想造者のヒーローアカデミア 作:ヒーローっていいよね
ってことでそろそろ個性のお話したいな〜って感じの二話どうぞ〜
朝。紛れもなく朝。太陽の日差し降り注ぎ眠りを妨害する……ではなく新しい一日の始まりを告げる朝。
「……日差しいい部屋なのも考えもんだよほんと…」
いまだに慣れない間取りにここ最近は毎朝の感想を抱きながら、人生何度目かなんて誰も数えてないであろう起床を。
さて。あの入試から数日がたち、俺は2週間ほど前から住んでいる静岡県内某所の某アパート某階某号室で幾度目かの朝を迎えたわけだ。なんで二週間前から住んでるのかって?そりゃ雄英通うイコール俺の場合一人暮らし開始なんだから。慣れとかないと。もちろん早々と雄英の最寄り駅から二駅となりで物価安めのとこ抑えております。今どきは何もかものスピードが早いですからね。早めの行動大事大事。
一人暮らし開始前から訓練していた甲斐あり、今ではもう一人暮らしの初歩的なことならまあある程度はできる。
というわけで無事に朝食→ゴミ出し→簡易的清掃の朝の3コンボを済ませておいて、少しばかり個性のトレーニングを済ませる。入試が終わったおかげでこの辺は余裕がある。うれしい。
そんなこんなで昼も過ぎ、さてそろそろ昼飯でも…と思っていた頃。
ゴトンッ。
玄関のドアからそんな音が。そしてアパートの玄関ドアについているもので、そんな音を出しそうなものなんて一つしかない。
「やっと来たか合格通知!」
そう。雄英からのお知らせを受け取ったポストに決まっている。対して広くもない室内を駆け抜けポストの中身を奪取し、ダッシュで自室の机まで舞い戻る。
「さてさて開けようかね〜…ハイハイ書類各種はあとから見るとして合格通知は…何じゃこの円盤」
なにこれ。白い円盤…というか短い円柱かなこれ。なんかボタン付いてるし。
「雄英からなのは間違いないからな…取り合えずポチッとな」
『私が投影されたァ!』
「ギャッンッ!??!」
うわぁ画風の違うイケオジがぁ!?…って待て今の声まさか…
「オールマイトォ!?!?」
何故だ。何故雄英の合否発表のやつにオールマイトが。日本で知らない人なんざいないであろうNo.1ヒーローがなぜ。てかこれまず合否発表のやつなんですよね?
『きっと驚いていることだろうね。何を隠そう、私はこの春から雄英高校で教師をすることになったのさ!』
「はへぇ〜オールマイトが教師!…え俺No.1から指導受けるってこと???」
はっへぇ〜。すげえこっちゃすげぇこっちゃ。
『さて、早速だが試験結果に移ろうか!井真地少年の試験、まず筆記試験だが、どの科目も8~9割を超えていた!総合でも9割超え!十分合格ラインだ!』
よし!ケアレスミスで減るだろうなっていう想定内!合格ライン超えるのは想像通り!
『そしてヒーロー科の本試験とも言える実技!敵ポイントは45pt!十分合格圏内だ!』
「しゃぁっきた!」
『だ・が…我々が見ていたのは敵ポイントにのみにあらず!』
「へっ???」
一体全体どういうこっちゃ。他に何がと。
『我々ヒーロー科が求める人材は、ただ戦闘能力が高ければいいというものではないのさ!誰かを助け、守る!その力もまた、ヒーローとして欠かせない素質!』
『というわけでこちら!デデン!完全審査制、
「おっ…おおぉ!?」
首席!?いま首席っていったよね?!
『おめでとう少年。今日から雄英が……君のヒーローアカデミアだ!』
「──うぉっ…しゃっあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
こうなるとは思ってましたけど!いざこうなると嬉しいもんだね!書類くん今書くからね!!!
