アスピナの傭兵がISの世界で頑張るようです【リメイク】 作:AIthe
コジマ「さ、さあ?」
主任「暫く出番ないんじゃない?キャハハハハハ!!」
ジョージ「今回は俺だから。」
全員「誰だよ。」
彼女はトレーニングルームに来ていた。初めて病院から出たのだが、どうやらここ一帯が複合軍事施設の様で、遠くの演習場から炸薬が爆発した音が聞こえる。
「ふん………ふん!」
他にも娯楽施設やジム、ショッピングモールさながらのショップが立ち並んでいた。
(軍事施設にこんなものが必要なのか……ねぇ?)
「ふん!……ふん!」
それもこれも、全てはISの影響だ。世界最強の兵器とこの軍事施設の状況の関係を一言で表せば、“女尊男卑”だ。
ISについて簡単に説明すると、製作者は篠ノ之束。理由は不明だが、女性にしか扱えず、加えてそれを知るはずの製作者は逃亡。その中核を成す“コア”が467個しか存在しない為、実質IS自体はこの世に467機しか存在する事を許されていない。
ISが発表されて以降、国々はISの開発、研究に必死になり、軍も自ずと女性が増えた。国々は自国のISの利点を取り上げ、世界に発表する。そうした内に、世界はISが使える女性に利がある世界へと変わっていったのだ。
この施設も、その影響を受けている。ISを後ろ盾に、次々に操縦者は言いたい放題になり、その結果、この様に軍事施設と名乗る相応しくない場所へと変貌を遂げてしまったのだ。
「ふぅぅぅん!」
話を戻すと、現在彼女は筋トレをしている。ベンチに座った状態から、ダンベルを持った右腕の肘がそれぞれの太ももに当たる様にし、息を吐きながら肘をゆっくりと曲げていく。重さは10kgといったところだ。リハビリついでなので最初は5kgにしていたのだが、「筋肉をイジメ足りない」と判断し、より重い物を使っているのだ。他のジム利用者は、その新顔をガン見していたが、彼女は気付かない。十数歳にしか見えない少女が、顔を真っ赤にして筋トレをしているのだ。それに加え彼女の髪色はとても目立つので、目線を惹いてしまうのは必然だった。
筋肉は相当衰えており、この程度の重さで息が切れてしまう。
(この衰え……なんとかしなければ…………)
そんな彼女に、一人の男が声をかける。人の気配に気づき、近づく男を横目で見、床にダンベルを置く。
「おい、お前はどこの配属だ?」
「…織斑千冬のゲストだ。」
そう言い、首にかけたIDカードを見せる。この場所では様々利用状況をIDで管理しており、彼女の様な特例はゲストとして扱われ、期限付きでこの施設を利用する事が出来るのだ。
「これは失礼した。私はジョージ・オニールだ。よろしく。」
「ジョシュア・オブライエンだ。」
目の前の男がニヤリと笑う。180近くあるのではないかという身長の彼が小柄な彼女に手を差し出しているのは、何処と無く親子の様にも見える。握り返すと、彼女の手は大きく、そして暖かいその手に包み込まれた。
「お嬢さん、それでは、カフェにでもどうだ?」
「ジョシュアでいい。そうだな………疲れたし付き合ってやろう。」
手を振り払い、ニヤリと笑い返す。そして、二人はカフェに向かっていったのであった。
◆◆◆◆
ジョージ・オニールは確実にその少女に惹かれていた。それは恋や劣情ではなく、“友”という意味で。
彼女の容姿は確かに見る人の目を惹くものがある。その流れる様に艶やかな白髪に、それなりにしまった身体。そして、その蒼い瞳。
しかし、彼は彼女の容姿では無く、その瞳が語りかける彼女という人間性に惹かれたのだ。
(この娘……只者ではない。)
彼の目の前で危なっかしくココアを飲む少女は、こんな可愛らしい姿をしているが、中身は別物だ。
話しかけた瞬間、彼はその行為を後悔した。一瞬の刺さる様な気迫は、歴戦の闘士を思わせるものだった。こちらを向いた彼女の瞳には、蒼く澄んでおり、見惚れてしまった。それと同時に、何かを見透かされている様にも感じた。
彼は一種の高揚と同時に、恐怖を覚えていたのだ。
そして、彼は思った。この少女の事をもっと知りたいと。
それに加え、彼女の名が、かの伝説ーーーアスピナの傭兵、ジョシュア・オブライエンと同姓同名というのも、その高揚に拍車をかける要因になっていた。一応は、彼もあの戦場を生き抜い端くれなのだから。
彼の目の前にはまだ暖かいコーヒーが置かれている。白髪の少女はココアに興味津々で、彼には目もくれない。
少しするとそれも飲み干し、何故か残念そうに肩を落とす。そして、頬杖をつき、こちらをけだるそうに向く。
「“ここあ”といったか、とても美味しかった、ありがとう。」
「はいよ……で、お前は何故ここにいるんだ?」
適当に話題を振る。
「実は、織斑千冬に誘拐犯と間違われて襲われてな……」
「ほぉ、それは災難だ。」
織斑千冬の弟と同じくらいの歳に見えるので、モンド・グロッソ観戦帰りの宿泊施設と利用しており、職権乱用かと思ったが、逆にこれはこれで問題である。織斑千冬に襲われる事を想像するだけで、身の毛がよだつ。
「よく生きてたな。」
「……最後のアッパーが効いてれば勝てたんだがな…………」
「ほお………」
彼女は今だに気だるそうだ。
「そんな事があり得るのか?」
「まあ、まともなダメージを与えられる武器があれば倒せないなんて事はない。勿論、可能性は高くないがな。」
