誕生秘話 アソビ★まわり隊!   作:ソッチ

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第3話 思わぬ拾い物

 

〜鈴鳴つづり〜

 

「いや〜、まさか警察まで来るとは思いませんでしたねぇ」

 

建設途中の建物。

 

私の目の前には、光線銃を構えた宙科そぴあさん。そして、入口から元気よく歩いてくる警察官――百灯キョーコさん。

 

どうやら、ずいぶんと面倒なことになってしまったらしい。

 

「えーっと! まずはそこのスーツケースを持っているお姉さん!」

 

キョーコさんが、こちらに向かって指を差す。

 

「はい、私ですか?」

 

「そうそう! その荷物について、ちょーっとお話を聞かせてもらいたいんですけど!」

 

「申し訳ありません。大切なお届け物なので、お話しできません!」

 

「おおっ! きっぱり断られちゃったZE★」

 

「それじゃあ、私からも質問!」

 

今度はそぴあさんが声を上げた。

 

「そのスーツケースから出ている信号について、何か知ってる?」

 

「さあ? 私は運ぶように頼まれただけですので」

 

「むむむ……やっぱり中身を確認しないと!」

 

二人とも、どうやら荷物を渡すつもりはないらしい。

 

これは困った。

 

五千万円のお仕事を、ここで失敗するわけにはいかないのだ。

 

「……仕方ありませんねぇ」

 

私はそっとスーツケースの持ち手を握った。

 

「お二人とも、少しだけ失礼します!」

 

次の瞬間、私は床を蹴った。

 

「わっ! 逃げた!」

 

そぴあさんの声が響く。

 

「ちょっとちょっとー! 待ってくださいよー!」

 

キョーコさんもすぐに追いかけてくる。

 

もちろん、ただ走って逃げるだけではない。

 

私は建物の中に組まれた足場を利用し、軽やかに上へと跳び上がった。

 

背後から光が走る。

 

「わわっ!」

 

そぴあさんの光線銃から放たれた光が、私のいた場所を通り過ぎた。

 

「おおっ! 危ない危ない!」

 

「今のを避けるんだ!?」

 

そぴあさんが驚いた声を上げる。

 

「まだまだですよっ!」

 

私は足場を蹴り、反対側へと飛び移った。

 

しかし、そぴあさんも負けてはいない。

 

ホバーブーツが音を立てて起動し、彼女の身体がふわりと浮かび上がる。

 

「だったら、こっちも追いかけちゃうよ!」

 

空中から迫ってくるそぴあさん。

 

その動きは軽く、私が移動する先を予測しているようにも見えた。

 

「うーん、なかなかやりますねぇ!」

 

私は近くにあった資材の陰へと身を移す。

 

その直後、キョーコさんの声が響いた。

 

「はいはーい! そっちばかり見てると、こっちがお留守ですよー!」

 

「おっと!」

 

振り返ると、キョーコさんがこちらへ迫ってきていた。

 

手には警察官らしい装備。動きには迷いがない。

 

先ほどまでの軽い調子はそのままなのに、距離を詰める動きだけは驚くほど無駄がなかった。

 

「いや〜、逃げ足が速いですねぇ! でも、そろそろ捕まってもらいますよ!」

 

「それはちょっと困りますねぇ!」

 

私は身体をひねり、キョーコさんの手をかわす。

 

そのまま大きく跳び上がり、彼女の頭上を越えていった。

 

「おおっ! すごいジャンプ力! これはなかなか手強い!」

 

「ありがとうございますっ!」

 

「褒めてる場合じゃないんですけどね!」

 

キョーコさんは笑いながら、すぐにこちらへ向き直った。

 

三人の距離が、再び開く。

 

私はスーツケースを抱え直した。

 

……このままでは、いつまで経っても終わらない。

 

それなら。

 

「ここは一度、退散させていただきますねっ!」

 

〜宙科そぴあ〜

 

「待って待って! その荷物だけでも置いていってよ!」

 

私はホバーブーツを加速させ、つづりさんの後を追った。

 

あのスーツケースから発せられる信号は、間違いなく私が追っていたものだ。

 

それなのに、肝心の中身を確かめることができない。

 

「うう〜! 気になる! ものすごく気になる!」

 

「そぴあさん! そっちに行きましたよー!」

 

キョーコさんの声が聞こえる。

 

「分かってるよー!」

 

私はレーダーを確認しながら、つづりさんの位置を追い続けた。

 

だが、彼女の動きは予想以上に不規則だった。

 

