歌姫の親友は、主人公機をぶっ殺したい   作:三宅繭

2 / 2
後編

第四章 そのアセンはおかしい

 

「降伏しましょう」

 

私は言った。イリスは机の上の海図から顔を上げた。

 

「……あなた、熱でもあるんですか?」

 

「ないよ。至って健康」

 

「でしたら、もう一度お願いします」

 

「降伏しよう。共和国に。今すぐ」

 

北方艦隊旗艦《グラン・セレーネ》。

 

帝都陥落から五日目。イリスの執務室には、北方各地から集まった作戦報告が積み上がっていた。軍港の防衛設備、魔石備蓄、残存艦艇の状態、避難民の受け入れ人数。そのどれもが、帝国の敗北を物語っている。私が入室したとき、イリスは港湾の収容予定表を確認していた。北方各地から撤収する部隊と避難民を、どの艦艇に乗せ、どの岸壁へ誘導するか。机の隅には既に何枚もの修正図が積み重なり、赤い鉛筆の先が短くなっている。

 

彼女は私を見てもすぐに手を止めなかった。避難民を運ぶ三隻の小型船のうち、一隻がまだ出港できていないらしく、その船名だけが何度も丸で囲まれている。私が椅子を引いたところで、ようやく鉛筆が置かれた。

 

「共和国は無条件降伏を要求しています」

 

「交渉の余地はあるでしょ。艦隊はまだ健在だし」

 

「共和国が求めているのは、我々の武装解除です」

 

「したらいいじゃん」

 

「エルザ」

 

イリスの声が低くなった。

 

「ここには、北方から撤退してきた兵士と民間人がいます」

 

「知ってる」

 

「その人たちを受け入れられるだけの準備が、共和国側にあると思いますか」

 

「準備させればいい」

 

「それまでは?」

 

私は黙った。

 

イリスは海図へ視線を戻した。

 

「共和国軍の指揮官が交渉に応じるなら、私も応じます。ですが、艦隊を即座に解散することはできません。今ここで軍の指揮系統を失えば、軍港にいる人々を誰が守るんですか」

 

共和国の要求そのものが不当なわけではない。帝都を陥落させた以上、最後の大規模軍事拠点である北方艦隊にも武装解除を求めるのは当然だ。しかし、北方の撤収はまだ終わっていなかった。皇国の抵抗組織は、最後の帝国兵が去るまで攻撃をやめるつもりがないらしい。軍港の外縁では今朝も退却部隊が襲撃され、傷病兵を乗せた車両が一台、橋の向こうで立ち往生している。彼女が艦隊を動かせば、それらの部隊を迎えに行く船も、港を守るピットも失われる。逃げれば解決するという話ではない。私はそれを理解しているからこそ、余計に腹が立っていた。

 

「……じゃあ、せめてお前だけでも逃げよう」

 

「私だけ?」

 

「そう。亡命でも何でも。皇国は無理でも、中立国なら――」

 

「エルザ」

 

「私の実家の伝手もある。北方の商人連中にも顔が利く。金なら――」

 

「エルザ!」

 

机を叩く音がした。

 

私は口を閉じた。

 

イリスは立ち上がっていた。

 

「あなた、本気で言っているんですか」

 

「本気だよ」

 

「私が逃げた後、北方艦隊はどうなるんです?」

 

「誰かが指揮すればいい」

 

「誰が?」

 

「副司令官でも、参謀長でも――」

 

「私の歌唱制御に頼っている防衛刻印は? ピット群は? 現在の軍港防衛網を維持できる術者が、ほかにいるんですか?」

 

いない。知っている。イリスにしかできない。帝国最大の英雄なのだから。

 

「……だったら、もう少し考える」

 

「何をです?」

 

「お前を生かす方法」

 

言ってから、しまったと思った。

 

イリスは目を細めた。

 

「……あなた、最近ずっとおかしいですよ」

 

「昔からだろ」

 

「そういう冗談ではありません」

 

彼女は机を回り込み、私の前へ来た。

 

「南方へ行きたいと言い出したときからです。あの共和国の傭兵に二度も挑んで、そのたびに死にかけて。それでも諦めない。今度は、私一人だけ逃げろと?」

 

イリスは私の顔を覗き込んだ。

 

「何を隠しているんですか」

 

言えばいい。全部。ここが『RUNE FRAME』というゲームの世界だということ。私はそのゲームを何千時間も遊んでいたこと。主人公機が、帝国の英雄たちを全部倒してしまうこと。お前がラスボスで、最後に死ぬこと。言ってしまえば、少なくとも彼女は危機を理解してくれるかもしれない。

 

だが、言葉が出なかった。

 

目の前の女は、ゲームのキャラクターではない。昨日は船倉へ自分の毛布を運び、今朝は徹夜で輸送名簿を修正していた女だ。私がくだらないことを言えば呆れ、調子に乗りすぎると本気で怒る。

 

何年も付き合ってきた、私の親友だった。

 

「……お前がいないと、寂しいんだよ」

 

代わりに、そう言った。

 

イリスはしばらく黙っていた。それから、困ったように笑った。

 

「……まったく。あなたは本当に、面倒な人ですね」

 

「お互い様だろ」

 

「ええ。そうでしょうね」

 

彼女は私の肩を軽く叩いた。

 

「私はまだ死ぬつもりなんてありませんよ」

 

知ってるよ。お前がそう思っていることくらい。だから困っているんじゃないか。

 

*

 

私は整備場へ向かった。

 

《ヴェスペル》は既に失われている。

 

あの高性能機を再建するだけの部品も、時間もなかった。北方艦隊に残っているのは、長い戦争で損耗した艦艇と、整備に回す魔石すら不足した魔導鎧ばかり。整備場では退役機の装甲板が片側へ積まれ、脚部を失った機体から別の機体へ部品を移す作業が続いている。まともな新造機を待つ時間など、どこにもなかった。私はその中から、一機の旧式機を選んだ。

 

《グラーフ》。

 

帝国軍が中盤以降の戦場で使っていた、古い量産型魔導鎧だ。頑丈で、整備しやすい。ただし出力は低く、機動性も平凡。最新鋭機と比べれば、どの性能も一段劣る。だが、こいつには一つだけ長所がある。刻印回路が単純なのだ。高度な安全制御がなく、炉心の出力を比較的自由に振り分けられる。装甲の内側にも余裕があり、無理な配線を通すには都合がいい。そして私は、倉庫の奥から引っ張り出した一本の砲身を眺めていた。

 

北方皇国から鹵獲した、大型魔導投射砲。

 

本来は艦艇に搭載する代物だ。魔石炉の出力を限界まで引き上げ、刻印によって収束させた高密度の魔力弾を撃ち出す。対艦砲としても、威力だけなら一級品。問題は、その馬鹿げたEN消費量である。一発撃つのに、通常の魔導鎧なら魔石炉を丸ごと一基使い切る。しかも艦に搭載する前提で作られた砲だから、発射時の反動は船体の骨格と固定架で受け止める設計だ。脚で立つ機械へ移せば、重量と反動の両方が問題になる。

 

まともな技師なら、人型兵器へ搭載しようなどとは考えない。

 

