朝野家に1人増やしてみた話   作:uruka

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ご都合展開が多いのは許してください。


おばけが苦手な二刃さん。前も思いましたけど可愛らしいですね。

太陽がヒナギクの移動術『花踏み』を習得したいらしい。

 

それを相談してたら、合気の技術と似てるって二刃さんが言ってた。

 

それで今訓練風景を見せてもらってるんだけど・・・。

 

「ぎえああああああああああああああああ!!」

 

大量に放出された野球ボールを二刃さんがしのいでいて、受け流されたボールに太陽が殺されかけてる。

 

「合気と『花踏み』は似た原理だ。目と手を鍛えればこの程度は怖くない」

 

ボールの雨がやんだ。いくつもボールが壁にめり込んでる。

 

「わかったかい?」

 

わかりません。

 

「わかりません・・・」

 

「・・・まあ、今日はこのくらいにしようか。夕雅は昼前から訓練するよ。今日は何も予定はなかったはずだね?」

 

「了解です」

 

また肩外されたりするのかな。あれすっごい痛いんだよね。でもちょっとその痛みに慣れてきた自分がいる。

 

・・・あ、決して僕はそっちの方の人間(マゾヒズム)ではないからね。

 

 

 

ガチャ

「四怨ー。朝ごは「クソがっ!!」急にどうしたの」

 

ゲームに何かのバグでも起きた?

 

「荒れてるねぇ四怨」

 

「おお、3人共お疲れ。・・・例のビー玉、古い割にセキュリティ固くてさ。一番強力な解析システム『夜桜ハザード』で処理中だ」

 

「もしかしてこれ俺!?」

 

どこか太陽の面影がある強面ガンマンが主人公。

 

「いやーなぜか解析レベル上げるとビジュアルも濃くなっちゃってさー。ぷふっ」

 

「絶対楽しんでるでしょ四怨・・・」

 

「気のせい気のせい。・・・しかし、なんとまあ厄介な設計だ。たった一つ動作をミスっただけでプログラムが破壊されちまう」

 

どこか凶一郎さんの面影があるバケモノがガンマン太陽に襲いかかった。

 

ゲームオーバー。

 

「チッ、またシステム組み直しだ」

 

・・・そういえば太陽ってホラー苦手じゃなかったっけ。

 

「太陽、ホラーとか苦手じゃなかった? 大丈夫?」

 

「驚いてはいるけど一応大丈夫。・・・というか二刃姉さん全く動じてないな」

 

「まあ二刃さんがホラーを怖がるなんて・・・ん?」

 

なんか魂抜けてる。

 

「おーい、二刃さーん?」

 

目の前で手をヒラヒラさせても反応なし。

 

「しっ、死んでる・・・?」

 

「息はしてるし死んでないよ。・・・たぶん」

 

 

 

毛布でぐるぐる巻きになった二刃さんがソファでカタカタ震えてる。

 

「二刃お姉ちゃんはね、怖いものが苦手なの」

 

「へー」

 

意外な弱点。

 

「すまん六美、あたしがうっかりしてて・・・」

 

「ううん、仕方ないわ。タイミングが悪かっただけよ」

 

「あんな強い姉さんが・・・」

 

「そう。強いからこそなのよ。ゾンビとかバケモノは力で倒せるから全然平気なんだけど、幽霊とか呪いは合気も聞かないから怖いんだって」

 

「なにその基準」

 

「昔ノリで連れてったお化け屋敷全壊させたもんな」

 

「幽霊(スタッフ)が悲鳴あげてたっけね。・・・一晩立てば落ち着くからそれまではお守りしないとね」

 

スタッフさんお疲れさまです。いや本当に。

 

「六美・・・トイレ・・・」

 

「はいはい、一緒に行こうね」

 

ギイイッ

壁がきしんだ音に驚いて六美ちゃんに飛びかかった。

 

「大丈夫だよー、お姉ちゃん。今日は風も強いからね。明治生まれのこの家も色々ガタが来ちゃってるのよ」

 

「・・・そういや最近誰もいねーのに物音すること増えたな?」

 

「それガチのやつでは?」

 

