「綺麗……」
「だろ?今日出たばっかの新カードだ、しかも強い」
発売日当日にシクが当たったというなんとも運命の1枚的な出会いをしたものだが実戦投入も今回が初めて。少々……いや、だいぶトリッキーな性能をしているが使いこなせれば盤面を滅茶苦茶にできる可能性を秘めている。
俺の好みの戦法ともマッチしているし本当に運命のカードかも……なんて言ったら影竜たちがまた拗ねるなこりゃ。
「3コストで出したばっかのラクシュミを【増幅】、そして2コスト支払い「神聖なる歌唱台」も1つ【増幅】する」
「でもそれじゃアーツ用のマナが……」
「ま、見とけ。これが黄色のやり方だ」
「アタックステップ、ラクシュミでアタック。「神聖なる歌唱台」が【増幅】されたことによりアタックステップ中俺は手札にある黄のアーツのコストが1下がる」
「コストを……あ」
「察しがいいな。アタック時コスト軽減1、共鳴で更に2コスト軽減してノーコスト。キャスト「光天の雷」。マグヌスのパワーを-2000して破壊だ」
「2枚目ぇ!?」
「おう、今日は運がいい。悪いなマグヌス、またお帰り願おう。そしてラクシュミの「福唱」とアタック時、アシュヴィン、歌唱台2枚の効果が同時に起動する」
赤が破壊、黒が自傷アドに特化した色であるなら黄はとにかくアーツを使いこなすことに特化した色だ、単体では何も起きない代わりに1枚のアーツを撃つだけで様々な効果が連鎖的に起爆するコンボデッキ。
仕掛けを大爆発させるという意味では黒と同じかもしれんがあっちが殺意の権化ならこっちは堅実にアド差を広げる仕事人、突破口を広げなきゃ手遅れになるぞ、さあどうする?
「2枚の歌唱台の効果で2マナブースト、アシュヴィンの効果で3枚デッキからオープン……「暁光聖ウシャス」を手札に加え残りをデッキ下に。ラクシュミの効果でガルドのパワーを-1000する」
「どんどん差が広がっていく……」
「おっとまだ終わらないぜ?ラクシュミの「福唱」の効果、「光天の雷」をもう1度キャストする。ガルドのパワーをさらに-2000」
「これでガルドのパワーは1000……ギリギリ破壊はされない」
「と、思うだろ?俺は「福唱」の効果でアーツを「使用した」、もう一度ラクシュミの効果が発動する!」
「インチキだろそれぇ!」
「カードの仕様だ」
なんとこのラクシュミとかいうカードBP-が慎ましい代わりにターン1制限がない。つまり2体並べば1回アーツを撃つごとに-2000してくる上アーツを2回撃つ「福唱」を自前で持ってる始末。
開発陣本当にこれ大丈夫なの?って危惧させる1枚だ、正直3積んでもよかったかもしれない。
「ガルドのパワーを更に-1000し破壊だ、このアタックはどうする?」
「ぐぬぬ……ライフで受ける!」
「んじゃアタック終了時にラクシュミの更なる効果、トラッシュから召雷の波動を回収。これ以上のアタックはせずターンエンドだ」
アシュヴィンを残しておけば【強襲】で破壊されかねないが今の状況で燈真にマナをやる訳にもいかない、必要経費と割り切ろう。
流石に3枚目の光天の雷は引き込めてないがわざわざ【対抗】のない札を回収した事で勘繰ってくれるかもしれないし、ワンチャンに賭けるか。
「俺のターン、ドロー、チャージ、リフレッシュ、メイン……これなら!」
「バルカン……って訳ではなさそうだな」
「この状況でバルカン出したって勝てねぇからな!まずは1コストで「幼竜マグラド」召喚!そして軽減2の2コストでキャスト「ボルカニックドロー」、頼むぞ……よしっ!」
幼竜マグラド
(溶巌・熱竜)
このユニットはブロックできない。
