アスピナの傭兵がISの世界で頑張るようです【リメイク】   作:AIthe

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射的がすごいシリアスになってる!?
読み返してみたら完全なシリアス(ギャグ)回です。

千冬「出番がない。」
ポール「私もだ。」
主任「俺もないんだけどねー!ギャハハハハ!!」
有澤「私もないのだが。」

それと、時間は飛んで夏の話です。ワンピース姿の女の子って可愛いですよね!


第9話

ジョシュアは朝ごはんの支度をしていた。厚切りの食パンにバターを塗り、目玉焼きを乗せただけの質素なものだが、これがまた美味いらしい。皿の横に申し訳程度にぽつんとミニトマトが乗っており、一応野菜的な成分を取ろうとしている気がある事が分かる。

 

(うまうま♪)

 

モキュモキュとそのパンを食べ、牛乳で流し込む。プチトマトを口に放り込み、噛み砕きながら皿を持って流しに向かう。

スポンジに洗剤を少し垂らし、昨夜使ったコップも一緒に洗う。

 

「ふーんふんふんふふーん♪」

 

彼女は上機嫌だった。鼻歌を歌いながら皿を洗う姿は、正に主婦ーーーと言いたいところなのだが、身長が低くて家事を手伝っている子供にしか見えないのが現実だ。

 

(夜までどうやって時間を潰そうかな…………)

 

食器を拭き、定位置に戻す。絞り切ったスポンジを壁に引っ掛け、タオルで手を拭きながら座布団の上に座る。扇風機の首を固定し、目の前で風を浴びながら、「ワレワレワ、ウチュウジンダー。」と話しかける。

今日はーーーと言うより何時もの事なのだが、彼女は一夏が帰ってくるまで暇を持て余している。外に出るのは荷物持ちをする時位で、その他の時は筋トレか、若しくはISの学習をしていた。筋肉は付いているとは思うのだが、腕が一向に太くならない。女性的に考えれば細マッチョというのは嬉しいのかもしれないが、彼女からすればもう少し太さが欲しい。

 

(暇だなぁ…………早く夜にならないのかなぁ…………)

 

彼女の機嫌がいい理由。それは、今日が彼女の待ちに待った日なのだ。1ヶ月程前にその存在を知り、それからずっと楽しみにしていた。

そう、今日はーーー

 

「祭………かぁ…………」

 

一年に一度の恒例行事、祭が行われる日なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

彼女にとって、“祭”とは未知の何かだ。もちろん祭だけでなく、この世には彼女が知らない事が沢山ある。

今夜、市の祭があるらしい。名前は忘れてしまったが、ポスターが貼られており、その存在は否が応でも知る事になった。最初は何事かと思ったが、一夏に聞くところ、「屋台がたくさん出てて面白いぞ。花火もあるし。」と言っていた。意味のわからない単語が飛び交っていたが、「面白い」と言っていたのだから、文字通り面白いのだろう。そうなると、楽しみで楽しみで仕方がない。

 

(あいつはいつ帰って来るんだ……ったく………)

 

「た、ただいま!」

 

噂をすればなんとやらとも言うべきか、丁度一夏が帰って来た。帰りが何時もより遅い。手に持つ紙袋からすると、何処か寄って来たのだろう。

 

「遅いぞ。」

「悪い悪い。浴衣のセットを買ってきたんだ。」

「ゆか、ゆか……は?」

 

ユカタ。彼女の脳内辞書には記録されていない言葉だ。寧ろ、記録されているものの方が多いと考えて間違いないだろう。勿論、ISに関しての事なら相当に詳しいのだが、他は全然だ。あちらの世界では、極東の島国の文化なぞ知る方法が無いのだから。

 

「祭りの時の衣装みたいなもんだ。」

「ふーん。ん……と?あった。」

 

既に開いてあったパソコンのキーボードを叩き、「ゆかた」と打ち込み、変換する。変換先の一番上に「浴衣」と出て、それをクリックする。

 

「浴衣とは、和服の一種である。通常の和服とは違い、な……ながなんとかを着用せず、素肌の上に着る略装である……と。つまりラフな和服なんだな。」

「………まあそれでいいや。」

 

一夏 は 説明 を 諦めた!

