さて、俺たちがこの世界に降り立ってから2週間ほど経った今日この頃・・・
カズマ「・・・なぁ、なんで来ないんだろな?パーティメンバー。」
ユキベエ「・・・ルナさんから聞いたが、クエスト達成率が高すぎると、尻込みしちまう傾向にあるらしいぞ?特に、この街は新人冒険者が集う云わばはじまりの街だからな。」
カズマ「・・・異世界にもそういうのあるのかよ。世知辛ぇ、やってらんねー・・・」
俺は言わずもがな臨戦流という超人軍団のエリート将校だし、カズマもなんやかんやで優秀だからそれ故の孤独を経験してるのでやるせなさを感じていた・・・特にカズマは幼馴染の件が引鉄だが、その前からも頭がいい上に舌も回るからく
ユキベエ「全く同意だ・・・まあ、今日も気張っていこうぜ。」
カズマ「ああ、気張ってくかー。」
そして宿の扉を開けると・・・二人の少女が行き倒れていた。どちらも黒髪に赤眼の美少女だった。周囲に人は居たが、誰もが冷めた目をしている。
そのことに違和感を覚えながらも、俺たちは少女たちに手を伸ばした。
カズマ「おっおい!二人とも大丈夫か!?」
ユキベエ「大事はなさそうだが、立てるか?」
少女A「むり、です・・・」
少女B「私たち、一昨日から・・・なにも・・・」
なるほど、空腹で倒れていたのか・・・見ると、そこまで目立った外傷も無いため、純粋に空腹で倒れていたらしい。
ユキベエ「二日も食べてないのか・・・カズマ、そっちの少女をおぶってくれ。俺はこっちの少女をおぶっていくから。」
カズマ「わかった。」
俺が・・・名前が分からないから仮称で少女Bの方を背負い、カズマが少女Aの方を背負う。
男性冒険者A「おいおい、兄ちゃんたち。やめときな!ソイツらがそうなってるのはそいつらの自業自得だ!」
カズマ「おいテメェ!そりゃどういう意味だ!?」
男性冒険者A「ソイツらはどんなパーティでもお荷物持ちで、しかも片っぽはところ構わずバカみてぇな魔法を打つんだよ!しかも、ソイツはその魔法しか覚えてねぇんだ!そんな馬鹿な奴らに構う真似は止すんだなァ!」
カズマ「なっ!?テメェッ!」
ユキベエ「落ち着けカズマ!そんな倫理観の欠如した節穴の馬鹿に構ってる暇があるならこの子たちをギルドの飯屋に運ぶぞ!」
男性冒険者A「誰が節穴の馬鹿だゴラァ!?」
ギロッ!
男性冒険者A「ヒイッ!?」
そうして襲いかかってきた冒険者だが、俺がそれなりの眼光で一睨みするとビビって膝から崩れ落ちたようだ。あ゙あ゙・・・もう本当に、こんな雑魚なんぞ構ってる時間すらも惜しい。
ユキベエ「・・・行くぞ。」
カズマ「・・・おう。」
そして、ギルドを目指して走っていく。その最中で
少女B「・・・なんで、私たちを助けてくれるんですか?」
ユキベエ「俺たちが助けたいと思ったから助ける。それ以外に理由はいるか?」
少女B「・・・!」
そう答えると少女は赤い目を丸くした。
ユキベエ「さて、そろそろギルドに着くな。カズマ!勢いよく扉を開けたりとか駆け込んで入るみたいな、職員の方々をビビらせるようなことはするなよ!」
カズマ「ああ、わかってるって!」
そして俺たちは少女たちを背負って、営業時間となったギルドの食堂に到着した。
ユキベエ「カズマ、カエルの唐揚げを五皿くらい注文しておいてくれ。俺はこの子たちを座らせとくから。」
カズマ「わかった。」
そしてカズマはカエルの唐揚げを注文しにいった。
ユキベエ「とりあえず飯が来るまで待とうか。」
少女A「あの・・・」
ユキベエ「ん、どうしたんだい?」
少女A「悪い噂が立ってるのに、なぜ私たちのことを助けてくれたんですか?」
なぜ、か。隣の少女に言ったものでもいいが、この少女に信用してもらうには詳しい経緯も必要だろう。
ユキベエ「たしかに思い返せばここ1週間くらい、傍迷惑なアークウィザード2人組がいるって噂が耳に入ったことはあるな。」
少女A「ならなぜ「けど噂は所詮噂だ。」!?」
ユキベエ「大して知ってる仲の情報でもなけりゃ、自分で見て判断したわけでもない。偶々食事中の酔っ払いどもから耳に届いた不確定極まる情報に踊らされるほど俺と相方・・・このユキベエとカズマは愚かじゃない。」
そう言い切ると、その少女は複雑そうに応答した。
少女A「そう、ですか。」
少女B「・・・あの、私たちに何かあったか聞いてくれませんか?」
少女A「ゆんゆん!?なぜそんなことを!?」
少女B→ゆんゆん「めぐみん。私は、私たちを助けてくれた人に、嘘は吐きたくないの。」
そう言ったゆんゆんという少女の瞳には、先程まで消えかけていた希望と覚悟の色がはっきりと現れていた。
少女A→めぐみん「ゆんゆん・・・」
ユキベエ「・・・いいぜ、話してスッキリすることもあるだろうしな。俺で良ければ聞き手になろう。」
そして俺は、彼女たちの話を聞くこととなった。