私は考えた。主人公機を一撃で殺せるなら、それでよい。

 

「……お前、本気か?」

 

整備長が言った。

 

「本気」

 

「《グラーフ》にこいつを載せろって?」

 

「そう」

 

「機体より重いぞ」

 

「知ってる」

 

「砲身を支えるだけで脚部関節が悲鳴を上げる。発射反動に耐えられるわけがない」

 

「補助支柱を追加する」

 

「魔石炉の出力が足りん」

 

「予備魔石を直結する」

 

「安全刻印が止めるぞ」

 

「外す」

 

整備長は私の顔を見た。図面の端へ突き出た補助回路の線を指で辿り、その先に書いてある安全装置の撤去項目を見つけると、とうとう老眼鏡を外した。

 

それから、静かに言った。

 

「馬鹿か、お前は」

 

「よく言われる」

 

「冗談じゃねえぞ。これじゃ発射するたびに炉心が焼ける。冷却だって間に合わん」

 

「三発撃てれば十分」

 

「三発?」

 

「……いや、四発は欲しいな」

 

「お前なあ!」

 

整備長が工具を机へ叩きつけた。

 

「それは魔導鎧じゃねえ! 砲台に脚を生やしただけだ!」

 

私は機体を見上げた。

 

確かに、そのとおりだった。

 

だが、悪くない。

 

とても悪くない。

 

もし『RUNE FRAME』のアセンブル画面へこの設計を持ち込んだら、重量超過の警告で真っ赤になるだろう。EN効率は最悪、旋回性能も壊滅的。装備制限に引っかかって、そもそも出撃できないかもしれない。対戦でこんな機体を持ち出す奴がいたら、私は間違いなく笑う。しかし、現実の《グラーフ》はここにある。積載量を超えるなら脚部を補強する。刻印回路が出力を制限するなら、安全装置を外してしまえばいい。ゲームのアセンブル画面では許されなかった無茶も、現実なら工具と魔石と、技師の腕さえあれば試せる。もちろん、成功するとは限らない。むしろ失敗した場合は、ゲームのように出撃画面へ戻ることもできない。

 

それでも。

 

主人公機は強い。

 

高い運動性能。優秀な魔石炉。正確な射撃と、恐ろしく柔軟な操縦技術。まともに戦えば勝てない。《ヴェスペル》でさえ駄目だった。だったら、まともに戦うのをやめればいい。相手が避けるなら、避けた先へ撃つ。距離を詰めるなら、砲の有効射程に誘い込む。ENを回復しようとするなら、その時間を与えない。そして、たった一発で装甲ごと吹き飛ばす。

 

そういう武器が欲しかった。ただし、砲身を固定したままでは近距離で戦えない。私は整備長に、肩部の固定機構を可動式に変更するよう頼んだ。通常の魔導鎧では不可能な重量だが、《グラーフ》なら、脚部の補助支柱を使って一時的に砲を支えられる。旋回時にはいったん固定具を緩め、砲自身の重量を利用して向きを変える。

 

当然、機体の姿勢は崩れる。だが、それは操縦で何とかする。

 

「……何とかならんぞ」

 

図面を見た整備長が言った。

 

「なるって」

 

「お前の『なる』は信用ならん」

 

「北方で何度も見せたでしょ。変な姿勢からでも撃てるんだよ、私」

 

整備長は鼻を鳴らした。

 

「変な姿勢で撃てるからって、変な機体を動かせるとは限らん」

 

「じゃあ、試してみよう」

 

「だから、その試験で死ぬかもしれねえって言ってるんだ!」

 

私は笑った。そして整備長の机へ、紙を一枚置いた。クラウゼン家の資産を担保にした、特別調達の保証書である。

 

整備長はそれを見た。私を見た。もう一度、保証書を見た。

 

「……本当に、やるんだな」

 

「やる」

 

「生きて帰れる保証はねえぞ」

 

「知ってる」

 

「だったら……」

 

私は肩をすくめた。

 

「帰ってくるよ。まだ整備費を払ってないし」

 

整備長は保証書を指で叩き、しばらく黙っていた。これまで無茶な装備をいくつも作ってもらったが、ここまでひどい顔をされたのは初めてだ。私が目を逸らさずにいると、ようやく大きく息を吐いた。

 

そして、作業台へ向き直った。

 

「全員集めろ! 徹夜になるぞ!」

 

*

 

三日後。

 

《グラーフ改》は完成した。

 

右肩から背中にかけて、巨大な砲身が突き出している。補助支柱と追加装甲によって、機体の外観はもはや原型を留めていなかった。左右の重量差を補うため、左肩には予備魔石の収納庫を追加。背面には、無理やり増設した冷却管。脚部は補強され、旋回性能は著しく低下している。控えめに言って、最悪の機体だった。《ヴェスペル》なら離陸前に終わる姿勢制御を、この機体では一つずつ確認しなければならない。脚部の接地位置を間違えれば、砲を構える前に倒れてしまう。

 

試験起動では、立ち上がるだけで右肩の装甲が軋んだ。歩けば砲身が揺れ、無理に旋回すると脚部の関節へ荷重が集中する。試しに砲の固定刻印を解除したところ、機体は右へ傾き、整備兵たちを一斉に飛び退かせた。

 

「……いやあ、ひどいね」

 

私が呟くと、整備長が工具を握りしめた。

 

「お前が作れと言ったんだろうが!」

 

「でも、想像以上にひどい」

 

「帰れ!」

 

私は笑いながら操縦桿を握り直した。しかし、慣れてくると悪くない。砲の重量で機体が傾くなら、倒れる方向を先に計算すればいい。脚部の補助支柱を使うタイミングさえ合わせれば、旋回中に砲身を素早く振ることもできる。

 

《ヴェスペル》のように自由には動けない。

 

だが、その不自由さを逆手に取れば、普通の魔導鎧では不可能な射撃姿勢が作れる。砲身が勝手に落ちようとする力は、裏返せば自分で振らずとも砲口が動くということだ。右脚へ荷重を逃がして左の支柱を打てば、ほんの一瞬だけ旋回速度を稼げる。

 

私は何度か試験機動を繰り返した。三度目には支柱の固定が間に合わず、肝を冷やした整備長に怒鳴られたが、五度目には狙った位置で砲口を止められた。最後には、整備長が呆れたように笑っていた。

 

「……本当に動かしやがった」

 

「だから言ったじゃん」

 

「普通の人間には無理だぞ、これ」

 

「普通じゃないからね、私」

 

胸を張ったところで、整備場の入口から声がした。

 

「……これはひどい」

 

イリスだった。

 

「私の艦隊に、こんなものがあったとは」

 

「今できた」

 

「でしょうね。こんな代物、あってたまりますか」

 

彼女は機体の周囲を一周した。

 

砲身を見上げる。

 

補助支柱を叩く。

 

魔石炉の接続部を覗き込む。

 

そして、私の顔を見た。

 

「正気ですか?」

 

「それ、整備長にも言われた」

 

「当然です」

 

「でも、強いよ」

 

「見れば分かります。砲だけなら、ですが」

 

