空想令嬢ガールはえちえちホームズを夢見るか? 作:何処にでもある
起きてる間の牢屋敷(4日目、ミリアとアンアンで娯楽室)
「や、やっほー…急に呼び出すなんてどうしたの、アンアンちゃん? おじさん、なにかアンアンちゃんにした…かな?」
[よく来たなミリア。大したことじゃない。好きなところに座れ]
「あ、じゃ、じゃあ失礼しまして……」
[わがはいは考えた]
「うん」
[ミリアは自分をおじさんと言う]
「あ、うん……や、やっぱり変かな?」
[ここは魔女の宴だ。ミリアが本当におじさんかどうかわがはいは知りたい]
「あー…まぁ、そうなるよねー。最初はここに来たゴタゴタで流されてたけど……魔法、あるのが前提だもんね。そりゃ疑われるか……」
「しかしな、[わがはいはこうも考えた]」
「うん?」
「どっちにしろ本物の女子中学生と言うだろうし、それならキサマがどういう人間かを知るのが手っ取り早い」
「えー…」
「良いおじさんならそれでヨシ。悪いおじさんなら遠慮なく魔法が使える。つまり、わがはいにとってはどちらでもいい」
「扱いが酷くない? おじさんにも人権はあるんだよ?」
「ここにホラー映画が有る。試しに観てみたいが、わがはいは一人で観る勇気はない。だからミリア、【一緒に観ろ】」
「ほあ!? おじさんそういうのニガテなんだけどなー!?」
「人はホラー映画の反応で善悪の性根が分かると言う。大丈夫だ、わがはいは今(錠剤を2つ飲んで)テンションが高い。ミリアがどんなやつでも胸を貸してやれる自信がある」
「それはそれで問題発言! もっと自分を大切にしようね!?」
ー視聴後ー
「案外面白かったね、アンアンちゃん!」
「……………」
「…ど、どしたのかな〜アンアンちゃん? そんなにおじさんに抱きつくなんて…怖かった?」
「わがはいはこわがってない」
「いやでもちょっと苦しいくらい抱きつかれてるし」
「怖がってない。コレはミリアが怖がってるから仕方なくやってるだけだ。なにをしている、早く背中に手を回せ。わがはいが悪霊に憑依されてもいいのか」
「なにこの可愛い生き物……ふぅー…うん、おじさんで良ければ幾らでも」
「ミリア……」
「んー、どうしたのアンアンちゃん」
「今日は…無理に付き合わせてすまなかった」
「別にいいよ。おじさんは結構楽しめた訳だし」
「……わがはいは」
「わがはいは、本当は人と関わりべきではないと思っている」
「それは、なんで?」
「わがはいは【洗脳】の魔法を持っている。この牢屋敷に送られるに足る罪も犯した。だから、誰とも関わってはいけないと思っていた」
「うん」
「だが、ノアの優しさに触れて気が変わった。ここの皆となら、或いは気を許し会えるのではないかと」
「うん」
「だから……その……だな。こうして、二人で映画も観たのだ。だから、その………」
「いいよ、ゆっくりで」
「……[わがはいと友人になろう、ミリア]…どうだ?」
「……んー、ちゃんと言ってくれなかったのは減点かな」
「……[泣くぞ]」
「ごめんごめん──いいよ、アンアンちゃんとおじさんは今から友達だ! ヨロシクね!」
「‼︎……ああ!」
(あ〜^アンアンちゃんおじさんの膝の上で頭すりすりしてもう小動物か〜!? やばマジ可愛い過ぎて飼っちゃいたくなってきた──!)
(わがはいは今──"なんて幸せなんだ!")