・・・僕その原因なんとなく知ってるけどね。天井に誰かさんが覗く用の穴空いてるから。天井どころか廊下の壁にもあるんだけどさ。

 

「そういえばなにもないのにゴリアテが警戒してる日も増えたな・・・。これも夜桜を恨む奴らの怨念が・・・」

 

「四怨、そこでストップ。六美ちゃんが整形されちゃうからやめよっかー」

 

六美ちゃんの顔が二刃さんにムギュウウウウって押しつぶされてて、誰かわからない状態になってるよ。

 

 

 

朝ご飯の後。

 

「夕雅お兄ちゃん、二刃お姉ちゃん預かってくれない? 四怨お姉ちゃんに預けようと思ってたんだけど、もう部屋に行っちゃったから・・・」

 

「・・・あ、そっか今日学校だったね。オッケー。・・・はーい二刃さーん、こっちに移動しますよー」

 

回収した。顔にしがみつかないでください二刃さん。前が見えません。まあ音は聞こえるので普通に動けますが。

 

 

 

なんとか顔からは離れてもらった。でもずっとしがみつかれたままで動きにくい。こんな状態で訓練はできないから、どうにかしてしがみつくのをやめてもらった。

 

もちろんいつものように投げ飛ばされて肩を外されてボコボコにされて見事に撃沈。手加減というものはないんですか二刃さん。

 

いや手加減されたら訓練にならないのでそのままでいいです。

 

昼ご飯は簡単におにぎりにした。四怨が二刃さんに食べさせてた。・・・ペットっぽいなってて思ったのは僕だけじゃないはず。

 

六美ちゃんが帰ってきてからはまたそっちに返却。

 

そんなこんなで寝る時間になったけど、僕と太陽も二刃さんの部屋にいることになった。

 

「・・・問題なし」

 

「ありがとう太陽。ベッドの下も大丈夫だし、今夜は私たちも一緒にいるから安心して寝てね!」

 

目ギンギンに開いてますけど。

 

ギイイ ピイイィ パフッ

「天気悪いからきしみ音すごいねー」

 

「これホントにきしみ音か・・・?」

 

パフッて音してる時点できしみ音じゃないでしょ。十中八九凶一郎さんのいたずらだね。天井でハアハアハアハア言ってるし。

 

「じゃあ、寝れるまで本読んであげるね。『仁義なき桃太郎』、小さい頃よく読んだよね!」

 

「何だその鈍器は」

 

「すーごい分厚い本だねー。何ページあるのそれ」

 

「600ページくらいかな? 私この話すぐに眠くなっちゃうから、そのときは太陽代わってね。えーと・・・『鬼と人の抗争が絶えない修羅の時代。血で桃色に染まった川で拾われたその赤子は桃太郎と名付けられましぐーーーーーーー」

 

最初っから不穏すぎる始まり方してるんだけど。あと寝落ちするの早くない?

 

「むつっ・・・みっ・・・!」

 

ガクガク震えだした二刃さん。別に霊とかじゃないので大丈夫ですよー。

 

「だっ大丈夫!俺が読みますから!えーと・・・『鬼にもがれたおじいさんたちの首を取り戻した桃太郎は・・・』」

 

 

 

「『・・・そして、かつて親友だったその鬼を討ち取った桃太郎は静かに泣いた。人は誰しも『人生』という戻れぬ川の流れに身を任せるしかないのだ。どんぶらこ・・・どんぶらこ・・・』」

 

・・・これ子どもに聞かせる話かな? いやまあ育て方は色々あるけども。

 

「いやー楽しい!小さい頃を思い出すねえ!よく母さんが読んでくれたもんだ」

 

兵器の話もちょいちょい出てたし、辛三も好きそうだね。

 

「・・・あの頃は怖いものなんか何もなかった。でも、母さんが死んで思い知ったよ。どんなに強かろうがどうにもならないことがあるってね。・・・どんなに鍛えたところで、力の通じない存在は容赦なく大事なものを奪っていく。皮肉だね。強くなるほど怖くなるんだ」

 

「二刃姉さん・・・」

 

・・・・・・どうにもならなかった。ああ。

 

「皆を守る自信もなく怯えてるなんて夜桜の長女失格だよ。そんな情けない姿を見られるくらいなら、ただお化けを怖がってると笑ってくれたほうがずっと幸せさね。・・・義理の家族だからかね。不思議とあんたたちには話せたよ。聞いてくれてありがとう。おかげさまでよく眠れそうだ」

 

「姉さん・・・」

 

ダメだ。・・・戻そう。

 

「それはそれとして天井に穴が開きそうだけど大丈夫かな?」

 

「え?」ドォン!