「でしょ?」

 

「褒めていません」

 

イリスはため息をついた。

 

「どうして、そんなにあの傭兵を倒したいんですか」

 

私は答えなかった。

 

答えられなかった。

 

代わりに、《グラーフ改》の脚部へ手を当てた。

 

古い装甲は傷だらけだった。

 

北方戦役で何度も見た、あの鈍い灰色。

 

「……勝てると思うんだ」

 

私は言った。

 

「今度こそ」

 

イリスはしばらく黙っていた。

 

そして、私の隣へ立った。

 

「あなたがそう言うなら、止めても無駄なんでしょうね」

 

「分かってるじゃん」

 

「何年付き合っていると思っているんですか」

 

彼女は砲身を見上げた。

 

「一つだけ、約束してください」

 

「何?」

 

「死なないこと」

 

私は笑った。

 

「そんなの、いつもどおりでしょ」

 

「……ええ」

 

イリスも笑った。

 

少しだけ。

 

*

 

その日の午後、私たちは最後の防衛計画を確認した。軍港全域を覆うピット群の配置図が司令部の机に広げられ、艦艇の間に細い線が何本も引かれている。イリスは避難民を乗せた輸送船を後方へ下げつつ、港湾へ侵入する共和国軍を防ぐつもりだった。敵の高機動機だけがその防衛線を抜けてくる可能性があるから、そこを私の《グラーフ改》で塞ぐ。

 

海図を覗き込むと、六機で一組になるピット編隊のうち四機にだけ、私の迎撃区域を示す印がついていた。残りの二機は予備として、艦隊の後方に待機するらしい。

 

二人で戦うのだ。

 

「私の歌唱制御は、港湾全体の防衛に使います」

 

イリスは図面の一部へ指を置いた。

 

「ただし、あなたの迎撃区域へ四機だけピットを回します。残りは艦隊と輸送艦の防衛に必要ですから、それ以上は出せません」

 

「四機あれば十分」

 

「本当に?」

 

「北方で何度もやったでしょ。お前が敵の逃げ道を塞いで、私が撃つ」

 

「今度はあなたの機体が随分と鈍重ですが」

 

「そこは腕で何とかする」

 

「またそれですか」

 

イリスは呆れながらも、配置図を修正した。私が主砲を構える位置と、ピットが包囲を作る位置を合わせていく。北方戦役では何度も行った作業だ。違うのは、敵の強さだけ。

 

それでも、今度は二人がかりである。負けるわけがない。私はそう思おうとした。

 

*

 

その夜、私たちは整備場の隅で遅い夕食を食べた。軍港の食堂から運んできたパンと、冷めかけたスープ。輸送船の受け入れで食堂も忙しく、今日のスープには具がほとんど入っていなかったが、そんなことを言う者は誰もいない。

 

イリスは珍しく制服の上着を脱ぎ、椅子の背へ丁寧に掛けていた。白い袖口には薄く鉛筆の跡が残り、私が指摘すると、彼女は少し困った顔で指先を見た。あれだけ書類を直していれば、そうもなる。

 

整備場の片隅に置かれた小さな机は、二人分の食器を並べるだけでいっぱいになった。私は空いた椅子を引き寄せ、スープの器をずらしてどうにか座る場所を作った。向かいのイリスは、まだ作戦図のことを考えているらしい。パンを片手に持ったまま、整備中の《グラーフ改》を眺めている。

 

「冷めるよ」

 

私が声をかけると、彼女はようやくこちらを向いた。

 

「そういえば、覚えていますか?」

 

「何を?」

 

「北方戦役の最初の頃。あなたが私の歌を下手だと言ったこと」

 

「下手とは言ってない。拍子がずれてるって言っただけ」

 

「同じことです」

 

「いや、全然違う」

 

「私、あのとき本気で腹が立ったんですから」

 

「知ってる。三日くらい根に持ってたよね」

 

「あなたが毎日言うからでしょう」

 

私は笑った。

 

イリスはようやくパンを皿へ置き、スープを一口飲んだ。温くなっていたらしく、顔をしかめるでもなく器を下ろす。私はその横へ自分のパンを半分押しやったが、彼女は首を振り、代わりに私の皿へ薄い肉を一切れ載せた。いつもの余計なお世話である。

 

「……あの制御法、今でも使っているんですよ」

 

「へえ」

 

「あなたが指摘した、あの遅延の処理です」

 

「そうなの?」

 

「ええ。おかげで、ずいぶん多くの兵を救えました」

 

彼女は何でもないことのように言った。

 

私はパンをちぎった。

 

「……そっか」

 

「はい」

 

「なら、よかった」

 

しばらく、二人とも黙って食べた。整備場の向こうでは、作業員たちがまだ《グラーフ改》を調整している。金属を叩く音と、刻印試験の短い警報。冷却管を通る蒸気が白く噴き出し、油の匂いがこちらまで漂ってきた。イリスはスープを飲み終えると、空になった器を両手で包んだ。司令官の執務室で見るよりも、随分とくつろいだ顔だった。私は、これまで何度も聞いた音に耳を澄ませた。艦隊が勝っていた頃も、修理費の支払いを巡って喧嘩した日も、整備場では同じ工具の音がしていた。ここに座っている間だけは、外洋の砲撃も帝都の降伏も遠く感じられる。

 

イリスが食器を重ねる音で、私は顔を上げた。

 

「ねえ、イリス」

 

「何です?」

 

「次の戦いが終わったら、北方の酒場に行こうよ」

 

「あなた、まだあそこを諦めていないんですか」

 

「焼いた肉がうまいんだよ。ほら、あの店の、串ごと持ってくるやつ」

 

「私を酔わせようとしているでしょう」

 

「そんなことしないって」

 

「前回、私が飲みすぎたときのことを忘れたんですか?」

 

「忘れるわけないじゃん。最高だった」

 

「……エルザ」

 

「はい、すみません」

 

イリスは呆れた顔をした。私はパンを口へ放り込んだ。美味しかった。もう少し、ここにいたかった。でも、時間がなかった。

 

*

 

翌朝、共和国軍の接近が確認された。

 

北方艦隊は出撃準備を開始。

 

司令部ではイリスが部下たちに命令を出している。

 

艦艇の配置、ピット群の制御領域、魔石炉の出力配分。そして最後の防衛線。

 

私は《グラーフ改》の操縦席へ乗り込んだ。

 

整備長が梯子を登ってきた。

 

「……操縦系は全部確認した。砲は四発までだ」

 

「了解」

 

「四発目は撃つな」

 

「さっき四発までって」

 

「三発までなら、まだ冷却刻印が働く。四発目は知らん」

 

「なるほど」

 

「なるほど、じゃねえ!」

 

整備長は私のヘルメットを小突いた。

 

「帰ってこいよ」

 

「分かってる」

 

「本当だな?」

 

「私が約束破ったことある?」

 

「山ほどあるわ!」

 

梯子が外される。

 

整備員たちが退避した。

 

私は操縦席の扉を閉じた。

 

全面遮蔽式のヘルメットを装着。

 

視界が暗転し、外部感知刻印の映像が立ち上がる。

 