彼女の中の浴衣の認識はラフな和服となり、次に「和服ってどんなんだ?」と思いもしたが、気にすればする程無駄に時間を食いそうなので、断念する。

紙袋から透明な袋に纏まった浴衣のセットを受け取る。袋を引きちぎり、中のものを出してみるが、どうやら普通の服とは違う様だ。

 

「で、どうやって着るんだ?」

「それは………だな…………」

 

一夏は手をわっさわっさと動かしながら悩んでいる。よく分からないが、何かを葛藤している様にも見える。

 

「いや、着せ方は分かるんだけど…………」

「なら最初から着せてくれよ。」

「いや!でもほら、女の子の身体だし………」

「いや、早くしろよ。」

「いや、あの「ああん?」

「………はい。」

 

完全に尻に敷かれている一夏であった。仕方ないという顔をしながらそのセットを手に取るが、その行動の間に彼女をチラッチラッと見ている。

 

(早くしてくれないかなぁ……)

 

元々男の身であり、一夏に身体を触られても抵抗が無く、それに加えてせっかちな彼女は、朴念仁だが無駄に異性を気にする(尚、ショッピングモールの美人店員の胸を間違えて揉んでも頬すら染めない模様)彼とは、とても相性が悪かった。

 

「じゃあ、ふ、服を脱いでくれ。」

「あいよ。」

 

スウェットを脱ぎ捨て、パンツとシャツ1枚になる。一夏が目を逸らしながら、手をわきわきと動かす。絵的に相当な変態だが、それを突っ込む者はここにはいない。そう、ドイツではーーー

 

「一夏が不埒な真似を!?うおおおおおお!!!!お姉ちゃん許さんぞおおおおおおおお!!!」

 

彼の姉(世界最強)が打ち震えていた。その被害を、彼女が所属するドイツの部隊が受けていた事は秘密である。

結果から言えば、彼の着付けは素晴らしいものだった。それはもう、手慣れ過ぎていて怖いレベルに。

早業で浴衣を着せ、肩幅を調整する。浴衣の衿先の20cmぐらい上を持って、体の前でそろえ、背縫いが背中の中心に来るように調節。

もう一方の手で背縫いの腰辺りをつまんで、持ち上げて、裾をくるぶし位の高さに上げる。前に回って引っ張りながら逆の手を離すと、自然と裾の高さが決まる。

そのまま左右の手で衿の両端を持ち、まず、右手の下前を左脇へ持っていく。端を10cm位上にあげるようにして重ねる。背中まで回りそうになったら端を少し前に折り返して調節。

今度は左手側を前に持って行き、右手で腰骨の辺で押さえ、裾の位置を固定、腰紐をぐるっと巻き、蝶結びで止める。

全体的な調整をし、コーリンベルトの端を挟み込み、内側に付け込む。

帯を伊達締めで結び、着付けを終える。

 

「終わったぞ!」

「よく分からないがお前って案外凄い奴なんだな。」

「失礼しちゃうな全く。じゃ、行こうか!」

「おうよ!」

 

画して、2人の祭が始まったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

「何だあれは!?雲が売ってるぞ!?」

「ありゃ綿飴だよ。食べる?」

「いや、いいや。だって1000円までだろ?」

 

2人は浴衣を着て祭の屋台に来ていた。ジョシュアは淡い水色と白の花柄の浴衣を着て、手元の団扇をパタパタと揺らしている。髪を団子状に結ってある為、その白く綺麗なうなじがチラチラと見え、少しドキッとしてしまう。対して一夏の浴衣は定番の紺色で、手には信玄袋が握られている。

今日の祭で使えるお金は全て彼が握っている。彼が握っていないと、いつ何処で勝手に使われるか分からないからだ。

そして、彼女に許された金額は1000円までだ。勿論その1000円とは別に、2人で食べるもの等を買う為のお金を持ってきている。

 

「1000円ねえ?」

「ま、負けたお前が悪いんだよ。」

 

この1000円は、彼女の因縁が深いものだ。彼女がポーカーで完全敗北し、その時一夏が回収したお金だ。彼女が頑張って集めたお金を掻っさらう事には気が引けたが、ルールはルールなので貰っておいた。

しかし、この様な返すタイミングがあるのなら、その時に使わしてあげればいいのでは?と思い、このような判断に至ったのであった。

彼女がジトッとした目でこちらを見てくるが、気にしない事にする。ふと目に入ったたこ焼きの屋台に並び、せっせとたこ焼きをひっくり返すおじさんに声を掛ける。

 

