アスピナの傭兵がISの世界で頑張るようです【リメイク】   作:AIthe

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ポール「私達の出番だ。」
主任「ま、当然の結果だよねぇ〜?キャロりん?」
キャロりん「主任、私は出ていますか?」
主任・ポール「出ないよ。」
キャロりん「」


第7話

あれから1週間が経った。織斑千冬はドイツに戻ってしまい、家の事は2人で切り盛りする事になった。彼女は去り際まで楽しそうに笑っていた。

あの夜からブラコンが加速した気もするが、ジョシュアには害がないから何の問題もない。

一夏が学校に行っている為、家では基本的に1人だ。家でゴロゴロしているだけでは某暴食シスターや、某騎士王になりかねない。ISの勉強以外の時間は家事をやっている。尤も、一夏に教えてもらった掃除と皿洗いしか出来ないが。

 

(暇だ…………)

 

故に、時間を持て余していた。勉強も今日のノルマは達成し、やる事が無かった。正確に言えば、この家を探索すれば興味を引くものばかりだと思うのだが、それで何かを壊したとなればたまったものではない。

 

(外出するか…………)

 

せっかちな彼女は我慢出来ず、外に出る事にした。

ガス、電気、窓等を確認し、机に「外出します」とメモを書き残す。取り敢えずジーンズとシャツ、上にパーカーを羽織り、1000円しか入っていない財布をポケットに入れ、首から鍵をぶら下げる。

 

(よし、準備万端!)

 

サンダルを履き、外へ飛び出す。外出というのは久しぶりなので、彼女にとっては外に出るだけで新鮮だった。全ての色が鮮やかに見えたといえば言い過ぎかもしれないが、彼女はそれくらいウキウキしていた。

 

(どっちに行こうかな?)

 

取り敢えず真っ直ぐ進む。少し歩くと、前に一夏と買い物をした店が見えてくる。

 

(取り敢えずあそこを見るかな?迷うと困るし。)

 

そう思い、その足を踏み出した瞬間ーーー

 

「ジョシュア・オブライエン。少し話がある。」

 

彼女の肩を掴んだ正体は、場違いな格好をした大男であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

(何だこいつは?何処から出てきた?)

 

その男は、彼女の警戒を上げるには十分過ぎた。まず、その姿。場違いなスーツ姿に、首元から水着と同じ素材で出来た何かが覗いている。恐らく、ISスーツに似た何かである事は明白だった。男がISスーツを着るなど普通では変態でしかないが、その素材は銃弾さえ防ぐという優れ物だ。同じ素材で出来た男用の防弾スーツがあっても何らおかしくはない。

そして、彼女が警戒した最大の要因。それは、男の気配だ。肩を掴まれる程接近されていたにも関わらず、全く気付けなかったのだ。浮かれていたという事を考慮しても、相当な強者である事は間違いないだろう。

目元を細め、その男に問う。

 

「話ってなんだ?」

「ここでは話せない。付いてきて貰おう。」

 

睨み付けられ、こちらを睨み返す。その手を振り解き、一回頷いて承諾する。「付いて来い」と手で合図され、それに従う。警戒を怠らずに付いて行くと、閑散とした裏路地に入る。危険を判断し、そこで立ち止まる。

 

「これ以上は従えない。ここで話してもらおう。」

「ならば………力尽くでも。」

「ーーー!?」

 

その殺気に当てられ、瞬間的に身を引く。腕から滑る様に飛び出したナイフが彼女の頬を掠め、血が伝う。

その一撃で警戒度を最大まで上げ、臨戦態勢に入る。その片手を地面に着き、目の前の敵に狙いを定める姿は、戦士と言うより、寧ろ獣に近い“何か”であった。

危険を感じたのか、男が胸元から拳銃を取り出し、素早く構える。

 

「動けば撃つ。」

「…………なら、それ以上疾く動くまでだ。」

 

地面を蹴り飛ばし、自らの身体を跳ね飛ばす。それと同時に乾いた音が響き、弾丸が顔を横をすり抜ける。逆側の足で更に蹴り飛ばし、彼目掛け身体を飛ばす。

 

