「とうちゃーっく!」
「廃墟じゃん!?」
俺たちは山にある廃墟にやってきた。
理由はまぁ簡単で、七海が俺を廃墟探索に誘って、俺が真奈を誘ったから。
ちなみに真奈は俺の幼馴染でちょっと口うるさいやつ。でも誘えば来るし、七海とは友達だから連れてきた。遊ぶには友達が多い方がいいからな!
「さっそく探索だよ〜!」
「ちょっと女子〜あんま走るなよ〜、真奈がついてこれないじゃ〜ん」
「つ、付いてくるんじゃなかったぁ……」
七海は「迷宮に挑戦する」と言っていただけなので、俺もいざ到着してからつい「廃墟じゃん!?」と叫んでしまった。いや、むしろ迷宮で的確な可能性があるか……??
様子と言えば、酷いとしか言えない。
壁が崩れて穴空いてるし、そもそも丸ごと半分くらい壊れてるし、中に見えるソファとかの家具もボロボロ。四角くてでっかいテレビ?もあるけど画面が割れてる。草もぼーぼーでガラスも落ちてて、マジでやばい。
なんでこんなでっかいのかは知らないけど、部屋っぽいのが何個も見えるから、元はホテルみたいな建物だったのかも?でもホテルって言ったら四角いよな、これはでかい家っぽい見た目だし謎だ。
「流石迷宮、お宝がいっぱい!」
「何処がだぁ?バラバラの木とか石とか、あとはボロボロの家具ばっかじゃん」
「ねー二人とも怒られるよ、止めにしよーよ……!」
「ふっふー、真奈は心配しょーなんだから」
「ビビリとも言うな、やーいやーい」
「なぁっ……!」
二人でおちょくると真奈は怒って叩いてくる。
真奈のことは放っておいて俺もお宝を探そうと見渡すけど、うん。
やっぱゴミしかないわ。
そもそもここ、廃墟であって迷宮でも何でもないよな。まぁ迷宮って言ってテンション上がるのは間違いない。今度クラスの奴も誘ってみるか!
「不気味だし汚いし危ないしもうやだぁーー」
「おぉ七海、見ろこの時計、まだ動いてるぞ」
「ずっと動く時計なんて素敵だねぇ。この時計さんはこの迷宮に入ってきた冒険者の事もずっと覚えてるのかな?もし覚えてるとしたら私たちも立派な冒険者の一人として覚えてて貰えるかも!」
「かも〜」
「無視しないでよぉ!いやぁ虫ぃぃぃ!?」
「こら!君たち何してる!」
真奈がまたなんかの虫を見つけてしまって悲鳴をあげたかと思うと、廃墟の入り口にはお巡りさんが一人立っていて、俺たちに向かって注意する声が聞こえた。
「やべ」
「魔王の手先だ!」
「私なにも悪い事してないよぉ!」
「逃げるぞ!」
俺たちは急いで入り口とは反対の方向に駆け出す。お巡りさんは「待ちなさい!」と言いながら追ってくるけど、こういう場所だとなんでか大人って遅いんだよな〜?
俺は真奈の手を引っ張りながら七海の後を追う。逃走経路は言わずもがな、崩れた塀を乗り越えた先の急な坂だ。俺たち子供が普段どれだけすごい場所で遊んでるか大人たちは知らなち。はっは〜!この程度の坂、あまりにも余裕すぎる!
「手先に捕まると酷い目に遭うぞ〜!魔王は悪逆非道の化け物だ〜!」
「鬼さんこちら〜!」
「ねぇあんまり煽らない方がいいんじゃないかな!?」
思った通り、お巡りさんは坂の上で止まって俺たちを見下ろしてた。へへっ、大人ってばこのくらいの坂を滑り落ちる度胸も無くなっちゃうんだもんなぁ〜
「あ、まだ追ってくるぞこいつ〜!」
「マジか。根性あるなこの人!」
と思ってたら坂を降り始めた。やばい!
「二人ともこっちこっち!」
七海がまた道を先導する。七海の案内ってところで嫌な予感がしたいわけでもないけど、こういう逃げる時の七海はすごく頼りになれて、大人だろうが何だろうが逃げることが出来るんだよな。
俺たちは坂の下の林を走り抜けて逃げた。途中、七海が林の中の一般の木を指さして木の影に一度回ると、その木には大きな穴が空いていた。
「静かにね、しーだよ……!」
俺たちは急いでその穴に入って隠れると、お巡りさんは俺たちを完全に見失って、しばらく探してたけどそのうち諦めて坂の方へと帰って行った。
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「無事に逃げ切れたね!」
「馬鹿、七海の馬鹿!何でこんな場所に来ようとするのー!」
「何でって、危険じゃないとこに冒険しても冒険じゃなくない?」
「危険とは思ってるのなお前。」
俺たちは林からまた奥に入った先にある秘密基地に腰を下ろしている。秘密基地はちょっとした洞窟で、それぞれ作ったら持ち込んだものでいっぱいだ。ここは元々は七海が作っていた所で、俺たちが冒険仲間になってからは協力して秘密基地を改造した結果豪華になった。
「今回の戦利品は〜、こちら〜」
七海が服の中から取り出したのは、なんと丸い鏡だった。
背中には立てるための足もあるから、多分これはお化粧する時に使うような鏡だと思う。お母さんがこんな感じのものを使ってたから多分合ってる。
「こ、これめちゃくちゃいい卓上鏡じゃん!?確か十年前くらいに発売されたシリーズでここに……あった。縁にある梅柄の綺麗な彫刻。ここ、これ十万円以上するやつだよ!?」
「十万?えーっと……お菓子どれくらいかな」
「大汽がいつも食べてる駄菓子が一枚十五円だから……えっと、えーっと、大体約六千枚以上買える計算になる!」
「六千枚!?毎日食べても怒られないレベルじゃんか!?」
この鏡やべぇ!こんなの買うよりお菓子いっぱい買って食った方がいいだろ、大人は何考えてこんな鏡一枚にお金使うんだ!?信じらんねぇ!!
「駄菓子?よく分かんないけど、この鏡はやっぱり特別だったんだね!ふっふっふー、やはり私の目に狂いは無かったというわけだ、えっへん。これだけ綺麗でピカピカしてたもんね〜」
「七海はよく見つけられるよなぁ」
「すごいものはね、大体光ってるんだよ〜、私たちに見て欲しがってるのにみーんな見ようとしないんだから。もー可哀想だよ!大汽も真奈もちゃんと見てよね!」
「わ、私たちは何も悪くなくない!?」
その後、鏡はそのまま秘密基地に置かれる事になった。
戦利品なので皆んなのもの、ということである。
七海はあんまり鏡を見た事がないらしく、真奈が言うには高くていいやつな事もあってか、その鏡を取り出しては楽しそうに眺めるようになった。ちなみに真奈も何だかんだ言いつつも鏡を見てる。
でも鏡なんて毎朝見るよなぁ、何が面白いんだろ。
女子って、よくわかんねーな。