ゼンゼロ世界で天然の食材を使って屋台を開く。 作:ダブルモナカ
新エリー都遥か西方のミネルヴァ暴風帯内に浮かぶ浮遊島 「空域機密特区・ロスカリファ」住民の大半がボンプで占められているこの地域で今日も人とボンプたちが暮らしている、しかしそんな平穏な場所に白を基調としたレオタード風のタイトなスーツを着た淡い金髪の女の子がふらふらと体を揺らしながらスマホを見ながら何かを探すように歩いていた
「うん……どこかな、こっちでもない…?プロメちゃんとの待ち合わせ場所はここのはずだけど……」
トボトボと頼りなさ様な歩き方に周囲の市民やボンプなどは心配そうに目線を向けているが明らかに服装や松葉杖のように地面についている赤と銀のハート上の剣を持ちながらふらふらとしている素朴で幼く浮世離れした彼女がロスカリファに生きる人々はあのTOPSのクランプスの黒枝のメンバーで裁決官だということはわからないだろう。
「今日はせっかく、みんなと一緒に集まるのに……ボスに怒られちゃうよ」
しかしそんなフィオニーの感情を消しかけるように少し暗い道の奥から人生で初めて嗅ぐような芳醇な匂いが漂ってくる。
「ん……なにこれ、スンスン…とってもいい匂いがするぅぅ…よ、んしょ…」
そしてフィオニーはさっきまでの気だるい表情から一変して背筋を伸ばして匂いの方向に早歩きをして行き止まりの所に小さく建っている小規模な屋台を発見して先週同僚のクランプスの黒枝のメンバープロメイア達が話していたことを脳内から引き出して思い出す。
(あのいつもムスッとしてるプロメちゃんがすごい興奮して話してた……けど、この事なのかな」
「あの屋台は悪魔の料理人は間違いなく天然の食材を使っている!この新エリー都に存在しない筈のものをだ!」
「でもプロメ先輩~そんなうまい話あり得ませんよ?人工合成でも添加物が入ってもない食材を使った料理を提供する店、新エリー都になさそうですけど似たようなものもなら貴族や裏社会の組織とかそれこそボスみたいな大企業の金持ちの人なら知ってますって。」
「違う!あれはそんな生易しいものではない!一部の特権階級や金持ちなどが大金をはたいて食べる料理の情報は私も把握している、だがもし奴らがあの屋台の情報を握っているなら絶対に有名になっているか金や女や様々な物を使い既に自分たちの物にして囲い込んでいるかどちらかだ!だが、奴の情報はまだ世間にまるで出ていない。」
「そうだね、ダイアちゃんの言うこともそうだしプロメちゃんの言ってることも納得できるけどね?肝心の目撃したとかの情報が少ないし確証は出来ないから時間をかけて探すかまた運良く出会うときにその店主さんに聞くしかないね。」
「くっ…!あの悪魔の料理人がもしそれこそTOPSの連中に見つかれば奴を巡る抗争に発展するというのに…」
そんな苦虫を嚙み潰したような表情のプロメイアをよそにダイアリンや照は話を軽く流していてまるでたまに出るインターノットの都市伝説の扱いにしかまだ考えていなかった。
(ん……さっきからプロメちゃんもダイアちゃんも照ちゃんも、ずっと料理の話を…してる?美味しいのかな、そんなに)
会議室で意識をぼんやりしながら三人の会話を耳に挟んでいた。そして場面は変わりフィオニーの目の前にはまさにプロメイアの話していたように悪魔的な料理の匂いに頭を上下に揺らし遂に屋台のカウンター席の真ん中の席に気絶するように腰を下ろす
「あのね…前にプロメちゃんが来てた場所?ってここかな」
俺は白い帽子を被り厨房の席から今日のメニューを取り出してフィオニーのいるテーブルに出していく。フィオニーは以前のプロメイアが警戒しているような様子とは別に待ちきれない恋人に向ける目線に似ていた
「これがメニューなのかな?ありがとね…」
フィオニーは一枚のメニュー表を手に取り目を通していくと今日のメニューが並んでいた
銀皿ナポリタン
プリンアラモード
クリームソーダ
「ほう…ほう…、前にプロメちゃんに出したメニューとは違うんだね、すぐそばからすっ…ごく!いい匂いがするから、はあ…はあ…♥ホントに!添加物も何も入ってない食材を使った料理を提供するんだね」
俺は前に客としてきたプロメイアとは全く性格の違うフィオニーの様子に帽子越しに彼女の顔や仕草を見て足元に居たボンプにハンドサインを出して何か起きた様に待機させていく。鉄板に火をつけて太麵のパスタとトマトソースと刻んだ玉ねぎとピーマンを用意する。そしてメインディッシュの前にクリームソーダを作る。濃厚なバニラアイスをスプーンですくうと厨房の左側に備えてある小型ドリンクバーのボタンを押すと置いたガラスの容器に炭酸の効いた緑色の透き通る液体が出てきて俺は八割ほど入れた後にバニラアイスを入れてストローを刺してそっとフィオニーのテーブルに出す。