 

そして凶一郎(ヘンタイ)さんが落下。

 

「落ちてくるまで板を薄くしてはダメでしょう・・・」

 

「油断したな。ギリギリを狙いすぎてしまった」

 

「どうして天井から・・・!? というか兄貴は知ってたのか?」

 

「知ってた、と言うよりは気づいてた、かな。誰かの呼吸音がたまに聞こえてたし、それが六美ちゃんが一緒にいたときで凶一郎さんがいなかったときだから。たぶんというかほぼ確定だろうけど、家中の壁と壁の間に隙間を作ったんだろうね」

 

「なんで通報してなかったんだ?」

 

「僕以外誰も気づいてないうちは実害がでてないし、もし実害がでたら六美ちゃんに当主命令として近づくの禁止にしてもらったら良いだけかなって思ってたからだね。まあ六美ちゃんの判断次第だけど」

 

「名付けて『六美見守ルーム』!」

 

「ただの覗き魔じゃん!・・・ということは、きしみ音があったのもゴリアテが唸ってたのも・・・」

 

「壁の中をうろついていた俺だ。ただ1つの誤算は、1ミリでも六美に近づきたいがために限界まで壁を薄くしてしまったことだ」

 

「バカですか凶一郎さん」

 

「少なくとも嫌五ほどではない。まあ、とにかく眠りの邪魔をして悪かった。失礼する」

 

「待ちな」

 

二刃さんが出て行こうとした凶一郎さんに飛びかかった。

 

「「!?」」

 

それと同時に凶一郎さんの胸元からリコーダーやコンドルホーンがこぼれ落ちる。あ、コンドルホーンってのは『パフッ』音を出す道具だね。

 

「これは・・・!?」

 

「胸ポケットの銃とは違う膨らみが怪しくてね。これが幽霊の正体か。・・・六美をストーカーするついでに、あたしを怖がらせて楽しんでたってわけだ」

 

ギリギリと強く締め付けていく。

 

「待て、話し合お「ああ、話し合おう。あたしをからかったことと、六美のプライバシーを踏みにじったことをね」

 

「待・・・!がぺっ」

 

凶一郎さんが人間ボールにされた。どうやってほどくのあれ。

 

「とりあえず起きたときに六美ちゃんが驚きそうなので運びますね」

 

凶一郎さんの部屋に放り込んでおいた。ぽいっと。

 

なお翌日は一日中部屋から出てこなかった。逆によく1日で解けましたね。

 

 

 

 

 

ガガガガガガ…バキッ!…カチカチ

「あれー、壊れちゃったか」

 

朝のスムージーを作ってたらミキサーが壊れちゃった。・・・しょうがない。

 

 

 

「おはよーっす。・・・夕雅何してんだ?」

 

「あ、嫌五おはよう。スムージーを作ってるんだけど、ミキサーが壊れちゃってさ」

 

シェイカーに材料を入れてシャカシャカしてる。・・・まあ、速くしないと材料が粉砕されないから結構腕が疲れるんだけどね。

 

「なんか様になってるな」

 

どういう風に?

 

「あ、そこに出来たやつは置いてあるから飲んでいいよ。今日の材料は冷凍バナナとリンゴ、人参と牛乳。後は飾りつけとしてカットしたオレンジだね」

 

「また凝ったやつ作ってんな」

 

「いや、これぐらいはどこの家庭でもするでしょ」

 

「普通の家庭はこんな感じの飾り付けをしたりはしねーよ。・・・ま、もらうか」

 

どうぞどうぞー。でもミキサー買いに行かないと。

 

「冷てっ」

 

冷凍バナナ入ってるからね。

 

 

 

リビングに入ると、四怨たちが何かをメモしてた。

 

「あれ、何してるの?」

 

「買い出し用のメモを作ってるんだ」

 

