エルフ王は唯一むに! ~王より刀鍛冶がしたい僕、剣の神になる?~ 作:茉森 晶
「……こうなったら仕方ないな」
溜息とともにそう言うと、ザクトは頭の手ぬぐいをとり、尖った耳をあらわにした。
「確かに……僕はエルフ王。唯一のエルフ男子、ザクト・レインシスだ」
可愛らしい男の子の顔を精いっぱいシリアスにして名乗る。
それに対し、ルーラはぽかーんと呆気にとられた顔で、遅れて反応した。
「えっ?」
「えっ?」
お互いに聞き返す。
「唯一のエルフ男子……? エルフって、神の怒りで男性すべてを消されてしまった種族……のはずですよね?」
「うん、その通り…………あれっ?」
どうにも噛み合っていなかった。
「えっと……ルーラ、だっけ? 君は『エルフ王がいる』と神託を受け、ここに来たんだよね?」
「は、はい。ですので『女王様なんだな』と……」
「…………」
「男子……なんですか? エルフに男性が生まれていた!? 信じられない……!」
「…………まいったな」
自分から『トップシークレット』をバラしてしまい、ザクトは頭を掻く。
「あ~……ルーラ君?」
「は、はいっ!」
「僕たちエルフは、できるだけ他種族と関わらないように生きてる。エルフの力を悪用しようって奴がいるからね」
「は、はい。それは……」
「で、そんなエルフの中でも特別な
ザクトはそう言いながら、空中に文字を書くように指ジェスチャーして魔法を発動させる。
キィンと澄んだ音がして、ザクトの体が金色の
「い、いえ、あのですね? 捕らえるだなんて……」
「ひとりで来たってことは『結界を越えられるのが今のところ君だけ』と見ていいかな」
それはまるでギャグ漫画のサイズ感で、打突面には白く光る魔法陣が貼り付いていた。
「君の記憶を消し、書き換える。待機してる部隊には『エルフ王なんていなかった』と報告してもらうよ」
「ままままま待ってください! 話を……」
「大丈夫、痛くないよ。位置がずれると、消し過ぎちゃうかもだから……動かないで?」
ザクトは大きく振りかぶり、ルーラの頭にデカハンマーを振り下ろす。
「ひゃああッ!!」
ルーラは悲鳴を上げながら、ペタンとしゃがみ込む。
その瞬間――
グォン!
強いエネルギーがぶつかり合うような音が響き、魔法のハンマーが
床にへたり込み頭を抱えるルーラは、いつのまにか亀の甲羅のような金色のバリアに守られていた。
(対魔法のシールドを、この
最新作の
ギィン!
音は違えど、またも簡単に
(ウソでしょ……対物理・対魔法の両用でこの完成度? 『防御魔法が得意』とは言ってたけど……)
シンプルながら鉄壁の
「まぁ、それでも……やりようはあるんだけどね」
先程とは違う魔法なのだろう、透明度の高い流水のような魔力が刀身を覆う。
「…………ふっ!!」
やわらかな構えから、まばたきの速さで刀を振り下ろす。
魔法と物理、それぞれの破壊音が混ざり、表現できない音が一瞬鳴り響いた。
「あわ……ッ!?」
甲羅バリアが真っ二つに割れ、性質を維持できなくなった魔力がパキンと音を立てて飛び散った。
ルーラの胸元が少し裂けていて少々セクシー状態になってしまったのは意図したものではなく、ザクトは焦って顔を背ける。
(
慌てて心の中で言い訳するが、ふと、違和感を覚える。
(ん……アレって……?)
豊満な胸の谷間より、そこにあった黒い稲妻のようなアザが気になってしまった。
(古傷……かな? なんか良くない魔力の残り火っぽいものを感じたような……)
「い、いや、僕には関係無い」
(この子は人間。僕は……エルフなんだ)
そう自分に言い聞かせ刀を置くと、あらためて魔法のデカハンマーを手に出現させた。
「さーて、と。あらためて、僕のことは忘れてもらうよ。【唯一のエルフ男子】が存在すること……絶対に知られてはいけないんだ」
「ま、ま、待ってください! 誤解が! あるようなのですが!」
胸の谷間が見えていることも気にせず、ルーラは半泣きで祈るような顔。
胸は痛むが、ザクトは『エルフ族のため』と心を鬼にする。
「防御魔法の才能、巫女としての潜在能力、君はかなり優秀な人間だ」
「え……?」
「君自身に証言させれば、まだ人間たちへの情報統制は可能なはず…………ん?」
ザクトの言葉に、ルーラはボロボロと涙をあふれさせていた。
「ちょ、ちょ、ちょ! 泣いたってダメだからね!」
「す、すみません。私……こんなに褒められることなかったので……嬉しくて……ううう」
(いや、褒めるっていうか『