◆◆◆◆
さて。更にそこから一ヶ月ほど経ちました。つまりはそういうことです。
「…入試んときも思ったけど門でっか…まあ現代ならこのサイズも想定してるってことかねぇ…」
門がデカすぎんだろということで。まあ異形型個性持ってる人とかいろいろだからねこの数十年。雄英がそのへん考えるのも当然か。
「えーっと俺は…A組だったそうだった。クラス発表が合格通知と一緒に来るってのもすげえよなぁ…」
手に持っておいた入学式に持ってきてねプリント群を見ながら校舎に入り、1−Aと書かれたドアを見つけ、門に習うかのようにでっかいそれをガララっと開けた。
「君!学校の備品は丁寧に扱い給え!」
「あぁ!?どうせぶっ壊れねえしいいんだよ!」
「……」
ガララっと閉めた。
…うん。見間違いだろう。もっかい開けたら俺の想像通りのヒーロー科がそこにあるはず。
「俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ!」
「聡明ィ〜?糞エリートじゃねぇか!ぶっ殺し甲斐がありそうだなオイ!」
わ〜現実〜。幻覚であってほしかったね〜。
「…あら、貴方…」
「ん?…おぉ!入試の!受かってたんだ良かった!」
声のした方を見てみれば、そこには入試ぶりのカエル少女の姿が。
「えてかあの後大丈夫だった?ロボットにまかせっきりになっちゃったけど…」
「ええ、リカバリーガールの所に運ばれて治してもらったわ。」
「あーなるほど、そういえばこの学校あの人いたね…」
リカバリーガール。この超常社会でもまあ珍しい回復系の個性を持ったお方だ。雄英高校の養護教諭もしてるんだったっけか。確かにあの人がいるならあんな入試しても大丈夫なわけだね。
「ところで…あなたの個性、あれからいろいろと想像してみたのだけど…」
「あー…俺言ったねそういえば…」
今更ながらそんなこと言ってましたね俺。すごいなんか痛いやつみたいになってませんでしたか?
「…やっぱり、わからなかったわ。傘を使って空を飛べる、ってことしかわからなかったもの。」
「あー、そういやそこしか見てなかったもんね、……っとー…」
「ああ…名前言ってなかったわね。蛙吹梅雨よ。梅雨ちゃんと呼んで。」
「梅雨ちゃん。…いいね、いい名前。俺は…井真地創斗。まあ呼び方はお任せするよ。」
梅雨ちゃん。いいねいい名前。なんかしっくりくるぞ。
「井真地創斗…そっちもいい名前ね創斗ちゃん。これからよろしく。」
「こちらこそ。互いに入学できててよかった。」
しっかりと固い握手。うわすごいほんとに蛙っぽい。俺の個性目に見える変化ないから新鮮。
「あ!お前傘でチャンバラしてたやつ!」
「あー…ああ実技の時の!いやごめんね驚かせて。」
後ろからの声に再び顔をくるっと回せば、そこには実技の時にいたあの金髪ニキが。君も受かってたのね。
「いやそれはいいんだけどよ…あれ一体どうなってんだ!?なんで傘で金属ぶった切ってんの!?」
「あー…んまあどうせ個性の話は授業で言うだろうし。そん時までお楽しみってことで。」
まあどうせヒーロー科だしね。語らざるを得ないだろうけどどうせなら全員の前でまとめて話したい。……無茶苦茶なのは承知の上なので。一人一人に話してたらリアクションで同じだけ時間がかかるのが見える見える。
さてまあそんなわけで入試の話とか世間話とかいろいろしてまして、まあこれはそろそろそろったんじゃないの1年A組…と思ったそのころ。
「お友達ごっこがしたいなら他所に行け…ここはヒーロー科だ…」
不審者が廊下で寝てました。寝袋に入って。ここですヒーロー早く来てください。
あまりの異常光景に全員が沈黙…というか困惑する中、不審者は寝袋から出て教壇に立つ。……教壇に立つ?
「ハイ静かになるまで24秒かかりました。時間は有限、合理性に欠くね」
…いやいや…さすがにね。さすがに。
「担任の相澤梢太だ、よろしくね。」
嘘だろ。嘘だといってくれ。俺たちの担任学校の廊下で寝る人なの?
「早速だが体操服を着て、グラウンド集合だ。」
本当にどういうことなの???
◆◆◆◆
「「「「個性把握テストォ!?」」」」
移動後開口一番、不審者…じゃなかった。われらが担任相澤先生の発した言葉に驚きを隠せない生徒、四捨五入して20名。初日ですよ?