足場を飛び越え、資材の間を抜け、こちらの視界から何度も姿を消す。

 

ただ身軽なだけではない。

 

周囲の状況を瞬時に把握し、自分が動きやすい場所を選んでいる。

 

「なるほど……! あの身のこなし、ただ者じゃないね!」

 

「感心してる場合じゃないですよー!」

 

キョーコさんが追いついてくる。

 

「分かってるってば!」

 

私は再びスーツケースの信号を追った。

 

この荷物の正体を突き止める。

 

それが、今の私にとって何より大切なことだった。

 

〜百灯キョーコ〜

 

「いや〜、元気なお二人ですねぇ!」

 

私は二人を追いながら、思わず感心していた。

 

片方は空中を飛び回る科学者さん。

 

もう片方は、身軽な運び屋さん。

 

どちらもなかなかの実力者だ。

 

そして、どうやら二人とも、あの黒いスーツケースを巡って譲る気がないらしい。

 

「うーん……これはちょっと、事情を聞くだけじゃ済まなさそうですなぁ!」

 

私は装備を確認し、逃げるつづりさんの姿を追った。

 

警察官として、怪しい荷物を放っておくわけにはいかない。

 

とはいえ、周囲にはまだ人がいる。

 

できるだけ被害を出さず、早めに確保したいところだ。

 

「よーし! ここは私が一肌脱いでやるZE★」

 

私は二人の後を追い、建物の外へと飛び出した。

 

〜鈴鳴つづり〜

 

「はぁ……はぁ……」

 

ようやく建設現場を抜けた。

 

後ろからは、まだ二人の気配がする。

 

「いや〜、さすがに三人相手は大変ですねぇ……」

 

私はスーツケースを抱え直した。

 

できれば、このまま目的地まで逃げ切りたい。

 

しかし、そぴあさんの追跡能力も、キョーコさんの身体能力も侮れない。

 

少しでも距離を稼がなければ。

 

そう考えた、そのとき。

 

「見つけましたよー!」

 

キョーコさんの声が、すぐ後ろから聞こえた。

 

「ええっ!? もう!?」

 

私は振り返る。

 

キョーコさんがこちらに向けて銃を構えていた。

 

「そろそろ観念してくださいね!」

 

「うーん……それは困りました!」

 

キョーコさんの手元が動く。

 

乾いた音が、周囲に響いた。

 

私はとっさに身をかわした。

 

しかし、その弾は私には当たらなかった。

 

代わりに――

 

「わっ!?」

 

スーツケースに衝撃が走った。

 

持ち手から手が離れ、黒いケースが宙へと跳ね上がる。

 

「えっ、ちょっ……!」

 

しまった。

 

荷物が!

 

私は慌てて手を伸ばす。

 

けれど、スーツケースは私の手の届かない方向へ飛んでいった。

 

その先には、ひとりの少女が歩いていた。

 

〜熱千めら〜

 

「ふむふむ……栃木というところは、なかなか賑やかな場所なのじゃなぁ」

 

わしは、観光案内の書かれたスマートフォンを眺めながら、のんびりと歩いておった。

 

目的はもちろん、餃子じゃ。

 

この地には、たいそう美味な餃子があると聞いた。

 

これはぜひとも食べてみたい。

 

「餃子、餃子なのじゃ〜♪」

 

鼻歌を歌いながら歩いていると、ふと、何かが視界の端を横切った。

 

「む?」

 

黒い箱のようなものが、こちらへ飛んでくる。

 

おお、危ない。

 

わしは反射的に両手を伸ばした。

 

ぽすん。

 

「……おお?」

 

見事に受け止めてしまった。

 

目の前にあるのは、大きな黒いスーツケース。

 

ずいぶんと立派な荷物じゃ。

 

「なんじゃなんじゃ? 空から荷物が降ってくるとは、珍しいこともあるものじゃのう」

 

わしが首をかしげていると、少し離れた場所から声が聞こえた。

 

「えええええっ!? そ、それ私の荷物ですー!!」

 

見ると、こちらに向かって走ってくる少女がおる。

 

その後ろには、光る靴を履いた少女と、警察官らしき少女も見えた。

 

「……ふむ?」

 

わしは手元のスーツケースを見つめた。

 

そして、再び向こうの三人を見る。

 

「これは……どういうことなのじゃ?」

 

栃木に来て早々、どうやら妙なものを拾ってしまったらしい。

 

「えーっと……お主ら、何か困りごとかの?」

 

わしは、ひとまず笑顔で尋ねてみることにした。

 

