量産兵のボクにチートなアドバイザー(オレ)がつきました 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
アイとジャックが生まれて来て1週間ちょっと、フランが来て1週間……その間は特に大きな動きは無かったが、今朝アイとジャックに名前が定着したらしく、2人がググッと成長をしていた。
『お父さん! お母さん! また私大きくなったよ!』
肉体的には一気に10歳くらいにアイは成長し、既にコミュニケーションとかは問題なくできるようになっていた。
知識を何処から覚えているかは分からないけど、無駄に知識あるんだよなぁ……。
ジャックの方は5歳くらいで言葉に関しては単語……パパやママとかを言いながら最近は毎日走り回っていた。
まだ精神が育ってなくて数年単位で成長に必要だろう。
〈人間に比べるとそれでも凄い早いけどな〉
(そうなんだ……)
それを言うならボクなんて製造されてまだ数ヵ月だし。
『あ、バーンさんだ。こんにちは』
「こんにちはー」
〈しっかし、ミラの要素が強いとはいえ、美少女だな〉
《オレ》も絶賛しているけど、しっかし美少女だな……。
「ところでそのドレスはどうしたの? そんな服うちに無かったはずだけど?」
『ああこれ?』
アイ服を指さすと、光になって全裸になると、背中に幾何学模様の翼? みたいなのが出現した。
『よっと、翼を服に変えることができるようになったの〜綺麗でしょ』
「凄いな……」
アイ曰く、これで武器とかも意識すれば作れるとのことで、その場で槍を作ったり剣を作ったりすることもしていた。
「アイさぁ、これを魔石に変えてエレンやミラとか集落の皆や隊長とかを強くするのに使っていい?」
『良いよ。あ、でも作りすぎると服を作る分無くなっちゃうかも?』
「治癒魔法で増やせないか?」
《オレ》はできるって言っていたけど、一応試してみると……ちゃんと増えた。
『これ私が治癒魔法を覚えれば量を増やすことができる?』
「ぜひ覚えてくれないか? そうすればエレンやミラがより早く強くなってアイのことを今以上に愛してくれると思うぞ」
『うん! 頑張って覚える! バーンさんじゃぁ私に治癒魔法を教えて!』
「勿論!」
そのままボクはアイに治癒魔法について教えるのだった。
それから2週間後……フランは書庫にある魔法を一通り覚え終わり、アイも治癒魔法を覚えたり、隊長やジンとか一部のサードアイの面々も瞬間移動の魔法を覚え、順調にレベルアップをしていた。
ボクは一度魔石の杖をエデン島まで取りに行き、アイに協力してもらって、アイの魔力がこもった魔石を量産。
それを部隊の皆に順々に食べてもらっていったのである。
「娘の魔石を食べて強くなる父親って……なんか情けないような……」
「でもエレン。強くならないとアイを守ることもできないし、仕方がないよ……」
『お父さん、お母さん! 早く強くなってね!』
アイは屈託無い笑みで2人を見つめる。
1度に沢山食べると肉体が成長に追いつかずに、ダメージを受ける場合もあるので、1日1個を厳守。
一番最初に変化が起こったのはウルフ達だった。
「おお! 力がみなぎる!」
ウルフとモンキーは体から電気を生み出して纏わせることで、身体能力を爆発的に強化する術を身に着けて戦力アップ。
次に体に変化が出たのはフラン。
「おお! 食べるごとに尻尾が増えていく!」
3日連続で食べてもらったが、毎日尻尾が増えて、六尾になっていた。
魔力量的にも、将軍様には劣るけど、取り巻き達くらいはありそう。
エレンやミラ、スクエニーや隊長達も魔族としての格がググッと上がり、新しい力を手に入れたり、魔力量が多くなったり……。
サードアイの皆も名付けが10人できるくらい……大隊長くらいまで格を上げることに成功し、アイ自身も、
