好きなキャラと好きなキャラでモブ高生〜プププと最弱冒険者を添えて〜   作:@7281mo-mu

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500万円、すぐ逝く

「あでっ!?」

 

意識が戻ると背中に衝撃が走った。

どうやら俺は高いところに転送され、ゴミ袋の山に落ちてきたらしい。

転移最初の体験がゴミ袋ダイブとか雑な仕事をしやがって。

 

「あの女神今度会ったらたたじゃおかねぇって、そういえばっ!」

 

ロリ神に今度会ったら行う制裁を考えようとしたときに転移特典のことを思い出してバックを漁る(バックはおまけでもらった)。

よし、カービィのカードに戸籍関連のカード、五百万円(まるごとバックに入れんなよ)にエリスっち。全部そろっているな。

ルーラやエリスからもらったアイテムが今の落下や転送ミスでなくなっていないか心配だったが杞憂でよかった。

 

『カズマ、こんなところにいないでそろそろ移動しない?』

「うぉ!なんだこれ念話か⁉」

『そうだよ、カードとはこうやって会話ができるみたい。あとファミチキください』

 

なんかアニメの主人公みたいでワクワクするなこのシチュ。

カービィが言っている通りここにとど持ってもいいことはないだろう。

現代ダンジョンがどうなっているのか分からないが異世界に慣れた俺なら何とかなるよな。

よしっ、

 

「冒険者王に俺はなる!」

『おー!』

 

このときの俺はなじみ深い現代社会であるがゆえに油断していたのだろう。

大金とラノベの知識さえあれば何とかやっていけるだろうと思うほどに。

しかし、この世界にはそんな幻想を打ち砕くような試練が待ち受けていたのだった!

 

「チクショーあの女神!やってること戸籍登録だけで他のことには無頓着だったじゃねーか!」

 

やっとすべての面倒ごとを終わらせた俺は人影がいない公園で叫んだ。

いつの間にか【冒険者になるまでに必要なこと】というメモが書いてあったが、そこには学費の支払いだの確定申告だのが書かれており、それらの支払いや登録を行う必要があることが発覚した。

そんな面倒な手続きを一日かけて終わらせ、マンションの一室を確保したときにはもう200万円が吹き飛び、残金は300万くらいしか残ってなかった。

 

「準備が必要なのは分かるけど、こういうことくらいはやっておいてくれ……あーなんか疲れたから今日は帰ろう」

『カズマ、いつ迷宮行くの?何事もスタートが肝心だよ』

「カービィさんや、人には休憩が必要なんじゃ。だから数日は何もしないぞ、いいな?」

『分かった!じゃお願いがあるんだけど』

 

反対されると思ったが話が分かるじゃないか。しかしお願いか、

 

「叶えられる範囲ならいいぞ、今後お世話になるんだし」

『ありがとう!じゃあ焼肉屋行きたい!』

 

そのくらいなら許容範囲だ、300万円持ってるからな。

ただ、問題がある。

 

「ルーラの話覚えてるか?おまえを人前に出すのは禁止されてるんだぞ」

『大丈夫、カード越しに食べるから』

 

器用だなこいつ。

 

「それなら問題ない、なら今日は焼肉だ!」

『いぇーい!』

 

そして俺たちは近くにある焼肉屋に行って高い食べ放題コースを堪能したのであった。

そして数分後、目の前の机には皿が山を作っている。

 

「お客様、これ以上注文していただかれると当店の経営が厳しくなってしまいますので、申し訳ありませんがこのくらいで終了してもらえればと……」

『僕はまだ余裕だけどカズマはどう?』

 

