アスピナの傭兵がISの世界で頑張るようです【リメイク】 作:AIthe
え?今回?
今回は特に意味もない話です。
「んん?むむぅ…………」
ジョシュアは、病院にて今世紀最大級の戦いに挑んでいた。
そう、彼女が現在戦っているものはーーー
(これ、どうやって食べるんだ………)
目の前に出された料理であった。
彼女がこんなにバカバカしい事をしているのにも、一応理由がある。
(ナイフとフォーク……いや、どうやって使ったっけ…………)
彼女は、ナイフとフォークを使って食事を摂る事が出来ない。勿論、それに限った話ではなく、箸も使えない。と言うより、箸そのものの存在を知らない程だ。
彼女は元々AMS実験の試験体だ。普通の住人よりは待遇がいいが、逆に言えばそれだけなので、食事などはコロニーに住む住人と同じで、液体化された栄養剤と、タブレットの様なものしか食べた事がない。
小さい頃にフォーク位を使った事がある気もしなくもないが、そういうレベルだ。リンクスになった後も、その食生活は変わらなかった。勿論、普通のリンクスなら企業所属なので、貴族と同じ様な待遇は受けていたはずなのだが。
故に、今目の前に出された食事に手を付けられずにいる。
見るからに硬そうなパンに黄色いスープ、カットされた野菜、それに黄色くて四角い何かがパンの横に添えられている。一応スプーンが置いてあるが、スプーンをどうやって使うのかが分からない。
(毒………は入っていないよな?)
幕の張ったスープに指を近づけ、そして触れる。指先に黄色い液体が付着し、それをペロリと舐める。
(………美味い!)
野菜的な甘みと、科学的な刺激が同時に舌を伝わる。味わった事のない自然的な甘みは、彼女に舌鼓を打たせた。
白い皿をガッシリと掴み、酒杯を飲み干すかの様にググッと飲み切る。皿を乱暴に置き、パンを鷲掴み、勢い良く噛みちぎる。
「がふっ!がほほ……
乾燥したパンが、口内の水分を奪い、思わずむせる。
「……
ドイツパンだけだと味がせず、がっかりとするジョシュアであった。
◆◆◆◆
「失礼しまーす。」
「遅かったな………言葉は不よ「いやどう考えても必要だからね!?」
入って来たのはあの少年、織斑一夏だ。手には紙袋を持っている。
「記憶……戻ったか?」
「全然、ま、無くとも問題ないけど。」
彼女は、設定上“記憶喪失”という事になっている。記憶喪失の中でも一部が抜け落ちる様なタイプで、ISの事や、日常生活の一部、そしてエピソード記憶の殆どを失った。という設定だ。即興で考えたので、所々抜けているはずだが、記憶喪失の言い分だ。矛盾するのは致し方あるまいと思ってくれればなお良い。
ISの事を知らなかったというのもあり、信じてもらう事が出来た。それに、織斑千冬は相当な有名人らしく、それを知らないという事も重なり、信憑性が増したのだろう。
本題に戻ると、織斑一夏は使いパシリをさせられていた。ISのボディーブローを喰らった彼女の身体はまだ万全とは言えず、その上身元も不明の為に外出は禁止されている。
だから、彼に頼んで買ってきてもらったのだ。
「ほらよ、これでいいのか?」
「ああ、ありがとう。」
それはISについて書かれた本だ。「基礎中の基礎編」と書かれているが、既にその厚さは辞書を超えている。
「お、オブライエンは「ジョシュアでいい。」
「………ジョシュアはISの操縦者になりたいのか?」
「いや、今の所アーキテクトに。」
アーキテクトとは、
つまり、開発をしないIS技術者の事指すのだ。
ISに関係する仕事の人口で、二番目に占めるのがこの職だ。基本的に開発者に成れなかった者がなる職として有名だが、一部は天才アーキテクトとして、雑誌で特集を組まれる程にもなる者もいる。
「へぇー、なんでアーキテクトになんてなりたいんだ?」
「………あまり戦いは好きじゃないのでな。しかし、ISには関わりたい。整備では生ぬるすぎるし、開発者はレベルが高過ぎる。だから、アーキテクトにでもなろうかなと。」
彼女は、目的が無い戦いにはやる気が出ない。しかし、ネクストの様な機械に触るのは好きだ。この新しい世界に来て、ISと呼ばれる兵器に触らないなど、何かバチ当たりな気がする。
「そ、そうなのか………」
「どうした?えっと……イチカだっけ?」
何故か残念そうな声を出す。
「いや、俺って守られてばかりだからな……って…………」
継ぎ足さずとも、彼の言いたい事は分かる。最も簡単に攫われ、姉に助けてもらう自分が情けないのだろう。
「守られてるってのは、お前が愛されてる証拠だ。」
彼女は微笑みながら、諭す様に話す。しかし、彼はそれを理解はしているが、納得はしていない様子だ。
彼女は続ける。
「……それに、守るってのはな………」
「………守るってのは?」
「まず自分を守る事が出来ない奴に、誰かを守る事なんてまず無理だ。」
彼の口からギリっという音が鳴る。
(だが…………)
「まあ、私が人の願いを邪魔する筋は無い。それが一夏の夢なら、応援くらいならしてやろう。」
呆気に取られた顔をする一夏。
「………まあ、少し位は手伝ってやってもいい。」
「本当か!?」
「………勘違いするな、お前の為じゃない。私の鍛錬に付き合ってもらうだけだ。」
決してデレてなどいない。ツンデレとかそういう訳じゃない。ただ、目の前の少年に協力してやってもいいと思っただけだ。
(あれ?これツンデレじゃね?)
