好きなキャラと好きなキャラでモブ高生〜プププと最弱冒険者を添えて〜   作:@7281mo-mu

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カードとか言ってるけどメンタルはほぼ人間

俺は今、一つ星冒険者が入れる唯一のランクであるFランクダンジョンに向かっている。

というのも、俺が身に着ける装備やちょっとしたサバイバル用品を買ったことで、ついに残金が100万にまで減ってしまったのだ。

その金もカービィの食費によって数日で溶けそうな気がするので、さっさと稼ぎまくりたたい。

また、今回の探索はパーティー予定のカードたちとの顔合わせと、その実力を見るという目的もある。

 

「ここらへんに迷宮が……なんか、コンビニがあるんだけど」

 

ギルドでおすすめの迷宮を聞いて、教えてもらった場所に来るとコンビニが立っていた。

場所を間違えたのかと思いながらも、一応店内に入ってみる。

 

『いらっしゃいませ。冒険者のお客様はパネルに冒険者ライセンスをタッチしてください』

 

店内に入った途端聞こえていた電子音声に従い、ライセンスをタッチする。

防犯対策なのか知らないけど、無駄にハイテクだな。予算とか大丈夫?

店内に入って少し見て回ったが、普通のコンビニとは違って医療品や防犯グッズを中心的に販売しているようだ。

『カズマ、あそこにマリーアントワネット味のお菓子があるよ』

買わないよ?そんなわけ分からない味のやつ。

 

どうやらこのコンビニはダンジョンマートという迷宮周辺に立っているコンビニらしく、普通の商品の他にちょっとした冒険者向けの商品も売っているらしい。

なぜそんなことを知ってるかって?入り口付近に店舗の解説書が置かれていたからだ。

しかし、まさか店員がいない無人販売店とは……。

迷宮の入り口がどこにあるかを聞きたかったんだけどな。

そう思いながら店内を探索してると、ゲームとかに出てくる隠された空間へつながってそうな階段があった。

もうこの階段を下るしか手掛かりが無さそうだ。

もし進入禁止エリアだったら急いで逃げて知ったかぶりしよう。覚悟を決めて階段を下りてみる。

するとそこには、重厚な鋼鉄の扉とライセンスの読み取り装置が遠目で見えた。

うん、事前に聞いていたタンジョンの入り口前にある扉に特徴が一致するんだけど、まさかアレか?

そろりそろりと近づいてライセンスをかざすと、扉が音を立てて開いた。

 

「まさかダンジョン前に店を構えるなんて、なんちゅー商魂」

 

こんなコンビニを運営している会社の社長ってとんだチャレンジャーだなとかどうでも

いいことを考えながら扉の先を覗くと、小さな空間の中に化け物が出てきそうな黒く渦巻く球体が浮かんでいた。

迷宮の入り口が聞いてたやつと大体同じだが、さすがに禍々し過ぎるだろ。

 

「入りたくねぇ」

 

しかし、この謎物質以外の迷宮の入り口らしきものはどこにも見当たらない。

でもなぁ……。

 

『カズマ、行かないの?』

「いや行くに決まっているさ」

 

ええい、ままよ!

俺は勢いをつけて黒い球体の中に飛び込んだ。

一瞬、この世界に来た時に感じた浮遊感が襲ってきた後、いつの間にか深い森の中に立っていた。

あの黒い球体に入る前は小さい部屋だったのに、ここは草木のにおいがして周囲は明るくなっていることから今は異世界にいるのだとしみじみ感じる。

もしかしたら、俺が転生したあの世界よりもファンタジーなのでは?

『カズマ、もうカードから出てきてもいい?』

そうだな、敵感知スキルには何の反応もないし、カービィを出しても問題はな―――敵感知スキルが使える!!

地上では何の反応も無かったけど、やっぱりダンジョンでは使えんのか!?

いきなり調べたいことができたが、とりあえずは先にカービィの召喚だ。

 

「出てこいカー」ポン!

