ワイらのアッティラ先生が討ち取られて2か月が過ぎました…【小説版】 作:アンティオキア
時は紀元前より遥か昔、ヴァルキュリア人という人種がいた。
どこから来たのかは分からない。どこに消えたのかも分からない。
ラグナイトと呼ばれる鉱石に強い親和性を持ち、元来の優れた身体能力に加え、その力を利用し超常的な戦闘力を備えていた。そして時代の風習の真逆をいく女性社会。伝承に映るのは、もっぱら女性が力を放ち蛮族を殲滅する姿のみであり、その輝かしい神話とは裏腹に男性の影は存在すらしなかった。
歴史に火を起こすように彼女らは進軍した。どこが始発点なのかは分からない。しかし、燃え盛る炎のようにヨーロッパ大陸を焼き尽くした。在地の民族を、文化を、歴史のほとんどを。
その灰の上に自らの国。のちのローマにつながる最初の国家を築いたのちに、彼女らはごく一部を除いて、忽然と歴史から姿を消した。
それから約1000年以上が経ち、北はブリタニアを抑え、西は大西洋を臨み、南は肥沃なナイルデルタを従え、東はペルシアと国境を競り合ったかつての栄光たるローマは2つに分断し、パクスロマーナがゲルマン人諸部族の剣と薄汚れた靴に汚されようとした時代に、一人のヴァルキュリアが現代で言うウクライナの遺跡にて永い眠りから目覚めようとしていた。
ーーー寝ても覚めても戦いがすべてだった。
長い午睡の後の、うすぼんやりとした思考のなかで私は、最初にそう思った。
私が誰よりも強くて、他は私よりも弱かった。長い時を超えた今でも変わらない自負に、ただ少しの後悔が交ざる。
・・・いや。少しの後悔じゃなかった。とても、とても後悔した。
私には友達がいたのだ。こんな戦うことにしか取り柄のなかったポンコツにさえ。深手を負って永い回復を必要とした私を最後まで見守ってくれた友達が。
その最後に見た顔が悲しげな顔だったことが、なによりの心残りだった。
「ぅ・・・ぁ・・・」
数百年、もしかすると1000年以上使ってないせいで固まった喉が声を出した。
ーーーようやく意識が覚醒した、気がする。
あまりに寝すぎたせいか瞼は下まぶたと接着剤でくっついたように離れようとせず、手足は地中の化石のように動かないままだった。
「・・・ぁ・・・ぇ・・・?」
目覚める時間になれば、多少の筋肉痛や前後不覚、目眩などのいくつかはあれど即座に身体を動かせる状態になるのではなかったか?あれ?あれ?あれ?
疑問が頭を埋め尽くす。装置の故障?そんなはずがない。友達の腕はヴァルキュリアの中で最高だった。それこそ・・・もしや・・・我が友ビオザンテよ。やったのか?!積年の恨みがもしあったのなら正面切って言ってくれればよかったのに!?
詰んだ!?私詰んだ!!?なんでよーーっ!!
「
「うわっっ!!?死体が喋るとかっなんだこの世界ふざけんなよっ!!?」
「
「ダメみたいですね(諦め)・・・絶対厄ネタじゃんこれ・・・」
まぶたの開かない目でも、彼と目があったことだけは理解できた。