――こうして、四人の運命は思いもよらぬ形で交わることとなった。鈴鳴つづり〜

 

「いや〜、まさか警察まで来るとは思いませんでしたねぇ」

 

建設途中の建物。

 

私の目の前には、光線銃を構えた宙科そぴあさん。そして、入口から元気よく歩いてくる警察官――百灯キョーコさん。

 

どうやら、ずいぶんと面倒なことになってしまったらしい。

 

「えーっと! まずはそこのスーツケースを持っているお姉さん!」

 

キョーコさんが、こちらに向かって指を差す。

 

「はい、私ですか?」

 

「そうそう! その荷物について、ちょーっとお話を聞かせてもらいたいんですけど!」

 

「申し訳ありません。大切なお届け物なので、お話しできません!」

 

「おおっ! きっぱり断られちゃったZE★」

 

「それじゃあ、私からも質問!」

 

今度はそぴあさんが声を上げた。

 

「そのスーツケースから出ている信号について、何か知ってる?」

 

「さあ? 私は運ぶように頼まれただけですので」

 

「むむむ……やっぱり中身を確認しないと!」

 

二人とも、どうやら荷物を渡すつもりはないらしい。

 

これは困った。

 

五千万円のお仕事を、ここで失敗するわけにはいかないのだ。

 

「……仕方ありませんねぇ」

 

私はそっとスーツケースの持ち手を握った。

 

「お二人とも、少しだけ失礼します!」

 

次の瞬間、私は床を蹴った。

 

「わっ! 逃げた!」

 

そぴあさんの声が響く。

 

「ちょっとちょっとー! 待ってくださいよー!」

 

キョーコさんもすぐに追いかけてくる。

 

もちろん、ただ走って逃げるだけではない。

 

私は建物の中に組まれた足場を利用し、軽やかに上へと跳び上がった。

 

背後から光が走る。

 

「わわっ!」

 

そぴあさんの光線銃から放たれた光が、私のいた場所を通り過ぎた。

 

「おおっ! 危ない危ない!」

 

「今のを避けるんだ!?」

 

そぴあさんが驚いた声を上げる。

 

「まだまだですよっ!」

 

私は足場を蹴り、反対側へと飛び移った。

 

しかし、そぴあさんも負けてはいない。

 

ホバーブーツが音を立てて起動し、彼女の身体がふわりと浮かび上がる。

 

「だったら、こっちも追いかけちゃうよ!」

 

空中から迫ってくるそぴあさん。

 

その動きは軽く、私が移動する先を予測しているようにも見えた。

 

「うーん、なかなかやりますねぇ!」

 

私は近くにあった資材の陰へと身を移す。

 

その直後、キョーコさんの声が響いた。

 

「はいはーい! そっちばかり見てると、こっちがお留守ですよー!」

 

「おっと!」

 

振り返ると、キョーコさんがこちらへ迫ってきていた。

 

手には警察官らしい装備。動きには迷いがない。

 

先ほどまでの軽い調子はそのままなのに、距離を詰める動きだけは驚くほど無駄がなかった。

 

「いや〜、逃げ足が速いですねぇ! でも、そろそろ捕まってもらいますよ!」

 

「それはちょっと困りますねぇ!」

 

私は身体をひねり、キョーコさんの手をかわす。

 

そのまま大きく跳び上がり、彼女の頭上を越えていった。

 

「おおっ! すごいジャンプ力! これはなかなか手強い!」

 

「ありがとうございますっ!」

 

「褒めてる場合じゃないんですけどね!」

 

キョーコさんは笑いながら、すぐにこちらへ向き直った。

 

三人の距離が、再び開く。

 

私はスーツケースを抱え直した。

 

……このままでは、いつまで経っても終わらない。

 

それなら。

 

「ここは一度、退散させていただきますねっ!」

 

### 〜宙科そぴあ〜

 

「待って待って! その荷物だけでも置いていってよ!」

 

私はホバーブーツを加速させ、つづりさんの後を追った。

 

あのスーツケースから発せられる信号は、間違いなく私が追っていたものだ。

 

それなのに、肝心の中身を確かめることができない。

 

「うう〜! 気になる! ものすごく気になる!」

 

「そぴあさん! そっちに行きましたよー!」

 

キョーコさんの声が聞こえる。

 

「分かってるよー!」

 

私はレーダーを確認しながら、つづりさんの位置を追い続けた。

 

だが、彼女の動きは予想以上に不規則だった。

 

足場を飛び越え、資材の間を抜け、こちらの視界から何度も姿を消す。

 