「入学式は!?ガイダンスは!?」
丸顔女子が今日やるべき…というかやるよと言われていた気がする内容はどうなったんすかと困惑フェイスで問う。そりゃそうである。
「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事出てる暇ないよ。雄英は自由な校風が売り文句、それは教師側もまた然り」
うんまあそうですけどね。そうなんですけどね!てかB組は出てますやん!いま体育館への道えっほえっほ歩いてるじゃん!ねぇ!
「お前たちもやってきただろ、個性使用禁止の体力テスト。いまだ画一的な記録を取って平均をとり続けてる……ま、文科省の怠慢だな。」
うわあ教師が言っていいのか。いや教師だから言うべきなのか。
「実技試験、首席は井真地だったな。」
あれぇ急にターゲット向けられました?
「ええ、まぁ一応…」
「中学の時、ソフトボール投げ何メートルだった。」
「えー…確か34メートルとか…?」
「じゃ、それを個性使ってやってみろ。枠からでなきゃ何してもいい」
えー…?マジで体力テストやるの…?
「ん~ソフトボール投げ…ソフトボール投げ…」
うーん。ソフトボール投げ。遠くに飛ばすイメージはできてるんだけど…あそっか。別にこれボール投げというかボールを遠くまで飛ばす競技だ。あー簡単簡単。
「えーと…よっ。」
俺はボールを両手で抱え、腕を正面でまっすぐ伸ばし。包み込む感じでボールを前に据える。
「なんだありゃ?かめ〇め波的な個性か?」
うーん、近いっちゃ近い。
腕をぴったりくっ付ける。二つの腕、ではなく、一つの砲身。手は銃口。
腰をゆっくり下ろし膝立ちに。少しだけ上を向ける。放物線をイメージし…うん。"この向きならこう飛んでいく。"
足は地面にがっちり固定。空気……燃料を吸い込み。
「……発射ァッ!」
ドガァン!
ボール…いや、砲丸が大砲から発射された。
「「「「えええぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?」」」」
弾は飛んでいき飛んでいき飛んでいき……ギリギリ見えるあたりで着弾。
「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成するための合理的手段。」
『868m』
相澤先生の手元にあった端末に数値が浮かぶ。おそらく、いや間違いなくここからボールの着地地点までの距離だろう。
「っ……」
少しばかり、頭に鈍い痛みが。さすがに無理があったか。
「800m!?」
「なんだよ今の大砲かよ!?」
「でもなんも変わってなかったよね!?あれどういう原理なの!?」
「ナニコレおもしろそう!」
「個性自由に使えるなんてさすがヒーロー科!」
「……面白そう、ね…」
ん?なんか嫌な予感がひしひしと……
「ヒーローになる三年間、そんな腹積もりでいるのかい?…よし。」
あっ、嫌な予感がばっちりと…
「8種目トータル成績最下位のものは、ヒーローの見込みなしとして除籍処分にしょう。」
「「「「はぁーーーーーーーーーっ!?!?!?」」」」
何なのこの先生初日から!?!?
◆◆◆◆
さて。俺たちの反論むなしく除籍をかけたガチ体力テストが開幕してしまいました。ちなみに最初の種目は50m走らしいです。
「とんでもないことになったわね創斗ちゃん…」
「だな梅雨ちゃん……先生の目マジっぽいからジョークってわけじゃなさそうだし…」
下手したら入試の時より緊迫している俺たちの前で、クラスメイト(今のところは候補)たちが50mを思い思いに走り抜けていた。……何名かレーザーや爆風で飛んでるものもいるが。うわすごい個性。
「あつぎ俺だ」
「ケロ。頑張ってね創斗ちゃん」
さーて。走るかぁ…50mはさすがに長い。さすがに俺がこの距離を一瞬で駆け抜けるのはまだ想像できない。
……んいや待てよ。確かこの靴の裏…
「おぉ。ついてんじゃん。」
はいてきていたシューズの裏を見てみれば、よくある運動靴の裏あるあるの丸とかいろんなラインがびっしりと。なるほど。これは勝ちました。爆走する俺が見えました。
「…なぁなぁ、お前の個性って結局なんなわけ?」
「あー…うん。放課後にでも話すよ。どうせ全員から聞かれるだろうし…」
横に並んだ金髪ニキ──改め上鳴に返しておいてから、俺もクラウチングスタートの準備を。この体制の方が都合がいい。
『ピーッ。』
「っしょぉっ!」
「うぉあっつ!?」
横のロボットが合図を鳴らした途端。俺は靴裏の円からジェット噴射。クラウチングスタートだったのはこのジェットの勢いを後方に向けたかったからだ。