今逆転する、という訳ではなくあくまで反撃の姿勢を整えに行くつもりらしい。中途半端に攻勢へ転じればすり潰されるのみ……さーて何が出てくるやら。
「3コストでヴァルケンを【増幅】、軽減2の1コストでテリトリー「噴き上がる大火山」配置!」
「燈真もテリトリーを……!?」
噴き上がる大火山
【共鳴:赤2】(このテリトリーを配置する時、自分フィールドの対象カード1枚につきコストを1つ下げることができる)
【お互いのアタックステップ】自分の赤のユニットがバトルで相手ユニットを破壊した時、自分はデッキから1枚ドローする。
【増幅3】(追加でコストを支払う事でこのテリトリーは以下の効果を得る。)
【お互いのアタックステップ】自分の赤のユニットのパワーを+2000する。
「その感じだと今引いたか」
「まあな、でもこの状況でも強力だぜ!アタックステップ、ヴァルケンでアタック、【強襲】発動だ!」
「【対抗】を恐れずに来るか。アシュヴィンでブロック、破壊される」
「だって今景虎さんの手札は3枚割れてるからな、此処で攻めずにいつ攻めるって感じ!ヴァルケンがユニットを破壊したので噴き上がる大火山の効果で1枚ドロー、続いてマグラドでアタック!」
正解の選択肢だ。燈真の言う通り俺の手札はウシャス、ドゥルガー、波動の3枚を見せているし残りの1枚も【対抗】持ちのアーツじゃない。
バルカンを通しに行くつもりなら此処でライフを減らしに行くのも良い択。しかも2マナ余ってるから次に俺がフルアタしても終戦の鐘が間に合う……ほんと、この短期間で戦局眼が肥えやがって。
「ライフだ」
「よしっ、俺はこれでターンエンド!」
「俺のターン、ドロー、チャージ、リフレッシュ、メイン……んじゃ、こっからは俺も仕掛けに行こう」
「望むところだ!」
あの威勢は終戦の鐘を握ってるかこっちがこのターンで仕留めきれないと判断したんだろう。なら重要なのは次のターンに盤面を崩されないようにすること……だったらこうだな。
「軽減3の5コスト……行くぞ第二陣」
「8コストってことは……!」
「察しがいいな、「戦神聖ドゥルガー」を召喚する」
「来たね「歌聖」の切り札!」
「景虎さんのマナは13……【覚醒】までいけます」
戦神聖ドゥルガー
(光魔・歌聖)
【共鳴:黄3】(このフィールドを配置する時、自分フィールドの対象カード1枚につきコストを1つ下げることができる)
【福唱:黄】【ターン1回】【アタック・ブロック時】自分が黄のアーツを使用した時、そのアーツをもう一度使用する。
【迅雷4】【アタック時】手札からコスト4以下のアーツをコストを支払わずに使用してもよい。
【増幅4】+4000(指定されたコストを支払うことでこのユニットのパワーを+し、追加で以下の効果を得る。)
【お互いのアタックステップ】このユニットのパワーはこのアタックステップ中に自分が使用したアーツの数×3000上昇する。
【覚醒4】+4000(指定されたコストを支払うことで増幅状態のこのユニットのパワーを+し、追加で以下の効果を得る。)
【アタック時】このユニットのアタックで相手のライフが減少する時、このユニットのパワー15000につき追加で1つライフをストックに置く。
お膳立てした盤面に「歌聖」本来の切り札を堂々着地。ムルガンが盤面処理に長けるならドゥルガーはその逆、相手のライフを刈り取りに行く切り込み隊長。
燈真のブロッカーがいないこの状況なら確実に刺せる、返しを耐えれば俺の勝ちだ。
「ドゥルガーを【増幅】、そして【覚醒】」
「そのままドゥルガーでアタック。アタック時【迅雷】発揮、さっき回収した「召雷の波動」をキャストし2枚ドロー。そしてドゥルガーの「福唱」、ラクシュミの効果、聖歌台2枚の効果が起動する」
