アスピナの傭兵がISの世界で頑張るようです【リメイク】   作:AIthe

8 / 11
一夏「ジョシュア、お使いの駄賃をやろうではないか!」
ジョシュア「キャラがぶれてんぞ。で、幾ら?」
一夏「50円だ。」
ジョシュア「…………」


第8話

ジョシュア・オブライエンには勝算があった。勿論状況は不利で、あちらが圧倒的なのは事実だ。しかし、それは相手の“慢心”を引き出す事ができる。少しでも相手の目線を外せれば、ここを渡り切るだけなのだから。

 

(さて、根競べだ………)

 

先の男から奪い取ったメッシュ素材のポータブルケースを取り出す。中には、小さく折り畳まれた色々なものが入っており、その中に一つ、運良く小型の双眼鏡が入っていた。自動販売機と塀の隙間から、あちら側を覗く。携帯用の為良く見える訳ではないが、無いよりはよっぽどマシだ。

 

(構えているな…………さて………)

 

何時でも走れる様に構えながら、双眼鏡を覗く。敵の大まかな形を視認し、次の動きを待つ。

暫くすると、銃身が少しだけ動いた。あれは見るからにブレではなく、クリアリングをしている事が分かる。

 

(………よし、探しているな?)

 

そこに、決定的な動きが現れる。なんと彼は銃身から手を離し、何かを手に取った。

 

(ーーーー来た!)

 

その場でターンし駆け出す。車が直ぐ横に現れるが、形振り構わず走り抜ける。直ぐにビルの入り口に着き、透明な扉が開き、中に飛び込む。

受け身を取り、直ぐに立ち上がる。目の前にはカウンターと、口をぽかーんと開けた女性がいた。カウンターには「ホテルアマジーク」と書いてある。

 

「すまない、屋上には行けるのか?」

「す、すいませんお客様。屋上は別のお客様の貸切になっておりまして………」

「すまない。」

「あっ、お、お客様!」

 

女性の制止を振り切り、丁度開いたエレベーターに乗り込む。乗客が外に出たのを確認し、扉を閉める。

一番大きな数字を押し、「閉める」を押す。扉が閉まると、小さな駆動音を鳴らしながら、エレベーターは駆け上がる。上からの圧力を感じ、心地悪くなる。

 

(さて…………)

 

扉が開くと、目の前には壁があった。左右に大きく廊下は伸びており、全体でコの字を描いている。コの字の左側に回ってみると、その先には壁しかない。それは、行き止まりを意味していた。

右側に回ると、白い看板と、非常口のマークが見える。走ってそこに向かい、思い切りその扉を開ける。

 

「おらっ!」

「げふうっ!」

 

目の前には先程とは別の男がいた。反射的に鳩尾を殴ってしまい、男がその場に倒れこむ。手から拳銃が溢れ落ち、それを拾って階段を駆け上がる。

そして、一番上に着く。銃を構えながら音を立てぬ様に扉を開き、ゆっくりと閉じる。少し先には男が立っており、耳元に受話器の様なものを当てている。

 

「本当にいないの?」

「いるよ。お前の後ろにな。」

 

銃を頭に突きつけ、引き金に指を当てる。受話器の様な何かから声が漏れて聞こえるが、男はそれを無視し、両手を挙げる。

 

「目的は、元々お前を仕留めようと思っていた。」

「“思っていた”?今は?そして仕留ようと思っていた理由は?」

「順々に説明しよう、だから、その銃を降ろしてくれない?」

 

降ろしてやると、男はスナイパーを降ろし、その上に座る。そして、彼女を狙った理由を話し始める。

狙った理由ーーーそれは至ってシンプル。織斑千冬にマイナス方向の影響力があるからだ。細かく話すと、“織斑千冬への影響力を調べ、それが悪いと判断したら仕留める”というIS委員会の意向だそうだ。マイナス方向の影響とはどういう事なのかははっきりしないが、恐らく彼女が国家代表を辞めた事と何か関連があるのだろう。

そして、今の目的。これはよく分からないが、兎に角彼女を“見定めたかった”らしい。その意味は分からないが、悪い意味ではないのだろう。

 

「で、どうする気だ?」

「そうだね〜………ジョシュアっていったっけ?」

「………それがどうした?」

「ISの委員会辞めるからさ、仲間にしてくんない?」

「…………」

 

