好きなキャラと好きなキャラでモブ高生〜プププと最弱冒険者を添えて〜 作:@7281mo-mu
俺の名前は佐藤和真。
カズマさんと呼んでくれ。
「なぁマスター」
今は絶賛心が病んでるレッサーデーモン、通称レサデと仲良くなるために、迷宮に潜っている。
「聞いてんのか、マスター」
メンタルケアなんてやったことがなかったが、カービィのアドバイスにより仲良し大作戦(カービィ命名)を決行している。
戦闘参加については怒られたが、前に出ずに後ろで弓チクしてれば普通に参加しても問題ないということで、俺も絶賛活躍中だ。
「聞いてねーな、こりゃ……」
魔王を倒した勇者てある俺の、類い稀なる話術と勇姿により、心を開くのはもはや容易いだろう。
このまま続ければ好感度はうなぎのぼりで、マイナススキルもどうにか。
「フラッシュ」
「ぎゃあああー!?何しやがんだこの悪魔!!」
人が完璧な懐柔計画に思いを馳せているというのに、目つぶしを食らわせてきやがるという邪知暴虐な行いをしたレサデに問いかけた。
「さっき対等とか言っていたくせに何オークに運んでもらってんの?さっきまじめな雰囲気で話していた内容忘れた?」
「どうやら俺の天才的発想には気づけないみたいだな。だがそれも無理はないぜ」
「オーク、そいつ草むらに投棄していいぞ」
この行動にだって理由はある。戦闘になるとオークが弱体化以前に戦闘すらまともにできないということが発覚した。
後衛で頑張ってもらおうとしたが、震えて全然命中しなかった。そのことにすごく落ち込んでいたのでこういった形で頼っているわけだ。
べ、別に足が疲れたとかいう理由じゃないからなっ!
「それよりもさ、なんかお前って意外と強くね?この道中の敵を無双だったけど」
「そりゃあ、DランクがFランクどもに負けるかよ」
聞くとランクとランクの間にはかなりの力量差があり、Dランクなら基本的に下位でもなければ苦戦することはないみたいだ。
そんなもの初心者に持たせていいのかと思ったが、レサデ曰くDランクを死なせる間抜けなんざ冒険者にいらんという理由で、“ふるい”にかけてるんじゃね?ということ。
「それにしても前衛任してしまってすまんな。このメンバーで正面から戦えるのがお前だけだから助かるよ」
「……すいません」
レサデを褒めたつもりが、オークは勘違いして謝ってきた。
たしかにオークは基本的に前衛モンスターっぽいから、戦闘に参加していないことを気にしていたのだろう。
オークに勘違いさせてしまった俺の失敗だ。
「マスターはそこまで考えていってねーだろうから気にすんな、オーク。お前は決められた役割をちゃんとやれてんだろ?」
そんなオークに気遣いの言葉をかけるレサデ。
若干俺に対する嫌みが含まれていた気もするが、大人の対応で聞かなかったことにしておこう。
それにレサデの言う通り、モンス達のドロップ品や売れそうなものを見つけて持ってきてもらうという仕事をちゃんとやっているので、それに文句を言うのは筋違いというものだ。
「そうだぞオーク、気にすんなって」
「しかし……」
「話の途中だが敵感知に反応があった、来るぞ!」
騒ぎを聞きつけてきたゴブリン集団が向かってくることを聞いたレサデとオークは各自のポジションにつく。
レサデが襲ってきたモンスと戦い、俺がちょっとしたサポート要員でオークが俺の護衛という形だ。
まぁ大抵の敵は、接近される前にレサデが一人でなんとかするんだけど。
後、ここまでダンジョン探索して気づいたことがある。
レサデの奴は、ツンデレ属性持ちということが分かった。
口では文句を言いながらも、いざというときに手を抜かずに戦ってくれたり、レストとかいう魔法もかけて疲れをとってくれるなど、その働きっぷりは何某女神に詰めの垢を煎じて飲ませたいくらいだ。
それに、最初の態度は何だったのかというくらいには本音が出てきたりしている。
最初は正直、仲良くなれるか不安だったが、今の状態を見た感じだと杞憂になりそうで何だか安心してきた。
そんなことを考えていたら、レサデが最後のゴブリンを魔法弾で打ち抜いて戦闘が終わったようだ。
「お前らお疲れさん」
「……お前俺が戦っている時に、変なこと考えてなかった?」
「はっはっはっ、何を言ってるんだいレサデ君?」
この後もレサデ無双が続き、今日は何事もなく終わると思っていた。
~~~~~~
そんなこんなで7階層目あたりに来た時のこと。
「なぁ、あれって宝石だよな?」
「確かに見た感じでっかい宝石だな。見た感じは」
明らかに正規ルートですよと言わんばかりの、舗装されている道とは大違いな草木が生い茂っている場所に、スイカくらい程ある大きな宝石を見つけた。
しかもだ、ダンジョンの最深部に飾られているような、めっちゃ高そうな物が
ちなみにだが、俺のスキルの1つ『罠感知』には引っかからない。
だからこそ俺は、この宝石の扱いに困っている。
だって、どっからどう見ても怪しすぎるもん。
「えっ……、マジで罠じゃないのかコレ。それとも罠感知が単に発動してないだけなのか、どっちだこれ?」
「俺がスキルで調べられればいいが、そんなスキルも持ってねーからなぁ」
レサデに攻撃してもらうのも手だが、それで本物だったらもったいないし、どうするべきだ?