「月に一度の買い出しの日だからね。夕雅お兄ちゃんも行かない? 前回は任務で一緒に行けなかったから」

 

「・・・うん、僕も行こうかな。ミキサーが壊れちゃってるから新しいのを買わないとねー」

 

「あれ、じゃあ今日の朝はどうやってあのスムージー作ってたの?」

 

「シャカシャカ振って人力で作ってたよー」

 

「それはお疲れ様・・・」

 

「慣れてるから大丈夫だったよー」

 

「・・・慣れるような訓練とかあったっけ?」

 

「いや、お菓子作りの時ではあるけどその時の気分でハンドミキサーを使わない時があるもんでさ」

 

「馬鹿なの?」

 

「お菓子に関しては?」

 

「ああ認めちゃったよ」

 

「見た目からはわからん一面があるなコイツ」

 

 

 

 

 

「えーっと、殺香ちゃんがアイロンでよかった?」

 

「そうです。両手で2つ同時に行えば早いですので」

 

この前見たことがあるんだけど、殺香ちゃんって手じゃなくて針で洗濯物を固定するんだよね。だから片手が余ってたという。

 

「で、僕がミキサー。四怨がモニターだね」

 

「ああ。売ってる中で一番でかいやつで頼む」

 

「オッケー」

 

「じゃ、車に乗り込もうか。殺香とゴリアテはお留守番ね」

 

 

 

「じゃ、一旦別行動ね」

 

はーい。

 

「じゃ、ホームセンターに行こうかな・・・あ、そうだ。何か欲しいものができたら連絡してね」

 

「おう」

 

「了解」

 

 

 

ミキサーは今朝壊れたやつよりも大きいのが売ってた。これで作りやすくなるね。人数が人数だから3回くらい動かさないといけなかったけど、これなら2回で済みそう。

 

これ・・・どっちかな? 一番大きいサイズのモニターが2種類ある。ちょっと四怨に連絡して聞いてみよう。

 

『四怨、何か◯◯社のモニターと△△社のモニターが同じサイズで売ってるんだけどどっち?』

 

よし、今のうちにアイロン探そう。

 

 

 

あ、これ人気商品ってあるね。アイロンはこれで決定かな。

 

ミキサーも買ったし、後はモニターを・・・あ、連絡来てた。

 

『あたしのPCと接続がしやすい△△社の方が欲しかったやつだが、◯◯社のPCもいくつか欲しかった部品が使われてるみたいだ。バラして使いたいから両方買っといてくれ』

 

了解。モニターを拾ってから会計だね。

 

 

 

僕の分の買い物は終わったし、久しぶりにタピオカでも買っていこうかな。

 

タピオカ店『バレット』が確か近くに・・・あ、あったあった。

 

「いらっしゃいませ!ご注文はどうされますか?」

 

「抹茶の黒糖、Mで」

 

一応言っておくと、抹茶ラテ、黒糖タピオカ、Mサイズの略。

 

「かしこまりました。お支払いは現金とカードがございますが」

 

「現金でお願いします」

 

「830円です。・・・はい、1030円のお預かりで200円のお釣りですね」

 

「ありがとうございましたー」

 

「ありがとうございました。またお越しください」

 

うん、美味しい。・・・あれ? 太陽と六美ちゃんの声がする。振り返ると後ろにいた。

 

「2人ともいたんだ。ここのタピオカ買いに来たの?」

 

「うーん、そうであってそうでないという」

 

ごめんどういうこと?

 

「いらっしゃいませ!ご注文は?」

 

「鉄タピミルクティー100kgお願いします!」

 

鉄タピって何。

 

「ありがとうございます。お支払いは現金、カード、血液、眼球がございます」

 

すごい物騒すぎるお支払い。血液と眼球って・・・うん。輸血とか移植用かな?

