アスピナの傭兵がISの世界で頑張るようです【リメイク】   作:AIthe

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昨日間違えて投稿してしまいました首吊ってきます。


エイプリルフールという名の生存報告

織斑家にて、家主である織斑千冬はシンキングタイムに浸っていた。

 

(さて、今年こそは騙してみせるぞ………)

 

今日はエイプリルフールだ。毎年この時期は弟、織斑一夏を騙そうと策を講じるのだが、毎回失敗してしまう。

例えば、去年の今は───

「千冬姉、話って?」

「実は、私は決闘者(デュエリスト)だったんだ。」

「去年はサンタクロースだったよね?一昨年は不死人だったし。」

「ぐぬぬ。」

 

(みたいな事もあったなぁ……)

 

弟の事を思い出して、頬を緩ませる。ここには彼女をからかう黒いウサギや白いウサギはいない。一夏は家事をしているし、最近増えたもう一人の家族、ジョシュアはパソコンにご熱心だ。彼女の顔を見る物はいない。いても鉄拳制裁するのみだ。

 

(思いついたぞ、これだ!)

 

「一夏、ジョシュア!」

「はーい!ちょっと待っててー!」

「どうした世界最強(ブリュンヒルデ)?」

 

一夏は水道を止め、居間に駆けてきた。ジョシュアはその場で一回転し、こちらを向く。回転する座敷が余程気に入ったのか、こいつはよくぐるぐると回転している。

二人は机を挟んで、自分の前に座る。

 

「大事な話がある。」

「な、なんだよ………」

「………」

 

突然オドオドとし始める一夏。それに対して、ジョシュアはその表情を崩さない。

なるべく真実らしく、自分も緊張しているように演技し、唾をごくりと飲んで続ける。

 

「来週、私はドイツで籍を入れることにした。」

「ち、千冬姉!なんで!?」

「!?………くっくっくっ……」

 

早速ジョシュアにバレてしまったようだ。彼女は肩を震わせ、笑いをかみ殺している。だが、バラすつもりはないのか、小さく右手で「行け」の合図を出している。続けろということなのか。

 

「ドイツで過ごしていて、私は運命の人と出会えたんだ。」

「ひぎっ!」

「今はその人の事で頭がいっぱいだ。既にあちらの両親には挨拶してある。」

「ふぐぅ!」

「これが写真だ。」

 

ドイツの要人が撮ってくれ撮ってくれとせがまれて仕方なく撮った、彼女にとっては苦い思い出の写真を出す。

 

「ち、千冬姉………」

「ひっ……はぁはぁひいっ……ごほっごほっ!」

 

一夏は深刻そうな声を出す。その一方、ジョシュアは笑いに堪えられず、死にそうになっている。

 

(一夏が私の事をこんなに思ってくれているなんて………)

 

頬を緩めながら、そろそろネタばらしをしようと考え始める。しかし、突然一夏が立ち上がる。

 

「じゃあ、俺たちも式に出るよ!」

「えっ」

「あひゃひゃごほっごほっ!!ひーっ、ひーっ………」

「だよな、ジョシュア?」

「そ、そうだな………ひぐっ……ふーっ………死ぬかと思った……」

 

突然の宣言にジョシュアも悪ノリし、一夏をチラリと見て、頷く。弟もそれを見てまた頷く。

 

「じゃ、旅行の準備しないとな。」

「いや、実は「スーツケース押し入れにしまってあったっけ?」

 

(ま、マズイ!嘘って言えない雰囲気にされた!?)

 

「くっ!」

「ふっ……」

 

ジョシュアを睨むと、勝ち誇った顔で見返される。

ハメられた事に気付き、畳の上に両手をつく。

 

「私が悪うござんした………」

 

今世紀最大の謝罪をする羽目になった織斑千冬であった。

ちなみに、その後反省として家事をやらさせられる事になったそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

「ワカ!遂に私に出番がきたぞ!」

「社長!意味分からないこと言ってないで落ち着いて下さい!」

 

この世界のいつかどこかで、第43代目有澤重工社長兼テストパイロット、有澤隆文はガッツポーズを取っていた。そして、秘書兼元社長兼パーツ開発部部長のスーパーMob、ワカは荒ぶる社長を止めようをあたふたしている。