IS委員会を辞めてまで、この男は何をする気なのか。仲間と言われても、彼女に交戦の意志はない。有難い話だが断ろうと、そう考えたのだがーーー

 

「夢とかないの?夢?」

「目指しているものならあるぞ。」

「なら、それ手伝うからさ!」

 

そう言われると、少し惜しいと思ってしまう。確かに、彼女の能力ではアーキテクトになるのには実力不足だ。師を仰げれば、それに越した事はないのだ。だが、彼女の様な初心者を受け入れてくれる人物がいるとは思えない。

 

「悪いけど、断らせて頂く。」

「そんなぁ〜、面白そうだったのにねぇ?ハハハハッ!!!」

 

高らかに笑い、武器を片付け始める。スナイパーライフルはケースにすっぽりと収まり、通信機を鞄に入れて肩に下げ、帰り支度を始める。

 

「んじゃ、またねぇ〜!」

「おい!私はーーーー!!」

 

彼は彼女を無視し、そこを出て行ってしまった。

 

「何だったんだあのキチガイ……」

 

彼女は、呆然とそこに立ち尽くすばかりであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

家に帰り扉の前で待っていると、直ぐに一夏は帰って来た。家の鍵はナイフを弾いた後に無くしてしまった。彼に無くしたと伝えると、「一ヶ月間煎餅抜きだからな。」と言われてしまった。煎餅が食えないなどこの先生きのこれない。

それから数日が経ったが、特に何があったという訳でもなく、至って平和であった。家事も少しづつ覚えて、目玉焼き位なら作れる様になった。彼女にとっては大きな進歩だが、一夏曰く「筋はいいけど、まだまだ練習不足」だそうだ。年齢がふた回り程下の奴にとやかく言われようが、実力が下では言い返す資格などない。今は、大人しく従う事にした。

彼女の平穏を脅かしたIS委員会というのを調べてみると、名目上は普通の国際委員会と何ら変わりはなかった。しかし、上辺だけ“ISの平和的使用”などと取り繕っていても、ISなんぞ所詮は兵器だ。兵器をいくら着飾っても、それは人殺しの道具なのだから。まあ、考えても仕方のない事は分かっているし、対策としても次から周りにもう少し気を配る位しか出来ない。考える事を放棄した訳ではないが、意味の無い事はやりたくない。

話が戻って現在。彼女は部屋で何時ものようにゴロゴロとしていた。しかし、今日は何時もとは違う。

 

(早くしてくれないかなぁ……)

 

せっかちな彼女は少しイライラしていた。今日は家に一夏の友人が遊びに来るらしく、彼女もそれに誘われたのだ。最初こそ断っていたものの、余りのしつこさにうっかり承諾してしまった。約束を破る訳にはいかないので、今は家にいる。というのは名目で、現実は外出が面倒だから家にいるだけだ。本当なら、今すぐすっぽかしたいところだ。

 

(遅いぞ全く…………)

 

そんな事を考えていると、ギィィという音を立てて建て付けの悪い扉が開く音がする。キャッキャキャッキャした声が聞こえる。雰囲気的に、2人よりは確実に多い。

足音が段々と近づき、居間の扉が開かれる。開いたのは一夏ではなく、見知らぬ誰かであった。

 

「………あんたがジョシュア?」

「…そういうお前は誰だ?」

 

不機嫌そうな顔で、こちらを見下げてくる。身長的には勝っていると思われるのだが、こちらは寝転んでいる為そういう風に見えてしまう。

その少女は黒髪ツインテールに青い瞳を持ち合わせており、その顔つきがまともだったら可愛いと素直に言えるだろう。

対するジョシュアは可愛いという部類ではなく、中性的な顔立ちである。比較的容姿は整っているとは思うが、女性らしいかと聞かれれば頷くのを一瞬躊躇う程ではある。尤も、本人は全く気にしていないが。

 

「ジョシュア、こいつは鈴。凰鈴音(ファンリンイン)だ。同じクラスの友達だ!」

「で、どうしてこいつを連れてきた?」

「そりゃあ、皆で遊んだ方が楽しいからに決まってるだろ。本当はもう一人来る予定だったんだけど、予定が入ってさ。」

「そゆこと、一夏に感謝をしなさいよね?」

 

そんな事を言われても、一夏に感謝する義理はない。名前からして、中国の方の生まれなのだろう。

 

「あー、はいはい。一夏、今日位煎餅食わせてくれ。」

「全くジョシュアは………」

「い、一夏!あたしも手伝うわ!」

 