 

「カードで」

 

段ボール箱に入ってこっちにきた。

 

「重いのでお気をつけてー」

 

「『ミルクティー』がハンドガン、『コーヒー』がライフルの弾よ」

 

「・・・もしかしてガオンモール(ここ)ってスパイ御用足しだったりする?」

 

「うん。今頃七悪たちが毒薬とか買いに行ってるんじゃないかな?」

 

わー。いつも来てた所がまさかの。

 

 

 

「ちょっとクリーニング受け取ってくるね。荷物見ててくれない?」

「わかった」

 

「はーい」

 

「グスン、グスン・・・」

 

・・・泣き声? 何か聞こえた。声がする方に歩いてみる。

 

「兄貴?」

 

「泣いてる声がする。ちょっと探してみるね」

 

・・・いた。

 

「どうしたの、1人で泣いてて」

 

「ぐすっ・・・パパ・・・」

 

・・・はぐれちゃった感じかな。

 

「あれ? その子は?」

 

「なんか父親とはぐれちゃったとか」

 

「こわい人たちがパパをつれてっちゃった・・・。『下で話そうぜ』って・・・」

 

「・・・まさか」

 

ん、六美ちゃんは何か知ってる感じかな。

 

 

 

「このモールには表示のない地下がある。上では扱えないディープなものが揃った闇の市場。・・・ガオン地下一階『ガオン城』」

 

・・・すっごいガラ悪いところだね。

 

「気を抜かないでね。油断するとこっちが商品になっちゃうわ」

 

あ、眼球とか売られる系ですか。気をつけよー。

 

「お姉ちゃん、こわい・・・」

 

「上だったとしても一人じゃ危険よ。私たちと一緒なら大丈夫。夜桜当主(わたし)を狙うリスクは重々承知の連中よ」

 

ほとんどの人はこっちを見てるけど襲いかかってきたりはしない。それぐらいにはリスクが有る行動だって理解しているからだろうね。

 

「たっ助けてくれえええ!!」

 

男性の悲鳴が。

 

「パパ!?」

 

お父さんの声だったか。

 

「勘弁してくれ!私はもう運び屋はやめたんだ!」

 

「フン・・・ガキができたからって日和りやがって。手切れ金は肺と目で払ってもらおうか」

 

人相の悪いハゲ頭の人がこの子のお父さんを脅している感じ。

 

「やめてくれえええええ!」

 

「やめろォ!!」

 

八重から一閃の雷が放たれる。太陽も強くなったよねー。

 

「「があっ!?」」

 

「スズ!?」

 

「パパー!」

 

とりあえずお父さんは無事っぽいね。

 

「よかった・・・!」

 

「・・・さあ、こんな所早く出ましょ」

 

「ああ。・・・!」

 

面倒そうな人たちが色々集まってきた。

 

「朝野太陽・・・!」

 

「夜桜当主はともかく、お前は良いカモだ。5千万円の大出血サービスといこうか・・・!」

 

・・・へえ。太陽を狙うんだ。よっぽどこの世からバイバイしたいんだね。それにはまず僕を倒してからにしてもらおうか?

 

「早いモン勝ちだァ!」

 

「ぎゃあああああああ!!」

 

3歩前に出る。

 

「ちょっとどいててね」

 

防げ。――守球(まもりだま)。

 

ナイフとかは弾き飛ばせた。銃弾は嫌五の偽皮で防げる。

 

「六美ちゃん、太陽。ちょっと危ないから5メートルくらい離れてて」

 

今から使おうとしてるやつって無差別なんだよね。そっちに意識は向けられないから離れててもらおう。

 

「・・・『夜桜の守り手』か。お前を殺したら8千万の臨時収入だ」

 

あれ、僕って懸賞金かかってたんだ。知らなかった・・・というか太陽より高いんだね。それとその二つ名どうにかなりません? すっごい恥ずかしいのよ。

 

「あはは、自意識過剰ですね。あなた達じゃ僕を殺すなんてまずできませんよ。来てもいいですけど怪我しても知りませんからね?」

 

「・・・ぶっ殺す!」

 

狂い咲け。――暴球(あばれだま)。

 

「「「「「ぎゃあああああああ!!」」」」」

 

ほら、だから言ったのに。

 

「・・・まだやります?」

 

「ナメんな!遠距離から殺れば意味ねえだろ!」

 

引き金に指がかけられた。でもそれほど問題じゃない。

 

「それも意味ないですよ?」

 

流れろ。――流桜(ながれざくら)。

 