 

「キャロりんより早い出番だぞ!」

「でも社長、これ閑話なんで。」

「………言うなよ……………死にたくなるだろ……一回死んでるけど。」

「何か言いましたか?」

「いや、何でもない。」

 

彼女もジョシュアと同じ、元リンクスで突然この世界にやってきた人物の一人だ。最初はこの世界に四苦八苦したが、今はもう立派に社長ができている、と思っているらしい。

 

「私、気付いたんすよ。グレオンだから時間掛かったっすけど。」

「しゃ、社長?」

「(グレネードが)当たらないなら(沢山打って)当てればいい。我が社には、それができるらし───いてっ!」

「チョップです。」

「知ってるよ!」

 

ゴホンと咳をし、別の話題に変える。

 

「今度のエイプリルフール、丁度社長の挨拶コーナーがあるだろ?」

「ええ、私の私による社員の為のコーナーですね?」

「お前が名前付けたのか……」

 

眼鏡をくいっと上げて答える。

社長の挨拶コーナーとは、いわゆる朝礼みたいなものだ。月一の朝礼がいつの間にかそんな名前になってたのは、彼の仕業だったらしい。

 

「それで、その時に社員を驚かせる事を言ってみたい。もちろん嘘をな。」

「そう言うと思って、ジャジャジャーン!企画書を用意しておきました!」

「で、でかしたぞ!」

 

辞書並に厚い企画書を奪い取り、それに目をやる。しかし、彼女の目はそれを訝しげに見ている。

 

「本当にこれをやるのか?」

「社長、冗談ですよ?大丈夫ですって!」

 

なんて事があってエイプリルフール当日。

 

「ワカ!」

「なんですか!」

「本当にこの服装でやるのか!?」

「そうです!社長かわいいです!」

 

彼女に着せられた服、それはゴスロリという名の、魔法少女のコスプレだった。黒いフリフリが、動く度に名前の通りフリフリ動く。

 

「は、恥ずかしい……」

「恥ずかしがってる社長かわいい!頬染めてる社長かわいい!」

「お前減給な。」

「ふえぇ………」

 

なんてやり取りをしていると、遂に朝礼───ではなく、社長の挨拶コーナーの時間が迫ってくる。ペットボトルのキャップを開け、乾く口を潤す。

 

(大丈夫これはエイプリルフール大丈夫エイプリルフールだから大丈夫私は大丈夫エイプリルフールだから大丈夫…………)

 

「社長、出番ですよー。」

「は、ひゃい!」

 

オモチャのステッキを握りしめ、カチコチと緊張しまくったまま舞台袖からトコトコと歩いていく。

 

「あれが社長?」

「ふざけているのか……全く……」

「………」

 

(ヤバいよこれ!ワカ!)

 

(大丈夫です!社長ならやれるっす!)

 

ワカは親指を立てて“イイ”顔をする。

彼女はカチコチな動きのまま壇上に上がり、一礼する。

 

(そ、そうだ!私の武勇伝を思い返せば───!!!)

 

頭によぎるのは、広大な砂漠にただ一つ。目の前にそびえる巨大なAF(アームズフォート)。悠然と動き続けるそれに立ち向かう彼女の愛機、雷電。

それを思えば、不思議と力が湧いてきた。

 

(今ならイケる!できるぞ私!)

 

息を大きく吸い、暗記した原稿を声に出して叫ぶ。

 

「マジ★カル、ドッキュン❤︎!有澤重工第43代目社長、アリザワ☆フミカここにショータイ!君のハートを撃ち抜いちゃうよ!」

「な、なんだあれは………」

「社長はご乱心に………」

 

ステッキを振り、台詞を続ける。

 

「来月までに、すごーいグレネード考えたら私がご褒美あげちゃうゾ☆!」

「ご褒美……だと…………」

「うおおおおおおお!!!」

「ロリ巨乳社長からのご褒美!ご褒美!」

「早く企画書を準備するんだ!」

 

打って変わって盛り上がる会場。ロリコンばっかりで嫌になる。

ここで話す筈の事は全てワカがやってくれたので、もう話す事はない。

だが、こんな目に合わせた奴に、少しやり返してやろうと、顔に邪悪な笑みが浮かぶ。

 