「と、取り敢えずたこ焼きでも買おうぜ。すいません!たこ焼き1つ、竹串2つで!」

「あいよ!」

 

奥の方に構えていた若い男が、透明なプラスチックのケースに手際良くたこ焼きを詰めていく。勢いよくマヨネーズとソースを掛け、上にふんわりと鰹節を乗せる。食指を動かされる匂いが漂い、祭感を演出する。

 

「お待ち!デートを楽しんできな!」

「でででデート!?」

「何だ一夏。デートだと思っていたのか?」

 

ニヤニヤと笑いながらこちらを見てくるジョシュア。こういう時、彼女は本当に生き生きしている。

 

「うるせえ!たこ焼きでも食ってろ!」

 

1つたこ焼きを突き刺し、彼女の口の中に突っ込む。

 

「あ、あふい(あつい)しむ(しぬ)しんひゃう(しんじゃう)!」

「あははは!!これで喋れまい!」

 

彼女な顔を真っ赤にしながら呼吸を荒くし、ハフハフとたこ焼きを食べる。体全体でたこ焼きの熱さを表現している様にも見える。

ゆっくりと咀嚼し、飲み込む。

 

「一夏!貴様ぁぁぁ!!!」

「ご、ごめん!ほら!たこ焼きあるから!」

「そういう問題じゃないだろうがゴラァァァァ!!!」

「ひいいい!ごめん!ごめーー痛っ!ごめんって!」

 

ポカポカと殴ってくる彼女は何とも可愛らしい。それが、ポカポカならの話なのだが。

現実は、“ポカポカ”ではなく、“オラオラ”といった感じだ。一発一発が重く、その上これで本気で無いと言うのだから驚きである。

身体能力は完璧に負けているので、直ぐに追いつかれてタコ殴りにされる。が、その追撃も直ぐに止み、別の何かが彼女の注意を引く。

 

「一夏、あれは?」

「痛たたた………あれは射的だ、射的。やってみるか?」

「うん。」

「分かった。おじさん!射的一回!」

「はいよ!」

 

彼女の手を引き、射的の屋台に駆け寄る。300円を渡し、5つのコルクを受け取る。

 

「ルールは?」

「簡単だ。この銃を使って、コルク弾で欲しい景品を落とす。向こう側に落とせば景品ゲットだ。」

「向こう側に落とせばいいんだな?」

「ああ、そうだ。」

向こう側に落とせば(・・・・・・・・・)文句無いな?」

「そうだぜ嬢ちゃん。まあ出来るのなーーーー」タンッ!

 

心地の良い音と共に、コルクが発射される。端の小さな景品が弾け飛び、向こう側に落ちる。

 

「凄いなジョシュア!」

「嬢ちゃん、すげえ腕前だな?ほら、景品だ。」

 

風船のセットを受け取り、一夏がそれを受け取る。

 

「目玉の景品は?」

「そりゃあ勿論、これよ!」

 

そう言ってその男が自慢気に指差すのが最新型の携帯ゲーム機だ。子供なら、誰もが欲しがる一品だろう。

 

「一夏、あれ欲しいか?」

「まあ、取れるなら欲しいけど……」

 

それが叶う事は無いだろう。何故なら、縁日の屋台の射的では、いい景品は落ちない様に設計されているからだ。悪ければ後ろにガムテープが貼られていて、絶対に取れない様にしてある可能性だってあるのだ。

 

「欲しいのか欲しくないのかはっきりしろよ。」

「いや、そりゃあ欲しいけどーーー」タンッ!

 

空気が破裂する音と共に、コルク弾が発射される。携帯ゲーム機の絵がプリントされたプラスチックのケースに吸い込まれる様に着弾する。が、片側が微量に上がっただけで、直ぐに元に戻ってしまった。

 

「……嬢ちゃん凄えな。あれを少しでも持ち上げるなんて。」

「思った以上に重いな。」

 

ガムテープは付いていないが、中に重りが入っているらしい。この男の言い分から、やはり絶対に落とせない様設計されている事が再認識できる。

 

「なあ、ジョシュア。やっぱり絶対取れない様になってるんだから「じゃあ、もう1本銃をくれ。」

「嬢ちゃん、1人で2本はダメだよ。」

「名義はこいつで。」

 