ーアンアンが服用したS13の精神高揚作用が切れ、禁忌を思い出すまで残り22時間ー
※S13の精神高揚作用…2錠までの服用に診られる副作用。テンションが上がり多方面で積極的になる。複数回服用し慣れるまでは魔法少女の【
「どうでしたか? あの雑貨の山は」
「それはもう大好評でしたわ。夢の世界の産物なので警戒する方も居ましたけれど、概ね受け入れてくれましたわね」
「それは買いに行った甲斐がありましたね! 私も嬉しいです!」
ハンナがここだけ切り抜かれたら黒幕認定されそうな発言をして、それから辺りをキョロキョロと見渡す。
それもそうだろう。ここは既にシェリーハウスではなく新たな現場、新たな依頼人の部屋なのだから。
「ここは何処ですの?」
「ミリアさんという依頼人の部屋ですね。ミリアさんはこれまで何度も依頼してくれたお得意様でして、いつも暴走した魔法の対処を手伝ってるんですよ」
「今回はミリアさんですのね……その魔法はなんですの?」
ロンドンにしては実に現代的なマンションの一室といった部屋を見渡す。
観葉植物が置かれ、作業机にノートパソコンもある実にハイカラな部屋だ。
本棚には法律関係の本が敷き詰められ、実用的な物が随所に置かれている。
金髪白ギャル風の風貌をしているミリアらしくない、実用的な大人の部屋が今回の現場だった。
「【入れ替わり】の魔法ですね! お互いが同意すれば入れ替われたり、お互いの経験や記憶を共有したり出来るそうです!」
「それ本当に入れ替わりますの?」
「さぁ? 出来ることは多そうですが、本人は出来るだけ使いたくないようなので詳しくは知りません」
聞いてるだけで名前に比べて出来ることが多い魔法だ。その後処理ともなれば、一筋縄にはいきそうにないことも想像できる。ハンナが緊張からかごくりと唾を飲み込んだ。
「それで、わたくし達は何をすれば良いのかしら?」
一見して人は居ない。しかし、ここに精神を入れ替える魔法が暴走した場所だと思うと途端に一歩でも動くのが怖くなってくる。一体なにをさせられるのかと若干うわずった声でハンナが訪ねると、シェリーはいつも通り気楽そうな調子でこう言った。
「先ず、ここにミリアさんのアルバム写真があります」
「そうですわね」
「この中のどれかに現在のミリアさんが行ってしまったので、それを探し当てるのが今回の依頼です!」
「何が起きてるか分かんねーですがやべーことが起きてるのは理解できましたわ」
ハンナが困惑した所で、今回の事件の概要を説明しよう。
先日未明、依頼人ミリアは自身の魔法を暴走させた。暴走した原因は不明。
暴走した結果部屋に置いてあるアルバムと魔法が共鳴。依頼人ミリアは写真を撮られた瞬間の誰かと入れ替わってしまった。
その結果依頼人ミリアの室内に置かれている時限式SOS装置が起動。シェリーが出勤しハンナも出現して今に至る。
「アルバム置いとかなきゃいーんじゃねーですの? これ」
「ハンナさんは写真を撮るのが趣味で、どれも思い出の品だそうで。簡単に捨てる訳にもいきませんし、だからといって他人に預けるのは本人が精神的にイヤだと言っていました!」
「趣味……それなら仕方ねーですわ。生き甲斐を否定するのは気が引けますものね」
「やることは入れ替わりたいと思いながら此処に置いてある写真に一個一個触れるだけでいいので簡単ですよ! ハンナさんはこっちの方をお願いします!」
ドサリと自分の前に置かれたアルバムにウッと引きつつも、一先ずやってみようと最初のページを開いてみた。最初に目に映ったのは小さな子供が頑張って走っている写真だ。
ミリアが小学生の頃だろうか。まだ金髪に染めてなくて、4位の旗の前にちょこんと座っている。ビリじゃないからかちょっと誇らしげだ。
可愛らしいが、同時にこんな考えが頭に及ぶ。
「……これ、入れ替わったら当時のミリアさんにわたくし達が入る事になるんじゃ?」
「入りますね。なので現在ミリアさんの身体に入った過去の誰かを助けた現在ミリアさんと一緒に見つけて、3人で入れ替わりを使って解決するんですよ」
「……やっやこしい!」
「それが入れ替わりですから。あ、過去に行ったら入れ替わりを望みながら待っててくださいね。待ってれば私達がなんとかしますから!」