起動した《グラーフ改》の魔石炉が、低い唸りを上げた。

 

通信。

 

『FULLFACE、聞こえますか?』

 

DIVAの声だった。

 

「聞こえるよ」

 

『第一防衛線は私が担当します。あなたは港湾の迎撃位置で待機。敵が突破した場合は、予定どおり四機のピットをそちらへ回します』

 

「了解、DIVA」

 

『……ふざけたことをしないで、ちゃんと作戦どおりに動いてくださいね』

 

「信用ないなあ」

 

『当然でしょう』

 

その返答に、私は笑った。

 

『FULLFACE』

 

「何?」

 

『必ず帰ってきてください』

 

私は操縦桿を握り直した。

 

「DIVAもね」

 

少しの沈黙。

 

それから、彼女が笑った。

 

『ええ。約束です』

 

通信が切れた。

 

私は目を閉じた。

 

やがて、歌が聞こえ始めた。

 

何百回も聞いた曲だった。

 

『RUNE FRAME』の最終決戦。

 

帝国最後の英雄。

 

歌姫【DIVA】。

 

その歌声が、今、私の耳に響いている。

 

私はゆっくり息を吐いた。

 

「……さて」

 

目を開ける。

 

モニターに、共和国軍の機影が映った。

 

「あとは、ぶっ殺すだけだ」

 

第五章 クソ喰らえ

 

帝国最精鋭の北方艦隊は、最後まで強かった。

 

港湾へ近づく共和国軍の砲撃は、海面へ着弾するたびに船体を揺らした。港を埋める避難船からは時折警笛が鳴り、その合間を縫って北方艦隊の迎撃砲が応える。私は岸壁に据えた《グラーフ改》の操縦席から、外洋を覆う煙を眺めていた。

 

やがて共通回線に、歌が流れ始める。

 

DIVAが歌う。それだけで戦場の様子が変わった。

 

数百のピットが艦隊の上空へ展開し、共和国軍の進撃路を塞いだ。

 

遠距離からの砲撃。急降下する迎撃ピット。海面すれすれを走る誘導弾。

 

共和国軍の魔導鎧が、次々と墜ちていく。

 

私は《グラーフ改》の操縦席から、その光景を見ていた。

 

凄まじい。

 

本当に、凄まじい。

 

ゲームで戦ったときも強かった。

 

だが、味方として見れば、それ以上だった。

 

DIVAは数百の兵器を同時に操りながら、味方の艦艇も守っていた。

 

被弾した輸送艦を援護し、敵の砲撃を遮り、撤退する兵士のために退路を開く。

 

彼女は歌唱刻印の一つを防御に回したかと思えば、すぐ別の端末を呼び寄せて負傷した艦艇の退路を作る。ピットが通った後には波飛沫が細く残り、回線に流れる歌の節目に合わせて、防御線の形が次々と変わっていった。

 

そのすべてを、歌いながら行っている。天才、英雄。よくもまあ、あれだけの仕事を一人で引き受けているものだ。

 

そして、私は知っている。

 

それだけのことをしながら、DIVAはまだ余力を残している。

 

『FULLFACE。右舷の敵部隊が後退します。そちらから侵入してくる機体があるはずです』

 

「了解。お客さんには私が挨拶するよ」

 

『無理に突出しないでください。支援用のピットを六機、そちらへ回します』

 

「六機も? 予定より多くない? 太っ腹だねえ」

 

『外洋の敵が一時的に退いたので、予備の二機も回せます。艦隊の防御に必要な戦力は残していますが、これ以上は出せませんから、無駄遣いしないように』

 

「了解、司令官殿」

 

私は砲の安全装置を解除した。右肩の砲身が持ち上がると、重心の変化を補おうとした脚部が一度だけ小さく沈む。補助支柱の固定具から嫌な軋みが聞こえたが、今日は整備長に文句を言っている暇がない。

 

北方艦隊の防衛線は三重に展開されていた。

 

外洋には主力艦隊。港湾の入口には固定砲台と大型魔導鎧。そして、そのさらに奥に、避難民を乗せた輸送艦が集まっている。

 

DIVAは大型魔導鎧で港湾全体を守りながら、ピットを通じて各戦線を支援していた。

 

本来なら、共和国軍はこの防衛線を一つずつ突破しなければならない。

 

だが、『RUNE FRAME』の主人公は、そんな律儀なことをしない。

 

レーダーに一機の反応が現れた。周囲の味方機とは違う速度で、外洋の包囲網を斜めに抜けてくる。防衛線に穴が開いたのではない。一機だけが、射線の切れ目を選んで通ってきたのだ。

 

主人公機。

 

来た。

 

私は操縦桿を握り直した。

 

敵は単独で港湾へ侵入し、巧みなブースト制御で対空砲火を避けながら、こちらへ向かってくる。

 

何度も見た中量二脚。

 

しかし、二度目の戦闘のときとは装備が違う。

 

最新型の魔石炉。高性能な刻印回路。武装も、機体の重量配分に合わせて組み替えられている。

 

私はその姿を眺めた。

 

思わず、笑ってしまった。

 

「やあ。三度目だね」

 

共通回線を開く。

 

返答はない。

 

相変わらず無愛想な奴だ。

 

「いやあ、君には本当にお世話になったよ。おかげで愛機はなくすし、貯金は飛ぶし、軍の経理部には睨まれるし」

 

私は砲身を持ち上げた。

 

「でも、今日で終わりにしよう」

 

主人公機がライフルを構えた。

 

「悪いけど、今回は逃がしてやれないんだ」

 

『FULLFACE、来ます!』

 

DIVAの声。

 

戦闘開始。

 

*

 

私は最初に、ライフルを撃った。

 

主人公機が回避する。

 

当然だ。

 

こんな射撃が当たるわけがない。

 

私はもう一発撃つ。

 

敵が左へ移動した。

 

そこで肩部の小型誘導弾を発射する。

 

敵は上昇。

 

想定どおり。

 

「DIVA、右上!」

 

『分かっています』

 

歌声が一節、高くなった。

 

六機のピットが散開し、主人公機の頭上に光の網を張る。

 

敵は上昇を諦め、急制動をかけた。

 

その着地位置へ、私は右肩の巨大な砲を向ける。

 

『警告。魔石炉出力、規定値超過』

 

知ってる。

 

『冷却刻印、過負荷』

 

それも知ってる。

 

砲身の周囲に、青白い光が集まる。

 

主人公機が姿勢を変えた。

 

今だ。

 

発射。

 

轟音が操縦席を叩いた。安全刻印を外した反動が座席を通して背骨に伝わり、視界の端が一瞬白くなる。補助支柱が地面へ食い込み、砲身を支える右肩から悲鳴じみた金属音がした。

 

巨大な魔力弾が、廃港の空を引き裂いていく。

 

主人公機は回避した。

 

だが、完全には避けられなかった。

 

爆風に巻き込まれ、右脚部の装甲が吹き飛ぶ。

 

私は歓声を上げた。

 

「よっしゃあ!」

 

一発目。

 

当たった。

 

直撃ではないが、十分だ。

 

