ドラゴンクエストそして伝説へ~始まりの物語~   作:北内清

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第9話 ナジミの塔

夜の襲撃事件からはや3ヶ月が経とうとしていた。

季節は寒さが厳しくなる頃。アルタとカムイの周りには、雪が積もらないくらいの熱気が満ちていた。

 

「真剣は気を緩めたら大怪我するぞ! アルタ、集中力を切らすなよ!」

 

剣のぶつかる音が町中に響く。

その音はいつしか日課となり、街の人はその響きで時刻を感じるようになっていた。

 

そんなある日、貿易船より多くの木材や腕利きの職人たちが集まってきた。

どうやら、アリアハンの泉にある孤島に塔を建てたいという老人がいるらしい。

その老人が王に謁見をするという事で、アリアハンにはさらに活気が増していた。

 

「カムイさん、なんだろう。塔を建てるって……」

「変わった老人もいるものだ……。おいアルタ、これだけ人が集まるなら城や町全体の警戒も怠れん。俺も一度、城の様子を見てくるとしよう」

 

アルタを置いて、カムイは城へと向かった。

 

 

 

「――カムイ指南役が入られます。一同、敬礼!」

 

謁見の間には、異国の老人の姿と、そこに積まれたさまざまな金銀財宝があった。

 

「私の名前はエンダルフ。世界を旅する変わり者の老人じゃ。……その昔、とある御仁に命を救われての。それが、このアリアハンの英雄オルデガ様じゃった。彼のおかげで今のワシがある」

 

老人は深く息をつき、痛切な面持ちで語り続けた。

 

「……ワシの息子ガルシアは、孫娘オリビアの恋人エリックを快く思わず、海賊を雇って彼を暗殺しようとした。それを偶然通りかかったオルデガ様が、身を挺して庇ってくださったのじゃ。

だが、その戦いでオルデガ様は深手を負ってしまわれた……。噂では、のちにネクロゴンドの火口へと落ちて還らぬ人となったと聞く。あのとき我が息子のせいで負わされた傷が、彼の運命を狂わせてしまったのではないかと、ワシは今も自責の念に駆られているのじゃ……」

 

「なんと……」

 

謁見の間が静まり返る中、老人は悲しげに首を振った。

 

「我が愚息のせいでエリックを狙われ、それを庇ったオルデガ様まで傷ついた。それを知った孫娘のオリビアも、絶望のあまり岬から身を投げ……。後を追おうとしたエリックの魂も、今や幽霊船に拾われて海をさまよっているという。

 

すべてはワシの血族が招いた悲劇じゃ。オルデガ様が命を懸けて救ってくださった命の繋がり、そして彼へのせめてもの報いとして、この故郷であるアリアハンに、彼の名を刻む慰霊塔を建てたいのじゃ。

金はいくらでも出す。どうか王よ、孤島に塔を建てさせてほしい」

 

唐突な老人の告白とあまりの悲劇に、王はしばらく言葉を失ったが、やがて深く頷いた。

 

「そなたの胸のうち、しかと受け止めた。……我が国の英雄オルデガの名を汚さぬよう、また亡くなられた二人の魂を鎮めるためにも、その慰霊塔の建設を許可しよう」

 

「かたじけない……!」

 

老人は深く頭を下げ、アリアハンでの壮大な計画が動き出すのだった。

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