「ってことは……」
「まずは聖歌台で2マナブースト、次にラクシュミの効果でマグラドのパワーを-1000し破壊」
「それ自分のアタックじゃなくても反応すんの!?」
「おかしいことにその通りだ。そして「福唱」で再び「召雷の波動」をキャストし2枚ドロー。ラクシュミの効果が再び起動しヴァルケンのパワーを-1000……これはあんまし意味ないな。そして悲しいことに俺は今光天の雷を引けなかった」
このドローでツモれてたら最後の希望も潰せてたんだがないものは仕方がない、大人しくラクシュミで回収するとしよう。
「それでも4枚ドローされてる……ライフ!」
「ドゥルガーの【覚醒】時効果でこいつのパワー15000につきライフを1つ追加で貰う。【増幅】時効果でアーツを使うたびパワーが+3000される効果もあるが今回は2枚だけだから合計21000、2点だ持ってけ」
「これでライフ残り2……」
「そしてラクシュミもアタック。アタック時に【対抗】の使用はなし」
「それもライフ……ああくそっ、残り1!」
「ラクシュミの効果でトラッシュの「光天の雷」を回収しターンエンドだ」
この1つ残ったライフを「1しかない」と捉えるか「1もある」と捉えるか。ライフじゃなく盤面を見ろと教え、それを理解してきたようだが……窮地に陥ってもそれを忘れない度胸が次は必要みたいだな。
「俺のターン、ドロー、チャージ、リフレッシュ……キャスト「星に願いを」、種族は「溶巌」を宣言。このターンの終わりまで俺の手札の対象ユニットは1コストになる!」
「今引きか」
切羽詰まった燈真がキャストしたのはまさかの「星に願いを」。いやまあこういう絶体絶命の窮地で使うのが本来の用途なんだよな、うん。というか赤にそれ入るんだ。
「この状況で……?手札が余程良くない限りは……」
「それでもこれしかねぇんだ!合わせて軽減ノーコスト、来てくれ「紅刃竜バルカン」「溶岩竜マグラド」!」
「此処で、か」
当然宣言したからには複数枚握ってる。出てきたのは燈真の愛用しているエース「溶岩竜マグラド」、そして俺があげたばっかの新エース「紅刃竜バルカン」。
溶岩竜マグラド
(溶巌・熱竜)
【共鳴:赤3】(このフィールドを配置する時、自分フィールドの対象カード1枚につきコストを1つ下げることができる)
【砕撃】【アタック時】バトルで相手ユニットのみを破壊した場合、相手のライフ1つをストックに置く。
【増幅3】+3000(指定されたコストを支払うことでこのユニットのパワーを+し、追加で以下の効果を得る。)
【自分のアタックステップ】自分フィールドの【砕撃】を持つユニット全てに【強襲】【アタック時】(相手は可能なら必ずブロックする)を与える。
「4コストでバルカンを【増幅】……ターンエンド」
「ええっ!?」
「【覚醒】まで行けたのに!?」
「なるほど、な」
大型2体を展開したのに攻め込まない燈真に思わずガヤがどよめく。【覚醒】もしなきゃ攻撃もしてこない……予想した通りだな。
「俺のターン、ドロー、チャージ、リフレッシュ……燈真、お前の思考を当ててやろう」
「なんだよ急に……」
「お前が持つ最後の手札は「終戦の鐘」だ」
「なっ!?」
最後に心理戦フェイズに入ってみると分かりやすく動揺してくれた、図星か。
「つまりお前の考えはこう。このターンをブロッカーと「終戦の鐘」で凌ぎ、返しのターンに解決札を引く事を祈る……俺のライフはまだ4あるからな、多少大胆に行かないと削りきれん」
「相変わらずトラはこういうの上手いよねぇ」
「なんでそこまで……で、でも景虎さんには「終戦の鐘」を防ぐ手段はねえだろ!」
