何故か俺の夢に出てきた最近のな○うみたいな最強溺愛系夢小説【渾ゴア×転生TS夢主】   作:remitea

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 しれっと前話修正してます。
 
 修正箇所 
  Rボタン→Lボタン
  私→私(わたくし)
  俺→私(わたくし)
  龍→竜
  さすが騎士団長→さすがの騎士団長
 
  第二王子の名前「エイメス」を追加

 
 LボタンとRボタンのミスは大きいぞ私よ……。
 校正していないので、よければ誤字脱字修正も遠慮なくお願いいたします。

 
 ギャグパートを書ける技量が私になかったため、面白くない場合はあとがきまで飛ばしてください。
 世界観やキャラクターの外見に関する説明はこの話にまとめているので、興味があればそこだけ読むのもいいと思います。

以下本文




黒く蝕み地を染めん

 さて、対策本部にて。

 コの字型に並んだ机の、一番奥の上座に座った第二王子殿下の、なぜかそのすぐ隣に座らされている。

 伯爵令嬢の私(わたくし)が座ることは基本的にない、かなりの上座である。

 学会発表でかなり場慣れもしているはずだが、手足は震えてしまっている。

 それに、氷の騎士団長などと呼ばれる第二王子殿下エルメスのアイスブルーの瞳は、切れ長で本当に冷たく見えるのだ!

 あごの下で揃えられたごく淡い金髪もきっちりと厳しそうに見えるし、斜めに切られた前髪なんて、こだわりが強そうでなんか怖い!

 

 せめて、声だけは凛と出そうと努め、話を切り出した。

「あのウイルスを治療するには、ウチケシの実が欠かせないと存じております。それは、服用することで、炎や水など、全ての属性の影響を無力化する効果のある小さな実でございます、殿下。誠に不勉強でお恥ずかしい限りですが、情報を集めるのに少々お時間をいただきたく存じますわ。」

「待て。そのような薬品については、ダリア伯爵令嬢が研究していたはずだ。そのために、今朝呼び出しを行ったのだ。」

 

 は?

 ひっくり返りそうになった。

 というか、ひっくり返りたい。

 つまさきで地面を蹴って、体を押し上げるところまで行ったぞ。

 まさか、今週の頭に届けられたばかりの、新しい解毒薬に使えるという木の実のことなのか!?

 まだ調べ始めたばかりなのに、急な避難によって放置しているから、あの実について私(わたくし)は何も分かっていない。

 もちろん、貴族のご令嬢として、気取られないようにしつつ侍女に耳打ちする。

「研究の途中で退避いたしましたので、確定するには、情報がまだ不十分であると申し上げます。研究させてください。必ずや、殿下のご期待にお答えいたしますわ。」

 (侍女、あの竜は、異世界から来た存在でしょう?動物ならともかく、植物までもがこの世界にやってくるなんて、あり得る話でございますか?)

 

 侍女は眉を上げて、言った。

 (ダリア様が異世界からの使者だとは、初めて伺いましたよ?異世界の生き物や物体が使(・)者(・)としてこの世界に訪れることがあります。珍しくはありますが、たとえ悪しきものに見えても、最後には必ず、それに立ち向かうための団結などのよい効果をこの世界にもたらします。それに伴う犠牲もありますが、結果的によい効果のほうが大きいものなので、異世界からさまざまな知識をもたらす使(・)者(・)として受け入れられています。)

 竜が異世界から来た存在であることを知っていて、異世界から生き物や物体が来ること自体は知らないとなると、私(わたくし)も異世界から来たということはわかってしまうか。

 まあ、歓迎されるとのことだから、一刻を争うこの場では触れないでおく。

 

 あとで、『ダリアお嬢様がこんなにも研究で成果を出せるのは、異世界からの使者だったからなんですね!でしたら、ダリア様が食事を忘れて研究に打ち込み、自分からはお風呂に入ろうとしないのも、異世界の知識があるからですか?』などと咎められるに決まっているが、今は黙る。

 私(わたくし)にもわかっているのだ。

 貴族の令嬢として、研究にしか興味を持っていないことは、大問題だろうと。

 

 さて、話を戻すか。

 (待ちなさい。なぜ、私(わたくし)は今までそのことを学ぶ機会がなかったのですか?)