現代に対しての変化とかどうなっているんだと思わないでもないが、どうせここは夢の中なので細かい事は気にしても仕方ない。
ハンナはある程度割り切ったのか、黙々と写真に映るミリアを指でなぞっていく。
魔法の主体が現在のミリアである以上、写真に写っているミリアだけに限らない。一つ一つはたいしたことが無くても、量が凄まじい上に地味なのが暇を募らせる。
「…これ、ヒントとかありませんの? この調子じゃキリがありませんわ」
「そうですねー、現ミリアさんの身体が部屋にないので3歳以下は除外。
部屋にお邪魔する際鍵が閉まってたのである程度考える頭がある年。
書き置きがないので私とミリアさんの関係が出来る12歳より下。
ミリアさん以外ならこの条件には当てはまらない。
これでも写真を出来るだけ切り取って対象を減らしてくれてはいますから、ミリアさん同士で交代している可能性が高い…くらいですね!」
「厳選した上でこの山ですの!?」
「はい! あ、指でなぞるより両手でバシバシすると漏れもなくなってちょっと早くなりますよ。手が光るのを見逃さないでくださいね」
何を言おうとやらなければ進まない。前の依頼のように命の危険がないだけマシだが……やはり暇なのだろう。写真自体はハートや星型に切り抜かれてて見てて飽きはしないが、なんだか居た堪れない気持ちにもなる。ハンナは7歳から8歳のアルバムに移りつつ、シェリーに雑談をふっかけることにした。
「ミリアさんの魔法の暴走って、本人に覚えはねーんですの?」
「何度か聞きましたが、大体は本人の願望を魔法が勝手に叶えようとした結果が多いみたいですね」
「願望?」
「あの頃は良かったなーとか、あの子あの時どんな気持ちだったんだろうとか、これまた食べたいなーとか……ミリアさんってS13のお酒を呑んでる感が苦手みたいで、普段から魔女化の予兆もないのでよく飲むのサボるんですよね」
「思い返すだけでそうなるのはまぁまぁ不便ですわね…」
それこそシェリーストッパーがなければかなり苦労しそうだが、やらかしてもシェリーが助けてくれるのが一層服用をサボる口実になっているのだろう。牢屋敷の方のミリアとあまり話したことはないが、なんとなくそういう事をするかしないかで言えばしそうな雰囲気があると、そう考えてそうな顔をハンナはした。
「──あ、有りましたね!」
「お、どれですの?」
「この写真ですね。15歳の高校、友人と撮ったプリクラ写真の、友達の一人と交代してるみたいです」
「……なんだか距離感が有りますわね」
シェリーが指差す写真を見ると、そこには仲良し3人組と少し距離を空けてミリアがぎこちなくピースをしていた。平気でプリクラの写真が出る辺り、これはロンドンとか時代とか関係なく牢屋敷のミリアが実際に撮った写真なのだろう。
雰囲気の合わないグループとつるんでいるのが初見のハンナでも察せられるくらい微妙な距離感だ。幼いミリアが地味で大人しそうなのを先に見ていたからか、ハンナは見てて不安に駆られた。
「実際高校入学当初、ミリアさんは友人関係に悩んでいました。あの時は魔法が暴走したミリアさんを助けに行く事も多く、ある日イメチェンで見た目の雰囲気がガラッと変わってて驚いたのをよく覚えてます。まぁ、中身は当時も今も変わってなさそうですけどね」
「シェリーさんは助けたりしませんでしたの?」
「気の合わないグループに入る事は別に事件性はないですし、私とミリアさんは友達ではなく探偵と依頼人でした。当時…というか今もですが、私って高校生と探偵を両立するのに忙しくて、気付いた頃には全部自己解決してましたね!」
「え、シェリーさんって高校通ってますの?」
「失礼ですね! 夜間ですけどちゃんと通ってますよ。学歴が無いと実力を疑問視され易いので」
意外な新事実が判明したが、これは牢屋敷ではなくこの世界のシェリー独自の経歴だ。
施設から橘家に引き取られる事なく、脱柵し自分の力でここまで育ったという過去。それが本当に有った事なのかは置いておき、このロンドンではそうなっているのだ。
「で、どっちが交代します? 下手に動くと過去改変が起きて大変なことになるので、私としてはハンナさんが交代するのはオススメしませんが」