「ふぉぉぉぉぉぉ……♥これが、クリームソーダなんだありがとう…じゃあさっさく食べるね?いいよね!?」
フィオニーは我慢できないような昼間から公共の場所でしていけない顔を真っ赤に染めて俺の出したクリームソーダのストローを口に含むと一気にメロンソーダを吸い込んでいく。しかし俺も傍にいるボンプもそしてフィオニーも甘く見ていたのかもしれない色々と。
「んんんんんんんんんん!?!?!?っっっっぶはぁぁぁぁぁ!!!なにこれなにこれ………口の中がシュワシュワでバニラがトロトロで!美味しいよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
クリームソーダを飲んだフィオニーは今まで自分の特殊な体質の為にあまりおいしい料理を人生の道の中で食べて居なかった彼女にとって俺の提供したクリームソーダは想定外の劇物だった、そしてフィオニーは体をぐったりとして椅子に全体重を預けて気絶するおれの傍にいたボンプはトコトコと歩き始めて酔っ払いを看病するように声をかけようとすると突如として体から眩い光が爆発するように発現するこの屋台のある路地が、(ンナ!?ンナナッンナ!?)ボンプがその光景に困惑して俺も帽子のつばを上げて珍しく目線を向ける
「わぁ……!ごめんね私、少し特殊な体質してるから…!でも大丈夫、むしろ君の料理のおかけで体の調子がとっても…いい…♥から、もっと頂戴!!」
ボンプは呆れそうな表情をしてスッと小さなボディを俺の所まで寄せてきて小さな両腕を組んでいた。おれは料理を再開して鉄板の上で素早くナポリタンを調理していく透明なタッパに保管しておいた自家製トマトソースを取りだして太麺を最初に火を通すと刻んだ玉ねぎ、ピーマン、ベーコン、ソーセージを濃厚なトマトソースに絡めていくそして大きめの昔ながらの喫茶店にある銀皿を手に持ち盛り付けていく。俺は頬を真っ赤に染めていつの間にか料理を作る様子を絶景に釘付けになっている観光客みたく俺の顔にどんどんと接近してくるがテーブルにナポリタンが出されフィオニーはパイプ椅子に体を戻してフォークを右手で力強く握りくるくると麺とソーセージが絡んだルビーの宝石の様なナポリタンを口を目いっぱい開けてぱくりと口の中に入れていく。
「ゴハッ…!!んんんっ…トマトソースとシャキシャキの玉ねぎとこの苦い風味と時々噛むと溢れるジューシーで口の、中がぁぁぁぁ…う~~~~~ん!!美味しいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!あっ、キュゥ……」
口の中に広がる数多くの食材の旨味が凝縮した爆発がフィオニーを襲い、クランプスの黒枝の切り札の彼女の体も限界を迎えたのか大興奮を終えて素朴な少女の声でパイプ椅子の背もたれに体を置き去りにして死んだように静かになる。しかし俺とボンプは動揺することなく淡々と次の料理のプリンアラモードの準備をし始める。すると案の定、まばゆい光がフィオニーの体からあふれ出て目を覚ましていく。
「ん…ごめんごめん、また君の前で起きちゃったね。ちゃんと食べるから待ってね…ん、もぐもぐ…」
残りのナポリタンをフィオニーは金色の瞳をキラキラしてがつがつと食べ進めていき俺とボンプは小さく息を吐いて安心する。引き続き俺は最後のメニューのプリンアラモードを作っていく、中央にカスタード色のプリンを置きそれを囲むように小さな生クリームを配置して半分に切ったイチゴを生クリームが崩れないようにバランスよく置く最後にプリンの上部にさくらんぼを一つ乗せる
「わぁい…!デザートっ!!待ってたよ…そう、これこれ…甘いものは必要だからさ、はははっ…早く頂戴よ…!お願い、」
フィオニーは体をくねくねと動かしてとっくとうに食べ終え綺麗さっぱりな空の銀皿を横目に懇願してくるが俺は先に銀皿をとって片付けてそっとテーブルに完成したプリンアラモードを置く、最後のプリンアラモードを目の前にした彼女はスプーンで手を震わせながらプリンや生クリームとイチゴを丁寧にすくい口に豪快に放り込んでいた。ボンプは手を前に出してあれを警戒しているのかでも大丈夫かな?とかすかな希望を望んでいたが失敗に終わった。
「こおっ!?!?うううっ…!!ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!ほっぺが落ちちゃうぅぅぅ…凄いよ!!さっき食べたナポリタンよりも味の爆発力が、あるよぉぉぉぉ!こんなに美味しい食べ物ホントに在るんだ……はぁぁぁぁぁぁ、止まんないよ、」