ただ身軽なだけではない。

 

周囲の状況を瞬時に把握し、自分が動きやすい場所を選んでいる。

 

「なるほど……! あの身のこなし、ただ者じゃないね!」

 

「感心してる場合じゃないですよー!」

 

キョーコさんが追いついてくる。

 

「分かってるってば!」

 

私は再びスーツケースの信号を追った。

 

この荷物の正体を突き止める。

 

それが、今の私にとって何より大切なことだった。

 

### 〜百灯キョーコ〜

 

「いや〜、元気なお二人ですねぇ!」

 

私は二人を追いながら、思わず感心していた。

 

片方は空中を飛び回る科学者さん。

 

もう片方は、身軽な運び屋さん。

 

どちらもなかなかの実力者だ。

 

そして、どうやら二人とも、あの黒いスーツケースを巡って譲る気がないらしい。

 

「うーん……これはちょっと、事情を聞くだけじゃ済まなさそうですなぁ!」

 

私は装備を確認し、逃げるつづりさんの姿を追った。

 

警察官として、怪しい荷物を放っておくわけにはいかない。

 

とはいえ、周囲にはまだ人がいる。

 

できるだけ被害を出さず、早めに確保したいところだ。

 

「よーし! ここは私が一肌脱いでやるZE★」

 

私は二人の後を追い、建物の外へと飛び出した。

 

### 〜鈴鳴つづり〜

 

「はぁ……はぁ……」

 

ようやく建設現場を抜けた。

 

後ろからは、まだ二人の気配がする。

 

「いや〜、さすがに二人同時は大変ですねぇ……」

 

私はスーツケースを抱え直した。

 

できれば、このまま目的地まで逃げ切りたい。

 

しかし、そぴあさんの追跡能力も、キョーコさんの身体能力も侮れない。

 

少しでも距離を稼がなければ。

 

そう考えた、そのとき。

 

「見つけましたよー!」

 

キョーコさんの声が、すぐ後ろから聞こえた。

 

「ええっ!? もう!?」

 

私は振り返る。

 

キョーコさんがこちらに向けて銃を構えていた。

 

「そろそろ観念してくださいね!」

 

「うーん……それは困りました!」

 

キョーコさんの手元が動く。

 

乾いた音が、周囲に響いた。

 

私はとっさに身をかわした。

 

しかし、その弾は私には当たらなかった。

 

代わりに――

 

「わっ!?」

 

スーツケースに衝撃が走った。

 

持ち手から手が離れ、黒いケースが宙へと跳ね上がる。

 

「えっ、ちょっ……!」

 

しまった。

 

荷物が!

 

私は慌てて手を伸ばす。

 

けれど、スーツケースは私の手の届かない方向へ飛んでいった。

 

その先には、ひとりの少女が歩いていた。

 

### 〜熱千めら〜

 

「ふむふむ……栃木というところは、なかなか賑やかな場所なのじゃなぁ」

 

わしは、観光案内の書かれたスマートフォンを眺めながら、のんびりと歩いておった。

 

目的はもちろん、餃子じゃ。

 

この地には、たいそう美味な餃子があると聞いた。

 

これはぜひとも食べてみたい。

 

「餃子、餃子なのじゃ〜♪」

 

鼻歌を歌いながら歩いていると、ふと、何かが視界の端を横切った。

 

「む?」

 

黒い箱のようなものが、こちらへ飛んでくる。

 

おお、危ない。

 

わしは反射的に両手を伸ばした。

 

ぽすん。

 

「……おお?」

 

見事に受け止めてしまった。

 

目の前にあるのは、大きな黒いスーツケース。

 

ずいぶんと立派な荷物じゃ。

 

「なんじゃなんじゃ? 空から荷物が降ってくるとは、珍しいこともあるものじゃのう」

 

わしが首をかしげていると、少し離れた場所から声が聞こえた。

 

「えええええっ!? そ、それ私の荷物ですー!!」

 

見ると、こちらに向かって走ってくる少女がおる。

 

その後ろには、光る靴を履いた少女と、警察官らしき少女も見えた。

 

「……ふむ?」

 

わしは手元のスーツケースを見つめた。

 

そして、再び向こうの三人を見る。

 

「これは……どういうことなのじゃ?」

 

栃木に来て早々、どうやら妙なものを拾ってしまったらしい。

 

「えーっと……お主ら、何か困りごとかの?」

 

わしは、ひとまず笑顔で尋ねてみることにした。

 

――こうして、四人の運命は思いもよらぬ形で交わることとなった。

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