明日から冒険者頑張ろう。

 

~~~~~~~

 

この世界の冒険者のギルドは公共施設にくっついて経営しているらしく、俺が知っている現代社会じゃないのだとしみじみと感じる。

数人のJKに囲まれてファミレスに入っていくイケメンに内心中指を立てながら、冒険者ギルドが開いているビル、通称ギルドビルへと入った。

このビルは地下に食料品店、一階に飲食店、二,三階に冒険者用品店、四階にギルド、誤解にカードショップ、六階に市役所といった冒険者のために作られましたと言わんばかりの構造になっている。

俺は余計なところには寄らずにエレベーターに乗り、ギルドがある階に直行した。

 

「ようこそ、東京都冒険者競合組合へ。本日はどういったご用件でしょうか」

 

四階についたら暇そうにしている男性が話しかけてきた。

 

「こんにちは、早速だが昨日の続きをしてもらってもいいか?カード以外はちゃんと揃えてきたからさ」

「やはり冒険者登録ですね。現住所が確認できる身分証を持ってきてくださったみたいですね」

「前回はどうも迷惑をかけてしまい申し訳ございません」

 

実はギルドに訪れたれたのは初めてではなく、前に来たことがあった。

その時は、ロリ神が戸籍以外何もしていないことが発覚して撤退という黒歴史を生んでしまった経緯がある。

だが、今回の俺は万全の準備をしてきたことでスキはない!

ちなみに未成年は保護者が許可をしている証拠が必要になるみたいだが、戸籍上では成人したばかりになっているので問題ない。

 

「かしこまりました。それでは担当のものを呼ばせていただきます」

 

しばらくすると奥のデスクから一人の男性職員が現れた。

 

「初めまして、今回カードの購入に関する手伝いをさせていただくことになる重野と申します。よろしくお願いします」

「佐藤和真です。こちらこそよろしくお願いします」

 

丁寧にあいさつをされたらこちらも丁寧に返すことは常識だ。

女神だから敬えだとか、我が名は何々だとかそんな風に返答したら、この世界では生きていけないだろう。

 

「それでは五階に案内させていただきます」

 

重野さんについていきながら俺はこれからについて考える。

流石に女の子尽くしだとエリスにちょっかいをかけられそうだし何人かという形になりそうだな。

ならドラゴンパーティでも作ろうかな。それとも騎士系モンスターを集めてなんちゃって騎士団をするのも悪くないな!……ヤバい、考えただけでもワクワクする!カービィはどんなパーティがいいと思う?

 

『美味しそうなモンスターチームとかどう?』

 

食うなよ?というかモンスターって食えるの?

カービィと脳内会話しながら警備員が立っていた階段を上り,五階に到着した。五階は静かで落ち着いた雰囲気だった四階とは違い、トレーディングカードの店みたいな場所だった。

店内にはカードのコピーが張られたボードがいくつも立っていて、それを先輩冒険者だと思わしき人たちが食い入るように見ている。

あそこにはカードパックから強そうなドラゴンが出てきているポスターが貼られていた。

というかこれ、まんまトレーディングカード店で見る光景だわ。

重野さんはボードに夢中になっている人たちの間をするりするりと通り抜けていき、俺もはぐれないようについていく。

……なんか、5300万とか見えたけど気にしないとこう、うん。

カウンターについた重野さんが手が空いている職員を捕まえてブースを借りることを伝えると、そのまま薄い壁と観葉植物に遮られたスペースへと俺は案内された。

 

「どうぞおかけください」

「はい、ありがとうございます」

「それではまず、お名前をお伺いしてもよろしいですか?」

「佐藤和真です」

「和真さんですね。改めまして重野と申します。えー、今回佐藤さんは初のカード購入ということで軽く説明させてもらいます」

『カズマ~。眠たくなったから、あとはよろしく~』

 

説明になったからって寝んな。

その後、脳内に送られるカービィの夢だと思われる映像に邪魔されながらも、重野さんによるカードの説明を聞いた。

なんだよケーキの上を転がりながらレースって。

カービィがいちご食べすぎてサイズが数倍デカくなってんだが?

 

んで、カードについてまとめるとこんな感じ。

①カードは迷宮内のモンスターを具現化したもので、召喚して迷宮で戦わせられる。

②カードにはA~Fランクがあり、ランクが高いとそのカードのモンスターは強くなっていく

③カードは迷宮かアイテムを使った特殊空間、アンゴルモアとかいう非常時でしか召喚できない

④カードから召喚されたモンスターはマスター(カードの使用者)に攻撃できない

⑤マスターが攻撃食らうとモンスターに肩代わりされる

⑥カードにも性格があって性能にも響いてくる

⑦マスターに絶対服従じゃないのでちゃんと付き合わないといいことないよ

といったようにモンスターたちにも個性があってちゃんと付き合わないとダメみたいだ。

だが俺は、ある意味キャラ性がモンスターな奴らやマジでモンスターな連中とかかわってきた。

だから、どんな奴が来ても制御できる自信がある。

どんな奴だろうがどんとこいだ。

 

『むにゃむにゃカワサキ、ケーキタワー焼肉味を五本ください」

 

例えばこいつとか。

ていうか、誰だよ川崎(かわさき)って。

いやでも。そう思うと定価よりも安いらしい性格に難があるモンスターたちを買ってうまく付き合えば、安上がりでそこそこ強いチームが作れるのではないだろうか

 

「これにて一通りの説明は以上です。聞きたいことがあればいつでも窓口のほうでお聞きください」

「ありがとうございました」

 

そこそこ長い時間カードや冒険者の義務と権利とかの説明を聞いていたがあってかほんわりと頭に入った。しかしカービィの念話による映像送信に気を取られて聞けていない内容があるかもしれないので困ったらギルドのお世話になろう。

 