「久しぶりの外だー!」

 

自力で出れるのかよ。というか、召喚してもカード自体は消えずに手元に残るんだな。

そんなことを思いながらも、改めてカービィのカードのスキル内容をえりすっちでスキャンした。

えりすっちにはいろんな機能が入っているらしく、今回はスキルにどんな効果があるかが分かるアプリみたいなのを使っていく。

カービィのカードはよく確認していなかったので、ちゃんと役に立つ能力があってほしい。

 

 

【種族】カービィ

【戦闘力】150

【先天技能】

・吸い込み:様々なものを吸い込むことができる。対象:眷属体、大きさが人間以下の物全て。

・コピー能力:吸い込んだ存在の能力をコピー可能。ただし、能力を得られない対象も存在する。

【後天技能】

・真の勇者:真なる勇者のみが持つスキル。状態異常無効に加え、逆境時ステータスが大幅に上昇する。

・運命の特異点:その力によって運命を捻じ曲げることができる存在に与えられるスキル。

あらゆる理不尽な改変を無効化し、誰にも左右されない。

・嗜好品回復(食べ物):食べ物を食べることで回復ができる。好物だと効果上昇。

 

 

なんかヤバいこと書かれているんだが。

こんな子供向けな外見をしている奴が持ってはいけなさそうなスキルが、ぱっと見た感じだと2つもあるんだけど………まぁうん、ひとまず考えないでおこう、うん。

とりあえず今は先天スキルだけ確認するか。

 

「カービィ。吸い込みとコピー能力をやってみてくれ」

「わかったー」

 

日向ぼっこをしているカービィにスキルを使ってもらえるように頼むと、能天気な返事が返ってきた。

こいつのどこが真の勇者なのだろうか。

 

「とりあえずなんか吸い込んでくれ」

 

そういうとカービィは、こっちをじっと見てくる。

あーそうか。コピー対象の物か何かが必要か。

 

「じゃあランプでいいか?」

「ありがとう!」

 

カービィはそう言うと、ランプを吸い込み飲み込んだ……。

 

「え、ちょ!?」

「コピー能力ライト!」

 

ピッカー!

目がー!目が痛えー!!なんも見えねー!?

 

~5分後~

 

「コピー能力禁止な」

「え~?」

 

かろうじで視力が戻ってきた俺は、カービィに向けてそう告げた。

ランプを返してほしかったが、コピー能力に使った道具は戻ってこないらしい。チクセウ。

それに、コピー能力を使用すると、お腹が空くとか言っている。

生活が安定するまで封印だな。

 

「というわけで、他のやつらを呼ぶから何かあった時頼むぞ」

「OK~」

 

カービィの返事を聞きながら誰を最初に召喚するか見ることにした。

最初はオーク先輩、

 

 

【種族】オーク

【戦闘力】100

【先天技能】

・集団行動:群れの中で生きる習性。集団での行動に対するプラス補正。

・頑丈:頑丈な肉体を持つ。生命力と耐久力を常時向上させる。

・怪力:人外の力を持つ。筋力が常時大きく向上する。

【後天技能】

・臆病:戦闘を極めて忌避する。戦闘時、ステータス半減。

 

 

ある時はそこそこ厄介なモンスターとして、またある時はそういう作品で大変お世話になったオーク先輩の戦闘力だが、先天スキルがマジで優秀だ。

臆病とかいう微妙なスキルが生えているが、最悪は後ろで弓チクしてもらえばいいだろう。

もしかすると、臆病じゃなくなればちゃんとしたスキルに変わるかもしれないし、こちらは今後に期待だな。

 

んで、次はレッサーデーモンのステータス。

 

【種族】レッサーデーモン

【戦闘力】100

【先天技能】

・悪魔:悪魔。闇属性魔法と状態異常魔法に対するプラス補正。光属性魔法と回復魔法に対するマイナス補正。

・初級状態異常魔法:簡単な状態異常魔法を使用可能。

【後天技能】

・姑息:姑息な性格。器用さ、駆け引きに対するプラス補正

・初級魔法使い見習い:初級の攻撃・回復・補助・状態異常魔法の一部を使用可能。

・閉じられた心:マスターに反抗心を抱いている。命令された行動に対するマイナス補正。自由行動に対するマイナス補正。

・生還の心得:瀕死級のダメージを負った時わずかな生命力を残してロストを逃れることができる。

・見切り:相手の動作を読む技術。回避、反撃の際、行動にプラス補正。

 

元居た世界で見た下級悪魔は、バニルが呼んでいた個体だったな。

その時には、自我がないとか言われていた下級悪魔だったはずだが、こっちではどんな存在なのだろうか。

こいつは先天スキルからして後方支援型みたいだが、後天スキルが前衛寄りになっているのが気になる。

しかも閉じられた心とかついているし、こいつの過去に何があったんだ。

 

そして最後に、本命のキョンシーだ。

 