「はあっ!」

「くうっ!貴様ぁ!」

 

足を思い切り振り上げ、拳銃を蹴り飛ばす。そのまま撥ね飛び、鳩尾目掛けて拳を繰り出す。

 

「ふんっ!」

 

拳と拳がぶつかり合う。現状況の不利を判断し、相手の勢いに合わせて後ろへ飛ぶ。

 

「………やるな。」

「それはこちらの台詞だ。」

 

首にかけた家の鍵を引きちぎる。全力で駆け、再びその拳を繰り出す。

 

「おおおおお!」

「甘いぞぉ!」

 

拳の先にはナイフが待ち構える。その刃先が皮膚に触れる直前ーーー

 

「ここだぁ!」

 

拳を引っ込め、、逆側の手に隠しておいた鍵を勢い良く振り上げて衝突。金属音と共に、ナイフの軌道をずれる。

その隙間にステップで踏み込み、弓を引き絞る様に身体を使って拳を構える。

 

「おおおおおおおお!!!」

 

その一撃をガードしようと、男が身構えるしかしーーー

 

「なっ!?がぁっ!!」

 

地面に手を着き、その勢いを殺さずに、身体を逆さまにしたまま手を中心に1回転。不意打ちでその顔を蹴り飛ばす。男は脳が揺らされ、足がおぼつかない様子だ。

 

「………ここまでか。」

「う……おおおおお!!」

 

フラついた身体で、殴りかかってくる。それを回避し様と横に重心を逸らした瞬間ーーー

 

「隊長ぉ〜、仲間外れは良くないなぁ〜」

 

何者かの声、そしてーーー

 

「オレも仲間に入れてくれないと。」

「主任!貴様ーーーがはぁ!」

 

何処からか飛んできた銃弾が、彼の胸を貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

「主任……貴様は……貴様ら……何者だ………」

 

彼女の目の前には、血だまりと、その上に先程の男が倒れている。何処からか飛んできた弾丸に貫かれた彼は、撃たれた位置的に即死とはいかないが、大きくダメージを負ったのは確かだろう。

そして、突然聞こえた声。彼の胸元から聞こえた様な気がしたが、仲間を撃つというのはおかしすぎる。

 

(裏切りか?)

 

それを考える隙を与えず、さらなる宣告が告げられる。

 

「じゃあ、もうちょっと遊ぼうか。」

 

やはり、その声は彼の胸元から聞こえてくる。胸元を広げると、小型の通信機やら何やらが纏めて入っている。それを引き千切り、奪い取る。

手に取った通信機に、ノイズが走る。

 

「見せてみな、お前の力をさ。」

 

ノイズが消え、彼女の髪を弾丸が掠め、それが新たな戦闘の開始を知らせる。弾丸の方向を視認し、建物を盾にして作戦を練る。

 

(一発でも喰らえば死ぬ………か………それに…………)

 

恐らく防弾スーツを着ていたあの男を貫通する程の威力。そんなものを喰らえば、下手したら周りの肉ごと持っていかれる。そして、アンチマテリアルライフルに似たそれよりは威力が低いが、音は全くしない。そして、何よりも発射のペースが遅い。そう考えると、高威力のスナイパーライフルか何かであると予想出来る。

となると、敵の位置は500m圏内、下手したら2kmを超える可能性も発生する。

それは相当な脅威だが、逆に考えれば狙撃を出来る地点と方向を割り出せば、相手の位置は絞れる筈だ。

そして、その男が残した言葉だ。“貴様ら”と言っていた。そうなると、敵は最低でも2人以上いる事が考えられる。この男が何処の出身で、何故狙撃されたのかはわからないが、相手は大きい何かという事が分かる。

壁に沿いながら、全力で駆け出す。敵に見つからぬ様に隠れながら、周りのものを動かさぬ様に。

少し進むと、T字の角が見えてきた。見たところ、その先はここよりは開けた場所だ。危険は伴うが、敵の居場所を完全に特定する事が出来る。

 

(3……2……1……行け!)