「過去改っ…恐ろしいことをサラッと言わないでくださいまし!」
「あーでも、変わったのを覚えてるのって過去に行って変わった人だけなんですよね。私もそれで何回かやらかしまして、ミリアさんが愉快な事になった事が何回か」
「何やらかしてるんですのこのゴリラ女!?」
具体的にはマッチョになったりサッカーが上手くなったりガリ勉になったりしたとシェリーは笑って言う。そんな簡単に人生が変わってたまるかとハンナはツッコミを入れたが、1番冗談じゃないと言いたいのはミリア自身だろう。
その後何回か本人が軌道修正して元に戻ったらしいが、本当に戻っているかは誰も保証してくれないのが困った話だ。
「まぁ安心してください、今回は私と出会った12歳以降なのでコチラの事情は分かってくれますし、ミリアさんも対策として写真の隣に日記みたく色々書いてますから。大抵はこれを参考にすれば問題ないですよ」
「にしたって責任重大じゃありせんの…? まぁ、それならシェリーさんに任せますわ。わたくしが行っても当時のミリアさんが誰だよってなるでしょうし」
「まあそれしかないですよね。分かりました! では私になったミリアさんとよろしくお願いします!」
そう言うや否や写真に触れていたシェリーの手が光り……次に眼を開けたシェリーは、びっくりするほど腑抜けた落ち込み顔になった。
「はぁ…もう最悪だよー…なんでまたあの時期のあの子と入れ替わっちゃうかな…」
「もうミリアさんになってそうですわね」
「うわぁぁ!? びっくりした!」
「うわぁ、シェリーさんの身体でそう振舞われると違和感バリバリですわね…」
驚いて尻もちをついたシェリー……いや、ミリアを見つつ、ハンナはそう呟く。
分かっていた事だが、それでも実際に眼の前で起きた入れ替わりが生理的な嫌悪感を思わせるのだろう。ハンナは口元を羽団扇で隠し、距離を空けて自己紹介をした。
「ごきげんよう、最近シェリーさんの助手をする事になった遠野ハンナですわ。ミリアさんの事情は聞いておりますので、しばらくの間ですがよろしくあそばせ?」
「あ、あーそうなんだ…助手雇ったんだシェリーちゃん。うわあちょっと嬉しいな、あの子に人を雇える余裕が出来るなんて」
くるくるとハンナの周りを回り、カワイイーと呑気な感想をミリアが漏らす。
そんな自分の体がどこかに行ってるとは思えない呑気さに、ハンナは少し苛立ちを覚えた。
ハンナはよく分かってなさそうだが、シェリーの身体で勝手にしている現状が面白くなさそうだ。
「さっさとミリアさんの身体を探しに行きますわよ。こんな所で油を売るほどわたくし達も暇じゃありませんもの」
「うっ…ごもっともで…! たはは、おじさん怒られちゃったよ」
「その顔でおじさんと言わないでくださいまし。虫酸が走りますので」
「えぇ…そんなにおじさんに当たり強くなくたって良いじゃん……そんなに悪いかな、おじさん」
ずかずかと先に部屋を出るハンナにミリアが困惑する。
単なる一人称なので良いか悪いかは無いが、もう少し他人の身体を使うなら
例え12歳頃からこういう関係でお互いは慣れているとしても、ハンナからすれば面白くはないのは普通のことだ。純粋に気味が悪い。
「それで、そのご友人がどこに行ったかは分かりますの?」
「まぁ…ない訳じゃないかな。仲が良かったとはとても言えないけど、こういう時に行く場所って大体自宅か友達の家だからさ。ただ心配なのは……」
そこまで言ってミリアが言い淀む。
言葉にしたくないのは自分にとっての最悪の想像をしたからか、はたまたその友達にとって最悪な想像をしたからか。
「心配なのは……なんですの?」
「魔法は因子由来な都合上どうしたって肉体依存なんだ。今の私はシェリーちゃんの【怪力】を使えるし、私の身体に入ったあの子も【入れ替わり】が使える。おじさんのはそう簡単に発動条件は満たさないタイプなんだけど……」
「ひとりぼっちになった子が魔法を暴走させないか……それが不安なんだよね」
起きてる間の牢屋敷(ココの配信アーカイブまとめ、1日目から)
「ヤッホー、あてぃしのチャンネルによーこそー。みんな見てるー? なんかー、このスマホ結構良さげな配信機能が有ったからあてぃし、配信する事にしましたー! どんどんパフパフー!」