 (この世界の常識ですので、わざわざ学校では学びません。幼少期に絵本を通じて知ることが多いですが、ダリア様が魔導書以外をお読みになったことがないとは、思いませんでしたので。)

 確かに、そんな記憶がない。

 日本から転生した私(わたくし)にとって、魔導書や歴史書はおとぎ話のようなものだったから、絵本を読もうと考えることはなかった。

 私が引きこもり研究生活を始めた七歳のときから、現在に至るまでずっとそばにいるこの侍女ですら、魔導書以外の本を読むところを見たことがないとは思わなかった。

 我ながらかなり深刻な状況らしい。

 自らの学習の偏りを反省しなければならない。

 

 というかまさか、この世界には私(わたくし)以外にも転生者がいるということなのか。

 確かに、テレビ、エアコン、自動車の三種の神器が揃っている時点で気づくべきだった。

 明らかに転生者がいると。

 それもおそらくは日本からの。

 

 そのとき、辺境伯邸会議室の荘厳な両開きの扉が開く音がして、そちらに顔を向ける。

 そこには、辺境伯家のアレクサンダー様がいて、その後ろに、恐怖があった。

 恐怖、とは、こういうものを言うのだろう。

 会議室の20人は座れるくらい大きな机の一番奥に座っているので、扉からはかなりの距離がある。

 それでもわかる。

 アレクサンダー様の後ろの女性は、怒っている。

 もはや、私(わたくし)には直視できないほどの気迫を放っている。

 

 アレクサンダー様が口を開いた。

 息を吸った。

 しかし、声を発することはできなかった。

「」

「アレクサンダー様!私を助けてくださったとき、おっしゃったではないですか!『いくら他人を助けるためでも、自分を傷つけるほどの無茶はよせ』と。私は、アレクサンダー様がこれ以上傷つくところは見たくありません!!」

 距離があるからまだいいが、本来はすごく大きな声なのだろう。

 アレクサンダー様は、耳を抑えている。

 

 その声を発した彼女は、真っ白いドレスとヴェールを身に着けている。

 金に桃色が混じった、地球人なら天然ではありえない髪色は、プリマヴィラ家の証だった。

 そう、聖女の家系である。

 顔はいまだに直視できないが、とんでもない美人だと話に聞く、人々から崇められる存在。

 ステラ・プリマヴィラ。

 おそらくは、あの大きな声も、聖女が持つ能力によるものだろう。

 聖女は、神の声をより多くの人に届けるため、どんな人にも届きやすいように、魔力で声の大きさを補正できる能力を持っているのだ。

 彼女は空色の瞳に涙をいっぱい溜めているのだが、その表情から感じられるのは悲しみではなく、怒りであった。

 

 アレクサンダー様はゆっくりと振り返る。

「ステラ……?」

 聖女様は、無言でアレクサンダー様の手を掴み、ギチギチと爪を立てながら引っ張っていく。

 これには、辺境伯領で不死身の剣士と呼ばれるアレクサンダー様も、恐怖を感じているようだ。

 淡紫の坊ちゃん刈りは汗でぺしょりと張り付き、水色で猫のような形の目は、やけに透明感があるように見える。

 

「待て。」

 第二王子殿下の、鶴の一声だった。

「この場には、アレクが必要だ。」

 聖女様の魔力が漏れ出て、バチバチと稲妻を走らせる。

 はぁ……仕方ない。

「私が、ヴェルディライト辺境伯家のアレクサンダー様のベッドへ移動します。聖女様がお側にいてくださるなら、何も問題ございませんわ。」

「わかりました、伯爵令嬢さま。……アレクサンダー様?あなたの、自業自得の傷を癒した伯爵令嬢さまにお礼を言ってくださいね?」

「あ、ありがとう存じます、伯爵令嬢……。」

 アレクサンダー様の声は震えていた。

 が、アレクサンダー様に傷をつけたのは私(わたくし)である。

 いつこの怒りがこちらに向いてもおかしくない。

 戦々恐々としつつ、アレクサンダー様を支えて治療所に向かう聖女様の後を追う。

 ちなみに第二王子殿下は置いてけぼりであった。

 

 

 沈黙が痛い。

 聖女様は、アレクサンダー様の横たわるベッドに座り、頭の上から無言で見つめ合っておられる。

 怖い。

 聖女様が、最初に口を開いた。

「私にとって、民の命は一番に考えるべきことです。だから、あの竜には、早く眠っていただきたいんです。民は、私が全員治します。」

「それでは、ステラの負担がーー。」

 また、言い争いを始めてしまった。

 間近で聞くと、迫力は想像以上のものだった。

 なんとか止めようと、静かに息を吸い、頃合いを待つが、一向に二人の声は途切れない。

 

 私(わたくし)はあきらめて、侍女に耳打ちをした。

 直後、パンッ、と軽快な破裂音が鳴り、二人は会話を中断して振り返った。

 侍女の手には、一匹の金魚が握られて……。

 ん?