主人公機の右脚部に損傷。移動性能が落ちている。

 

何より、今回は私一人ではない。

 

『命中を確認。いい射撃でした』

 

「でしょ? もう一発いこうか」

 

『冷却が済んでからにしてください。砲身が赤熱しています』

 

「分かってるって」

 

昔からそうだった。

 

私が敵の動きを誘導し、DIVAが逃げ道を塞ぐ。DIVAがピットで防御刻印を削ったなら、私がその隙間へ砲弾を通す。どちらかが先走れば簡単に崩れる陣形だが、彼女となら一度の通信で位置を合わせられる。

 

北方皇国のエースを相手に、何度も繰り返した得意技だった。あの頃はこんな馬鹿げた主砲など積んでいなかったけれど、二人のやることは変わらない。

 

《グラーフ改》は鈍重で、機動性では主人公機に到底及ばない。

 

しかし、DIVAのピットがその弱点を補ってくれる。

 

主砲の再装填を待ちながら、私は左腕のライフルを連射した。

 

敵は距離を詰めてくる。

 

そうだ。

 

砲の威力を見れば、誰だって近距離へ入ろうとする。

 

砲身は長く、旋回速度も遅い。

 

近距離なら、照準を合わせにくい。

 

普通なら。

 

私は機体を後退させた。

 

主人公機が追う。

 

距離が縮まる。

 

百二十。

 

九十。

 

六十。

 

『左へ逃がします』

 

歌声が変わった。

 

二機のピットが右側へ回り込み、主人公機の進路に光条を撃ち込む。

 

敵が左へ避けた。

 

そっちじゃない。

 

私は左脚の補助支柱を地面へ突き立てた。機体が急停止し、身体だけが前へ持っていかれそうになる。拘束具が肋骨へ食い込んだのを歯を食いしばって堪え、砲身の固定刻印を解除した。

 

巨大な砲が、右肩の可動部だけで左へ回転した。

 

主人公機が視界の中央へ入る。

 

「二発目!」

 

発射。

 

魔力弾が地面を抉った。

 

敵機は直前でブーストを吹かし、砲撃を回避した。

 

だが、着弾の衝撃で吹き飛ばされた瓦礫が、左腕の防護装置を直撃する。

 

主人公機がよろめいた。

 

私は追撃のライフルを撃つ。

 

命中。

 

敵の装甲が散る。

 

いける。

 

本当に、いける。

 

『警告。冷却刻印損傷』

 

無視。

 

『魔石炉温度、危険域』

 

まだ二発だ。

 

あと二発。

 

こいつを殺すには十分だ。

 

『FULLFACE、正面!』

 

DIVAの警告に、私は反射的に機体を捻った。

 

主人公機が撃ったライフル弾が、砲身の固定具をかすめる。

 

直後、ピットが一機、私の機体の前へ割り込んだ。

 

敵の追撃が防御刻印に弾かれる。

 

「助かった!」

 

『砲の固定部を狙っています。気をつけて!』

 

「了解!」

 

私はライフルを構え直した。

 

頼もしい。

 

本当に、頼もしい。

 

二度も負けた相手だ。

 

一人では勝てなかった。

 

だが、今はDIVAがいる。

 

この二人が揃って、負けるはずがない。

 

私はそう信じていた。

 

*

 

主人公機が、戦い方を変えた。

 

私はそれを見て、歯を食いしばった。

 

またか。

 

また、これか。

 

敵はもう、一直線には近づいてこない。廃港の倉庫を使い、射線を切りながら接近してきた。こちらが重い砲身を向け始めると、必ず遮蔽物の向こうへ消える。そこでライフルに持ち替えれば、今度は必要な分しかブーストを吹かさず、こちらの照準が間に合わない角度へ回り込んでくる。

 

肩の照準環が止まるたび、私は次の倉庫を予測して砲を振った。だが当てるための移動だけが増え、ENが減っていく。

 

そのうえ、今度は私ではなくピットを狙い始めた。

 

「……おい」

 

最初に狙われたのは、私の右側を守っていたピットだった。

 

主人公機は射撃を受けながら接近し、ピットが反撃のために姿勢を固定した瞬間、ライフルを撃った。

 

小さな爆発。

 

一機目が炎を引いて落ちる。

 

『……!』

 

DIVAの歌声がわずかに揺れた。

 

「DIVA、そいつはもういい! こっちへ回して!」

 

『了解。五機で続行します』

 

DIVAは即座に編隊を組み直した。

 

だが、敵はもう次のピットへ向かっている。

 

廃倉庫の壁を蹴り、二機のピットの間へ飛び込んだ。

 

一機が振り返って光条を撃つ。

 

主人公機はそれを防護装置で受けながら、もう一機へ銃口を向けた。

 

私はライフルを撃った。

 

敵は回避する。

 

そのままピットへ接近し、左腕のブレードを振るった。

 

二機目が切断される。

 

「DIVA!」

 

『四機残っています。まだ支援できます』

 

「分かってる!」

 

私は砲身を持ち上げた。

 

主人公機が、今度は倉庫の屋根へ跳び上がる。

 

私はその着地位置を狙ってライフルを撃った。

 

だが、敵は屋根の上へ降りなかった。

 

空中で身体を捻り、ピットの背後へ回り込む。

 

私は引き金から指を離した。照準器の中央には敵機がいるが、その向こうにDIVAのピットが重なっている。今撃てば、敵より先に味方の刻印を叩いてしまう。

 

撃てない。

 

敵の狙いに気づいた瞬間、私は歯を食いしばった。

 

こいつ、私の射線まで利用してやがる。

 

次の一撃を防ぐため、ピットが防御刻印を展開する。

 

主人公機はその光を避けるように横へ滑り、接近した勢いのままピットの制御部を撃ち抜いた。

 

三機目。

 

続いて、主人公機は《グラーフ改》の正面へ移動した。

 

私は砲を使えない。

 

近すぎるうえに、残るピットがこちらの射線を横切っている。

 

そこで敵は、わざと私の左側へ機体を寄せた。

 

私がライフルを向けると、反対側へ移動する。

 

ピットが追う。

 

私も追う。

 

ほんの一瞬、三者の位置が一直線になった。

 

その瞬間、主人公機のライフルが光った。

 

「――っ!」

 

ピットの刻印が砕ける。

 

四機目。

 

『FULLFACE、下がってください!』

 

DIVAが叫んだ。

 

私は機体を後退させた。

 

四機もやられた。

 

あと二機。

 

主人公機がそこまで考えているのか、私には分からない。

 

だが、奴はピットを破壊するたび、私が主砲を使いにくい位置へ移動していた。

 

そして今、二人の連携はほとんど崩れている。

 

「……ほんっと、嫌な奴!」

 

私はライフルを連射した。

 

主人公機が回避する。

 

さらに二発。

 

当たらない。

 

「こっち向けって!」

 

私はブーストを吹かし、敵の側面へ回り込もうとした。

 

重い。

 

《グラーフ改》の脚部が悲鳴を上げる。

 

主人公機はその動きを見て、残るピットの背後へ逃げた。

 

私は撃てない。

 

ここで撃てば、DIVAのピットに当たる。

 