【種族】キョンシー

【戦闘力】200

【先天技能】

・生きた屍:死に最も近く市から最も遠い存在。頭部を破壊しない限り消滅しない。状態異常耐性、知能低下を内包する。

・神足(じんそく)通:自由自在に自分の思う場所に移動できる力。飛行、水面歩行、壁歩き縮地を内包。

・屍食らい:血肉を食らい糧とする。捕食により自己回復

【後天技能】

・中級状異常魔法:ある程度の状態異常を使える。

・棒術:棒のあつかいに特化した武術スキル。武術スキルと重複可能。特定行動時、行動に大きなプラス補正。

・静かな心:感情を抑制し冷静さを失わない心。精神異常への強い耐性、思考能力の向上。

・閉じられた心:マスターに反抗心を抱いている。命令された行動に対するマイナス補正。自由行動に対するマイナス補正。

 

中国版のゾンビ的なイメージがあるキョンシーだが、結構厄介らしく中には空も飛べちゃう奴もいるとか。

アンデットらしいスキルもあり、レッサーデーモンと同じくらいなかなか優秀なスキル構成だ。

だが閉じられた心。お前はだめだ。

というかみんな、モンスターとどんなコミュニケーションをとっているんだ?

とりあえずこの中から一人選ぶとしたら………最初はオークだな。

だって閉じられた心とかいうスキルがなんか怖いし、なら臆病なこと以外問題ないオークを召喚するべきだろう。

 

「来い!オーク!」

 

カードが光を放ち、目の前には豚の頭をした巨漢が現れた。

その顔つきは確かに豚だが良い感じに引き締まっており、ほぼ猪のような顔だ。

体もぶよぶよしたものではなくガッチリと引き締まっており、只者ではない威圧感を放って………いそうだったんだが、何故かこいつからは悲哀オーラが漂ってくる。

 

「お、お初にお目にかかります我が主……。こ、こんな弱虫をお呼びいただき感謝します」

 

第一声からすげーネガティブなこと言ってる。

 

「そんなこと言うなよ、自慢の筋肉が泣いているぞ」

 

できるだけ優しい言葉を投げかけると、目の前のオークはうじうじしながら言った。

 

「い、いえ、私などただガタイが良いだけの木偶の坊に過ぎません。役に立てるのはせいぜい囮かに、肉壁でしょう」

 

どうしよう思ったよりもダメそう。

喋り方からして武人キャラっぽいが、臆病が悪さしているのか根暗になっていて全く頼りになりそうじゃないぞ。

うん、大体わかった。こりゃダメだ。

臆病スキルを何とかしないと弓チクすらできるか怪しくなるわ。

 

「とりあえずありがとな。ゆっくり休んでくれ」

「はい……」

 

オークはしおっとしながらカードに戻った。

なんか。臆病が余計な影響を与えていたな。

さて、次は閉じられた心持ち組だ。

 

「カービィ、なんかあったらちゃんと守ってくれよ?来い、レッサーデーモン!」

 

もし反抗されたとしても、ちゃんと守ってもらえるよう再度頼んでから召喚する。

目の前に現れたのは、遠目で見ても人外と分かるであろうシルエットだった。

顔はヤギの頭骨がフィットした獣顔だが体は人型で、尻部分からはお手本と言わんばかりの悪魔のしっぽが生えている。

黒紫の肌をさらす怪人だが、衣類は下半身にはいているシンプルな青ズボンだけというのがなんかシュールさを感じる。

そんな悪魔は俺を値踏みするように見てきた。

俺と同じくらいの身長だけど、そんな風にみられると威圧感が伝わってきてかなり怖い。

 

「お前が新しいマスターか……まっ、せいぜい仲よくやろうぜ?」

 

フレンドリーに話しかけてくるが、こいつからはお前のことは嫌いですオーラが伝わってくる。

重野さんにこいつらのカードを見せたら使うのやめとけと忠告されたけど、確かに仲良くできるビジョンが浮かばねぇ。

 

「ところで、マスターは迷宮に来るのは初めてかい?」

「一応初めてになるから頼りにしているぞ」

「それはどうも。けど俺は抜けてるところがあるものでして、モンスターがマスターのほうに行っちゃうかも。そうなっても暖かーい心で許してくださいね?」

 

こ、こいつ、絶対わざとモンスターをぶつける気だ。

 

「そうか、ひとまず出番になるまで戻っていてくれ」

「再びあなたに呼ばれることを待っていますからな?ひひっ」

 

そう言ってレッサーデーモンはカードに戻っていった。

 

「カービィ、俺泣きそうだよ」

「じゃあ美味しいものでも食べる?」

 

相変わらず食い物ばっかだな、こいつ。

だがカービィのアドバイスも納得できるので、甘い携帯食を食べながら落ち着くことにした。

あ~、まだモンスターと戦っていないのにどっと疲れた。

閉じられた心があそこまでひどいとは思わなかった。それとも悪魔だからなのか?