今度は意識を失わずそのまま光と共に背中にある機械から炎が溢れて俺は帽子を深く被り直してからポケットから取り出したスマホの画面を見ていた、しかし俺のボンプは腕を組み目の液晶端末が嫌な客を見る目つきに変わっていき俺の裾を摘まんで、「ンナ…!ンナナナ!ンッナ…」(この子大丈夫…?)と言ってきて俺はボンプの頭をポンポンと、優しく撫でて慰めると機嫌がよくなり可愛らしい足音共に俺の傍の定位置に戻る。そんな一幕を終えると眩しかった光は収まり元の状態に戻ったフィオニーは金色の瞳がぼんやりと虚ろに染まり、
「ふあぁぁ…ふあぁぁぁ…も、もう満足だよ、これがお腹いっぱいって感覚なんだね。そうだよね?君が私の体に教えてくれたんだから…あぁぁぁぁぁ、またっ!頭に美味しい感覚がフワフワで浮かんでくる…これが毎日、プロメちゃんや照ちゃんやダイアちゃんや盤岳先生のみんなと最高のパーティーを開いて君と私とみんなとーーーーーー」
これ以上のこいつに言葉を喋らせたら自分が仕える主人の事が危ないと判断したボンプは俺を守るようにお会計のキャッシュトレイを取り出してテーブルに置いていく
「ンナナ~~ンナ!!」
大企業もびっくりのビジネススマイルを浮かべたボンプを見たフィオニーは正気に戻り、
「あっ…ごめんね、お支払いしなきゃいけないから…いくらだっけ?」
俺はメニューを取り出して指で値段の所を指さす
銀皿ナポリタン
2000ディニー
プリンアラモード
1000ディニー
クリームソーダ
700ディニー
「おおっ…、やっぱり価格は凄い安いんだね…うんこれなら払えるよでも、私…黒枝のみんなに言われて現金もってないんだよね。いつもスマホにあるカードで払えるかな…?」
その言葉を聞いたボンプはポケットから黒いクレジットカードリーダーを取り出してフィオニーに見せる。フィオニーは携帯の画面を操作して自分の口座が登録してあるカード画面を出すとぴぴっ!!と鳴りボンプは入金の情報を確認して一瞥すると機嫌よく手を降って厨房で座ってる俺のもとに戻ってくる。眩いエーテルの爆発の光の主のフィオニーは椅子からふらふらと立ち上がって帰ると思いきや日差しが差し込むロスカリファの街の道の方角ではなく俺の方に足を動かしてくる。
「君…ちょっとね、色々と聞きたいことあるから、お話しよ…?また食べたいしプロメちゃんとかダイアちゃんとかにも絶対食べさせたいから」
だがそんな行動をボンプが道をふさぐようにフィオニーの目の前に通さないと怒りながら何度も飛び跳ねていく
「ンナァァ!!ンナナナ、ンナワタタタ。」(ちょっと!!お客さん、厨房はダメだよ。)
「ええ…少しくらいいいでしょ?だめなの?」
「ンナ!ワタワタ。(駄目だよ!ごめんね。)
「ん…分かった……でも黒枝のみんなに会ったら自慢するもん!」
そう言い残しフィオニーは俺に可愛く手を振りながら赤と銀の二つの剣を合体させて路地裏から元気よくいつもの怠そうな歩き方はどこにいったのか、そして路地の奥から数分もしないうちに屋台は消えていた。
ロスカリファ市民の憩いの場所噴水が中央に建設された場所の角で紫色の髪のプロメイアは気配を消して陰に隠れるように息をひそめていた。任務のための集合場所にフィオニーが来ないことを危惧して眉を動かすとどうやら仲間のフィオニーが来たようだ
「あっ…プロメちゃん!!ごめんねちょっと遅れちゃって…」
フィオニーがやってくるとすぐにプロメイアは体から香る以前自分も食べた天然の食材の料理の匂いが鼻腔に届き冷徹な仮面を脱ぎ捨ててフィオニーに問いただす。
「フィオニー!!まさかその匂いはっ!嘘だ……くそっ!何処にいた、あの悪魔の料理人は!!教えてくれ!」
「えへへ……ついさっきね、ここに向かう途中にプロメちゃんが前の会議室でみんなと話していた人?路地の奥に屋台があって…!クリームソーダとナポリタンとプリンに色んな果物が乗せてあって、初めてお腹いっぱいでほんとに美味しいって思えたよ…!!」
ロスカリファにプロメイアの悔しさの悲鳴が聞こえてフィオニーは完全に勝利を勝ち取ったように鼻を鳴らしていた。
今回もプロメイアと同じ黒枝メンバーのフィオニーの話を描きました。少し関係ないですが自分的に大体一話4000文字前後に収めようと思ったのですが描いているうちに5000文字を超えてしまい次の話を書くとき時間がかかり週一投稿の目標を崩してしまうのではないかと危惧しています。その時に自分の話を待っている方々に不快な思いをさせてしまう事もあるかもしれませんが基本的に一旦乗れば書けるタイプだと自分で思っているので頑張ります。たくさんのお気に入り登録や感想をくれた皆さんありがとうございます!!