〜お陰である程度成長した姿で生まれてこれたよ☆』
パチっと目が開く。
凄い目力というか瞳の中に星型の形が……。
これ聖女生まれてきたんじゃない?
「えっと……」
『うーん……あ、名前! パパかママ! 私に名前付けてよ!』
赤ん坊側が名前を強請るという異様な光景にサードアイの皆さんは魔族はこれが普通なのかとざわつき出すが、隊長が明らかに異常ですって注釈していた。
「名前……名前か……」
(ちなみに人間だった時の本来の聖女の名前ってなんだったの? 《オレ》?)
〈あ? マリアだぞ〉
「マリア……なんかその名前が思い浮かんだわ」
『うーん、それは嫌だな。別の名前がいい!』
ミラがそう言い出した名前をまさかの赤ん坊これを拒否。
エレンとミラの2人は困った顔をしながらボクの方を見てくる。
これボクが名付けなきゃいけないやつか?
「うーん……瞳が綺麗だからと愛情溢れる子になってほしいからアイで良いんじゃない?」
『アイ……アイ! 気に入った! 私の名前はアイ! 決まりね!』
エレンとミラ……複雑そうな顔をしないでくれ……ボクも困惑が勝つんだから。
ちなみにエールの子の方は特に念話で喋ってくるとかそういうのは無く、普通に大きい赤ん坊だった。
ただ生まれてきた子がホムンクルスじゃなくてサードアイとスキュラのハーフっぽい子に族長であるジンは泣いて喜んでいた。
これで本当の意味でホムンクルスの呪いが解けたと言えるからである。
次世代にホムンクルスが生まれない……すなわち呪いは断ち切れたという考えらしい。
エールの子の男の子は片方が名付けられたのに、片方は名付けられないのは可哀想だと言ったサキー隊長がジャックという名前を付けてあげていた。
「ジャック……お前はサードアイの希望だぁ!」
ジンが孫を見るおじいちゃんみたいになっているけど、この感じだと、ジンが名付けられるくらい成長したら、子供達に全員付けそうだな……。
〈さてと聖女が本格的に違う存在になったから、これで魔族滅亡のフラグが1つ折れたな〉
(そうだと良いけど……大丈夫なのアイは? 明らかにボクや隊長よりも格が高そうなのに、名付けの成長で更に強くなるんでしょ?)
〈……まぁなんとかなるだろう〉
(こら! そっぽ向くな《オレ》!)
こうしてホーリー一家に家族が増えることになるのだった。