『魔法の練習になるから、じゃんじゃん魔石を作るよ〜』
って、特に苦になることもなく、協力をしてくれた。
そしてボク自身もアイの魔石によって強化の恩恵を受けることに。
〈無難に身体能力の向上と魔力量の増加か。新しい魔法は覚えなかったが、ドラゴノイドは身体能力と魔力量で相手を倒す魔族だから、これでいいだろう〉
(いやぁ……アイの協力あってのことだねぇ……それにしても)
ボクが命じたとはいえ、エレンとミラは先週にエールの魔法で妊娠を確認。
第二子がお腹の中に宿っていた。
〈強くなっているはずなのに受精率が高いな。エレンの種がそれだけ強力ってことなのか……ミラとの相性が良いのか……エールの妊娠関連の補助魔法の効きが良いのか……〉
エレンとミラも魔族としての格が上がっているから、徐々に妊娠しづらくなっているはずなのに、普通に妊娠しているんだよなぁ……。
「とはいえ……だ」
今のところ順調そのもの……このまま時間経過と共に成長していければ……と思っていたが、《オレ》が言っていたことが起こってしまう。
「おかしい……定期的に来ていた補給兵がここ最近……ピタッと来なくなった……」
隊長とも話していたが、補給を担当し、本隊の情報を送ってくれていた魔族がピタッと来なくなっていた。
隊長は遂に人間側が兵糧攻めを始めたんじゃないかって疑っていたが、《オレ》の言うように将軍様の暗殺が起こっていたら軍全体が離散している可能性もある。
ボクは隊長に言って、町を確認しに行くと……。
「既に陥落しているじゃないか……」
遠見の魔法で町の外から町の中を覗くと、何名かの魔族……死体漁りをしていた時にボクを見逃してくれた将軍様の取り巻きや、将軍様と思われる女の魔族が磔にされていたり、首が切断されていたり……。
魔族に協力していた人間も同様に処刑が繰り返されていたりと、町中で処刑やリンチが発生していた。
「うわ、将軍様より明らかに強い人間がいるじゃん……ん? こっち見てないか!」
遠見の魔法をしていることが気づかれたらしく、こちらに猛スピードで向かってきている。
ボクは慌てて瞬間移動の魔法で集落まで戻ると、隊長に本隊は既に壊滅していたということを報告する。
「本隊が壊滅していた……将軍様も処刑済みだと?」
「はい、遠見の魔法でバッチリと……将軍様より強い人間が数名いたので、その人らによって倒されたのかと……正直ここも危険かもしれません」
ボクの言葉に隊長は直ぐにここからエデン島への避難を指示する。
「少し悩むかと思いました」
「いや、将軍様より強い人間が複数人出てきている段階で避難一択でしょ。私は勝てない敵には正面から当たらないし、逃げるのも有効な戦略だからね」
「では直ぐにジンを呼んで」
「ああ、集落の物資とかも含めてエデン島に移動させるよ。さーて、少し忙しくなるね!」
ジンはここの地方を担当していた魔王軍の方面軍が壊滅したことを伝えると、避難することに同意してくれた。
「我々元ホムンクルス達はサキー隊長に忠誠を誓っております。恩人がここから避難するように言うのであれば、従います」
「ごめんね故郷を捨てさせることになって」
「いえ、この場所は我々にとって牢獄のようなものなので……サードアイの面々も瞬間移動の魔法を使えるようになっていて良かったですね」
サードアイの面々もアイの魔石を取り込んで魔力量が引き上げられていたので、前のボクくらい……エデン島まで瞬間移動で15往復くらいできる様になっていた。
お陰で荷物をある程度持っての移住ができそうである。
「よし、じゃあバーンは何回も往復して瞬間移動を使える人達にエデン島に連れて行って、マーキングする補助を。ジンは集落の物質や持っていく物を纏めて移住準備」
「「は!」」
というわけで逃げの一手をボクらは直ぐに選択するのだった。