ヤニ時々アルコールの匂いを漂わせるシェフ(実質ヒモ)が作る日替わりメニュー。
星野家ではその適当な家庭料理と共に、少し暗いお話が紡がれています。
※主人公(?)がアイ達にご飯作って駄弁るだけのお話です。
https://syosetu.org/?mode=write_novel_submit_view&nid=333168
これを見ていると、少し分かりやすくてちょっと面白いことがあるかもしれません。
あ、お疲れ様です。
時系列は適当な上に繋がってたりなかったりします。
初めましての方向けにざっくり今北産業すると、
・オリ主は3つ子の真ん中でカス
・某日にアイの代わりに刺されたけどなんか生き残る
・働くのは嫌だったので稼いだ好感度とかを盾にアイ脛を齧って生きる。
カス。
「ただいまぁ〜……」
深夜1時半、日付も変わりあと数時間もすれば朝日が昇る頃、私は家の玄関を開けた。
私、星野ルビーはアイドルだ。
いつかママみたいな伝説のアイドルになるため、日々頑張ってます。
そんな私はまだ17歳の未成年で、22時以降の労働は禁止されてるんだけど、今日帰るのがこんなに遅くなったのは、今回のロケ地がひじょーに遠くて、ここから片道3時間もかかったの!
もちろんお仕事貰えるのはありがたいし、ママも通った道だろうし、もうアイドルとして仕事できるならばっちこい!って感じなんだけど、それでもやっぱり身体的にはキツくて、いつもへとへとで帰ってくる。
「あぁ〜……お腹空いたぁ〜…」
しかも、収録の後なんていつも時間も余裕もなくて、ロケ弁とかも食べてる時間はあんまり無いから、収録終わりはだいたいお腹ペコペコ!
今も、早くと家に帰りたくてご飯も食べずに家に直行だったから、お腹の虫がずっと鳴いてる……。
「……っ!そうだ、今日はお兄ちゃんが晩御飯作ってたはずだから、それが余ってたり……!!」
そんな事を思い出した私は急いでリビングに駆け出し、テーブルと冷蔵庫を確認する。
もし無かったら今からコンビニかウー〇ー?さ、最悪ご飯なしなんて事も……っ!?そ、それは嫌だ!どうか作り置きしててくださいお兄ちゃん!
「……な、ない……なにも……あっ」
がさごそと冷蔵庫を漁り、なにもない事に絶望していると、一枚の紙切れが目に入った
『ルビーへ♡晩飯はアイとアクアとみやえもんが全部食べちゃった♡悪いけどストックのカップ麺か自分でなんとかしてちょ♡』
「そ、そんなぁ……酷いよお兄ちゃん…せっかくご飯があると思ったのに……うぅ……ていうか、ママとミヤコさんはまだ良いとして……アクアはなんで私の分まで食べてるの!?……絶対にコロシテヤル……」
うぅ……何もないなんてひどいよ……せっかく可愛い妹が疲れてお腹ぺこぺこで帰ってきたのに〜っ!!
そんなふうに、じたばたわーきゃーわーきゃー喚いていると、誰かの足音が聞こえてくる。
「……こんな時間になんだ、やかましい……ってルビーか。
おかえり、何騒いでんだ」
「……っ!!お兄ちゃん!」
その正体は、タバコ片手にこちらを呆れながら見てくる、アクアとは別の私のもう一人のお兄ちゃん。
星野ジルコン。
そんな紹介はともかく、「おかえり」の辺りで何かを察して一言で終わらせ、さっさと二階に行こうとするお兄ちゃんの腕を掴んで引き止める。
「お兄ちゃん、私晩御飯食べてないから、何か作って♡」
お兄ちゃんを見つけたからには、さっきまでのやりとりなんて忘れてニッコニコでお願いをすると、面倒臭そうな顔をしながらお兄ちゃんは返事をする。
「お湯ならそこにポッドがあるぞ」
「今更カップ麺とか嫌♡ご飯作って♡」
「俺も嫌♡この時間に洗い物とか死んでもやりたくないわ」
そう言って、手を払って立ち去ろうとするお兄ちゃんに少しムッと来てしまう。
「酷い!!そんなの兄としてどうなの!!!」
「まあそういうのはアクアの担当だから……」
「何それ!?ねーお願いお願い!簡単なので良いからーっ!」
でもどうしてもお兄ちゃんに料理を作ってほしい私はしつこく頼み込んでいく。
「えぇ……こわ」
お兄ちゃんは何か珍妙な生き物でも見るかのような視線を向けてくる。
「……お願い。こんどなんか奢るからぁ……」
ちょっとしおらしく頼み込んでみると、お兄ちゃんはめんどくさそうに、本当に嫌々口を開く。
「……これ以上騒ぐ方が時間の無駄か、あーだる……タバコ吸いに来ただけなのに」
「やたっ♡お兄ちゃんだーいすき♡これからも作ってね!」
「調子乗んなクソガキ」
お兄ちゃんは観念したように深いため息をつき、煙草の火を消すとキッチンへ向かった。
「とりあえず冷蔵庫を見てから考える。何が残ってるかな……」
冷蔵庫を覗き込むお兄ちゃんの背中を見ながら、私はソファにどさっと腰掛けた。明日も朝早いというのに、こんな夜中に兄に飯を作らせるなんて――なんてずぼらなんだろう。
でもまぁいいか。
お兄ちゃんって普段はグータラだけど、一度引き受けたら案外ちゃんとやってくれるし。
まあ私妹だし……少しくらい甘えさせてもらっても罰は当たらないよね?