一瞬のためらい。

 

敵のブレードが光った。

 

五機目のピットが切断される。

 

「クソッ!」

 

私は機体を前進させた。

 

主人公機が距離を取る。

 

追おうとしたところで、今度は敵のライフルが私の砲身へ向いた。

 

私は咄嗟に機体を捻り、肩部の固定具を守った。

 

『FULLFACE、危険です!』

 

DIVAの大型魔導鎧が動いた。

 

港湾の奥から、こちらを援護しようとしている。

 

その隙を突いて共和国軍の砲撃が、外洋の輸送艦へ向かった。

 

私は警告を発した。

 

「DIVA! 輸送艦!」

 

『……っ!』

 

最後の一機のピットが急旋回した。

 

私の前を離れ、輸送艦へ向かう砲弾を迎撃する。

 

爆発。

 

輸送艦は守られた。

 

だが、ピットが迎撃を終えた直後、主人公機が踏み込んだ。

 

一閃。

 

六機目。

 

最後のピットが、真っ二つになった。崩れた端末から小さな光が散り、火花を引きながら海面へ落ちていく。

 

「……マジかよ」

 

私は思わず呟いた。

 

DIVAのピットが弱かったわけではない。

 

北方皇国の精鋭を何機も撃破した、あの魔導端末群だ。

 

それを、たった一機の魔導鎧が、戦闘の合間に全部破壊してしまった。

 

しかも主人公機自身は、まだ動いている。

 

右脚部も、左腕も傷だらけ。

 

防御刻印も何度も使っている。

 

それなのに、戦う力を失っていない。

 

私は息を吐いた。

 

……何なんだよ、お前。

 

『FULLFACE、残りのピットを回します!』

 

DIVAの声。

 

私は即座に答えた。

 

「駄目だ!」

 

『ですが、あなたが――』

 

「こっちはもういい! 艦隊を守れ!」

 

港湾の奥では、共和国軍の砲撃が続いていた。

 

北方艦隊の随伴艦が、一隻、炎上している。

 

DIVAはそのすべてを守ろうとしている。

 

彼女がここへ戦力を回せば、向こうの守りが薄くなる。

 

それでは駄目だ。

 

「こいつは私が殺す! DIVAはDIVAの仕事をしろ!」

 

通信の向こうで、彼女が息を呑んだ。

 

少しの沈黙。

 

やがて。

 

『……分かりました』

 

彼女の歌声が、再び艦隊全体へ広がっていく。

 

輸送艦へ向かう砲撃が迎撃される。

 

港湾の外では、共和国軍の魔導鎧が次々と墜ちていった。

 

DIVAは自分の仕事をしている。二人で考えた配置図のとおり、避難船を守り、残った兵士の退路を開いている。

 

だから私も、私の仕事をする。彼女のピットがいなくなった今、ここで主人公機を止められるのは私しかいない。

 

殺す。ただ、それだけだ。

 

*

 

私は砲身を右へ向けた。

 

敵は動かない。

 

左へ。

 

まだ動かない。

 

……学習したのか。

 

二発目の砲撃で、私がわざと相手の回避先を作ったことまで。

 

私は舌打ちした。

 

《グラーフ改》は重い。

 

砲の向きを変えるだけでも脚部に負荷がかかり、無理な旋回を繰り返せば、せっかく温存したENが失われていく。

 

私はもう、二発しか撃てない。

 

しかも三発目を撃てば、冷却刻印が限界を迎える。

 

四発目は、撃てるかどうかも分からない。

 

主人公機が倉庫の屋根を越える。

 

私はライフルを撃ち、左へ移動した。

 

敵が追ってくる。

 

その瞬間、背部の補助刻印を起動。

 

短いブーストで、機体を後方へ跳ねさせる。

 

巨大な砲の重量に引っ張られ、《グラーフ改》が大きく傾いた。

 

私はそれを利用して、砲身を横へ振った。

 

敵機の正面。

 

今度こそ。

 

発射準備。

 

だが、主人公機は動かなかった。

 

避けない。

 

私は一瞬、戸惑った。

 

敵の左腕が持ち上がる。

 

残った防護装置が、青く輝いた。

 

まさか。

 

あいつ、受けるつもりか?

 

馬鹿な。

 

この砲をまともに受けたら、防御刻印ごと吹き飛ぶ。

 

「おいおい、正気かよ!」

 

私は引き金を引いた。

 

三発目。

 

直撃。

 

光が爆ぜた。

 

主人公機が後方へ吹き飛ぶ。

 

左腕の防護装置が砕け、胴体装甲が大きく剥がれた。

 

しかし、まだ動いている。

 

「……嘘だろ」

 

敵は直撃の直前、機体を捻っていた。

 

砲撃を正面から受けたのではない。

 

左腕の防護装置で受け止めながら、衝撃を横へ逃がしたのだ。

 

防御刻印を最大出力で起動し、装甲を犠牲にして生き延びた。

 

その代償に、ENはほとんど残っていないはずだった。

 

だが、主人公機の胸部が光った。

 

予備魔石。

 

またか。

 

また、それか。

 

私は笑った。

 

笑うしかなかった。

 

「……お前、本当にさあ」

 

魔石炉の出力が回復した敵機が、地面を蹴った。

 

こちらの残弾は一発。

 

対する主人公機も、もはや満身創痍だった。

 

右脚の外装は吹き飛び、左腕はほとんど原型を留めていない。胸部の防御刻印も焼け、背面の冷却管からは白い蒸気が噴き出している。

 

予備魔石を使い切ったなら、次にENが尽きたときは本当に終わりだろう。

 

だが、まだ動いている。

 

あの機体は、まだ動いているのだ。

 

私は砲の状態を確認した。右肩の固定機構はもう赤く焼け、熱気が外部感知刻印の映像にまで白い揺らぎを作っている。操縦席の中では冷却剤の匂いが鼻を刺した。

 

『警告。主砲冷却刻印、機能停止』

 

『警告。魔石炉出力、制御不能』

 

三発撃った。

 

四発目は撃つなと、整備長に言われている。

 

だが、まだ敵は生きている。

 

私は左肩の予備魔石収納庫を開いた。

 

残り一個。手順に従って回路を切り替えれば、自分の機体をもう一度動かせるだけの余裕は作れる。いままでなら、私は迷わずそうしていただろう。

 

だが、今回は魔石炉の補助回路へ接続し、そこから砲の刻印へ出力を回した。

 

本来、予備魔石は戦闘中のEN不足を補うためのものだ。魔石炉が一時的に出力を失っても、予備魔石を投入すれば、刻印回路を再起動できる。長期戦では最後の切り札になるし、刻印破断から立ち直るためにも欠かせない。

 

だからこそ、私はこれまで予備魔石を温存してきた。

 

だが、今は違う。

 

通常の魔石炉を経由せず、砲の刻印回路へ直接つなぐ。

 

一度使えば、その魔石は二度と回収できない。

 

機体を動かすためのENも残らないだろう。

 

それでも構わない。

 

四発目で殺せばいい。

 

安全装置は既に外してある。

 

冷却刻印は焼き切れた。

 