風に流され、枝垂を滑った銃弾が僕の横を通っていく。壁にぶつかって鋭い音が耳に入ってくる。

 

「なんだと!?」

 

「・・・ふう」

 

・・・あれ、誰か後ろから来た。振り向いたら凶一郎さんだった。

 

「買い物は済んだな? 帰るぞ三人とも」

 

その手にある本、タイトルに『拷問』って文字があるんですが。なんですかそれ。

 

「クソッ!長男も来やがった!流石に相手するのは・・・」

 

「バカが、うろたえるな。いくら夜桜でもこの数相手では・・・」

 

後ろ後ろ。二刃さん来てますよ。・・・ほら投げられた。というか全員来てるんだよね。

 

「全員居るのかよ・・・っ!」

 

じゃ、終わったし帰ろうか。

 

「夕雅、モニター買っといてくれたか?」

 

「両方買ったよー。僕もミキサー買ったし」

 

「しっくりくる。これ買って良かったー」

 

辛三は新しく買ったらしい銃を抱きかかえてる。あと嫌五は何その顔パック。ピエロじゃん。

 

「嫌五、何それ・・・」

 

「ん、これか? 変装で荒れた肌とか筋肉をケアしてくれるやつ。だいぶ効くから夕雅も使うか?」

 

「いやー、今はいいかな。そんなに変装が必要な任務はしてないからね」

 

「オッケー」

 

さっきの親子も一緒にいる。無事で何より。

 

「これで来月までもつね」

 

「ゴリアテと殺香ちゃんへのお土産も買ったし、今日はこれで終わりかな」

 

 

 

駐車場に出たあと、ガオンモールが沈んだ。・・・『買い物』ってこういうものじゃないと思うんだけど。まいっか。

 

 

 

「ふー、学校終わったー」

 

「おかえり太陽ー」

 

僕は夕飯の準備中。今日は洋食メインにするって六美ちゃんから言われてる。なのでスープの下拵え中。ミネストローネ。

 

「学校おつかれ♡」

 

誰っ!? 不審者!?

 

「屋敷の家族認証って1年帰らないとリセットされるからさー。トラップとかめんどいし下校直前に入らせてもらったんだ」

 

太陽のカバンの中から出てきた。ゴキゴキ関節言ってる。どんな体してるのこの不審者。

 

「なるほどお前が新しい孫か。堅物そうな顔してんな〜。それともうひとりいるって聞いてるが・・・ああ、そこの台所のやつか。そっちはゆるい感じの表情だな〜。さて、はじめましておじいちゃんです。よろしく」

 

太陽が問答無用で八重を向ける。

 

「不審者・・・!」

 

「あれっ!? 何か伝わってない系!? ちょっと待っ・・・!」

 

そのまま発射された。

 

「あ゙あ゙んっ」

 

 

 

「・・・ごめん六美、ちょっと動転して」

 

「当然だし正当防衛よ」

 

「・・・結局その人誰なの? 知り合い?」

 

「改めて紹介するね。万おじいちゃんよ」

 

「やー、一瞬ばーさんの顔見えたわ!」

 

うん、確かにこの家族の一員なんだね。さっきの電撃でも無傷だ。

 

「だが対応速度は悪くないしいい旦那だ!じーちゃん安心!任務すっぽかして会いに来た甲斐があるってもんだ!ほれ、ご祝儀兼小遣いな」

 

サラッと札束渡された。なんか僕にも。

 

「えっ・・・まさかお祝いだけのためにお仕事抜けてきてくれたの!?」

 

「フッフッフッ、可愛い孫のためだ。当然だろう。もっと早く来たかったぐらいだぞ。目的の1つは新婚夫婦への挨拶。そしてもう1つは・・・」

 

そう言って万さんが太陽の腕を掴む。ついでに僕も。

 

「初顔合わせの爺と孫で親睦会だ!さー行くぞ太陽!夕雅も!」

 

「ちょっ!僕夕飯の準備しないと・・・」

 

「何しに来た万じいさん」

 

鋼蜘蛛が万さんに巻き付き動きを止め、凶一郎さんが来た。

 

「よう凶一郎!海外任務中じゃなかったか!?」

 

「警察から緊急要請でな。『脱獄囚夜桜万を連れ戻せ』と」

 