足の蹴りでも同時に加速し、そのまま25m余りを駆け抜け。
「よっ……!」
そしてそのまま、ひざを曲げて噴射口を後ろに向けてそのまま加速。さっきさんざん思ったのに俺も飛んでしまってる。まあいいか。
「ほいっ…しょっ!」
そしてゴール地点で姿勢制御しながら無事着地。ジェット噴射は男のロマン。
「お前マジでどういう個性なの!?」
「すまん上鳴それは話すと長くなる…」
正直ね、ここで話しても何というかあれなんすよ。説明終わらんと思うんすよ。
あ次握力ね、はーい
◆◆◆◆
さて。そんなこんなで再びやってきましたソフトボール投げ。まあ俺は一回やったんでもういいらしいんですけどね。
「記録、無限。」
「「「「無限!?!?!?」」」」
某丸顔女子──麗日お茶子さんがとんでもねぇ記録を出した。無限って体力テストに登場する数値なんですね。なにそれほんとに。
「無重力ってわけか…」
やー、すっご。重力なくなるってあり得るんだね個性って幅広い…
さあそんな麗日さんに続きまして、彼女と受験でなんかあったっぽい緑谷出久くん。ここまで彼が個性使用した経歴、ゼロ。やけに神妙な顔でボール見つめてるし。
「───ッ!」
さあそんな緑谷がなんか覚悟決めたっぽい表情でボールを投げ、記録は…
『47m』
「っ…!?今…確かに使おうって…!」
「個性を消した。」
久しぶりに喋った相澤先生の髪は風に煽られたかのように逆立ち、黒目は赤く染まっていた。…って、個性を消した!?どういうこっちゃ!?
「つくづくあの入試は合理性に欠くよ。お前のようなものも合格できてしまう…」
「個性を消した…っ!そうか、見ただけで人の個性を抹消する個性…アングラヒーロー、イレイザーヘッド…!」
「イレイザー…ヘッド。…梅雨ちゃん知ってる?」
「聞いたことないわね…」
「俺見たとこあるぜ、なんかメディア嫌いなんだってよ!」
上鳴の言葉を聞いて納得する。そりゃ俺も知らんわけだ。よく緑谷個性だけでわかったな。
「見たところ、個性を制御できないんだろ?」
「っ…!」
「また行動不能になって、誰かに助けてもらうつもりだったか?」
「そっ、そんなつもりじゃっ…がぁっ…!」
緑谷が先生が首に巻く紐みたいな布で締め上げられる。何だあの布見た目に沿わず凄え硬そう…
「…かつて、暑苦しいヒーローが大災害から一人で1000人以上を助け出すという伝説を作った…」
その言葉に、ここにいる全員が一つの記憶をたどる。俺達がまだ小さい頃…No.1ヒーローが成し遂げた伝説。
「同じ蛮勇でも、お前じゃ一人を助けて木偶の坊になるだけだ。緑谷出久。…お前じゃヒーローになれないよ。」
おお…さすが初日から除籍だとか言い出す先生だ、一言一言が鋭くて重い。
「ソフトボール投げは一人二回、個性は戻したからとっとと済ませろ。」
うーん。しっかし先生の話的に個性が暴走しちゃう的な感じなのかね緑谷くん。
「なな、誰か緑谷の個性わかるやついる?」
「うーん…入試のときに見た限りだと超パワー!って感じなんだけど、その時個性使ったら腕ボロボロになってて…」
「ああ、あの0ポイントロボットを一撃で破壊していたのを見たよ。…しかし緑谷君大丈夫なのか、個性を使うとああなるのなら、この体力テストでは使えないぞ…」
「ハッ!あのデクが個性使ったってのがおかしいんだよ!大方変なもん使ったに決まってら!」
変なもんって逆になんだろうと思ったのは一旦おいておいて。しかし本当にどうするんだろうか彼。話を聞く限り個性発動イコール自傷みたいなもののようだし。彼の個性もまだ俺が詳しく知らないせいでそれをどう扱えるかもイマイチ浮かんでこない。
そんなことを考えている間、緑谷も何やら考えていたようで。覚悟を決めた眼でボールを握り、再び腕を振り上げ───
「あいつ───!」
「──っ!」
ボールは、先程の何倍ものスピードで緑谷から放たれた。見事な放物線を描き、地面に着地し。
「先生……まだ…動けます…!」
彼の腕は無事だった。指先の一本だけが、麗日のいった通りにボロボロの紫色に腫れ上がっていただけだった。
「そっか…身体強化の個性なら、それを腕じゃなくてボールを離す瞬間最後に触れる場所…指だけで発動すれば…!」
損傷は最低限に抑えられる。
自分にできる最大限を見せた緑谷を、先生はどこか喜びに満ちた目で見ていた。
◆◆◆◆
が、そんな先生とは対象的に、怒りに満ちた目で見ていた男が一人。
「どういうことだ…コノ!」
俺達の横にいた上鳴とは違った感じの金髪ツンツンヘアー…爆豪が手のひらからの爆破をブースターにして飛び出すと、緑谷に向かって走りだ…あれやばくねこれ!?