 爆発する金魚?

 てっきり爆竹かクラッカーだと思って、大きな音を出すようにと指示したが、それは、もしかして転移してきたカクサンデメキンでは?

 

 気になるが、今この言い争いを止めなければ、この二人を止める機会はなくなるかもしれない。

「私(わたくし)は、民のために、早急に対策を立てる必要があると存じます。その後は、お二人が十分にお休みになれるよう、魔法魔術学会が副代表にして筆頭魔法使いである私(わたくし)に、安心して任ぜられてください。」

「確かに、そうでした。続けてください。」

 まさか、研究に関わりのない件で、学会での肩書きを持ち出すことになろうとは。

 とにかく、ここからは研究者としての私(わたくし)の出番になる。

 大きく息を吸って、声を張り上げた。

「まず、確認ですが、聖女様はウイルスに感染した者を治療しうるお力がございますのね?」

「いいえ、伯爵令嬢さま。すぐに治療することはできません。私には、症状を抑えることしか……。」

「承知いたしましたわ。感染者の治療には、普段より時間がかかりましょうか?」

「はい……効きが悪いと思います……。ですが、私は聖女ですから!民を死なせることはありません!」

「狂竜ウイルスは、治癒力の低下を招きます。ですけれど、予防することには希望がございます。ウチケシの実という素材を用いた薬剤を用いることが、発症を抑え、ウイルスを沈静化させましょう。薬が完成すれば、感染しても症状が出る者は現れなくなりますわ。」

「そうなのですね!では、伯爵令嬢さまがいれば、安心ですね!」

「聖女の力でも完治に至らないとは、ご苦労なさいますね。これまではどう対処していらしたでしょうか?」

「私が感染者の症状を抑えて、足りない兵力は他領からの救援を要請することで、なんとか持ちこたえることができました。これもみなさまのおかげです!」

 なるほど。

 力技である。

 身を挺して私(わたくし)の攻撃を渾沌に呻くゴア・マガラに当てないようにしたアレクサンダー様といい、この二人は脳筋の民なのかもしれない。

 きっとそうだ。

 諦めて額に手を当てる。

 

「今後は私(わたくし)が、持ちうるすべての知恵をもって薬を作りましょう。ウチケシの実は、それだけで効果を発揮します。肥えた土に植えればすぐに成長しますから、ヴェルディライト辺境伯領では、量産体制の確保という形でお力添え願います。聖女様も、ヴェルディライト伯爵がご長男も、どうかお体をお休めください。」

 二人は、不服げにこちらを見つめ、数秒の間を置いたのち頷いた。

 

 

 はぁ、仕方ない。

 なるべく自分の研究に集中して、学会への参加や発表なども最小限にしていたのに、家のためとはいえ、高貴な方々と仕事をしなければならないとは。

 

 前世はまったく、ただの男子高校生であるのに、荷が重すぎる。

 学会発表のために覚えた、所作や言葉遣いなどの礼儀も、王族に対するものとしては正しいのかどうかわからない。

 今の所作も、伯爵令嬢としては十分に過ぎたものなのだが、これでも足りなくなる日が来ようとは思わなかった。

 

 それでも、次は私(わたくし)と第二王子殿下との話し合いをしなければならない。

 もう領地には帰れないだろうから、残してきたサンプルの代わりを確保することが急務なのだ。

 

 魔法魔術学会の副代表として仕事をするときの足の出し方、手の位置などを思い出しながら、ふたたび会議室の扉を開ける。

 すると、ヴェルディライト様の席として開けられていた、王子殿下の隣の席に、極めて豪奢なドレスのご令嬢が座っていた。

 その前の机には、美しい青色の種子が置かれている。

 念願のウチケシの実だ。

 

「ホホホ!!お初にお目にかかるわね、ヴェスマン伯爵家のダリア!私(わたくし)は第二王子殿下の婚約者である、ディヴィス公爵が次女、クレール・ディヴィスですわ!!」

 とてもやかましい。

 何なら、やたらと刺繍の多い真紅のドレスも、やたらと垂れ下がる金の髪飾りも、何故かツインテールにされた銀髪も、やかましく感じる。

 

 とはいえ、目上のお方であるからには、あいさつをしなければ。

「拝謁できて恐悦にございます、クレール・ディヴィス公爵令嬢。」

「うむ、顔を上げよ。」

「はい。」

「それでだな、我が婚約者——エルメスの要請を受けて、馬車三台分の研究資料を運ばせたのだ!しかし、こんな実がなぁ……。」

 こんな実でもすごいんだぞ!