「脱獄・・・!?」

 

「オイオイオイ、誤解される言い方はやめろ。俺は裏社会の情報収集の任務で刑務所に常駐してるだけだぜ? おもしれー情報がたんまり手に入るが、女っ気のなさだけがタマにキズでな。すぐ戻るんだし、ちょっとぐらいシャバで遊ばせてくれよー」

 

「論外だ。万じいさんは女にもてるためなら裏社会の情報もペラペラ喋る『歩く情報漏洩』。だから有事の際以外外出は禁止されてるんだ」

 

「「プロ失格じゃん(じゃないですか)!!」」

 

「残念だが脱獄は終了だ。怪我させたくない。大人しくしてくれ」

 

「フフ・・・ちょっと見ないうちにデカい口叩くようになったな。誰がオムツ変えてやったか忘れたらしい。・・・止めてみろ、青二才」

 

「!」

 

「えっ」

 

「なっ!?」

 

凶一郎さんの鋼蜘蛛から一瞬で抜け出した。どんな技術?

 

そしてカチッと腕時計から音がなり、白煙があたりを包む。

 

「きゃっ!?」

 

「わっ」

 

「・・・太陽、連れてかれちゃった」

 

「とりあえず、僕は夕飯の準備の続きするね」

 

 

よし、仕込み完了。あとは焼くだけ・・・ん? 誰か庭にいる音がする。こっち来てるね。

 

ガチャ

「誰ですか・・・おや、こんにちは。何か用ですか?」

 

初老の和服姿の女性が来てた。

 

「あっ、おばあちゃん!」

 

「おばあさんでしたか」

 

「そう。あなたとは義理の関係になりますかね。夜桜京子です。ついでにさっき来たであろうあの万(バカ)の妻です。今ここにいるかい?」

 

「今はいませんね。さっき来ましたけど」

 

「・・・この屋敷にいないってことは、どこか行ってるね」

 

「太陽連れてどっか行っちゃったの。場所わからないのよね」

 

「それは大丈夫。ある程度場所の予想はついてますから」

 

「さすがは長年連れ添った夫婦ってことですか。夫の方は女好きだそうですが」

 

「あれでも一途なところがあっていい人なんですよ。・・・さて、もう少し話したいけど万を連れ戻さないとね。また今度会う機会があるだろうし、今後もよろしくね。夕雅」

 

「よろしくお願いします」

 

 

 

その数日後。

 

帰宅した太陽と七悪くんから今日の学校のことを聞いてる。

 

七悪くんの体質から発生したハプニングと交友関係とか。あと義弟の恋愛とかありそうでちょっとおもしろそう。

 

「・・・っていうことがあってな。色々大変だった」

 

「へー。七悪くんは好きなの? その『りんね』って女の子のこと」

 

「へ!? い、いやそんなことはないっていうかそうであるというか・・・」

 

「顔真っ赤だよ」

 

わかりやすいよ。モロバレじゃん。

 

「ま、付き合ったら教えてよ。赤飯炊くからさー」

 

「だから気が早いって・・・」プシュー

 

「顔真っ赤だよー」

 

「兄貴、からかうのもそこまでにしてやってくれ。気温が上がりすぎてめっちゃ暑い」

 

「はーい」

 

ま、今日も一日お疲れ様って感じかな。




裏設定10
夕雅は機械には弱くないが大半のゲームには超弱い。格闘ゲームとかなら二刃に次いで夜桜家ワースト2位。なお頭脳戦やフィットネスとかのゲームなら普通に強い。あと普通のハッキングなら問題ない。

裏設定11
家族や友人の恋愛については周囲で見守りたいタイプの人間。今回みたいに話し相手になることも一応ある。
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バスケットボールは何色か。(作者:バレテーラ)(原作:アオのハコ)

 赤でも青でも黄でも緑でも紫でも、ましてや黒でもない色がバスケ馬鹿な美人先輩と青春を謳歌する話。▼ ※ リアルが忙しかったり、他に描きたいものが出てきたり、構想に手こずったりしているので不定期更新です。


総合評価:263/評価:7.83/連載:6話/更新日時:2026年11月01日(日) 15:24 小説情報


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