REVIVAL SKILL   作:VA

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ゲームへの招待状①

 

「ケラケラケラ、では存分にゲームを楽しんでね。ケラケラケラ」

 

 周囲を街に囲まれた広場。そこに数千もの人が集まっていた。人々の視線は中央広場に向いていた。視線が集まった先でピエロのマスクをかぶった人物のけたたましい笑い声が響いた。

 

 それに共鳴するかのように周囲でざわめきが起こる。

 

「どーゆーことなんだ! おい!」

 

「なんなのこれ?」

 

「よーするにクリアすれば終わるんだろ。簡単なことじゃねぇか」

 

 ある者は先に続く道へと進み、またある者はその場に泣き崩れ、またある者は周囲に当たり散らす。そして、それをただただ見ている者。

 

 まさに地獄絵図のようだった。そう俺は感じた。

 

 俺は須和天音(すわあまね)。高校に入学したての一年生。今は訳あってここにいる。

 

 あの時タップしなければ今頃、夕食を両親と食べている頃だろう。あの時タップしなければ。そう何度も何度も後悔をした。あのアプリさえ送られてこなければ、学校に行って今頃新しい友達なんかも出来ている事だろう。

 

 日常を破壊した全ては五分前の出来事によるものだった。

 

「…であるからして、充実した素晴らしい高校三年間となるよう頑張ってください。期待しています」

 

 壇上で学校長が祝辞を述べ終わった。本来ならばここで盛大な拍手が送られるところだが、あまりにも長かった祝辞にやられ新入生の殆どが睡魔に襲われ意識を奪われかけていた。

 

「閉式の辞」

 

 入学式の司会の先生が次のプログラムを読んだ。先生はベテランなのかこの式の中で一回も噛むこと無く入学式を完璧に済ませた。

 

 その後、担任紹介やクラブ紹介を済ませ各教室にあがり、諸注意を受けその日の学校は終わった。

 

「やっと、終わったぁ〜」

 

 自宅の自室に戻ると軽く背伸びをしてベッドに倒れこんだ。

 

 あれから何時間経っただろうか。ベッドから体を起こした。虚ろな目で辺りを見回すと窓から月明かりが差し込んでいる。スマホのスリープモードを解除し時間を確認すると午後七時。あれから四時間は眠っていたことになる。

 

ギュルルル〜。

 

 見計らったかのように腹の虫が鳴いた。今日の晩は何だろうか。焼き肉、寿司、ハンバーグなど想像しながらリビングへと向かう。

 

♫〜!

 

 突然、スマホの着信音が鳴った。この音は電話では無くメールだ。

 

「なんだよ〜。腹減ってんのに。どうせ迷惑メールだろ…」

 

 独り言で文句を言いつつメールをタップする。そこには一件のメールが来ていた。題名はおめでとうございます。という謎のタイトル。不思議に思うが内容確認のためそれをさらにタップした。

 

 

差出人 サヴァイヴ

宛先 須和天音様

 

題名 おめでとうございます

 

あなたはこの度、当社の新作アプリ早期体験に応募され見事当選されました。

 

つきましては次のアドレスをタップしてゲームを体験していただきますようお願いします。

 

hkkp://revival-skill……

 

と書かれていた。ようは新作ゲームを体験する権利が当たったというものだった。

 

「……俺。こんなのに応募したかな」

 

 頭の中で記憶を呼び覚ますがその時の記憶は古いのか引き出しをあさったが思い出せなかった。

 

「まぁ、試しにやってみっか! そんで面白かったら明日もやろう!」

 

 メールの下部分に表示されているアドレスをタップした。

 

 画面にrevival skillというタイトルが表示され、startという文字が点滅していた。

 

 躊躇無くそれをタップした。するとNOW LOWDINGの文字が表示され、その下にダウンロードバーが表示された。

 

 どうやらこのバーがたまりきるとゲームが開始されるらしい。

 

 五分、十分。長い長すぎる。まだ100パーセントに達しない。だんだんイライラがこみ上げて来た。

 

 階下から母親の声が聞こえたがもう少しでバーが100パーセントに達しそうだったため返事だけしてダウンロードが終わるのを待った。

 

 ダウンロードが終わると今度はアカウントを作る画面が表示された。ここに名前とニックネームを入力するらしい。

 

 本名を入力するのは簡単だった。あとはニックネーム。五分ほど考えたがいいニックネームが浮かばず結局本名の天音と入力した。

 

 さぁ、いよいよゲームの始まりだ。最初は不気味だったが普通のゲームそうだ。

 

………………。

 

 一向にゲームが始まる気配がない。おまけにスマホの画面も真っ黒になった。

 

「おいおい、フリーズか。時間の無駄じゃねぇか。仕方ねぇ飯でも食べるか」

 

 スマホを机の上に置き、ドアノブを捻った。

 

は!?