「はい正当防衛というか緊急捕縛!」
とっさにジャージを脱いでぶんまわし投げ縄に。先生のあの布の使い方見ててよかったぜ。イメージがしやすい。まだ上にジャージ着る時期で良かった良かった。
「なっ…なんでジャージが伸びやがるっ…しかもかてぇ…っ!」
「爆破で燃やしたら弁償してもらうからなー」
と俺はいったものの、よく見れば俺が抑える寸前から爆豪は爆破をしていない。ということはつまり。
「井真地、よくやった。まったく…何度も何度も個性使わせるなよ…俺はドライアイなんだ!」
「「「「(個性すごいのにもったいない!)」」」」
ほんとにもったいない!体と個性があってねぇ!
「井真地、もう離していいぞ。」
「うぃっす。」
ジャージをくいっと引っ張ると、爆豪からきれいに解けながら俺のもとに縮んでいく。
元のサイズになったジャージを羽織りまして。
「……もう突っ込まねーぞ俺は…」
「上鳴ちゃん、それが賢明だと思うわ。」
うん。そうしてもらえると助かります。
さあ次の種目!
◆◆◆◆
さあそんなこんなで迎えました最終種目長距離走。長座体前屈と反復横跳びはいまいち見せ場に欠けました。
「とはいえ長距離かぁ…このトラックバーって走るわけだから…よいしょ」
おもむろにジャージのチャックを開ける俺。風でジャージがたなびくぜ。
「急に脱ぎだしてどした…?」
「ん?姿勢制御。」
さーて。足はまたジェット噴射でいいとして…!
『ピーッ。』
「しゃぁいっ!」
再びの足裏ジェット、全力噴射。
スタートラインにさよならを告げ、俺は最初のカーブに差し掛かる。
だがしかし。のはあくまでジェット噴射。このまま行けば曲がれずにコースアウト。
「よっ…!」
というわけで。俺はジャージの左側をバサッと広げた。そこで風を受けると、左側のほうが減速する。このジャージは船の帆みたいなものだ。
「っしゃぁ!イメージ通り!」
想像通り、俺の体は左に傾き自然とカーブに沿って走る。これを繰り返せばいい話なわけだ。
「おーっ…にしても加速キチィ…!」
思い返してみれば、こういった生身で長距離を高速移動なんてものはあまり訓練してこなかった。ヒーローになるなら現場へ駆けつける能力も必要なら、こういったものももうちょっと考えておくべきか…
と、考えている間に。気がつけばゴール地点まで戻ってきていた。
「っ────っと!っぶねぇブレーキ課題だな…」
ジャージを全開で広げてブレーキ、無事にゴールライン4m先で静止。
流石にタイムで言えばスクーター出した八百万には勝てないけども…まあ上出来だろう、きっと。
◆◆◆◆
「んじゃあパパっと結果発表。トータルは単純に各種目の点数を合計した数だ。口頭で言うのは時間の無駄なんで、一括開示する」
そう言って先生は手元の端末をポチッとな。途端空中にホログラフィックで特典表がこんにちは。一位は八百万。んで二位に俺。やっぱ体力テストって形だとイマイチどう動くかイメージできなかったな、反省反省。
そして、例の最下位は───緑谷。
…想像できていたこととはいえ、実際のものになると辛い。…ただ、強いていうなら。ソフトボールのとき、先生が見せたあの表情がどうもきになる。
「ちなみに除籍は嘘な。君等の個性を最大限引き出すための合理的虚偽」
「「「「はぁーーーーーっ!?!?!??」」」」
うっそぉ!?!?いやなんかガチで除籍するにしてはなぁって雰囲気はあったけども!ほんと二!?!?