「あ、あと、秘書のワカを倒してもご褒美あげちゃうよ!」

見敵必殺(サーチアンドデストロイ)見敵必殺(サーチアンドデストロイ)!」

「ワカを殺せ!ころせぇぇぇ!!!」

「しゃ、社長!?」

「よ、よくも恥ずかしい思いをさせてくれたな!死ね!もしくは死ね!」

「ひ、ひどい!」

 

この彼の政策で社内業績がうなぎ登りになり、日本三大重工にまで上り詰めたのはまだ先の話だ。

ちなみに、ご褒美は手作りクッキーと頭ナデナデだったそうだ。

そして、社長の挨拶コーナーに欠席する社員は居なくなったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

いつか何処かの世界線。

 

「私達の出番ですわ!!」

「リリウムの出番ですか!?」

「(リリウムお嬢様の出番は)ないです。」

「あ、アンビエントは?」

青い雫(ブルー・ティアーズ)です、現実を見て下さい。」

 

オルコット(又はウォルコット)家の美人姉妹、セシリア・オルコットとリリウムの・ウォルコットはメイドであるチェルシー・ブランケットに勉強を教えてもらっていた。

ようやくの出番に、二人とも歓喜の表情を表している。

 

「チェルシー、リリウムはアンビエントが欲しいです。」

 

リリウム・ウォルコットもどこぞの社長と同じ、元リンクスだ。突然この世界にやって来たのはいいのだが、この世界の兵器ISに乗っているのはセシリアの方で、彼女はそれと全くの無縁だった。

そして、猛勉強の末にISに乗ってみたいという話をセシリアにしたのだが、猛反対されてしまった。

 

(リリウムもISに乗ってみたいです………)

 

セシリアはこの国の代表候補生だ。普通に考えれば、彼女とは相当な実力が離れているだろう。

だが、彼女は最前線で戦い続けたリンクスの一人だ。血を分けた姉妹に負けるほどヤワじゃない。

しかし、それを知らないセシリアは代表候補生という地位の魔窟さを知っているため、彼女をISから遠ざけたい、と思っている。

貴族であり誇り高い二人は、互いにすれ違い続けているのだ。

 

「今日こそはISに乗らせてもらいます。」

「いけませんわ、リリウム。」

 

二人の視線が絡み合い、火花が飛び散る。くっ、と悔しそうにリリウムは目線を逸らし、強く拳を握る。

 

「セシリア、勝負ですわ!」

「……バカにしてますの?」

「リンクスは貴方に勝ってみせます!」

 

バカにされたと勘違いしたのか、プルプルと震えるセシリア。代表候補生に舐めてかかった罪は重いのだ。

 

「受けて立ちます!貴方のプライド、ボロボロにさせて差し上げますわ!」

 

こうして、エイプリルフール閑話の筈なのに、エイプリルフールと全く関係のないイベントが始まったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

イギリスのISアリーナを特別に借り、リリウム・ウォルコットは初めてのISを動かし、身体に感覚を染み込ませていた。

 

「準備は出来まして?」

 

疾風の再誕(ラファール・リヴァイヴ)を身につけ、彼女は目の前の青い機影に対峙する。久しぶりの“戦闘”という行為に胸が高鳴り、そのゆったりとした目が段々と獣のそれへと変わってゆく。

その感覚が研ぎ澄まされ、本来の姿へと形を変える。両手の武器を試しに構え、チラリとセシリアを見やる。

 

疾風の再誕(ラファール・リヴァイヴ)、行けます。」

「そうですか。では、落ちなさい!ブルー・ティアーズ!」

 

セシリアの背中から四基のビットが射出され、彼女を囲む。そこから発射されるレーザー光に昔を思い出しながら、身体を捩らせて全弾回避する。続く第二射、三射も踊るようにして回避する。

 

「なっ!?ま、まぐれに決まってますわ!」

 

セシリアの手に握られた巨大な銃から光が放たれ、機体の肩を掠める。

ジグザグと機体を揺らして回避行動を取り、レーザーライフルと突撃型ライフルを構え、ロックオンサイトに捉える。

 

「目標を捕捉しました。」

 

無意識にそれを告げ、簡単に、かつ正確に銃を連射する。予想通りセシリアはそれを回避する。

 

