あの日、栃木で起きた騒動から、少し時間が経ちました。
今でも、あの出来事を思い出すと、なんだか不思議な気持ちになります。
始まりは、たった一つの運び屋の仕事でした。
黒いスーツケースを栃木まで届ける。それだけの簡単な依頼……のはずだったんですけどねぇ。
報酬は、前金で一千万円。届け終えれば、さらに四千万円。合計五千万円という、とんでもない金額でした。
そんな話を聞かされたら、受けない理由なんてありません。
私はいつも通り、荷物を届けるために東京から栃木へ向かいました。
ところが、道中から妙なことばかり起こり始めたんです。
警察官を名乗るキョーコさんに追いかけられたり、謎の機械を持ったそぴあさんに追跡されたり、さらには青い炎を吐くめらさんまで現れたり。
最初は、どうしてこんな人たちに追いかけられているのか、さっぱりわかりませんでした。
それぞれが何か目的を持っていて、私の持っているスーツケースを狙っている。そんなことだけはわかりましたけど、まさか全員が同じ場所へ集まることになるなんて、想像もしていませんでしたねぇ。
そして、ようやくたどり着いた届け先で待っていたのは、秘密結社holoX。
その総帥であるラプラス・ダークネスさんが、今回の依頼主だったんです。
いやぁ、驚きました。
まさか、あんな小さな女の子が秘密結社の総帥だったとは。
しかも、あのスーツケースはただの荷物ではありませんでした。人の才能を見つけ出し、Hololiveにふさわしい人材を探すための特別な装置だったんです。
私たち四人が集められたのも、偶然ではありませんでした。
運び屋としてどこへでも荷物を届ける私。
困っている人を放っておけない警察官のキョーコさん。
未知のものを追い求める研究者のそぴあさん。
そして、長い年月を生き、青い炎を操るめらさん。
それぞれ違う力を持った私たちが、装置によって見つけ出されていたんです。
……まあ、その装置は最後に爆発してしまったんですけどね。
あのときは、本当に大変でした。
holoXの皆さんとの戦いでは、私たち四人とも最後まで抵抗しましたが、結局は経験の差を見せつけられてしまいました。
キョーコさんも、そぴあさんも、めらさんも、そして私も。それぞれ自分の力を出し切ったつもりでしたが、holoXの皆さんはそれ以上に場数を踏んでいたんです。
悔しくないと言えば嘘になります。
特に私としては、五千万円の依頼を失敗してしまったことが、何よりも心残りでした。
あのお金があれば、しばらくは好きなものを食べて、のんびり暮らせたかもしれないのに……。
とはいえ、あの出来事がなければ、今の私たちはありません。
あの日を境に、私たちはholoXと関わるようになりました。
最初はそれぞれ事情もありましたし、すぐに仲良くなったわけではありません。今だって、全員が同じ考えを持っているわけではありません。
キョーコさんは相変わらず元気いっぱいで、何かあるたびに大きな声を出しています。時々、こちらが驚くほど勢いよく話しかけてくるので、少し困ってしまうこともありますねぇ。
そぴあさんは、興味を持ったものがあると夢中になってしまいます。特に科学や宇宙に関する話になると、目を輝かせながら話し続けるんです。あの探究心は、見ていて飽きません。
めらさんはというと、相変わらず自由気ままです。現代の暮らしにも少しずつ慣れてきたようですが、やっぱり餃子へのこだわりは変わりません。おいしいお店を見つけると、すぐに食べに行こうとするんですよ。
そして、私も相変わらず運び屋を続けています。
荷物を届けることは、私にとって大切な仕事です。どんな場所であっても、誰が相手であっても、頼まれたものを届ける。その気持ちは今も変わっていません。
ただ、これからは今までとは少し違う仕事も増えていくのでしょう。
holoXの皆さんとの関わりもありますし、四人で活動する機会も増えていくはずです。
もちろん、楽しいことばかりではないと思います。
意見がぶつかることもあるでしょうし、思いがけないトラブルに巻き込まれることだってあるでしょう。
それでも、私たちにはそれぞれの得意なことがあります。
キョーコさんの行動力。そぴあさんの知識とひらめき。めらさんの不思議な力。そして、私の運び屋としての経験。
一人ではできないことでも、四人ならできることがあるかもしれません。
……なんて、少し格好つけすぎましたかねぇ。
でも、これからどんなことが待っているのか、楽しみなのは本当です。
あの日、五千万円の依頼を受けたことから始まった、奇妙で騒がしい出会い。
あのときは、まさかこんな未来につながるなんて思ってもいませんでした。
これから先、どんな場所へ行くことになるのか。どんな人たちと出会うのか。そして、どんな出来事が私たちを待っているのか。
まだまだわからないことだらけです。
それでも、きっと大丈夫。
だって、私たちはこれから一緒に進んでいくのですから。
さてさて、次のお仕事は何でしょうか。
今度こそ、ちゃんと報酬をもらえる依頼だといいんですけどねぇ。
こうして私たちはアソビ★まわり隊として活動するようになった。