もしキョンシーもあんな感じなら、マジで泣く。

呼ばないと何にも解決しないので召喚することにした。

 

「来てくださいキョンシーさん」

 

そのセリフとともに召喚されたのは、道士の服を着て顔にお札を張り付けた黒髪美少女だった。

青白くなっているが、容姿は御札越しでもかなり整っていることが分かる。

さっきまでの俺なら美少女ひゃふぅー!とはしゃいでただろうが、今は違う。

あのレサデ(レッサーデーモンの略)で閉じられた心の厄介さが身に染みているので、素直に喜べない。

いったいどんな感じなのか警戒していると、キョンシーは喋り始めた。

 

「初めましてマスター、何か御用ですか?できる範囲ならやらせていただきます」

「こちらこそ初めまして。今日から君のマスターになるカズマだ、よろしく」

「こちらこそよろしくお願いします」

 

そういうとキョンシーはダンジョンの奥へと歩き出して、

 

「行きましょうマスター。ダンジョンなんてさっと突破するに限ります」

 

そのまま行ってしまった。

えっと……?

 

「カービィさんや、どうしましょうかね?」

 

カービィにどうしたらいいか聞こうと思ったが、さっきまで寝転がっていたところには誰もおらず、地面に『ちょっと行ってくる』という書き置きがされており……。

 

「あいつ自由すぎだろ!」

 

いや、今は先に行ったキョンシーが心配だ。

アクアみたいになっているならまだしも危ない事態になっていれば大変だ。

そうして俺はキョンシーの後を追うことにした。

 

~~~

 

結果的に、キョンシーへの心配は杞憂だった。

 

「し———っ!」

「ぐぎゃ⁉」

 

目の前では先に行ったキョンシーがゴブリンの群れを、キン〇ダムかってくらい薙ぎ払っている。

むしろ、薙ぎ払われていくゴブリンたちがかわいそうに感じてしまうほどだ。

というか俺いらなくね?

まぁ怪我がないみたいで安心したが、そろそろ声をかけるべきだよな。

 

「キョンシーさーん。実力はよくわかったのでそろそろ戻ってきてくださーい」

「・・・」

「キョンシーさーん?」

「追いかけてきたのですかマスター、危ないので前に出なくてもいいですよ」

「いや実は今日の目的は顔合わせなんだよ。だから先にパーティとの交流を」

「必要ないと思いますよ?」

 

キョンシーそう言い放つと、俺に向かって言葉を続けた。

 

「先ほどのDランク二枚を本当に使うつもりですか?」

 

え?そうだけど何か気に入らないことが?

 

「カードから見てましたが、臆病な前衛に利敵行為をたくらむ悪魔、そんな処分確定メンバーだけなら私一人だけで十分なはずです。それに私の戦闘を見ていたと思いますが、ここのレベルではCランクが一体いれば簡単に突破できます。ですので、何も考えずにあなたは冒険者らしく後ろで立っていてください。」

 

そのマスターに忠告をしているようなセリフからは、冷たくて誰に対する想いも感じられなかった。

これはあれだ、敵意すら感じないと思ったらこいつは俺に無関心なんだ。

くそxち!アクア達が正の問題児だとすれば、今回の奴らは負の問題児だ。

今は大丈夫だが何とかしないと、手遅れになる未来しか見えねぇ……。

だがオークはまだしも、残りの二人は心に壁を作っている。どうする、なんとかのできないか?

 

「あ、いた!おまたせー」

 

仲良くなる方法がないか考えていると、後ろから声をかけられる。

振り向くと、カービィが大根みたいなのを抱えて立っていた。

とりあえず無事でよかったが、一体何を持ってきたんだよ―――それドロップアイテムか?

 

「カービィ、それは?」

「これはそこらに生えてたから採ってきたの」

「元の場所に戻してきなさい」

 

そんな得体のしれないもの持ってくるんじゃないよ。

カービィから大根もどきを取り上げようとしたら、ひらりと躱されてた。

そのまま俺の後ろへ抜けたカービィは、キョンシーに大根もどきを差し出した。

 

「あげる!」

「・・・」

 

キョンシーがカービィを持ち上げた。

何をするのかと眺めていると、なんかカービィを持ち上げて揉みだした。

心なしか嬉しそうだけど……まさかっ!

 

「あの~キョンシーさん?」

「何ですか」

「もしかして、可愛いものが好きだったりします?」

「……マスターには関係ないでしょう?」

 

これならいける!

 

「可愛い動物写真があれば次回の探索で持って来れるけど、欲しい?」

「・・・はい」

 

問題児モンスターとの交流は、意外に何とかなるかもしれない。

 

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