「それなら自分が回収しましょうか?」
オークがそう言った。
「おいオーク、お前がそんなリスクあることなんかしなくてもいいんだぜ」
「ですが、このまま迷っていればただ時間が経つだけです。それに、自分は頑丈なのでFランクの攻撃を受けてもやられませんから」
そこまで言うなら頼ってみるか。
こういったことでも数をこなせば、少しずつ自信を持てっていって、臆病のスキルが何とかなれば俺としても万々歳だ。
それに、恐らくオークは活躍の場を求めているのだろう。
分かるぞ。俺もアクセルの街にいる冒険者連中に、自分の自慢話を聞かせまくったからな。
「マスターと違ってFランクごときに瞬殺されることもないだろうから、ここはオークを信じてみるのはどうですかぁ?」
「俺もそう思っていたところだ。ということでオーク、頼む」
「任せてください」
そう言ってオークが宝石に近づいていき………目の前で消えた。
転移系の罠でした!!
「クソがよっ!!罠じゃねぇか!?レサデ行くぞ!!」
「おいマスターが先頭突っ走んな!!」
自らの失敗を悟った俺たちは、慌ててオークが消えた場所に向かって走り出した。
~~~~~~
そして数分後、俺は古びた村の中を全速力で逃走していた。
『『『『『おばあああああ』』』』』
「ジャンル変わりすぎだろ!!」
試しに近くの家の中を探ろうとしたら、村の住民みたいな幽霊達に見つかり、現在逃走中である。
ここの村の雰囲気も合わさって気分は立派なパニックホラーの登場人物だよコンチクショウ!?
「ウルフよりは弱いが、数が多すぎてってあっぶね!?」
あいつら銃まで撃ってきやがったよクソが!
それにいろいろ試しても、はぐれたメンツを呼び出せねえし!
逃げ切れる自信がねぇぞ、この状況⁉
『『『『『ばああけえええ!!!』』』』』
「いやああああ!!捕まる~~っ!?」
「残念、死にさらせぇ!」
突如屋根の上から魔法の雨が放たれ、俺を追いかけている幽霊たちに降り注いだ。
そして砂埃が晴れたときには、あれだけいた幽霊たちの姿はどこにもない。
「マスターさんよぉ、少し突っ走りすぎなんじゃねぇの?」
「……お」
「お?」
「おぉ神よ!!」
「悪魔にそれ言うの辞めろ!!」
実際、某女神よりも心強さが神がかってると思う。
~~~~~
レサデのお陰で危機を乗り越えた俺は、その後、レサデの「連戦はだるいからどっかで休みたい」という意見に同意し、ちょっとした民家の裏庭で隠れている。
流石に俺も逃走劇で疲れていたため、その提案はありがたかった。
それに、俺には潜伏スキルもあるので、こんなセーフティエリア外の場所でも安心して休憩できる。
「しっかし、いったいここはどこなんだ?」
「異界系カードだよ、ここは。俺たちは敵の腹ん中にいるようなもんだよ」
なにそれ怖い。
「それって脱出方法とかあるよな?あるよね!?」
「ある、そして簡単だ。異界系には核があってそいつをぶっ壊せばいい」
ああよかった。もう二度と出られない系だと思ってビビった。
「それならさっさとオーク見つけて、その核とやらをぶっ壊そうぜ?」
「そりゃ難しいんじゃねぇの?」
俺の提案に対し、レサデはそれをバッサリと切り捨てる。
「なんでだよ、オークはDランクくらいの強さらしいから合流すれば楽になるだろ?」
「それもないな」
……いやなんで?
「マスターさんは知ってんだろ?あいつの臆病スキルを」
そりゃ知っているさ。
だがな、休憩中にオークのパワー見せて貰った身としては、それでもオークが負けるとは考えられない。
あいつ、パンチで岩にヒビを入れられるんだぞ。
「ここの奴らはFランクくらいだろ?そいつらが束になってもDランクが負けることはないはずだ」
「なんも分かっちゃいねぇ。アンタは臆病スキルをなめ過ぎだ」
はぁ?なめ過ぎだと?
