誕生秘話 アソビ★まわり隊!   作:ソッチ

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第5話 依頼完了?

 

〜鈴鳴つづり〜

 

「……えーっと、これはどういう状況なんでしょうねぇ」

 

目の前の黒いスーツケースが、青い光を放ちながら小刻みに震えている。

 

先ほどまでとは明らかに様子が違う。

 

中に何が入っているのかは知らない。けれど、依頼された荷物である以上、私にとっては無事に届けることが最優先だ。

 

「とにかく、これは私が預かります!」

 

私はキョーコさんの手元にあったスーツケースへ手を伸ばした。

 

「はいっ! そう簡単には渡せませんよ!」

 

キョーコさんが素早く反応する。

 

「ちょっと待って! その前に信号を確認させて!」

 

そぴあさんも近づいてくる。

 

「ええい! わしはもう帰りたいのじゃ!」

 

めらさんまで声を上げた。

 

……うーん。

 

やっぱり、話し合いで解決するのは難しそうですねぇ。

 

「それでは、失礼しまーす!」

 

私は一気に駆け出した。

 

「待ってくださーい!」

 

背後からキョーコさんの声が響く。

 

スーツケースを抱え、私は街の奥へと走った。

 

目指す場所は決まっている。

 

依頼人から指定された、受け渡し場所。

 

そこまで荷物を運べば、今回のお仕事は完了だ。

 

もちろん、後ろの三人を連れていくつもりはない。

 

……まあ、簡単には振り切れそうにありませんけどね!

 

〜百灯キョーコ〜

 

「おおっと! また逃げましたね!」

 

私はすぐに追跡を始めた。

 

あの運び屋さん、ただ走っているだけではない。

 

こちらの動きを確認しながら、時折進路を変えている。

 

「いや〜、なかなか手強いですなぁ!」

 

私は速度を上げる。

 

すると、上空からそぴあさんの声が聞こえた。

 

「キョーコさん! 上から追うよ!」

 

「了解です! 私は地上から行きますね!」

 

「待つのじゃー! わしを置いていくでない!」

 

めらさんも後ろから追ってきている。

 

どうやら、全員が同じ方向へ向かうことになったらしい。

 

「よーし! ここからが本番だZE★」

 

私は前方を見据えた。

 

〜鈴鳴つづり〜

 

「うーん……思ったより早いですねぇ」

 

後ろを振り返ると、キョーコさんがかなりの速度で迫ってきていた。

 

上空にはそぴあさんの姿もある。

 

めらさんは少し遅れているものの、青い炎を使えば距離を詰めてくるかもしれない。

 

このままでは、受け渡し場所に着く前に捕まってしまう。

 

私は道の先に目を向けた。

 

ちょうど道路脇に、工事中の建物が見える。

 

「よいしょっと!」

 

私は大きく跳び上がり、建物の足場を越えて反対側へ着地した。

 

「えっ!? そっちですか!」

 

キョーコさんが進路を変える。

 

その隙に、私は建物の裏手へ回り込んだ。

 

しかし、頭上から光が走る。

 

「そこだよ!」

 

そぴあさんの光線が、私の進路を遮るように通り過ぎた。

 

「わわっ! 危ないですねぇ!」

 

私は足を止め、別の道へと飛び込む。

 

「逃がさないよ!」

 

そぴあさんが追ってくる。

 

どうやら、空からの追跡を振り切るのは難しそうだ。

 

ならば――。

 

私はスーツケースを抱え直し、さらに先へ進んだ。

 

目的地までは、もう少し。

 

〜熱千めら〜

 

「はぁ……はぁ……。まったく、何なのじゃあの者たちは!」

 

わしは三人の後を追っておった。

 

そもそも、わしは餃子を食べに来ただけなのじゃ。

 

それなのに、なぜこんなにも走らされておるのか。

 

「もう、わしは帰るぞ!」

 

そう言って立ち止まろうとしたとき、前方から青い光が反射した。

 

……いや、違う。

 

あれは、わしの炎ではない。

 

スーツケースが放っている光じゃ。

 

「また光っておるのか……?」

 

わしは足を止め、遠くを走る三人の姿を見た。

 

どうやら、あの黒い箱はただの荷物ではないらしい。

 

「うーむ……。ますます面倒なことになってきたのう」

 

そう呟きながらも、わしは再び三人の後を追った。

 

〜鈴鳴つづり〜

 

「そろそろですねぇ……」

 

私は道の先に見えてきた建物を確認した。

 

依頼人から指定された受け渡し場所。

 

人通りの少ない、街外れの倉庫だった。

 

ここまで来れば、あとは荷物を渡すだけ。

 

「よしっ!」

 

私は速度を上げた。

 

しかし、背後からキョーコさんが追いついてくる。

 

「はいっ! そこまでです!」

 

「うわっ、もう来ましたか!」

 

キョーコさんが私の前に立ちはだかる。

 

「そのスーツケース、確認させてもらいますよ!」

 

「困りましたねぇ……。お仕事の途中なんですけど」

 

「それは分かっています! でも、こちらにも譲れない事情があるんです!」

 

キョーコさんが構える。

 

私はスーツケースを抱えたまま、少しだけ距離を取った。

 

そこへ、そぴあさんも追いついてくる。

 

「やっと追いついた! その荷物、反応がどんどん強くなってるよ!」

 

「だからこそ、警察で確認する必要があるんです!」

 

「いや、私が調べないと!」

 

「うーん……」

 

私は二人を見比べた。

 

このままでは、いつまで経っても受け渡しができない。

 

けれど、ここで足止めされるわけにもいかない。

 

「申し訳ありませんが、ここは通させてもらいますねっ!」

 

私は大きく跳び上がった。

 

二人の頭上を越え、倉庫の敷地へと飛び込む。

 

「待ってくださーい!」

 

二人の声が背後から聞こえた。

 

もう少し。

 

あと少しで、届けられる。

 

そのときだった。

 

倉庫の奥から、誰かの声が聞こえた。

 

「……遅かったな」

 

私は着地した場所から、ゆっくりと顔を上げた。

 

そこには、こちらを待っている人物の姿があった。

 

「ご依頼の品をお届けに来ましたよー!」

 

私はスーツケースを抱え直し、相手に向き直った。

 

これで、ようやく仕事が終わる。

 

そう思ったのだが――。

 

「よくやった鈴鳴つづり」

 

まだまだ終わりそうにないらしい。

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