 

地面を蹴り飛ばし、わざと自分を見せる様に躍り出る。それとほぼ同時に、後ろにあったゴミ箱が吹き飛ぶ。中身が撒き散らされ、異臭が漂って来る。

 

(……そこか!)

 

彼女の視界には、ある高層ビルが建っている。その一番上、屋上からキラリと何かが輝き、同時に感じた危機感と共に前に飛び跳ねる。彼女が居た場所に弾丸が撃ち込まれ、肝を冷やす。

距離はおよそ700mといったところだ。走れば行けない距離ではない。

ジグザグに身体を揺らしながら、全力で駆け出す。不規則に身体を動かし、被弾を避ける作戦だ。

彼女が居た場所、移動すると思われた場所、身体の横を、弾丸の雨が降り注ぐ。先程よりも発射周期が速い。

 

(………行けるか?いや……)

 

ビルから看板や自動販売機を直線上に置く様に移動し、相手のスコープに映らぬ様に移動。このままなら、ギリギリで着けると思えたがーーー

 

「大通りか!くそっ!」

 

咄嗟に自動販売機の後ろに隠れる。ここから数歩先は、大通りとなり、ここを渡ればビルは目と鼻の先だ。逆に取れば、ここが最難関という事だ。

 

(そうか………なら!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

主任と呼ばれた男は、彼女の思惑通りビルの屋上で大きなスナイパーライフルを構えていた。彼はそこから微動だにせず、今から出てくるであろうジョシュア・オブライエンという人物を狙い撃つつもりだ。

 

「主任、どうしてこの様な事を?」

「ま、もう委員会には興味はないけどね〜面白そうだからさ?ほら、ちょっとお手伝いをね?」

 

耳元から聞こえるノイズの混じった声に、愉快な調子で答える。

彼は、あの白髪の少女が何者なのか知らない。容姿を名前を知っている位で、他の情報には目もくれない。

最初は、IS委員会が派遣した犬ーーーポール・オブライエンが失敗した時の後釜でしかなかったが、今は違う。

彼は、彼女に興味が湧いた。瞬きの間に既に懐に入る、閃光の様な速さの彼女に。IS委員会直属の対人部隊の隊長である男に武装無しというハンデを物ともせず、ほぼ無傷で勝つ程だ。その実力は計り知れず、自分が勝てるのかさえ分からない。しかし、そういう勝負だからこそ得られる悦びもあるのだ。

 

(……………)

 

スコープには、彼女が隠れている筈の自動販売機が映っている。人気の無い路地裏を見張っているのは、いささか気分が悪い。

しかし、幾ら待っても出て来ない。自動販売機前は音沙汰無しだ。

 

(………迂回された?)

 

少し左を見ると、其処にも路地裏の出口がある。その事実に青ざめ、スコープの倍率を下げてクリアリングを始める。

 

(い、いないだと?)

 

直ぐに通信機を立ち上げ、連絡を繋ぐ。

 

「主任、今どちらに?」

「キャロりん?路地裏の何処かに白ーい鼠が逃げにゃってさー、空から探してくれない?」

「分かりました、少々お待ちを。」

 

通信が切れ、クリアリングを始める。が、敵が何処にいるのか、検討もつかない。覗いていた限り逃げられたという事はない筈だ。そう考えると、やはりまだ自動販売機の後ろに隠れている可能性が高い。

 

(根競べか?いいセンスしてるねぇ全く………)

 

再度通信が入り、通信機を立ち上げる。

 

「キャロりん、どうだった?」

「主任……それが…………」

 

彼女の口から、衝撃的な言葉が飛び出した。

 

「いないです。」

「…………あ?」

「敵は上空からは視認できません。何処か建物の中かと思われます。」

 

そんな筈がない。彼女はあそこにいる筈なのだ。

 

「本当にいないの?」

「いるよ。お前の後ろにな。」

 

乾いた音が、誰もいない屋上に響き渡った。

 




ポール「」
主任「」
キャロりん「」
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