「ここではメチャカワイイココちゃんが雑談したりニュースを放送したりするから、見逃すんじゃねーぞ? 案外知らねー豆知識とか分かるかも知んないんだからな!……ほんとだよ? みんな牢屋敷探索してっけど、ちゃんと隅々まで調べた自信あるか? あてぃしは全然ないww隠し要素満載だわここwwあ、ココを掛けた訳じゃねーぞ? シャレじゃねーから!」
「だってさ、あてぃしに当てられたこの独房、一個だけ抜けるレンガが有ってさ。抜いて覗いたら謎のアイテム有ったんだよね。スノードームみたいにガラスの中になんか飾られてる奴。なんかロンドンっぽかった」
「あてぃしは怖かったからそのままにしたけどさ、多分なんかの魔法が掛かってると思うんだ。例えばー……触れたら閉じ込められるとか? コワッ! そのまま一生出られないヤツじゃん! ホラーかよ!」
「ま、ニュースはそんな感じ。変なのが有ったら共有してやっから、下手に近付くんじゃねーぞ? あてぃしてめーらがそれで死んでもどーでもいいしぃ? ま、好きにすれば?」
「あ、そうだ。今から懲罰房行ってヒロっち煽ってやろ! もしかしたら魔女化するトコ配信に入るかもしんねーし。……ま、手ぶらで行くのもなんだし、リンゴでも持ってってやるかー。あてぃしやさしー」
ー2日目の雑談配信ー
「あてぃしの配信始まるよー。昨日は最後まで観てくれたメルっちセンキュー! 今日はなんと! あの芸能人蓮見レイアとコラボ配信! テンション上がるなぁ! あ、数合わせにミリアも居るからそこんとこヨロシク」
(視聴者0人で終盤まで進行中)
「あ、そうだ。ココちゃんニュースを忘れてたぜ。今日のココニュースは牢屋敷の階段な。
あれなんも変哲もない普通の階段と思うじゃん? 実はあの階段使う度に毎回段数が変わるんだよね」
「それは昇りと降りで一段違うとか、そういう話かい?」
「ちげーよ! マジで三段くらい不規則に変わってんの! なんか真ん中辺りで踏んでるのに進まないエリアがあんの! あてぃし気付いた時クソほどビビったんだからな! 実際、アンアンの奴がそれですっ転んでたんだからな! あてぃしそれに巻き込まれたし!」
「それは地味にやだなー…腰やるとマズイし、おじさんは気をつけるよ」
「あと風呂場も気を付けた方が良いよ。なんかあてぃしの魔法が謎の反応したから。相手の場所見る時ノイズ走ってるのとか始めてだったし、誰も居ない風呂場しか見えなかったし……多分なれはてか幽霊がどっかから覗いてんだわ。あてぃし気付いた時マジキモ過ぎて鳥肌ブワってなったかんね」
「えっやめてよガチで怖いヤツじゃん……おじさんそういうガチなのは無理なんだって…」
「ふむ…どうやら牢屋敷の中も絶対安全とは言えないようだね。外のなれはては看守が守ってくれてるけど、中は自分達で身を守らないといけないらしい。真剣に団体行動をするかどうかで命を左右することになりそうだ」
ー3日目の雑談配信ー
「ココのチャンネルはっじまるよー。いやー今日は色々有ったなーマジでさ。エマっちがナノカとアリサ連れて外を調べてくれたっしょ? んでノアっちが魔女になって、それを看守が鎮圧して、んで1番の目玉がスーパートレデキム! 飲めば魔女化も抑えられるってマジか! なんか摂りすぎると死ぬっぽいけど、これ有るだけでだいぶ安心感あるわ! はーこれ量産出来ればあてぃしらここに居なくて済むのになー」
「あたぃしも負けてらんないなーってコトで先ずはニュースターイム! 先ずこれね、屋敷全体の黒い染み!」
「ただの汚れだろって? 違うんだなーこれが! あてぃし見ちゃったんだよね、看守がこの黒い染みから出てくるの。しかもこの上に居る間は看守の移動がメチャハイスピードでさぁ、あていしスプ○トゥーン思い出しちゃったよ。マジョノナワバリバトルってか! 看守ダイオウイカ説!」
「まぁなんで、もしなれはてに襲われてたら黒い染みを探してみるといいんじゃねーの? エマっちの配信見る限り外にも点在してたし、利用出来るもんは利用した方が良いっしょ。あてぃしならそうするね。寧ろしねーヤツはバカだから!」
「あ、そうそう。風呂場の鏡のなれはてはマーゴとミリアのザコが退治したみたい。鏡は無くなっちゃったけど、これは普通にすげーわ。なんか魔女化したレイアっちもなんとかしたし……マーゴ強くない? 強いよね?」