自分の行動を深く省みるジョシュアであった。
◆◆◆◆
「そういう訳で、一ヶ月したらジョシュアは日本に来てもらう。」
「何がどうなってそうなった?それと日本って何処だ?」
織斑千冬はベットに座っていた。本来はジョシュアが寝ている筈なのだが、彼女は窓際に椅子を出し、腰掛けている。早くも、ベットの上の生活に飽きたらしい。ベットの横には本が山積みになっており、そのどれもが辞書並みに厚い。その途中途中に、一夏の持ってきた様々なジャンルの漫画があるのは、彼女だけの秘密である。
「取り敢えずお前は身元不明の為、私の家で預かる事にした。」
「私はジョシュア・織斑になるのか?」
「いや、そういう訳ではない。何せ、名前だってお前の覚えている数少ないものの一つだろう?」
「まあ、それもそうだ。」
納得したように話すジョシュア。
(この少女……一体…………)
彼女は内心恐怖していた。この煌めく白髪を棚引かせ、蒼く全てを見透かした様な瞳を持つこの少女に。
自称記憶消失のこの少女は、何処と無く怪しい。というより、怪しすぎる。嘘こそ吐いている様には見えないが、やはり一番の要因はーーー
(IS相手に生身で戦うとは………)
ISとは、全ての兵器を過去にした世界最強の兵器だ。彼女はそれを知らなかったらしいが、どちらにせよ、彼女からすれば見た事もない兵器に生身で挑んだのだ。ただの馬鹿と言うべきか、それともーーー
「まあ、どちらにせよ…敵意は無いしな…………」
「何か言ったか?」
「いや、特に………そういえば、日本ってのはな…………」
所謂タブレット型のケータイを取り出し、マップを開く。
「何だそれは?」
「ケータイだ。」
「……………無線機みたいなものか?」
「……それに色々な機能がついたものだ。」
そう言い、彼女に画面を見せる。ケータイも知らないとは何時の時代に生きていたのか。
そのあまりの世間知らずさに、彼女はある人物を連想させる。
(ラウラ・ボーデヴィッヒ………)
ラウラ・ボーデヴィッヒ。ISの無断使用の罰として、昨日から一年間教官を務める事が決まった部隊ーーーシュヴァルツェ・ハーぜの隊員の一人だ。
写真で見たところ容姿はいいが、レポートに書かれている成績や評価はどれも悪いものだ。
「ISの操縦が不得意」「世間知らず」「協調性が皆無。」など書かれているが、中でも彼女の目を引いたのがーーー
(
ドイツの発明品の一つで、試験管で人間を育て、薬物やナノマシンの投与で強化するというものだ。非道な実験としてマスコミに叩かれ、中止となった。が、それは形上のもので、実験はその後も続けられた。そして、完成したのが彼女なのだ。
目の前のジョシュアと名乗る少女は、ラウラに似ている。髪色も近く、見たところの年齢も近い。もしかしたら、その失敗作が逃げ出したのが彼女なのかもしれない。
「おい、チフユ。聞いているのか?」
「す、すまない。聞いていなかった。」
「早く地図を見せてくれ。」
「あ、ああ。」
世界地図を開き、画面を向ける。
「………何処だ?」
「ここ。」
日本を指差すと、とても驚いた様な顔をし、こちらを見る。そのアホっぽい顔に、思わず笑みが零れる。
「……小さい……………」
「まあそれは否定しないがな。」
(まあ、信じてやるのも………いいのかもしれんな。)
こうしてジョシュアは、知らぬうちに彼女の信頼を得たのであった。
つまりジョシュアがさいかわだという事。QED証明終了!
ラウラが名前だけ出させてもらいましたが、まだ出ません。期待した方すいませんでした。