「治療と量産に関しましては、辺境伯家に協力を要請いたしました。馬車二台分は辺境伯家に、残りは私(わたくし)が賜りたいと考えております。クレール・ディヴィス公爵令嬢。どうか、お与え願えませんか。」

「うむ。好きにするがいい。我が婚約者からの頼みなのだから。」

「ありがとう存じますわ。」

「感謝する、クレール嬢。」

「うむ!喜んで受け取っておくぞ!」

 婚約者から声をかけられると、クレール様はたちまち笑顔になった。

 

「それで、研究機材はどうする。伯爵家はまだ出入りが規制されている。なにより、奴がそこにいるとのことだ。」

 渾沌に呻くゴア・マガラか……。

 一度しっかり会ってみたいところだが、今は私(わたくし)の受けたウイルスを治さなければならない。

 まだチャンスはある。

 やるべきことをやろう。

「学術都市の魔法魔術研究会の本部に自室がございます。一刻も早い薬剤の開発は、私(わたくし)にお任せ願います。明日には完成させ、明後日には量産に適した製法の公開を予定してございますわ。」

「うむ。」

「量産体制ですが、我が領内での被害が最も大きいことを把握いたしました。迅速な供給のため、ヴェルディライト辺境伯領での生産と平行して、ヴィスマン伯爵領内にも量産設備を設ける考えでおりますわ。」

「構わない。」

「殿下の名のもとに、迅速な成果をお約束いたします。渾沌に呻くゴア・マガラーーかの竜につきましては、いかなる対処をいたしましょう?」

「薬剤の効果が証明されてから検討しよう。」

「殿下のご随意にいたしますわ。明日、薬ができ次第ここに参って、薬剤を検証します。」

「許可する。」

 これで話はついた。

 

「ところでだな。」

 と思ったが、クレール様が口を開いた。

「そなたも転生者だと聞いたぞ!私(わたくし)たちしかいない場なら、畏まらなくてよい!」

 うーん、嫌な予感がする。

 まさか、わがままな第三王女じゃないよな?

「私(わたくし)は日本から来たのじゃ!7歳のときだから記憶はあまりないが、役に立てると思うぞ!」

 そう聞いて、私(わたくし)は、飛び跳ねていた心臓のあたりをそっと撫で下ろした。

 

 渾沌に呻くゴア・マガラの毛皮を要求されてはたまらない。

 あれは私だけのものだ。

 憧れの、渾沌に呻くゴア・マガラ様の一部ーー。

 

 

「クドメルスス・クラ・ニロガウ・ヒナ・ヨクリム・カダッタ・クッハ・トゼラ・ヘカソ・チ」

 私(わたくし)はウチケシの実を一つ噛み砕きながら、適当に詠唱し、ウチケシの実をたっぷり詰んだ馬車ごと、転移した。

 

 研究室には、十分な機材がある。

 人員もいる。

 侍女は辺境伯領に残して、量産のための設備を手配させたから、こちらの人員を使えるのはありがたい。

 修行中の部下たちには成分の分析を任せ、ウチケシの実の効果を強めるための資材を片っぱしから試す。

 さすがに同じ世界の素材がないと完全な効果は得られないと思うが、そちらは別の研究者に協力を要請して探させた。

 驚くことに、クレール様のことである。

 

 なんと、第三王女ーーじゃない、クレール様は、使(・)者(・)がどの世界からのものなのかを感じ取れるそうなのだ。

 厳密には、由来か、匂いか、そんな概念を感じ取ることができると言っていた。

 毒を盛られたとしてもすぐにわかるのだとか。

 物騒だ。

 ともかく、これだけの素材と協力者がいる。

 こんな好条件、明日の夕方までに薬品を完成させるには十分すぎる。

 

 そうして、寝ずに研究を行った結果、昼頃には薬品が完成したーー。




 淡々としたパートなので、飛ばしていただいても結構です。
 ・ウチケシの実の量産は辺境伯家が担当する
 ・聖女ステラは鬼厳しい。
 ・第二王子の婚約者クレールはやかましい転生者
 この3つが分かれば進行に支障ないと思います。
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