「よし、今日もヒロっち煽りに行くか」
ー4日目の雑談配信ー
「ヒロっち退院おめでとなーww病院ってか拷問室明けだけど。それにしてもマジ委員長ムーブ過ぎてウケるww。お、ヒロっちあてぃしのチャンネルによーこそー。ゆっくり見てってねー」
「今日は流石に平穏だったなー。魔女になったり魔女に襲われてさ、なんかもうつかの間の休息って感じだけどなんであてぃしらこんな目に有ってるん? 話してて悲しくなって来たわ。推しに会いてー」
「ヒロっちも観てる事だし改めて説明すると、今のあてぃしらは3つのグループに別れてんのよ。
3、脱出の為に魔女について調べるマーゴとミリアペア。
2、脱出の為にも外のなれはてをどうしようか頭を捻らせてるエマっチーム。
1、囚人生活の為にも屋敷の危険やなれはてをなんとかしたいレイアチーム。
後はこんなとこ出歩くの怖過ぎて活動範囲の狭いあてぃし。外出る勇気ある訳ないだろこんなトコでさー! 窓辺近く歩くと一々魔法が外から反応してストレスマッハなのよ!」
「じゃあ改めてニュースな。今日はお嬢…ハンナの寝顔配信をすんだけどさ、どうもお嬢って寝てる間に謎の空間に囚われてるっぽいんだわ」
「なれはてか屋敷の魔法か知らねーけど、どうもノアが魔法って作ったと思われてたあの薬もそこ由来っぽいのな? なんで、今回はあてぃしの魔法でお嬢が寝てる間何処に行ってるか確かめてみようって企画なのよ」
「あてぃしの【千里眼】はあてぃしをなんかの媒体で観てる奴を見返す魔法。だからお嬢は寝てる間にスマホであてぃしの写真観れば、なんか分かるんじゃないかーって考えた訳」
「で、お嬢はもう寝てるワケなんだけど……あー見えるわ。シェリーとヒロの二人が見える」
「うん、ヒロっちまだ起きてあてぃしの配信観てるし、別にあてぃしらも一緒に行ってるワケじゃない系…?………んあ?」
「霧…森……なんだこれ、人形……歯車仕掛けの人形が、あてぃしらと同じ服を着てる。
ガラス張りのドームの中…あ、霧じゃなくてこれ蒸気か? どっかから列車が走ってる音がする」
「……ヒッ! なんだよ、なんだよそれ! キモキモキモキモ!!!? 誰だよお前!? なにすっ…! なんであてぃしはあてぃし格好した人形を動かせんだよ! はー!? やめろ近づくんじゃねぇ! 耳障りなんだよ! なんだよこの不協和音!? 遊園地ならもっと音響直しとけよ!」
「来んな…来んなよ! ホラゲーの配信してんじゃねーんだぞ! 今時流行んねーんだよ遊園地と殺人人形とかさぁ! この人形壊されたらあてぃしどーなんだよ! 死にたくない! やめ…足首掴むんじゃねぇクソ……が…ぁ?」
カチ…チ…チ…。
ー照明が5秒間不安定に。その後20秒間消灯ー
「あ……あっあぁ……く、来るなよ……てめぇはあの時死んだ筈だろ…? なんで…なんで今更…ゝァ"ァァゝ"ゝゝ"!!!!??!?」
「シェリーちゃんパーンチ! ヒロさん扉開きました!」
「ココ! 大丈夫か!? 医務室からスーパートレデキムを持ってきた。今すぐ飲め!」
「────ッハァァ"⁉︎ ハァ…ハァ…ハァ…あ…あ、ヒロっち? ヒロっちだよね? ここは? あてぃし、し、し、死んで…!」
「死んでない! ずっとここに居た!……どうやら魔法の弱体化は上手くいったか。もう何も見えないな?」
「うん……うん……ヒロっち、シェリー、今日は一緒に居て。お願い」
「ああ、勿論だ」
「良いですよ。なにかあればシェリーちゃんが吹っ飛ばしてあげます!」
ーそれからココは医務室に連行。シェリーとヒロと共に一夜を過ごすー
ー翌朝、ハンナ達により夢から取り出した各種日用品や食料を配布。ヒロはこれに断固反対の姿勢を取るも、ココの件を知らない魔法少女達は当たり前に利便性を取ったー
(相手は明確にココを殺そうとした)
(この品々に罠は無かったとしても、間違いなくそこには悪意が潜んでいる……悪意は正しくない。悪は死ぬべきだ)
(間違いなく魔女の仕業だろう。解決には、どうにかして魔女を殺す方法を見つける必要がある。そして、その手掛かりを知っているだろう人物は……)
「……会う必要があるな。ナノカに」