量産兵のボクにチートなアドバイザー(オレ)がつきました 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
扉の奥も一応光源が生きているっぽくて、最低限の整備はされていたっぽい。
「いよいよ冒険っぽくなりましたね。冒険者時代の血が騒ぎますよ」
スカーレットも握る剣に力を込める。
ボクもスクエニーも兵士であって人間の冒険者の様に探索とかはしたことが無かったから……ここらへんはスカーレット頼りである。
「……なにかいます」
歩いていると、何かが近づいてくるのが見えた。
それは……緑色のスライム。
「スライムか……何のスライムだこれ?」
《オレ》にさりげなく質問してみると、《オレ》は、
〈グリーンスライム……緑肥のスライムだ。こいつが地上に出ると雑草が繁殖するから、畑とかに入られると雑草だらけにされるぞ。バロメッツや家畜の餌として活用されていたはずだが……〉
活用方法は柵で囲んだ牧場の放牧地で放し飼いにしておけば、放牧地が緑で一杯になるので、家畜が元気に育つ……というスライムらしい。
雑魚だから放置しても構わないと《オレ》は言う。
〈このダンジョンは最下層以外は強敵らしい強敵は出ないからそこまで気張らなくていいぞ〉
(最下層は逆に強敵が多いの?)
〈いや2階層からゴーレムが出てくるんだが、3階層にゴーレムの製造工場があるんだ……第三次魔王軍時代でも生きていたから……多分生きているはずだし、ゴーレムは鉱物資源で出来ているから、ゴーレムを倒せば鉱物資源が手にはいるぞ〉
(それは……願ったり叶ったりだね……)
出てくる魔物はスライムだったり、虫っぽい魔物だったり……。
特に苦労することなく地下2階へ。
地下2階は通路が1階よりも広くなり、《オレ》が言っていた様にゴーレムが現れた。
動きはそこまで速くない。
スカーレットは盾で振り下ろされた拳を受け流すと、飛びながら空中で1回転。
しなっる様に高速で尻尾を叩きつけるとバンという空気が破裂する音が響く。
〈尻尾をムチの様に使って音速を超えた一撃か……流石〉
(ボクもできる様にならないとね)
スカーレットの尻尾が当たった瞬間にゴーレムはバラバラに砕け散り、周囲に鉱石が飛び散る。
〈ゴーレムから採れる鉱石は結構種類あるけど、基本は鉄鉱石かレンガ材だ。レンガは崩れてもこわれない頑丈な素材だから建材としても使えると思うぞ〉
砦の壁がこのレンガが使われていると言われた。
〈運び出すのが苦労するかもな。収納袋を使っても結構な重さはあるし〉
(うーん、そうだね……とりあえず探索はこれぐらいで切り上げた方がいい?)
〈最下層行ってみろ。今の実力で何処までやれるか確認になるぞ〉
《オレ》に言われて2階層を歩くこと2時間……3階層に続く道をみつけて、降りてみると……2階層とは比べ物にならないくらいのゴーレムの軍団が。
2階層に居たゴーレムに混じって金色だったり銀色のゴーレムが混じっているが、そのゴーレムにボクらの攻撃だとダメージが入らない。
「この! この!」
スクエニーが電撃の魔法や炎の塊の魔法をぶっ放すけど、ゴーレム達はこちらに襲いかかってくるし、ボクがぶん殴っても、無傷。
「こりゃ駄目だ……撤退撤退!」
2階層に逃げると、ゴーレムの軍団は追ってこなっかった。
「ゴーレムにボロ負けとは……いや、精進が足りませんか」
「まぁ資源採取としては2階層まででよさそうだね。スカーレット、スクエニー、今日は探索に協力してくれてありがとう」
「いやいや、帰るまでが探索だよ。バーン」
「それもそうだね……」
こうしてダンジョン探索を終えてボクらは帰るのだった。
「そうだったんだ……ご苦労さま」
隊長にダンジョンの中について説明をすると、理解してくれた。
「建材や鉄資源が手にはいるのは良いね……あとは保存されている魔物の種か」
「大半が生活の質を良くしてくれる魔物っぽいので各種魔物の牧場を作っていけばいいかと」
「うーん、とにかく人手が足りないね……うん、分かった。そうそうジンとフランが協力して大浴場を修復したって言っていたからお湯に体を浸かるといい。私も後で行くから」
「了解です。スクエニー、スカーレット行こうか」
修復した大浴場に向かうと、サードアイの面々やウルフ達が既にお湯に浸かっていた。
ボク達も服を脱ぎ、洗浄の魔法で体を綺麗にしてからお湯に浸かる。
「おおお!」
気持ちいい。
洗浄の魔法で体の汚れは綺麗にできるけど、体をお湯で温めることで血の巡りを良くして、疲れを抜く効果があると壁に掘られていた。
「あ、お母さん!」
「ギムレット」
ギムレットもお風呂に入っている最中で、スカーレットを見つけると抱きついていた。
仲が良いな。
するとフランがボクに近づいてきて、
「いやぁ場所によっては大衆浴場がある領地もあったけど、ここまでしっかりしたのはなかなか無いぜ!」
「フラン、修理したって言ってたけど、どうやったの?」
「ああ、それはだぜ!」
フランによると砦知覚に大きな貯水タンクがあり、その中の水を一旦放水して空にし、タンクの中や排水管を綺麗にしてから採取の杖で真水を入れ変えたり、砦で壊れていた部分を修理したらお湯が出るようになったとのこと。
恐らく真水を沸騰させる魔法陣が何処かにあって、砦を修理したら稼働したんじゃないか……とのこと。
「採取の杖がある限り真水に困ることもないから、こうして大浴場に使い放題ってことだぜ! いやぁ便利便利!」
「なるほど」
ボクの方もこの砦の地下でゴーレムが居て、倒せば建材としても使えそうってことを伝える。
「本当にこの島は素材に困らなくて最高だぜ! あ、もう少ししたら私の錬金術が使える釜が出来上がるから、明日の夕方には見てほしいんだぜ!」
「おお、それはそれは!」
フランの錬金釜も出来上がるとのことで、楽しみにするのだった。
「ふう、気持ちよかった」
「そうだね〜」
スクエニーもボクと同じタイミングでお風呂から上がり、寝室のある部屋の前の多目的スペースで、椅子とテーブルを地下の備品が置かれていた場所から持ってきて、寛いでいた。
「……バーンは僕と最初に出会った時覚えてる?」
「ああ、戦利品売りに商人探していた時に声掛けられたのが始まりだったな」
「うん……そこで縁ができなかったら僕は多分死んでいた。だから感謝してもしきれないんだ……」
《オレ》によるとスクエニーは生き残るはずだけど、多分相当苦労することは確実だったろう。
彼女もボクと出会って運命が変わった1人だろう。
「もし、バーンが子供作れるようになったら……僕もバーンの子供欲しいな」
「……ああ、ボクもスクエニーとの子供欲しいな」
「ふふ、両思い」
そんな会話を彼女とするのだった。