そう言って、彼女は彼を指差す。

 

「お、おい待てよ!金の無駄遣いだぞ?」

「いいから早く。」

 

渋々信玄袋から300円を取り出し、男に渡す。男は“イイ”顔をし、コルクを5つ、彼の手の上に乗せる。

 

「ニイちゃん、頑張れよ?」

 

その顔には、彼の絶対的な自信が写る。が、その影に微かな期待が見え隠れしている。

 

「一夏、その銃を貸せ。」

「う、うん。」

 

先にコルクを渡し、次に銃を渡す。金属の皿にコルクを置き、両手の銃を台上に置く。

両方にコルク弾を詰め込み、準備が完了する。

その持ち方は嘗てのネクストと同じ、ダブルトリガーと呼ばれるもので、彼女がリンクスとなったばかりの時に使用していた持ち方である。

一定の距離を保ちながら得意の距離で撃ち合う。これはネクストの戦闘方法としては基本で、これを使用しているリンクスは多い。

しかし、彼女ーーーいや、彼の戦闘方法とそれはかけ離れている。最初こそダブルトリガーを試していたものの、彼女の性に合わない。そこで、初期アセンにありがちな片方をレーザーブレードにする事により、ステータスを速度に全振りしたかの様なピーキーな機体が仕上がった。つまり、彼女の左手は剣を振る為のものであり、銃を撃つのには向いていないのだ。

だからこそ、彼女は考える。あの景品を取る為の打開策を。

 

「………一夏、コルクを均等に並べてくれ。」

「へ?わ、分かった。」

 

彼女は大きく息を吸い、左手の銃を下ろす。いや、それは下ろすというには語弊がある。どちらかといえば、何かに対して待機させている(・・・・・・・)と言った方が正しい。その横顔は凛々しく、その瞳は真っ直ぐと獲物(景品)を捉え、それ以外は目に入っていない。

彼にはその顔に見覚えがあった。

 

(あの時の………初めて会った時の顔を………)

 

その顔は、ドイツで彼が攫われた時に初めて見た彼女の顔と似ていた。血に飢えた獣の様な、凶暴な肉食獣の顔付き。しかし、それは研ぎ澄まされた刀の様な落ち着きも兼ね備えていた。

声を出して止めようとしたが、それは喉に引っ掛かったまま出てくる事はない。たかが射的。されど射的だ。その玩具の銃を握った瞬間から、目の前の少女は“ジョシュア”ではなくなってしまった。

思わず息を呑む。ピリピリとした空気に、そこを中心にして周りを静寂が包み込む。

その刹那、銃口から空気の破裂音が鳴り、プラスチックのケースに着弾する。だが、先程の様に少し浮かび上がるだけで、それが落ちる気配などない。

 

(やっぱりダメだよな………)

 

普通はそう思う。多分、この場の誰もがそう思っただろう。しかし、彼女は既に次の行動をとっていた。

ジャグリングの様に空高く銃を投げ上げ、高速で右手の左手に移し替える。

まだ、コルク弾は着弾していない。

左手の銃を構え、狙いを定める。

それと同時に、コルク弾が着弾する。

 

タンッ!

 

一瞬だけ持ち上がった隙間に目掛け、コルクが発射される。吸い込まれる様にして弾が進み、その隙間を捉える。

 

「持ち………上がった?」

 

コルクは隙間に食い込み、プラスチックのケースは斜めにならざるおえない。この調子で行けば、もしかしたら落とせるかもしれない。

落ちてくる銃を掴み取り、再び構える。しかし、そこに屋台の男が口を挟む。

 

「嬢ちゃん凄えよ!これを見せられちゃ渡さん訳にゃーいかねえ!持ってけドロボー!」

 

そう言って、携帯ゲーム機を箱ごと取り出す。その顔は満足気だ。

少しして状況を把握したのか、彼女はあたふたとし始める。その顔は、彼の知っている“ジョシュア”に戻っていた。

 

「えっ?あ、あ、ありがとう。」

「いいってことよ!」

 

彼女は、その景品を大事そうに抱き締めた。とても、幸せそうに。




6000文字を超えただと……バカな……多過ぎる………
そういえば、タイトルってこのまま第◯話ってしたほうがいですかね?


あと、感想とか評価とかしてくれたら、それはとっても嬉しいなって。

赤評価目指して頑張るぞー!!
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