「ねぇお兄ちゃん~。それじゃあハンバーグとかは無理でもオムライスとかさ、炒飯とか!」
「黙れカス」
「ひっど!私これでもアイドルなんだぞ〜!」
「へ〜すごーい、君はとってもうざいフレンズなんだね!与えられるだけの雛鳥は黙って待ってろ」
「……はーい(そろそろ本気で怒りそうだから静かにしよ)」
しばらくして、お兄ちゃんはため息をつくと、手慣れた様子で片手鍋とフライパンを取り出した。……包丁の音、油が跳ねる音が心地よいリズムを奏でていく。
私はテレビをつけ、ニュース番組をぼんやり眺める。画面の端に表示された時計を見ると、既に午前2時を回っている。明日の朝は6時に起きて、またレッスンと打ち合わせが詰まってるから、眠いどころじゃないんだけど……。
それにしてもお兄ちゃん、器用に動くなぁ……。さっきまで煙草片手にダラダラしてたのが嘘みたいだ。普段はあんなにグータラなのに、こういう時だけ妙にテキパキしてる。
「おい、起きろ。出来たぞ」
「おーけーおーけー〜、起きてるよ〜。ぐーぐー」
そうやって寝ぼけつつも、私はテーブルに向かう。そして、目の前に置かれた皿を見て思わず心のままに言ってしまった。
「いや朝ごはんじゃんこれ!」
目の前に現れたのは、大きめの綺麗な形をした塩むすびが3つと、六等分にされた卵焼き(だし巻き卵かも)が1本、そして豆腐とわかめに九条ねぎのお味噌汁のセット。
完全に朝ごはんのメニューだった…。
「……え?いっぺん死ぬ?」
「ごめんなさーい♡いただきま〜す♡」
そんな感想を抱いていると、目の前から笑顔の裏に恐ろしいオーラを漂わせた般若が見え始めたので素直に謝って座る。
でも、さっきはあんなこと言ったけど……いざ目の前に出されると、正直一番食欲が刺激される。
お兄ちゃん曰く、結局夜食なんてこう言うので良いんだよ、との事。
まずは卵焼きから。
箸で一切れ持ち上げると、ふわりと柔らかい感触が指先に伝わってきた。口に運ぶと、ほんのりとした甘さとだしの風味が広がる。
「んん~!これこれ!やっぱお兄ちゃんの卵焼き最高♡」
次に塩むすびを手に取る。一口頬張ると、海苔の香りと共に程よい塩加減が米の甘みを引き立てている。シンプルだけど、疲れた身体に染み渡る。
そして最後にお味噌汁。熱々の汁を啜ると、優しい味噌の風味と共に豆腐とわかめの食感が心地よい。
「……あったかい…」
不意にそんな言葉が漏れる。体の中から温まる感覚が嬉しくて、思わず笑みが溢れる。
「おい、冷める前にさっさと食え」
「はーい!」
夢中になって箸を進める私をお兄ちゃんはじっと見つめてきた。
「……美味いか?」
「うん!すっごく美味しいよお兄ちゃん!ありがとう!」
「そうか。なら良かった」
お兄ちゃんは小さく微笑むと、私の頭をポンポンと撫でてくれた。その大きな手は少しタバコの匂いがするけど、とても暖かくて優しかった。
「なぁルビー」
「ん?どったのお兄ちゃん」
不意に呼び止められ、振り向くとそこにはいつもより少しだけ優しそうな顔をしてるお兄ちゃんがいた。
「無理してないか?」
「別に、全然」
「なら良いんだけどな。……まどーでも良くなったら逃げればいい」
「……逃げるなんてしないよ。だって私はアイドルになるために産まれてきたんだから」
「そうか、なら頑張れよ」
そう言いながらお兄ちゃんは私の頭をガシガシと強く撫でてくる。
「うん、ありがとうお兄ちゃん!」
その後も他愛のない会話を続けながら夕食を済ませて、ようやくお布団に入ることができた。
明日も朝から晩までみっちり予定が詰まってる。
でもお兄ちゃんのお陰でお腹いっぱいになったから、明日も頑張れる気がする。
そんなことを思いながら、私はゆっくりと夢の世界に堕ちていった。
お兄ちゃんタバコなんて吸ってたっけ
でもこのうちに必要だったのって多分こういう奴なんだよね……
※この作品は決して未成年飲酒、喫煙、ギャンブルを助長、肯定するものではありません。
良い子は二十歳になってから!
私はいつまで推しの子を書き続けるのか……