「さて、お待たせしました。それではカードの購入のほうに移らせていただきます。」

 

ついにこの時が来たか!この世界に来て金払ったり話聞いたり冒険者らしいことができていなかったがようやくファンタジーなことができる。

自分の胸が高鳴っているのを感じながら、俺は重野さんの言葉に頷いた。

 

「よろしくお願いします!俺、美少女なドラゴン娘が欲しいです!」

 

そういうと重野さんの俺に向ける目がかわいそうなものを見る目になった。解せぬ。

 

「和真さんは勘違いをされているみたいですので説明を、いえ実際に見てもらったほうが早いでしょう。こちらがDランクカードのリストになりますのでじっくりと拝見なさってください」

 

そう言ってリストを渡してきたので、受け取ってリストの内容を見た。

そしてあのかわいそうな目をしてきた理由に気づいたのだった。

 

(なんか値段ぶっ壊れてね?女の子モンスターが500万以上って。他のやつも全部100万超えてるし……!)

 

案内されている途中で目に入ったカードの値段でかなり高いとは思っていたがまさかDランクでもこんなに高いとは思わなかった。

一応人気がないカードは安いみたいだが、それでも100万円するとかイカれていると思う。

俺が欲しいといった美少女ドラ娘なんか、一般市民では一生手が届かないほどの値段がついているのだろう。

そんなカードをいきなり欲しいと言えば、何も知らずに冒険者になりに来たバカだと思われても仕方ないな。

しかし、いきなり予定が狂ったぞ。俺の予想していたプランではDランクの奴らを数体揃えてパーティーを作るはずだったのだが、今の所持金ではそこそこの奴を1,2体しか揃えれない。

E、Fランクでも寄せ集めたチームでも作ろうかと考えながら、なんとなくページをめくって解決策を探す。

 

『えっ?寿司食べ放題パックからステーキを⁉できらぁ!!』

 

いい加減目覚めねぇかな、この丸ピンク。

なんか脳内に【寿司食べ放題戦記】というカードパックを開封している光景が送られてきて、そろそろ無理やり起こそうかと思いながら、カービィのカードを取り出そうとし……カービィの寝言でとあることを思い出したことで、俺の脳内に天才的なアイデアが浮かび上がった。

 

「すいません、ここでカードパックは売られているでしょうか」

「…‥確かにこちらでは、十枚のカードをまとめたカードパックが百万で販売されておりますが」

 

よしっ!カードパックのポスターがあったから、もしやと思ったが予想通りだ。

 

「じゃあ俺、そっちを購入したいです!」

 

俺の言葉に重野さんは再びかわいそうな物を見る目をする。

 

「和真さん、カードパックについてなのですがネットなどでレアカードが出たという書き込みを目にされていると思いますが、実際はそれほど美味しくありません。確かにレアなものも入っていますが出る確率は極めて低く、Dランクに関しては1パックにつき30%程です。なのでおすすめはできません」

「大丈夫です。もしDランクができなくても一枚だけなら購入できますから」

 

100万くらいは残してカービィの食費や非常時に使えるようにしかったが、冒険者に慣れないなら本末転倒になる。使わずを得られないだろう。

 

「それに俺、運いいので」

「そうですか、ではパックの方をお持ちします」

 

重野さんはあきれたように言うと、席を立った。

あんな値段も知らずにバカなことを言ったやつが運任せにすることを言えば、本当に考えなしのバカと思ってもしょうがないだろう。というか俺だってそう思う。

だが、俺には幸運だけが取り柄だとか言われ続けてきた自信がある。

本当に運がいいなら今までに何があったか振り返れとなるが、あれは仲間であるあいつらが原因だからノーカンだ。

パックではDランクが数体、欲を言えばCランク以上も欲しい。

 

「お待たせしました、こちらがカードパックになります。あらためて確認しますが今なら取り消しも可能ですよ」

「大丈夫です、もう覚悟はできていますから」

 

そう言うと重野さんは、完全黒塗りのカードパックがみっちりと詰まったカードパックセットを置いた。

コンビニとかに置かれていそうなパックセットだがこれに今後の生活が懸かっていると思うと緊張してくる。

 

「顔色が良くないですが大丈夫ですか?やはり普通の購入に……」

「俺も男です。心配してもらうのはありがたいですが、もう腹をくくりました」

 

いつまでも引かないと重野さんに迷惑がかかるので、さっさとパックを開けよう。

そう思いながらパック束の一番上にあるパックに手を伸ばし、そのままの勢いで開封すると————っ!

 

一枚目、ゴブリンFランク

いや待て落ち着くんだ、まだ一枚目だし慌てる時じゃない。

次!

 

二枚目、提灯お化けFランク

わーようかいもいるんだー。いやまだ分からないぞまだ始まったばかりだし、

『何のカレーも得られませんでした!(´;ω;`)』

変なこと言ってんじゃねぇ!?次だ次ぃ!!

 

三枚目、オーク先輩Dランク————Dランク⁉

良かったぁー!……いやまだ最低保証だからこれで満足はしてはいけない、次ぃ!

4枚目コボルトE、五枚目ローパーF、六枚目スライムゼリーF、七枚目ゾンビE、八枚目ゴブリンF、九枚目レッサーデーモンD!

Dランクの二枚目がやっと来たけど、あと一枚くらい欲しい!

 

俺はえりすっちを取り出して祈るように握った。

こうすると、あの世話焼きな女神さまが力を分けてくれている気がするからだ。

そうして遂に来てしまった最後のカードを見た瞬間、天を仰ぐ。

 

十枚目 キョンシー Cランク 女の子カード

 

思わず立ちあがってポーズをとった。

俺、勝ちましたっ!!

 




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