.hack//Error 〜死神は世界を嘲笑す〜   作:あるま☆

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仕様外の死神

 

 

ダンジョンを出た後、司との会話どころか顔すらも合わせることができません。プレゼント的にはいい感じだったが、それは恋人同士の場合だ。

俺達は同じ境遇の関係であって恋人同士ではない。いや、司みたいな娘だったら大歓迎だけどさぁ・・・・・初めてあげたプレゼントがあんな意味が込められていたら誰だってこうなりますよ?

ああ、俺に女性経験が一ミリでもあったらこうゆう空気を打開できたんだろうなぁ。なんかこう・・・・・空気を読めない奴ら来てくれ!

俺の願いは届いたようで、空気を読めない奴ら【紅衣の騎士団】が現れた。一人隊長のような者が柄の悪いPC達を引き連れていた。今日は銀漢がいないようだ。もちろん昴は今回も不在。内心ありがたいと思いながらも、相手の空気がいつもとちがい軽い気持ちは消えた。今回はなんだというんだ。

 

「PCエクサ、お前が不正行為を行ったと聞いた。よって貴様を捕らえさせてもらう。PC司お前も同じくな」

「なんだと?」

 

俺が不正行為(チート)だと?確かに今の状況的にはそう思われても仕方ないが、行った覚えはないし技術も知識もない。まあ、する気もないけどな。

 

「今回のイベントアイテムを不正に具現させたそうだな?」

「は?アイテムの具現化は仕様じゃねえのか?」

「しらばっくれるな。その光景を団員の一人が確認している」

 

あの時つけられてたのか。何か見られたくないところを見られてイラつきが出てきました。

それよりも、銀漢のやつがいないとはどうゆうことだ?あいつなら一番先頭に立って偽善者ぶるだろうに、何かあったのか?

 

「俺はやってない。それよりも銀漢の奴はどうした」

「銀漢・・・・?ああ、あのアホか。あいつならここ最近ログインしていないぞ?」

「なに?」

「お前達を捕らえられなかったから責任を感じてるんじゃないか?まったくゲームごときで熱くなりすぎだろ」

 

素の喋り方になったPCは銀漢のことをバカにするかのように嘲笑った。後ろにいた柄の悪い感じのPCも一緒に笑っていた。

どうやらこいつらは騎士団の中で柄が悪いようだ。銀漢も苦労してたんだな。ログインしていない理由はともかく、同じ騎士団のメンバーであり、仲間であるやつをバカにしているこいつらが許せない。

 

「お前ら紅衣の騎士団にしては柄悪いな?」

「は?ゲームで規則やルールとかあんのかよ?ゲームってのは楽しむもんだろうが!」

 

こいつの意見は最もだ。俺もPKという行為をして、人を傷つける行為を何処かで楽しんでいるのかもしれない。人のことを言えないかもしれないが、それでも俺は仲間を笑う奴は許さない。

 

「それでも、だ。俺は銀漢をバカにして笑っているてめぇらを許さない」

「おいおい?今まで毛嫌いしてたやつを庇うのかよ?」

「毛嫌い?大っ嫌いの間違いだろ?俺はあいつが嫌いだ。だがな、お前らみたいな糞どもはもっと嫌いだ!」

「知ったことじゃねえな!捕らえるのはなしだ・・・・ここで消してやる」

 

紅衣の騎士団は武器を構え、違和感のある動きで飛びかかった。だが、それを司の守護者(ガーディアン)が許さない。飛びかかったところを叩き落とされ、地面に這いつくばった。

あっさりとやられたPCを見て、ある疑問が思い浮かんだ。普通のPCにあんな細かい動きができるのか・・・・?

疑問が浮かんだ直後、予想外の出来事が起きた。司の守護者にノイズが走ったのだ。黒板を引っ掻いたような嫌な声のようなものを出しながら守護者は崩れ去った。

その光景に驚きだが、仕様外である守護者を消すには同じ仕様外の力がないと行えるわけがない。

 

不正行為(チート)か!」

「ああ、目には目をチーターにはチーターってとこさ」

「散々、人に不正行為で言ってたくせにお前ら自身がチーターかよ」

「意外にばれないぜ?あの銀漢も気づかなかったんだからさ!」

 

秩序を守る紅衣の騎士団にチーターが居たとか皮肉だな。笑えてくるぜ。崩れ去った守護者の残骸を見ると、司にも影響が出ていた。体にノイズが走り苦しそうにうずくまっていたのだ。

 

「司!!」

「おいおい?ゲームをやりすぎるとあんなことにでもなるのかよ」

「お前ら・・・・・死ぬよりも苦しい体験をさせてやろうか・・・・?」

「はぁぁ?お前頭イカれーーーーー」

 

ザクッ!何かが斬られる効果音がゲームの中で鳴った。リーダー格のPCはずるりと地面に倒れ落ちた。腰からしたの部分である下半身を残したまま。

その光景だけでも仕様外だった。だが、それ以上に仕様外なのは今のバージョンにあるはずのない武器をエクサが握っていたのだ。

柄は身の丈を超え、先の方から半月のような形をした刃が血を求めるかのように禍々しく輝いた。妖艶の輝きを放つ大鎌がエクサの右手に握られていた。その姿はまさにーーーーーーー

 

「し、死神・・・・・!」

「ああああぁぁぁぁああ!!!」

 

斬られたPCは、痛みを感じるかのように悶え叫び苦しんだ。だが、決して死ぬことはない。何故なら、ただ痛みが脳を通じているだけで実際の現実の体は無傷だからだ。このPCは普通なら死ぬ痛みをずっと味わっているのだ。

後ろにいた他のPCは異様な光景と惨劇に怯え、一斉に逃げ出した。しかし、死神は逃げることを許さなかった。

一人、また一人と同じように大鎌で腕や、足を体から切り離されて行った。無事なPCは一人もおらず、ただ痛みによる悲鳴だけが響き渡っていた。

同情という言葉は死神にはない。とどめを刺さず悲鳴を放つ肉人形を取り残し、司を優しく抱き上げフィールドから姿を消した。

 

 

 

茨の部屋ーー誰もいない司とエクサだけが知っている秘密の部屋に巣食う大きな存在、モルガナがエクサ達を観察していた。

先ほど起こったエクサによる仕様外の惨劇を見たモルガナは不敵に笑い、こう囁いた。

 

ーー時は熟した・・・・・・今こそアウラを消す時・・・・・・・ーー

 

TheWorldの管理者は闇の中で不敵に蠢いていた・・・・・・・・

 

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