4代目に憧れて   作:ryyonn

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老いたる武人の興味

 

 

――ネテロ視点――

 

「ほっほっほ。あの小僧、面白いことを始めたようじゃな」

 

心源流総本山。

 

ワシは茶をすすりながら、ビスケットから聞いた話を思い返していた。

 

あの娘の息子――レオン・クルーガー。

 

初めて会ったときは、まだ幼い子供じゃった。

 

あれから一年ほど。

 

十歳になり、念の修行を本格的に始めたと聞いておったが、どうやら順調に成長しておるらしい。

 

特に興味深いのは、あやつが自分の念能力について考え始めたことじゃ。

 

放出系の適性を持ちながら、遠く離れた場所へ瞬時に移動する能力を目指しておるという。

 

「ふむ……」

 

ワシは顎に手を当てた。

 

放出系の念能力者が、遠隔地への移動を実現しようとする。

 

それ自体は不可能と決まったわけではない。

 

しかし、単純にオーラを放出するだけでは、自分自身を瞬時に移動させることはできんじゃろう。

 

念能力は、想像だけで成立するものではない。

 

自分の系統。

 

能力の仕組み。

 

必要な条件。

 

それらを考え、試し、失敗を重ねて、ようやく形になるものじゃ。

 

じゃが――。

 

「ビスケットの教えを受けておるなら、基礎を疎かにすることはあるまい」

 

あの娘は厳しい。

 

それでいて、教えるべきことはきちんと教える。

 

レオンにとって、これほど恵まれた師匠もおらんじゃろう。

 

いや。

 

母親としてのあの娘を考えれば、師匠という言葉だけでは足りんかもしれん。

 

「それで、ネテロ会長。興味があるんですか?」

 

傍らにいた心源流の門下生が尋ねた。

 

ワシは笑った。

 

「当然じゃろう。若い者が自分の頭で考え、壁に挑む。これほど愉快なことはない」

 

「では、様子を見に行かれるのですか?」

 

「いや、今はまだよい」

 

ワシは茶碗を置いた。

 

「自分で考え、自分で答えを見つける。その時間もまた、修行じゃからのう」

 

それに、ワシが顔を出せば、ビスケットに何を言われるかわかったものではない。

 

あの娘は、レオンのことになると少々……いや、かなり過保護になる。

 

「ほっほっほ。いずれ、あやつの成長をこの目で確かめるとしよう」

 

そのとき、レオンがどんな念能力を生み出しているのか。

 

それを想像するだけで、ワシは愉快な気持ちになった。

 

強さとは、ただ生まれ持った才能だけで決まるものではない。

 

才能をどう磨くか。

 

何を目指すか。

 

そして、壁にぶつかったとき、どう乗り越えるか。

 

その積み重ねが、やがて大きな違いを生む。

 

レオンがどこまで行くのか。

 

今はまだ、誰にもわからん。

 

だからこそ、面白いのじゃ。

 

 

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