「あんなの嘘に決まってるじゃない。ちょっと考えればわかりますわ。」
んまあ確かに…ただ先生が最初に除籍の話ししたときは目がガチだったんだよなぁ…なーんか考えてそうだけど…
「テストは以上だ。今から教室戻って入学に関するガイダンスを簡単に行う。緑谷は保健室行って婆さんの治療受けてこい。」
婆さん…あリカバリーガールね。先生敬意どこに捨ててきたんすか。
◆◆◆◆
さてそんなわけでちゃんとガイダンスをしてもらって。無事に入学式…ではなく個性把握テストから始まる雄英ライフ初日終りょ───
「おい井真地なんだよあの個性!?」
「足裏からジェットでるとかどういうこと!?飯田みたいな!?」
「入試じゃ傘でぶった斬ったりなんだよあれ!?」
終了したかったです。忘れてました。
「あー…うん。とりあえず話すわ。こうなると思った。」
「ケロ。ようやく答え合わせね。」
「…俺の個性は《
「「「「おー…」」」」」
「「「「へー…」」」」
「「「「……はぁ!?!?!?!?!?」」」」
わーこうなると思った!
「ちょっと気のせいかなとんでもない話聞こえたよ!?!?」
「想像を現実にするってどういうこと!?」
「そんなんなんでもありじゃねえか!?!?」
「う〜ん中学時代を思い出す反応の波…んまあとりあえず詳細話しますね…」
『井真地創斗!個性《
『想像したものを現実に!頭の中で思い描いた事象、ビジョン、その他諸々を現実にするぞ!』
「んまあ、すっごい簡単に言うと…上鳴、子供の頃傘でチャンバラしたことあるだろ?」
「ん?ああそりゃな…ってそういうことか!?」
「そそ。俺達はあのとき、『今自分が握ってるものは剣だ』って想像してた。それをマジで剣にできるってこと、かな。ごっこ遊びが現実になる感じ。」
「はー…えじゃあテストの時のジェット噴射は?」
「靴裏に丸い模様あったりするだろ?あれが噴射口で足裏からジェット噴射が出る…って想像した。」
「ボール投げのあれは!?」
「自分自身が大砲になったのを想像した。」
「何でもありじゃねぇか!?!?」
うん、まあほぼなんでもありではある。
…とはいえ何でもできるかというとそういうわけではない。
「まあただ…無からものを生み出す、とかはできないけどね。あくまで事象を現実に起こす、って感じだから、今手の中に伝説の剣があって…みたいなのを想像しても伝説の剣が急に生えてくるわけじゃないし。」
「あー、その点八百万の創造とは違うわけか。」
「私のも、無から作り出しているわけではありませんが…確かに、井真地さんが何かを作り出したりはしていませんでしたね。」
そう。俺の個性は現実を上書きするとでも言おうか。自分の想像を世界に押し付け、物理法則や物体の構造といったものを書き換えるような。
とはいえ無制限にできる代物というわけでもない。あくまで、個性は個性の範疇を出ないのだ。
「ま、とはいえ強えのに変わりねぇや!やろうと思ったらどこまでできるんだ!?」
「あー…どうだろう。なんというかイメージのやり方にもよるしなぁ…まあそれはおいおい。とりあえずはざっと概要だけわかってくれれば。」
正直俺の個性ややこしいしね。制約がないようであるし、発動条件も意外とややこしいし。とりあえずざっとだけ説明するのが最初かな。まだ初日だし。
さて。明日からは何があるんですかね!
というわけで個性やっと話せました。タイトル通りですね。想像で創造するから想造力。とはいえ創造はできないんですけどね!
というわけで多少制約あるとはいえチート個性だと思います。まあその制約がどんななのかはおいおいということで。
相変わらず次回の更新予定は未定です。気長にお待ちください。