それはそう、黄デッキはとにかくアド差を広げるだけであって相手の妨害、それもアーツを止めれる札はほぼない、そしてそのアーツを止めれるカードはこのデッキに入っていない。
「そうだな、この盤面で「終戦の鐘」を止める手段はない……が、逆に言えば俺は「終戦の鐘」が撃たれても問題ない状況を作ればいいって事」
「問題ない状況?俺の場には3体のブロッカーが居るのにライフを狙いに行くってのか?」
「その通りだ、まずは軽減4コストで2枚目のラクシュミを、続けて軽減3コストで「暁光聖ウシャス」を召喚」
「それはさっきの……」
「そう、アシュヴィンで加えたカードだ」
3体並んではいるが1体処理すればこっちの勝ちは確定する、後は詰将棋を間違えないように動かすだけ。
暁光聖ウシャス
(歌聖)
【共鳴:黄3】(このフィールドを配置する時、自分フィールドの対象カード1枚につきコストを1つ下げることができる)
【召喚時】自分のトラッシュから黄のアーツ1枚を手札に加える。
【増幅3】+3000(指定されたコストを支払うことでこのユニットのパワーを+し、追加で以下の効果を得る。)
【福唱:黄】【ターン1回】【アタック・ブロック時】自分が黄のアーツを使用した時、そのアーツをもう一度使用する。
「ウシャスの召喚時効果でトラッシュの光天の雷を回収、さらに2コストで「神聖なる歌唱台」を【増幅】……行くぞ、アタックステップ」
「もう!?」
「ドゥルガーでアタック、アタック時にまずは【迅雷】発揮。キャスト「召雷の波動」、2枚ドロー」
「こっちも【対抗】、「終戦の鐘」!」
「今こちらは【対抗】しない」
ユニットのアタック時、効果の発動に対して発動していない方から順番に【対抗】の使用権が与えられ両方放棄した段階で処理を終了する。此処で重要なのは「使用した」とかのカウントは一連の処理毎に1回という事、微妙にめんどくさいんだよなこれ。
「これでドゥルガーのアタックが終わったら景虎さんのアタックステップは終了する!」
「まあ焦るな、アーツを使ったことでラクシュミ2体、歌唱台2つの効果が起動する。2マナブーストしバルカンのパワーを合計-2000、ついでにドゥルガーの常在効果でパワーが3000上昇」
「【福唱】しない?でもこれで……」
「おっと忘れてもらっちゃ困るな、アタック時の【対抗】使用はお互いが使用を放棄するまで続く、続いて軽減2と共鳴1のノーコストでキャスト「光天の雷」、バルカンのパワーを更に-2000し更に【福唱】、2体のラクシュミの効果を起動、追加で-4000、【福唱】もアーツの使用なのでおまけで-2000だ」
「バルカンのパワーが2000に……って、景虎さんはさっき……!」
今更気付いた所でもう遅い。詰将棋はもう最終段階、これで王手……
「そういう事、さらにノーコストでキャスト、「光天の雷」。バルカンのパワーを-2000し破壊、ラクシュミの-2000はマグラドに振る」
「バルカンがっ!?でもまだブロッカーは……!」
そしてこれで詰みだ。
「なんでわざわざ一番パワーが高いバルカンを消したと思ってる、更に2軽減2コストでキャスト「光翼の加護」。ドゥルガーはこのターン自分よりコストが低いユニットにブロックされない!」
「なあっ!?」
光翼の加護
【対抗】(このアーツはお互いのアタックステップに使用できる)
自分の黄のユニット1体を指定する。このターンそのユニットは自身よりコストの低いユニットにブロックされない。
「ドゥルガーと同じコスト8のバルカンは除去した、お前はこのアタックをライフで受ける以外にない。終わりだ」
「……すげぇよ景虎さん、完敗だ……ライフで受ける」
詰将棋は見事完遂、ドゥルガーの一撃が燈真のライフを0にした。