カロス地方、シャラシティ。
4個目のジム戦は、佳境に差し掛かっていた。
ルシアの頭の上ではペロッパフが真剣な顔でバトルコートを見つめている。
お互いに残されたポケモンは最後の1匹。
コルニ「ルシア強い!最高!」
コルニは楽しそうに笑っていた。
ルシアも最後のモンスターボールを強く握り締める。
コルニ「お願い!ルカリオ!」
ルシア「出てきて!ゴウカザル!」
2つのボールから同時に光が弾けた。
コルニの前にはルカリオ。
そして、ルシアの前にはゴウカザルが降り立った。
ルカリオが大きく吠える。
向かい合うゴウカザルも姿勢を低く落とし、両腕を構えた。
バトルコートの入口では、ツキアシがその様子を眺めていた。
ツキアシ「……。」
……やっと来た、ゴウカザル。
ハクダンジム、エイセツジム、ヒャッコクジム。
これまでの3つのジム戦では、ゴウカザルの出番はなかった。
あの異質な炎はツキアシも知っていた。
一度近くで見てみたかった。
ツキアシはコートに立つゴウカザルへ視線を向けたまま、じっとその姿を見つめていた。
ルシアは正面のルカリオをじっと見つめた。
目の前にいるのはコルニのルカリオ。
そんなことはわかっている。
それでも、どうしても意識してしまう。
ルシアがその姿に重ねていたのは、セナのルカリオ。
……ここだけは負けられない。
ルシアはまっすぐ前を向いた。
ゴウカザルも両拳を強く握り締め、低く構える。
審判を務めるコンコンブルは、2匹の様子を確認するとゆっくりと呼吸を整えた。
そして、大きく息を吸った。
コンコンブル「バトル再開!」
コルニは大きく息を吸う。
コルニ「命!爆発!」
コルニのキーストーンが眩い光を放った。
コルニ「メガシンカ!」
ルカリオが力強く吠え、その体がメガシンカの光に包まれていく。
光の中で姿が変わっていく。
そして、眩い輝きが弾けた。
メガルカリオが立っている。
ルシア「ゴウカザル!フルパワー!」
ルシアの声もバトルコートに響き渡った。
ゴウカザルの炎が一気に膨れ上がる。
頭上で燃えていた炎がさらに勢いを増し、凄まじい熱気とともに天井へ向かって吹き上がった。
バトルコートの天井に届くほどの巨大な炎。
コルニは思わず言葉を失った。
……なにこれ。
こんなの知らない。
メガゴウカザル?
……違う。
そんなものはない。
まさか、ただのゴウカザルなの?
……これが?
目の前に立っているのは間違いなくゴウカザル。
でも、その体から燃え上がる炎は明らかに普通ではない。
ルシアの頬が自然と緩んだ。
……勝つ。
バトルコートの入口では、ツキアシがイーブイを抱いていた。
その腕の中で、イーブイは目を丸くしていた。
天井まで届くほどの巨大な炎。
生まれたばかりのイーブイは、ゴウカザルが燃やす美しい炎にすっかり目を奪われていた。
コルニ「ルカリオ!はどうだん!」
ルシア「ゴウカザル!グロウパンチ!」
ゴウカザルが拳を強く握り締めた。
その正面で、メガルカリオが両手からはどうだんを撃ち放つ。
青い波動が一直線に飛び、踏み込んできたゴウカザルを捉えた。
激しい衝撃とともに波動が炸裂し、周囲に土煙が巻き起こる。
それでも、ゴウカザルは止まらなかった。
歯を食いしばり、衝撃に耐えながら前へ踏み込む。
そして土煙の中から拳を突き出した。
グロウパンチがメガルカリオの腹部を捉える。
メガルカリオの体が押し込まれ、そのまま後方へ下がった。
攻撃を命中させたゴウカザルの体にさらに力がみなぎっていく。
グロウパンチの追加効果で攻撃力が跳ね上がる。
コルニ「やるじゃん!ルシア!」
ルシア「……。」
コルニの明るい声が、どこか遠くに聞こえる。
ルシアは目の前のゴウカザルをじっと見つめた。
こころとぎすまし、ポケモンとひとつに。
今、ほんの少しだけゴウカザルと心が重なった気がした。
ルシア「ブラストバーン!」
ゴウカザルの周囲に炎が舞い上がった。
足元から噴き出した炎が一気に膨れ上がり、ゴウカザルの全身を包み込んでいく。
凄まじい熱気とともに炎が渦を巻く。
やがて巨大なひとつの炎となった。
コルニ「……ッ!」
コルニは思わず息を呑んだ。
……すごいなんてものじゃない。
普通じゃない。
コルニ「ルカリオ!ラスターカノン!」
メガルカリオが腕を突き出した。
腕に白い光が集まり、眩い光線が一気に撃ち放たれる。
光線は一直線にゴウカザルへ向かった。
しかし、ラスターカノンは最後まで届かなかった。
ゴウカザルを包む巨大な炎に光線が激突する。
激しく燃え盛る炎の中で、白い光が押し込まれていく。
ラスターカノンはその輝きを保ちきれず、ゴウカザルに届く前に四散した。
コルニ「……嘘。」
コルニは目を見開いたまま、動けなかった。
メガルカリオも腕を突き出した姿勢のまま、呆然とゴウカザルを見つめている。
目の前で何が起きているのかわからなかった。
ルシア「いけ!」