機体の各部で警報が鳴り響く。

 

主人公機は距離を詰めてくる。

 

あと百メートル。

 

八十。

 

六十。

 

私は砲身を向けた。

 

敵が左へ避ける。

 

分かってる。

 

もう、お前の戦い方は分かってる。

 

右へ逃げると見せかけて、左へ入る。私が砲身を振ると、そこで急停止する。そして、こちらの射撃を空振りさせる。

 

二度もやられた。

 

三度目はない。

 

「……いい加減にしろよ、この野郎」

 

私は砲の固定具を解除した。

 

巨大な砲身が、機体の右肩から滑り落ちるように傾く。重量のかかった《グラーフ改》が左へ倒れかけたが、脚部の補助支柱を地面へ突き立て、無理やり姿勢を保った。

 

主人公機が右へ跳ぶ。

 

私は追わない。

 

敵は私の砲身が回り切るまでの時間を計算している。ならば、それより早く砲口が動くことを利用すればいい。

 

肩部の固定刻印を解放。

 

砲身が自重で落ちる。

 

その勢いを、最後に残った制御刻印で受け止める。

 

照準器の中央へ、主人公機が飛び込んできた。

 

今度は逃がさない。

 

敵のブースト先、着地位置、回避に必要なEN。二度の敗北を経て覚えた癖まで、すべて計算に入れている。

 

主砲の蓄積率が九十を超えた。

 

その瞬間、主人公機が足元の地面を撃った。

 

瓦礫が跳ね上がる。

 

視界が塞がった。

 

私は構わず照準を維持した。外部感知刻印が敵機の熱源を追い続けている。いくら目眩ましを仕掛けたところで、こちらの計算は崩れない。

 

敵が上へ跳んだ。

 

違う。

 

そっちじゃない。

 

私の予測した回避先ではない。

 

主人公機は、破壊された左腕を盾代わりにして、砲身の内側へ飛び込んできた。

 

近すぎる。

 

砲口が敵を追い切れない。

 

しかも、右腕のライフルがこちらの左脚を向いている。

 

補助支柱。

 

こいつ、最後の一発を撃たせないつもりだ。

 

「……クソが」

 

主人公機が引き金を引いた。

 

支柱の固定具が砕ける。

 

《グラーフ改》が大きく傾いた。

 

私は反射的に右脚の関節を伸ばし、倒れかけた機体を支えた。砲の重量が肩部へ集中し、装甲の継ぎ目が悲鳴を上げる。普段なら警報が鳴れば止める動作だ。今回は止める余裕などなく、折れかけた関節をさらに押し込んだ。

 

主人公機はその隙に、砲口の外へ逃げようとしていた。

 

「クソが、クソが、クソが!」

 

どうしてだ。

 

ここまでやったのに。

 

二度も負けて、愛機も失って、貯金も名誉も全部放り出して。

 

帝国の敗北を防ごうと、ありとあらゆる手を使った。

 

政治に口を出した。軍の作戦を変えた。補給路を守り、英雄たちを救おうとした。

 

それでも駄目だった。

 

最後には、DIVAと二人で戦った。

 

あいつの歌があって、ピットがあって、私の砲があった。

 

北方皇国を倒した、あの戦い方だった。

 

それさえ、通じなかった。

 

イリスが墜ちる。

 

このままじゃ、あいつは母艦と合体する。

 

脳が焼き切れるまで刻印を酷使して、それでも負けちまう。

 

結局、変えられないのか。

 

何も変わらないのか?

 

主人公補正?

 

原作の修正力?

 

ふざけんな。

 

私は操縦桿を握りしめた。

 

魔石炉から砲へと伸びる刻印回路が、白く焼けている。

 

主砲の蓄積率、百。

 

残ったENをすべて脚部へ回し、右膝をさらに押し上げる。

 

機体が軋む。

 

それでも、砲口が持ち上がった。

 

主人公機の逃げる方向へ。

 

ここまで来て、綺麗に勝とうなんて思っちゃいない。

 

砲身が破裂しようが、魔石炉が焼けようが、知ったことか。

 

敵が射線から抜けるまで、あと一瞬。

 

私は叫んだ。

 

「クソ喰らえ!」

 

照準器が赤く染まる。

 

この狂った武器なんて、原作にはなかったろうが!

 

引き金。

 

「食らいやがれッ!」

 

四発目。

 

巨大な魔力弾が、至近距離から解き放たれた。

 

同時に、主人公機の機体がわずかに沈んだ。

 

ブーストを使わない、足首と膝だけの回避。

 

一度目の戦闘で私を倒した、あの動き。

 

大きく跳ぶ余裕など、もう敵には残っていなかったのだろう。

 

だから、ほんの半歩だけ。

 

ライフルで破壊した補助支柱を足場にして、機体を砲口の外へ滑らせた。

 

砲撃が敵機の右肩を掠める。

 

吹き飛んだ装甲が、廃港の石畳へ散った。

 

その背後で、建屋が丸ごと消し飛んだ。

 

外した。

 

四発すべて、撃ち尽くした。

 

《グラーフ改》の魔石炉が、とうとう限界を迎えた。

 

背面で爆発。

 

補助回路が焼き切れる。

 

『刻印破断』

 

『主制御系統、停止』

 

『機体構造、維持不能』

 

砲身が肩部の固定具ごと脱落し、地面へ叩きつけられた。

 

主人公機が着地した。

 

破損した右腕を持ち上げる。

 

残ったライフルの銃口が、こちらの操縦席へ向いた。

 

私は脱出装置に手を伸ばした。指先が解除レバーに触れた瞬間、制御盤に赤い警告灯が並ぶ。さっきまで予備魔石へ回していたENは一滴も残っておらず、射出機構を動かすだけの出力がない。

 

私はもう一度レバーを引いた。反応はなかった。

 

「……はは」

 

笑いが漏れた。

 

四発も撃った。

 

自分でも馬鹿げていると思うほどの砲を、四発も。

 

それでも、殺せなかった。

 

「……参ったな」

 

主人公機の銃口が光った。

 

次の瞬間、敵のライフルがこちらの胸部を貫いた。

 

衝撃。

 

視界が揺れる。

 

私は座席へ叩きつけられた。

 

《グラーフ改》の装甲が砕け、青白い光が操縦席へ噴き込んできた。

 

熱い。

 

痛い。

 

何も見えない。

 

やがて、音まで消えた。

 

*

 

……。

 

…………。

 

『FULLFACE?』

 

声がした。

 

遠い。

 

イリスだ。

 

『FULLFACE、聞こえますか?』

 

聞こえる。

 

聞こえるよ。

 

私は口を開いた。

 

声が出なかった。

 

『……応答してください』

 

ごめん。

 

ちょっと、失敗した。

 

また怒られるな。

 

《ヴェスペル》を壊したときも、ずいぶん心配されたっけ。

 

今度はどうやって言い訳しよう。

 

ああ、そうだ。

 

焼き菓子。

 

お土産を買ってくるって約束、まだ守ってなかった。

 

今度こそ、山ほど買って帰らないと。

 

『……FULLFACE?』

 

