エルフ王は唯一むに! ~王より刀鍛冶がしたい僕、剣の神になる?~ 作:茉森 晶
「わたくしの勝ちですわ!! まいったしてください、兄様!!」
「さすがは我が妹……でも、まだまだ兄は負けないよ!」
斬撃波を放ったあと、背後に隠した刀にザクトは魔力を溜め続けていた。
それを全放出すると、透き通るような光る氷の刃が生成され、刃渡りが10倍にもなる。
「今度は飛び道具とは違うからね!」
ズォンッ!!
ビジュ的には振り回せないほどの長さ・重さになっていそうなものだが、それを一瞬でブン回す。
ヒュオンと空間が擦れる音がし、森の木々と精霊ガードゥナ、そしてルーラたちをも通過した。
「ひゃあッ…………あ、あれ?」
ルーラは思わず悲鳴を上げるが、自分の体も
物理には影響なく、対魔法に特化した魔力の刃。
他のすべてに目もくれず、精霊ガードゥナだけを一刀両断していた。
※ルーラの
「アアアアアァァァァァ……ッ!」
ガードゥナが笛の音のような高音で叫んだかと思えば、収縮した残存魔力が爆発。
パァンと派手な音を立て、自然の
「あう…………ッ!」
「おっとっと!」
糸が切れたように崩れ落ちるハレッタへ駆け寄り、あらためて抱き留めるザクト。
魔力を放出しきったハレッタは、息を切らしながら恨めしそうな眼差しを向けた。
「うう……に、兄様ぁ!」
「ハレちゃんは心配性だね。大丈夫、僕は死なないよ」
兄として、妹の頭をポンポンする。
幼い頃からハレッタが好きな仕草だった。
「わかりました……兄様を信じます。ええ」
お子様らしくズビーと鼻をすすりながら、ハレッタは髪の乱れを直した。
「ただし、条件があります」
「な、なに?」
「わたくしを連れていくこと」
「ええ!? いやいや、それは……危険だから」
反射的に否定するザクト。
その肩を掴み、ハレッタはザクトを揺さぶった。
「兄様の危険が一番ダメなんだって、わかれ!?」
「は、はい……」
頭ひとつ身長差のある妹にスゴまれ、ザクトは苦笑いで答える。
「と、とにかく仲直りできて良かったですね! あの、あらためまして……私、ルーラと申します」
「…………」
恐る恐る笑顔で挨拶するルーラ。
だが、ハレッタはそれを一瞥し、反対側の草しか生えていない空間へ視線を移す。
「……シャノン!」
「はっ、ここに」
「ひゃあッ!?」
ハレッタの言葉が終わるか終わらないか、という瞬間、長身のエルフ女性が突然現れ、ルーラは飛び上がった。
「シャ、シャノン……いたの!?」
ザクトは引きつった笑顔で問う。
が、
「お言葉ながら『エルフ族には隠密部隊が重要』と説き、推し進めたのはザクト様。ハレッタ様に私が付いていることは当然ご承知のはず」
「そ、そうだったね。は、はは……」
黒髪をお団子にまとめ、そこから垂れたテールにはひとすじ金色が光る。
まるでアニメオタクのコーカソイドが日本人キャラのコスプレしているようなビジュアル。
だが、それどころではなく、その服装はまさしく、お色気アニメに出てきそうな露出度高めの【くノ一】だった。
「シャノン、聞いての通りです。魔族討伐のため、ケイト王国へ向かいますわ」
「は……仕方ありませんね」
その言葉に、ルーラは申し訳なさそうな顔で口を挟む。
「あ、あの……とてもありがたいのですが、本当によろしいのですか?」
「…………」
ルーラの問いかけに、ハレッタは再び無視するような態度。
だったが、あらためてルーラの方へ向き直ると、目を合わせないまま口を開いた。
「ルーラ、でしたかしら。神託の情報、すべて話しなさい」
「あ……は、はい! えーとですね……」
塩対応にビクビクしながら、ルーラはポーチの中の紙片を取り出した。