「そこです。」

「ぐっ!ブルー・ティアーズ!」

 

回避先に向けレーザーを放ち、上下逆さまに回転しながらビットの攻撃を回避、動かないセシリアに向けて突撃する。

 

「ブルー・ティアーズは六基ありましてよ!」

「ミサイルですか。なら───」

 

機体をスクリューのように回転させながら急後退し、ミサイル同士を衝突させる。爆風を鼻先に掠めながら、煙の先にいるであろう血を分けた姉妹に向け、レーザーを発射する。煙を貫き、レーザーが装甲を削り取る。

 

「きゃぁっ!」

 

追撃をかけるのに、脳内でクイック・ブーストをイメージする。動揺を隠せないセシリアに対し、リリウムのイメージでブースターに光が集まり、圧倒的な出力と不意打ちで急接近を成功させる。その眼が鋭く光り、怯えるセシリアの手を震わせる。

 

「これで仕舞いです。」

 

無抵抗のセシリアの頭に銃口を突き付け、トリガーを引く。ISが自動で解除されたセシリアを抱え、ゆっくりと地面に降りる。

 

『勝者、リリウム・ウォルコット。』

 

無慈悲なアナウンスが鳴り響き、二人の喧嘩(試合)は幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

「また出番が来たぞ!」

「社長、落ち着いて下さい!」

 

二度目の登場、有澤重工第43代目社長、有澤隆文はワカを踏んづけてガッツポーズを取っていた。片方は満面の笑みを浮かべ、片方は「もっとやって下さい」と言わんばかりに頬を緩ませている。

 

「で、今回は真面目な話をするぞ。」

「エイプリルフールと関係ないですよね?」

「文句は作者に言ってくれ。」

「ふええ………」

 

新たな企画書をワカに提出する。それに目を通してポカーンとした顔を見、勝ち誇った顔でふふんと鼻を鳴らす。

 

「これは………」

「ああ、【雷電計画】の武装案だ。」

 

【雷電計画】急激に成長を遂げ、日本三大重工と変貌を遂げた有澤重工に、国からISコアが二基貸し出された。そこで、自社内のISを製作し、その工業力を世界にアピールしようというものだ。

テストパイロットは社長自らが率先して行う事になっていて、彼女曰く「社長が動かなければ部下は付いてこない」そうだ。

 

「超大型背部兵装、OIGAMI……ですか。」

「でっかいグレネードキャノンだ!輝く素敵性能!撃ち出すのは榴弾でなく浪漫!弾けるのは炸薬でなく変態技術!これぞ私の有澤重工だ!」

「いつになくやる気に満ち溢れてますね……」

 

ドヤ顔で、空高く腕を突き上げる。しかし、ワカの顔は曇ったままだ。

 

「不満か?」

「いえ、案自体はいいと思います。しかし───」

「しかし?」

「IS相手に、これが当てるとは思えません。」

 

彼女の案、「OIGAMI」は確かに有澤重工をアピールする大きな一要因になり得る衝撃だ。しかし、これをISに当てられるかとなれば、話は別だ。いくら技術があってもそれを活かせなければ意味がないのだ。

しかし、彼女の顔はまだまだ余裕がある。その笑みが妖艶に、裂ける様に開く。

 

「ISはISでしか倒せない、などというのは戯言だ。単騎最強火力ではあるが、所詮それまでだ。」

「し、しかし「普通のISなど圧倒的な物量で攻めれば陥落させる事など不可能ではない。勿論戦略を練る必要はあるがな。」

「いや、でも、そのですね………」

 

その顔は自信に満ち溢れていて、あたかもそれが合っているかのように錯覚してしまう。圧倒的なそのオーラにやられ、思考が追いつかない。

 

「当たらないのなら当てればいい、だろ?ハンドガンで止めて月光で斬るってコンボみたいなもんだ。」

「げ、月光?」

「取り敢えず無理矢理にでも当てりゃあいいんだよおおお!!行くぞおおおお!!!!」

「は、はぁ………」

 

ノリノリなカリスマ社長に、付いていけない秘書兼元社長兼ロリコン兼パーツ開発部部長のスーパーMob、ワカは苦笑いを浮かべるのであった。




リリウムの出番、どうするべきですかね?
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