彼にとって、その言葉は衝撃的過ぎた。虚言かもしれないが、そんな嘘をつくメリットも見受けられない。
「そうか…………」
ISを人間で倒すなど、普通では考えられない。不可能だと断言してもいい位だ。
「で……カフェに誘った理由は何だ?理由があるんだろう?」
「んまあ、実はーーー」
◆◆◆◆
話によると、彼ーーージョージ・オニールは、現在ドイツの交渉人で、元職は企業の仲介人だったそうで、その腕を見込まれ、国に雇われたそうだ。最初こそ待遇が良く、仕事もやり甲斐のあるものだったが、ISが発表された現在ではその仕事内容は酷く、男というだけで交渉に問題が生じる程だ。腕こそいいのでギリギリ解雇はされていないものの、いつ首を切られても仕方がないらしい。
軍事施設内の待遇も悪く、女性上層部の癪に触ればどうなるかたまったものではない。現在男性職員は、訓練時や仕事時以外はトレーニングジムを拠点に活動している人が殆どだそうだ。基本的に、こんな暑苦しいジムに女性職員は来ないからだ。
しかし、そんな横暴な女性職員の中にもまともな人物がいるらしい。
その人物の名はクラリッサと言うらしい。ISを配備された部隊の隊長をやっているそうで、男の彼を尊敬し、「師匠」と呼んでくるらしい。
「それで、彼女に誕生日プレゼントをあげたいのだが。」
「…………」
(どうしてこうなった…………)
最初は男尊女卑による彼の待遇の悪さを延々と語られていたが、途中から愚痴に変化し、何故か最終的には彼が可愛がる部下らしき人物の誕生日プレゼントについて相談されていた。
どういう流れでこうなったのか分からないが、本筋から外れすぎている気がする。
仕方がないので、軽く考える事にした。
考えるといっても、そもそも彼女はこの世界の事を良く知らないので、考え様が無い。知っている事と言えば、ISの基礎知識か、一夏の持ってきた日本の漫画とやら位しかない。何故一夏がドイツに日本の漫画を持ってきているのかは、突っ込んではいけないところである。突っ込んではダメ、絶対。
「………そんな事言われてもな……考えておく。」
「すまないな………っと、これが俺の番号だ。何かあったら連絡して来てくれ。」
メモ用紙に数字を書き連ねられ、それを渡される。これをどうすればいいのか分からないが、とりあえずはジャージのポケットに突っ込む。
「では、思いついたら連絡する。」
「分かった……ではな。」
彼はそそくさと去っていった。
それと同時に気付く。
「あいつ……金払わねえで出て行きやがった!?」
◆◆◆◆
店員に頼み、織斑千冬に連絡を取って何とかなったが、危うく無銭飲食をしでかしてしまうところだった。
現在は病室に戻り、ごろごろとしている。この個室には誰も居らず、置いてあった本も全て読み切ってしまったので相当に暇である。
(案外慣れるものだな……)
数日経ったが、この世界には馴染みつつあった。まだまだ知らない事は沢山あるが、それでもここまで馴染めるのは驚かされるものがあった。
(着替えるかな…………)
カフェにて汗は引いたが、それでもこの湿った服を着ているのには抵抗があった。無論あちらの世界でそんな贅沢は出来ないが、折角織斑千冬が用意してくれた寝巻きかあるのだ。贅沢してもバチは当たらないだろう。
そう思い、服を脱ぎ捨て、パンツ一丁になる。白く華奢な身体が現れる。少し悩み、トランクス型のを一枚引っ張り出したその時ーーー
「ジョシュアー!頼まれたもの買ってきーーー何だその格好!?」
「一夏か、そこに置いておいてくれ。」
「うわぁぁぁ!」
奴がやって来た。そのままパンツに手を掛けると、扉がバタンと閉まってしまった。彼には、この格好は少し刺激的過ぎたのかも知れない。
(ま、こんなまな板では関係ないがな………)
スルスルという布擦れ音と共に、ゆっくりとそれが上がっていく。スウェット生地のパジャマを召し、「入っていいぞ」と声を掛ける。
「し、失礼しまーす。」
恐る恐ると入って来る。その顔はほんのり赤く、未だに照れている事が分かる。
「お前は生息子か。」
「き、きむすこ?」
「そんな言葉も知らないのか?」
一夏とジョシュアは肉体年齢こそ近いが、それ以外は全くもって同じ舞台ではない。語彙などは、完全にジョシュアの方が上である。
「………そういえば一夏、誕生日に女の子が喜ぶ事って何だと思う?」
「………え?」
「今日話した男に娘の誕生日に何をあげればいいかと相談されてな。」
概要だけをそのまま伝える。一夏程世間に浸っていれば、これ位の事は常識的に分かるだろう。と、思ったのだがーーー
「そんな事俺に聞かれても………」
「役に立たない男…………」
「酷っ!?」
とっても役に立たない奴であった。しかし、少しすると彼の口から興味深い言葉が飛び出す。
「そうだな……少女漫画でいいんじゃないか?」
「何だそれは?」
「女の子がイケメンとドキドキな恋をする漫画だ。」
聞いた感じでは、「凄く」の後にもう一回「凄く」と付きそうな程つまらない気がするが、彼の言う事は多分正しいのだろう。
「参考になった。ありがとう。」
「ど、どういたしまして?」
画して彼女は、ジョージに教えるべき情報を入手したのであった。
4000文字を越した………だと?
「足掻くな、(4000文字行かない)運命を受け入れろ」と、心の中のアマジーク兄貴が言ってたのに!!