ルシアが勢いよく手を前に突き出す。
同時に、ゴウカザルが地面を強く蹴った。
巨大な炎をまとったまま、メガルカリオとの距離を詰めていく。
コルニ「ルカリオ!インファイト!」
メガルカリオも姿勢を低く落とし、正面から迎え撃つ。
……避けきれない。
炎の範囲が広すぎる。
横へかわしてもあの炎に捉えられる。
だったら突っ込んで倒すしかない。
メガルカリオが拳を握り締め、迫り来るゴウカザルへ踏み込んだ。
次の瞬間、ブラストバーンとインファイトが激突する。
メガルカリオが炎の中へ飛び込み、ゴウカザルへ拳を叩き込む。
しかし、激しく燃え盛る炎がメガルカリオの体へ燃え移った。
メガルカリオは歯を食いしばった。
それでも拳を前へ突き出す。
コルニ「ルカリオ!」
その声に応えるように、メガルカリオがさらに拳を振るった。
一発ずつ、拳を握り締めながら、目の前のゴウカザルへ打ち込んでいく。
それでもゴウカザルは止まらない。
炎の勢いも衰えない。
それどころか、踏み込むたびに炎はさらに大きく燃え上がっていく。
メガルカリオの体が押し込まれ、足が地面から離れた。
次の瞬間、体が宙へ浮き上がる。
そして、巨大な炎の勢いに押し切られ、後方へ吹き飛ばされる。
メガルカリオはコートの地面を何度も跳ねた。
コルニ「ルカリオ!」
地面に倒れていたメガルカリオがゆっくりと体を起こした。
ボロボロのまま、再び正面へ向き直る。
コルニ「しんそく!」
満身創痍のメガルカリオが、地面を強く蹴った。
ブラストバーンは反動技。
撃った直後は動けないはずだった。
……今なら。
動けない今なら!
メガルカリオが一気に加速し、ゴウカザルのいた場所へ突っ込んでいく。
コルニ「……え。」
そこには誰もいなかった。
確かにゴウカザルが立っていた場所。
地面は炎で黒く焦げついている。
それなのにゴウカザルの姿がない。
ルシア「ブラストバーン!!!!」
ルシアの声がバトルコートに響き渡った。
メガルカリオは着地すると、慌ててゴウカザルの姿を探す。
動きが止まる。
メガルカリオの背中側で、再び巨大な炎が燃え上がった。
次の瞬間、ゴウカザルのブラストバーンがメガルカリオを背後から飲み込んだ。
メガルカリオが膝から崩れ落ちる。
コルニ「……なんでよ。」
コルニは呆然と立ち尽くしていた。
目の前で何が起きたのかまだ理解できていなかった。
ルシア「……私のゴウカザル、反動克服したの。」
コルニ「……は?」
ルシア「反動ないよ。」
コルニ「……。」
……いや、だから。
その理由を説明してほしかった。
倒れたメガルカリオの体から光が溢れる。
メガシンカが解除され、元の姿へと戻っていく。
コンコンブル「ルカリオ、戦闘不能!」
コンコンブル「よって勝者、挑戦者ルシア!」
ルシアはぐっと拳を握った。
向かい側では、ゴウカザルが肩を大きく上下させながら息をしていた。
片腕を地面につき、苦しそうに呼吸を繰り返している。
ルシアは急いでゴウカザルのもとへ駆け寄った。
その前にしゃがみ込むと、顔についた土を優しく払ってあげる。
ルシア「お疲れ様!ゴウカザル!」
ゴウカザルはゆっくりと振り向く。
そして満足そうに笑った。
絶句していたのはコルニだけではない。
審判を務めていたコンコンブルも、バトルコートの入口で見守っていたツキアシも同じだった。
2人とも、これまで数えきれないほどのポケモンバトルを経験し、見てきた。
それでも、目の前の炎は明らかに異常。
火力だけで言えば。
レッドのメガリザードンX。
ダンデのキョダイマックスリザードン。
その2匹に並ぶと言っても過言じゃない。
ツキアシはルシアとゴウカザルを見つめながら、楽しそうに微笑んだ。
ルシア自身の実力がもっとついて。
ゴウカザルたちもさらに強くなれば。
本当にあのセナに食らいつけるかもしれない。
ツキアシがルシアの旅についてきた理由。
それはルシアを助けるためでも育てるためでもない。
ただ見たかった。
ルシアがセナに届きうるのかどうか。
それだけだった。
@battle_watch_19
ルシアVSコルニ見た?
@kalos_viewer
見てない
@lucia_fan08
見てこいよ
Poketubeに動画出てるぞ
@trainer_2525
見てきた
あの炎ってデフォルトなの?
@fire_pokemon
強すぎない?
@infernape_fan
火力やばいんだけど
@battle_analysis
ブラストバーンの反動当然のように踏み倒してるのは何?
@sinnoh_trainer
知らん
@mega_watch
知らん
@pokemon_movie
概要欄見たけど説明なかった
@lucia_support
ルシアゴウカザルすごい
@flame_fan19
もうルシアゴウカザルだろこれ
@lucia_infernape
#ルシアゴウカザル