「あのスキル保持者は、冒険者の間ではずれ扱いされるほど戦闘ができなくなる。もし合流ができたとしても荷物が増えるだけだぜ?それか、もうロストしているかもな」
「いや言い過ぎじゃね?」
「ところがどっこい、大マジだ。アンタは優秀なスキル持ちのカードが、多少のデメリットがあるだけで叩き売りされると思ってんのか?」
……確かにオークの先天スキルはどれも優秀だった。
そんなカードがFランクと同じパックに収録されるのに、相応の問題があるなら納得できてしまう。
「ということだ。お前が生存を考えるならあいつは諦めろ」
……レサデの意見は納得できる。
なんでお前はそんなスキルに詳しいの?と思わなくないが、ウルフとの戦いでもオークはずっと怯えていて戦闘ができてなかった。
戦えないモンスターを入れるのならば、戦力として他の奴を入れたほうがマシだろう。
「……いや、オークを探すぞ」
だが俺は、自分の意思を変えたくなかった。
しかし、そんな俺に対してレサデは反論してくる。
「おいおいこんな時に逆張りか?それともあいつを可哀そうだからっていうのが理由なら、お前が自己満足をしたいだけだろうさ」
確かにそうかもしれないから、反論しようにも言い訳にしかならないだろう。
だから、俺は笑って言ってやった。
「そうだ、全部俺の自己満足だ。お前らを手放すと後悔しそうで嫌なんだよ」
正直に話そう。
これがゲームならさっさと違う仲間に乗り換えているところだが、現実で知り合ったやつが不幸になるなんて後味が悪い。
ましてや、俺が原因であるなら尚更だ。
昔の……あの異世界に転生する前の俺ならば、使えない奴、問題児は自身の命がかかっている状況では見捨てていただろう。
そして、終わった後にあの時は仕方がなかったんだと言い訳をして、目を背けていただろう。
だけど、俺はあのろくでもない世界で、ろくでもない仲間たちに囲まれて冒険していくうちに変わった。
以前よりも俺は、少しだけだが我儘になったようだ。
「だからお前らがちゃんとした奴になるまで育成してやるから覚悟しとけ。もしそれが嫌なら、クソカードなんて言われない優等生になって俺を安心させてくれや」
俺が話し終えた後、少しの沈黙がこの場を支配する。
それを破ったのはレサデの方で、俺に向けて右手を上げ……。
―――魔法を放ってきた。
「緊急回ひっ!?」
『バァ!?』
回避スキルを使用したが発動せず、代わりに魔法弾は俺を通り過ぎたと思うと後ろから断末魔が聞こえる。
放たれた魔法は、俺を背後から襲おうとしていた村人幽霊を仕留めたようだ。
って敵感知に反応しなかった!?いや、それより……。
「なんで『潜伏』スキルが効かなかった!?……ってアンデットに効果ないんだったぁー!!」
「ったく、口だけのマスターでホント……やれやれだ」
『敵感知』スキルが発動してないにもかかわらず、周りから結構な数が近づいてくるのを感じる。
そういや、追いかけられている時にも反応なかったような気がする。
……まさかこいつら、『敵感知』に反応してないってことは全部アンデット系モンスター?
ならめっちゃピンチなんだが⁉
「ひとまず逃げるぞ!」
混乱している俺とは対照的に、レサデは冷静に逃走を促してくる。
自分の力でここから逃げることができない俺は、素直にレサデに着いていく。
「このままじゃらちが明かねぇ!さっさと核をぶっ壊すぞっ!!」
「おい!?俺はオークを見捨てる気がないって言っただろ!」
「だからあいつが無事なうちに終わらすんだよ!」
さっきはあんなことを言っていたが、オークがやられる可能性は低いらしい。
レサデ曰く、どうやっても村人幽霊はⅮランク相手を倒せないという。
というのも村人幽霊の強さは一般人レベルのようで、最高装備が猟銃では傷一つつけられないほどの差があるとのこと。
ここのヌシ的なのと出会わなければ100%無事なので、探すよりも攻略するのが手っ取り早いそうだ。
「じゃあなんでオークのことを諦めろって言ったんだよ」
「簡単に見捨てる主なんて俺は嫌だった。そういうこった」
もしかして俺は試されていた?
だが、俺の予想が正しいのなら……。
「ならさっさと核を破壊してこんなところから脱出だ!着いて来い!」
「おい!?ろくな対抗手段もないザコが追い越してんじゃねぇ!」
こいつとの距離も、多少は近づけれたのかもしれない。
「そうえいば、丸ピンクいたよな。認めたくないが、あいつの方が俺より強そうだけど、俺と交換した方がスムーズに進めるんじゃね?」
うん、たしかにそうなんだけどね。
「それが、カービィのカードをなくして召喚できないんだよ。落としたのかもしれないから、失くしたカードの場所が分かる方法とかない?」
「自分の武器といえるもんを落としてんじゃねぇよ!?」
ごもっともである。
カービィはお昼寝中です。