 

 俺は目を疑った。目の前に草原が広がっていたのだ。おかしい、本来ならば一階に降りるための階段があるはずだ。

 

 なんなんだ? とりあえず部屋の中から辺りを見渡してみた。

 

 見渡す限り草原だ。目を凝らすとうっすらと建物らしきものが見えた。

 

「建物か……」

 

 ここにいても埒が明かない。とりあえずうっすらと見える建物に行ってみるか。部屋の中をかき回し、探検に使えそうなものを探した。

 

 よし行くか。用意したものはスマホ、お金、武器に使えそうだったカッターナイフ。そして靴。……靴? 何で二階に靴があるんだ。やめとこう。ここで気にしても仕方ない。細かいことは気にしないようにしよう。

 

 靴に履き替え草原に第一歩を踏み出す。

 

サクッ。

 

 土も草も本物そっくりだ。いや、本物だ。感触も現実世界のものとほぼ一緒だった。

 

 リアルな土を踏みながら建物の方へ歩いて行く。

 

 十分後。街らしき建物の前に辿りついた。街は周囲を背の高い建物に覆われており、日本、世界各国どこを探しても見つからない。まるで、RPGに出てくる街のようだ。

 

 まずは街に入ることで何か情報が得られるかもしれない。入口はどこだろう。まだ何もわからないフィールドの探索も込めて街周辺を歩いた。

 

「おっ! あった!」

 

 先ほどいたところから半分行ったところで街へと入る巨大な門を見つけた。門を開け中に入るとそこには既にたくさんの人がいた。数万人はいるだろうか。

 

 一人で座っている人もいれば、二、三人で固まっておしゃべりしている人もいた。

 

 どこかにここの情報を得られるものがないか、街の中を歩いてみた。

 

 街を歩いた結果、わかったことはお店などなく、中央に広場があり、町外れに男女が別れたトイレのみがあった。なぜ、ゲームの中でトイレがあるのだろうか。

 

 また小耳に挟んだ情報だが、どうやらここにいる理由としてメールが上がっていた。あのメールが全ての元凶っぽい。

 

「ケラケラケラ」

 

 薄気味悪い声が街中に広がった。その声はどうやら街の上空から聞こえた。

 

「皆さん、お集まりのようですね。ケラケラケラ。もう間もなくデス・ゲームREVIVAL SKILL(リバイバルスキル)の開始を宣言いたします。皆さん、首をあらって待っているといいですよ。ケラケラケラ」

 

 デス・ゲーム。確かに言ったのだ。死のゲームと。ここで俺は大変なことに巻き込まれているのだと認識した。

 

 そして俺は一人。仲間はいない。もし、死のゲームが始まったとすると仲間がいない俺は間違いなく即死してしまう可能性がある。

 

 はぁ、俺はここで死ぬのかもしれない。街の石畳の階段に腰掛けた。

 

「はぁ、死ぬの…嫌だなぁ。グスッ」

 

「君も一人なんだ。一人だから泣いてるの?」

 

 不意に声がした。声質からして女の子のようだ。顔を上げると黒みがかった茶色のハーフアップのモデル級の美少女が立っていた。俺は急いで服の袖で涙を拭った。

 

「な、泣いてなんかないさ。それより一人ってことは君も一人なのか?」

 

「そう、私も一人。嫌になっちゃうよねフフ。スンッ、グスッ」

 

 笑ってはいるが彼女も恐怖を感じているみたいだった。彼女の瞳にもうっすらだが涙が浮かんでいた。

 

「俺は、須和天音。君は名前なんていうの?」

 

「私は天沢莢(あまさわさや)

 

「莢ちゃんか。よかったら俺と友達にならないか? その、一人じゃ(さみ)しかったから落ち込んでいたけど、声かけてくれてなんか安心した。ありがとう」

 

 こんな可愛い子とお友達になれるとすればここに来て唯一の幸運と言える。しかし、ここから脱出しない限り一緒に遊ぶこともご飯に誘うこともできない。なんとかここから抜け出す方法はないものか。

 

「ふふ、優しいね。天音くんだっけ。うん。私も友達になりたくて君に話しかけたんだ」

 

 友達になりたくて。ここから更なる発展に持ち込むにはお前の力に限っているぞ天音!

 

「ケラケラケラ」

 

 再び、あの薄気味悪い声が街に響きわたった。

 

ギュッ!

 

 何かが俺の手に触れた。それは莢の手だった。無意識に俺の手を掴んでいるみたいだ。俺も何かに触れていると安心する。それと似たようなものだろう。

 

「ようやく最後の一人がログインしました」

 

 上空から何かが降りてきた。頭に赤いデカッ鼻がついた…ピエロのマスクをかぶっている。そのため、奴が男性なのか女性なのかは判別が難しい。また声をチェンジャーを使っているみたいでこれも判別が難しい。

 

「それではオリエンテーションを始めましょうか」

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