.hack//Error 〜死神は世界を嘲笑す〜 作:あるま☆
なんでこんなことになったのだろう。
結局クエストをすることにしたんだけど、手頃な奴が無いかと思ってタウンに戻ったんだ。そしたら、司がプチグソから離れないんだよ。
駄々こねた子供のように頑なに動こうとしないんだ。困ったお嬢様だ。そこも可愛いんだけど。
置いて行くぞと言うと、ふくれっ面になりながらもプチグソと遊ぶのをやめた。そのあと、杖で思いっきりぶん殴られたのは、お約束。
クエスト屋に行くと、今一番会っては行けない奴とあってしまった。
「やっと見つけましたよエクサ」
「げっ!?」
クエスト屋に立っていたのは、薄いエメラルドグリーンのショートヘア、白を基調とした天使のような服装の
こいつには今正に会いたくはなかった。理由は一つ。多分お節介を焼くからだ。銀漢とは違い、不正行為をしたからと言って、すぐに捕らえたり、何かを仕掛けるなどと言ったことはせず、注意などをしたり手伝いなどをする。一言で言えばお人好し。
こいつとは前から面識があったが、苦手なタイプだ。
「エクサ・・・この人だれ?」
「紅衣の騎士団団長・・・」
「え?じゃあ、逃げた方が・・・」
司は心配そうに言った。
「いや、それに関しては大丈夫だ・・・・」
「その人が司ですね?はじめまして昴と言います」
昴は礼儀よく挨拶をしたが、初対面の人間で、しかもこの前襲われた集団の親玉であるからか、司はとても警戒していた。
「悪いな。お前のとこの聞かん坊に襲われてな。団長であるお前を警戒してるんだ」
「そうでしたか・・・・わたくしのギルドがご迷惑をかけてしまい申し訳ありません」
「・・・・・・別にいい」
「それで、あなた方はログアウトが出来ないとお聞きしたのですが、もしよかったら何か助けさせてください」
来たよ。正直今のこの現象は、他の人にどんな影響を与えてしまうかわからない。故に、干渉を控えていきたいんだけど。司も同意見のようだし、断ったんだけど・・・・。
「じゃあ、勝手に助けます」
「はぁ!?」
「それでは、いろいろと調べる必要があるので、今日は落ちます」
一人でたんたんと喋り終わったかと思うとログアウトしたのであった。
なんてやつだ。銀漢の分からず屋が可愛く見えるぐらいの分からず屋だった。司も呆気に取られていた。
司にこんな顔させるなんて、さすが昴だ・・・・。
「とりあえず、クエストやるか・・・・」
「・・・・うん」
クエストの内容は単純にモンスターを指定数倒すだけの簡単なお仕事でした。それでも、普通にゲームと言うものを楽しめた気がした。それに、今の状態は意外にも自分の思い通りに動けるから、戦闘がものすごく楽であった。いやむしろ楽しい。
司は持久走を最初飛ばしすぎて後半ばてた人みたいになってる。現実世界の体力が反映でもされているのかな?でも、そしたら俺は・・・・・いや想像もしたくねえ。現実世界の肉体なんか気にしたくない。こっちの世界に順応して来た証拠か?嬉しくねえな・・・・・・・・。そんな暗いことを考えていると、司が心配そうに言った。
「大丈夫?」
「え?ああ」
「ほんとに?今にも死にそうな顔してるのに?」
「・・・・・・・・ちょっとな」
現実世界を忘れかけているとはいえ、今までの気持ちが消えかけてる。こんなに動けるのなら、このまま【TheWorld】の中に閉じ込められた方が幸せなんじゃないかと・・・・・。
現実世界に戻っても気胸に悩まされるだけ、運動ができない日々が続くだけ、そんなストレスが続くだけの生活を送る【現実】はいやだ。そう思い始めてる。
不意に、頭を後ろから軽く小突かれた。なんだ?と後ろを向くと司が杖で俺をコツンと叩いたのだ。
「揺らいでる?」
「え・・・・?」
「帰りたいと思ってた気持ちが揺らいでいるんでしょ?」
核心をつかれて驚いて、咄嗟に反応できなかった。そんな俺を司は見て微笑し、話を続ける。
「現実は辛くていやだ。僕だってそう思うよ。けど、君はそんな僕に少しだけ帰りたいと思う気持ちをくれたんだよ?なのに・・・・・君は諦めるの?」
司の言葉が重くのしかかった。そうだよ・・・。司にあんだけ言っておいて「自分は諦めます」じゃ、まかり通らねえよな。なに弱気になってるんだよ。現実世界に希望がねえなら、希望を見いだせばいい。単純明快だ。
「ありがとう・・・・司」
「どういたしまして」
そう言って、また杖でコツンと叩かれた。なぜか少しだけ元気が出た気がした。