彼女はそのやりとりだけで悟った。この目の前の中華娘はこの男にぞっこんなのだ。そうなれば、この少女が初対面の彼女を快く思ってないないのにも納得がいく。

 

「おい、小娘。」

「何よ?」

「一夏の事、応援しているぞ。」

「ななななな何であんたが!?」

 

親指を立てると、顔を真っ赤にして走り去ってしまった。

 

(はぁ、これは波乱な展開になりそうだ…………)

 

これからの事を考え、溜息しか出ないジョシュアであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◆◆◆

 

あの中華娘が来た後、何故か一夏は麻雀を持ってきた。ルールを説明して貰い、やってみたのは良いのだが、やりこんでるのか分からないが2人は異常に強く、結局一度も上がれなかった。2人は流石に空気を読んだのか、次は格闘ゲームで勝負をする事になった。コマンド入力を覚えると以外と簡単なもので、今回はジョシュアの圧勝だった。そして、チーム一夏とチームジョシュア(1人)は1勝1敗で、互いに譲れない戦いをしていたのであった。

そして、現在。次にやるのは全員がルールを知っているポーカーをするという事になり、落ち着いた。ジョシュアもポーカー位は知っており、コロニーの仲間と数少ない酒を賭け、勝負をしたものだ。

 

「ドロー!」

「いや、カードゲームじゃないからな?」

 

決闘と書いてデュエルと読む訳ではないらしい。一夏がシャッフルし、左回りに1枚ずつ引くルールだ。親も左回りに変わるらしい。

100円を投げ捨て、ゲームへの参加を表明する。

今回は1人1000円が手持ちで、1回につき賭ける値段は最低100円、最高は総金額が一番少ない人物の全財産となった。

彼女にとって1000円とは家事で稼いだ全財産であり、今回の勝負で負ける訳にはいかないのだ。

全員の瞳に火が付き、左回りにトランプを引き始める。

 

(♣︎のJ❤︎のJ………ワンペアか。)

 

他の3枚はどれもバラバラで揃う見込みが無い。周りを横目に見ると、全員がポーカーフェイスーーーではなく、完全に表情に出ていた。我が家の主は苦い顔をしているが、客人の方は得意げな顔だ。これは、下りるのが賢明かもしれないと思いながらも、別の思考を巡らせる。

 

(もしかしたら、あれはこちらを焦らせる新手の手法なのでは?)

 

ニヤニヤと笑っているのは演技で、実は手持ちはワンペアだったりする可能性も捨て切れない。

 

「じゃ、俺は3枚交換っと。」

 

考えている内に一夏はカードを捨て、同じだけ引く。予想するに、一夏は1ペア以上の何かであろう。

 

「あたしは4枚!」

 

これで、彼女はジョーカー持ちという事がわかった。ニヤニヤしていた理由も分かったところで、直ぐに目線を外す。

 

「私も3枚。」

 

引いてみると♣︎の1と❤︎の1、そして♦︎の6だ。2ペアなら、相手の出方次第では勝負が出来る。

 

「じゃ、俺は200円賭ける。」

「いいわ!」

「おっと、私は1000円賭けてやろう。」

 

全員がクワッとこちらを見る。中華娘はうぐぐと言いたげな顔だ。一方の一夏は何故かこのタイミングでポーカーフェイスを決めている。こちらも相手の瞳を見つめ、無表情のまま圧力を加える。出来たら、ここで下りてくれると有難い。

 

「あたしは下りるわ。」

「そうか、一夏は?」

「俺は…………」

 

数秒後、その口がニヤリと笑い、こう告げる。

 

「分かった。俺も1000円賭けよう。」

「……………は?」

「勝負だジョシュア!」

「…………クソが!馬鹿ばっかりかここは!どうなんだてめえ(の手札)は!?」

 

カードを無理矢理その手から抜き取り、文字通り手の内を明かさせる。

その組み合わせとはーーー

 




一夏「結果はどうなんだ!?」
ジョシュア「………………死ね。」
一夏「酷っ!?最近冷たい!お兄ちゃん悲しい!」
ジョシュア「いつからお前が兄だと錯覚していた?」
一夏「なん……だと…………でも、2人も気の強い姉がいるなんて最「ああん?」………高です。」

千冬「我が弟よ!私はドイツで頑張っているぞ!おい!お前らもっと速く走れ!」
黒ウサギ隊「(弟め………)」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。