一方、カズマの方はというと・・・
カズマ「すいませんレリィさん!カエルの唐揚げ八皿お願いします!」
レリィ「なんだい、随分と多いわね。って、あの子たち・・・」
カズマ「?あの子達について何か知ってるんですか?」
カズマの唐突な注文に驚いた食堂の看板娘のレリィだったが、
レリィ「・・・実はあの女の子たち、丁度君たちが来た頃に紅魔の里からこのアクセルに冒険者になりに来た子達なんだけど、短い髪の子・・・めぐみんちゃんが爆裂魔法っていう一日一回しか使えない魔法しか取ってなくて、悪質なパーティで荷物持ちになったりした末に口論になってクビにされたのよね・・・あと、隣にいるゆんゆんちゃんも騙されてめぐみんちゃんとは別の悪質なパーティに無理やり入れられた挙句、理不尽な叱責を受けてそれを見ためぐみんちゃんに連れ出される形でパーティを脱退したからめぐみんちゃんとゆんゆんちゃんのどっちにも悪い噂が立っちゃって・・・」
あまりにも酷い話に、流石のカズマも・・・
カズマ「・・・そっすか。」
そう返すだけで精一杯だった。
そして、しばらく気不味い沈黙が続いた後に、レリィが料理長に呼ばれカエルの唐揚げを受け取ると、押し付けるようにカズマに渡した。その際、このようなやり取りがあったとか・・・
レリィ「カエルの唐揚げ、八皿よ。・・・アンタたちみたいな善良なパーティになら、安心してあの子たちのことを託せるわ。」
カズマ「えっ・・・?」
レリィ「
ほら行った行った!と、追い払われるように送り出されたカズマは、カエルの唐揚げを持ってユキベエと少女たちのもとに向かうのだった。
ムシャムシャガツガツ!
俺たちは今、美少女ふたりの食いっぷりにただただ圧倒されていた。飢餓状態時の俺だってあんなに急ぎ食らうことはないというのに・・・まあ、俺の場合は不味いと感じる方向の味覚がバグってるから、最悪その辺の土塊とか岩石とかであっても腹を満たせるので、相対的にはどっこいどっこいだがな。
ユキベエ「おいおい、そんなに急いで食ってると喉を詰まらせるぞー・・・」
ゆんゆん「だ、だって一昨日から何も食べてないからお腹すいてるんですもん!しょうがないじゃないですか!」
めぐみん「それに、次はいつこんなに食べられるか分からないんですから今のうちに食い溜めておかないと・・・」
カズマ「なに言ってんだ?今日から飯に困ることは無いんだから食い溜める必要なんてないだろ?」
『へ?』
カズマの言葉にキョトンとする二人。あ〜、そういえば言い忘れてたな。
カズマ「ユキベエ、言ってなかったのか?」
ユキベエ「ああ。お前が来るまでずっと2人の話を聞いてたからな。」
カズマ「お前なぁ〜!」
ユキベエ「すまんかった!今日の晩飯は俺が奢るからさ!」
めぐみん「えっと、どういうことですか・・・?」
困惑する二人を置いてきぼりにして会話してた事に、しまったと思いながら話すことにした。
ユキベエ「あ〜、うん。単刀直入にいうけどさ、めぐみんとゆんゆん。君たちは俺たちのパーティに入る気はないか?」
そう言うと、彼女らは目を見開くほど驚いたようだ。
ゆんゆん「えっ!?私たちが、ですか・・・!?」
めぐみん「ですが私たちは・・・」
カズマ「一日一発限りだが、超火力の爆裂魔法の使い手と中級魔法をコンスタントに使えるアークウィザードだろ?」
めぐみん「は、はい。なので私たちはそれぞれ欠点を抱えてます。なので───」
ユキベエ「あのなぁ、そんなモンは当たり前だ。」
ゆんゆん「えっ・・・?」
当たり前のことを言ったはずなのだが、二人は驚いたような顔をした。
ユキベエ「俺だって遠距離攻撃はあまり得意じゃないし、運に左右されるくじ引きとか賭け事なんてからっきしだ。カズマもそこまでうたれ強くないし、局地的な危機を脱する為の爆発力もない。大体、そういう欠点を補い合う為にパーティを組むんだろうが。」
カズマ「そうそう、なにも一人で完璧になる必要なんてねーの。1人でできることなんて、そんな無いんだからよ。」
そう言うと、二人の少女たちは目を潤ませ始めた。
カズマ「お、おいおい!そんな泣くことないだろ?」
ユキベエ「どうせ感情を出すなら喜んで笑おうぜ!今日はめぐみんとゆんゆんの加入祝いなんだからさ!シェーラさーん!カエルの唐揚げもう四皿とあとオレンジジュース四杯分追加でー!」
シェーラ「はーい!」
ウェイターのシェーラさんに注文を頼んで、その日は騒いで同じ宿屋で寝た。(勿論、部屋は男女別)
めぐみん「我が名はめぐみん!紅魔族一の爆裂魔法の使い手にして、このパーティに加わる者!」
ゆんゆん「わ、我が名はゆんゆん!いずれ紅魔族の長となる者!そして、このパーティに加わる者!」
『よろしくお願いします、
ユキベエ「ああ、よろしく頼むよ!」
カズマ「おう!よろしくな!」
読んでいただきありがとうございました。