イリスの声が震えた。

 

初めて聞く声だった。

 

『FULLFACE! 返事を!』

 

私は通信装置へ手を伸ばそうとした。

 

腕が動かない。

 

遠くで、通信の切り替わる音がした。

 

閉じていたはずの軍用回線が、何かの拍子に開放された。回路の焼けた音と一緒に、DIVAの声が艦隊共通回線へ流れ始める。誰かが止めようとしているのか、通信の端に短い呼びかけが混じった。

 

それでも、イリスは気づかなかったのだろう。

 

『……エルザ?』

 

今度は名前だった。

 

軍の識別符号ではない。

 

いつもの、あの呼び方。

 

『エルザ、ねえ、お願い……』

 

おい。

 

そんな声、出すなよ。

 

『嫌……』

 

違う。

 

違うんだ。

 

私はまだ、生きてる。

 

だから。

 

『エルザァァァァッ!!』

 

悲鳴。

 

耳を裂くような、凄まじい悲鳴だった。

 

私は身体を震わせた。

 

『RUNE FRAME』のラスボスは、こんな声で叫ばなかった。

 

帝国最後の英雄は、追い詰められてもなお冷静だった。

 

母艦と融合し、自分の肉体を犠牲にして戦った。

 

あの壮絶な最終決戦を、私は何度も遊んだ。

 

でも。

 

こんな悲鳴は知らない。

 

イリスが泣いている。

 

通信の向こうで、私の名前を呼びながら。

 

『エルザ……お願い、返事を……』

 

彼女は何度も呼びかけた。いつもの司令官なら、機体の損傷を確認した時点で救援隊を動かし、必要な情報を矢継ぎ早に集めるはずだ。それなのに今のイリスは、そんな命令一つ出せず、私が返事をするのを待っている。

 

答えられないことなど、分かっているはずなのに。

 

その声が、ふっと途切れた。

 

通信に残ったのは、荒い呼吸だけだった。

 

そして、イリスが言った。

 

『……お前が』

 

低い声だった。

 

私は一瞬、誰の声なのか分からなかった。

 

『お前が、エルザを……!』

 

イリス。

 

やめろ。

 

『許さない』

 

今まで聞いたことのない、押し殺した声。

 

『絶対に……許さないッ!!』

 

怒号が、艦隊共通回線を震わせた。

 

港湾の奥で、巨大な魔導鎧が動き始める。

 

DIVAは主人公機へ向かって、残存するピット群を一斉に突撃させた。

 

防御陣形も、艦隊全体の射線調整も無視している。

 

ただ目の前の敵を殺すためだけに、無数の光点が殺到した。

 

『殺してやる……!』

 

違う。

 

イリス。

 

そんな戦い方は、お前らしくない。

 

お前はもっと賢いだろ。

 

歌えば、もっとずっと強く戦えるだろ。

 

『あいつを……返せッ!!』

 

絶叫。

 

その瞬間、港湾の奥で巨大な影が動いた。普段なら規則正しく並ぶはずの防御端末が、互いの射線を無視して集まり始める。遠くの艦艇からは警告灯が上がったが、歌声の主はもう耳を貸していなかった。

 

北方艦隊旗艦《グラン・セレーネ》。

 

その船体が、低く軋み始める。

 

艦載魔石炉の出力が急上昇し、艦体各部の刻印が次々と点灯していく。

 

大型魔導鎧が母艦へ接続された。

 

まずい。

 

やめろ。

 

それをやったら。

 

お前、死ぬんだぞ。

 

『ああああああああああッ!!』

 

叫びながら、イリスは歌唱制御を起動した。

 

だが、いつもの歌ではない。

 

言葉にならない叫びが、刻印の共鳴に引きずられるように音程を変えていく。

 

泣き声が混じる。

 

息を吸うたび、旋律が途切れる。

 

それでも魔石炉の出力は上がり続け、母艦の刻印に呼応して、港湾全体の魔導端末が動き始めた。

 

私はその旋律を知っていた。

 

『RUNE FRAME』の最終決戦。

 

歌姫【DIVA】の第二形態。

 

何百回も聞いた、あの曲だ。

 

けれど、違う。

 

音が違う。

 

あの美しかった旋律が、悲鳴に引き裂かれている。

 

イリスは泣きながら歌っていた。

 

怒りに声を震わせ、喉が裂けるほど叫びながら、それでもピットを操っている。

 

『――ッ、ああああああああッ!!』

 

無数のピットが、空へ展開していく。

 

原作より多い。

 

ずっと多い。

 

制御できるはずのない数の魔導端末が、イリスの絶叫に合わせて動き始めた。

 

あいつ、馬鹿だ。

 

そんなに操ったら、脳が焼き切れる。

 

分かってるはずだろう。

 

お前は天才なんだから。

 

誰よりも、刻印の限界を知っているだろう。

 

なのに。

 

『ああああああああああああッ!!』

 

歌声が激しく跳ね上がった。

 

一瞬、旋律そのものが崩れる。

 

だが、次の瞬間にはそれが別の節へつながり、数千のピットが一斉に光を放った。

 

怒りが、悲鳴が、刻印の制御信号へ変わっていく。

 

泣き叫ぶことをやめられないまま、イリスは歌い続けていた。

 

私は操縦席の中で何とか身体を起こそうとした。視界の端で割れた表示板が明滅し、ヘルメットの内側には自分の荒い息だけがこもる。通信へ手を伸ばしたつもりだったのに、指先は膝の上から少しも動いていなかった。

 

動けない。声も出ない。

 

イリス。

 

おい。

 

やめろって。

 

頼むから。

 

私は、ただお前に生きていてほしかっただけなんだ。

 

帝国がどうなろうと、共和国が勝とうと、そんなことはどうでもよかった。

 

また一緒に飯を食って、くだらないことを言って、魔導鎧の話をして。

 

それだけでよかった。

 

それなのに。

 

歌声は、ますます激しくなった。

 

通信には雑音が混じり、魔石炉の異常出力を知らせる警報と、艦隊の兵士たちの叫びが重なっていた。

 

誰かが、司令官を止めろと怒鳴っている。

 

けれど、その声さえ、もう歌に呑み込まれていた。

 

あの女は、まだ泣いている。

 

怒っている。

 

私の名前を呼びながら、主人公機を殺そうとしている。

 

もう、私の知っているBGMではなかった。

 

イリスの絶唱が、戦場のすべてを覆っていく。

 

最後に聞こえたのは、何かが砕ける音だった。

 

それが魔石炉だったのか、刻印回路だったのか、私には分からなかった。

 

暗闇の中で、私はただ、あの歌を聞いていた。

 

そして、何も聞こえなくなった。


















GAME FRONTIER

ゲームニュース・レビュー・開発者インタビュー

2035年8月22日 特集予告

名作魔導機アクション、約七年ぶりの復活!『RUNE FRAME REMAKE』新要素と開発者インタビューを近日公開!

原作には存在しなかった謎の傭兵「FULLFACE」。そして、大幅に刷新された歌姫「DIVA」の最終決戦。

いったい何が変わったのか。

近日公開の特集記事で、その全貌に迫る。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。