Gの青春記録 作:ジムヘンソン
タグ通り見切り発車。
劇場版全作見た勢い。
カラーリングハイとGの閃光は生活必需品です。
富野節は凡人には真似できないのでご寛容を。
あとアビドス編はそんなに話数はかけないつもり。
学園都市キヴォトス。
火薬と銃声が学生の日常として存在する都市は一般人でさえ超人だらけの都市。
そんな世界に僕は先生として赴任してしまったようだ。
僕はそんな事、了承した覚えはないしキヴォトスなんて知らないし、赴任当日に戦闘指揮をさせられた。
なんでこうなったんだ?なんてボヤいている暇もなく、よく分からない書類の山を任せられ、子供達から先生と呼ばれ、まあとにかく先生という役割も悪いものじゃない。
僕はまだ誰かに教え導けるような人間じゃないけど、マスクに追いかけられたあの時と比べれば、このちょっと野蛮な世界を経験のするも悪くないかも!
問題は、僕には生徒達の持つヘイローがないから撃たれる訳にはいかないことだけど。
╳
ベルリ・ゼナムは、元の世界からの所持物である二足歩行ビークル【シャンク】に、砂漠の環境に適応した装備を載せて砂漠に埋もれつつある学校、アビドス高校に向かっていた。
若く、まだ青い青年は水分をこまめに補給しながら不安定な砂地とかつての文明の証を残すコンクリートの道路を、シャンクで駆け抜ける。
人類の文明を支えるエネルギー源のフォトン・バッテリーを宇宙から軌道エレベーターで運び、世界に供給する役割を持つキャピタル・タワーの下で育ったベルリにとっては、慣れ親しんだ道具だ。
「アロナちゃん、方角はあってるよね?」
『はい!このまま直進すれば、アビドス高校に直接繋がる道路が見える筈です!』
そんな彼の膝の上には一つのタブレットが置かれていた。
その中から聞こえるアロナと呼ばれた声は、どこかAI生成による音声の歪さを感じるも人の温かさを持っていた。
そんな彼女のナビと自前で用意していた方位磁石を見ながら、行き先の事を考える。
「武器弾薬がなくて廃校寸前の学校だなんて、本当に国みたいだ」
砂漠化で住民もほとんどいないというアビドス地区。
クレッセント・シップから日本で降りて、富士山を越えて大陸に抜けるために港町まで旅を続け、大陸に向かう客船に乗ったことまでは覚えているベルリ。
その先にある想像の大陸の砂漠地帯が目の前のアビドス砂漠と重なるが、あくまで想像である。
見ることも体験もできなかった事が、ここで擬似的に体験することになるとは、ベルリは思いもしなかった。
と、同時に学校が国の政府であり、砂漠化で滅びかけている国もとい学校はいやに現実じみていた。
「子供が大人の役割をやるなんて、本当に歪すぎるよ」
自分の世界の常識から考えれば、あまりにも理不尽。
だが、それは自分のエゴでしかないとのも聡いベルリは理解していたし、割り切ってもいた。
それはそれとして、愚痴は出るが。
砂地と廃墟の道から、シャンクが坂道の道路に出た時、ベルリは後ろから迫る聞き慣れない音が迫り、後ろを見る。
「へぇ、アレが自転車かぁ」
シャンクという自転車並の速度で安全性の優れた道具が現れてから、ベルリの世界では自転車は廃れた道具であり、博物館くらいでしか見ることのない代物であった。
だからベルリは銀髪の少女の乗る自転車、その中でも速度と移動距離に特化したロードバイクのスタイリッシュなデザインに見惚れてしまう。
無論、その視線に気付かない少女ではなく、少女はシャンクの移動速度に合わせつつベルリに問う。
「ん、何か用?」
そう問いかけられたベルリは、好奇心のままに答えた。
「それって自転車ってやつですよね!でも、見たことのないカッコいいタイプで見惚れちゃって」
自分の乗る自転車を褒められて、悪い気分になる筈もない。
嬉しそうな顔をする少女に、ふとベルリは気付く。
「あ、申し遅れました、僕はベルリ・ゼナム。一応、先生をしてます」
そう言ってスーツ……ではなく、白い薄着の上に着たジャケットの懐から名刺を取り出して少女に渡す。
少女も器用に受け取ると、少女もまた自己紹介する。
「ん、私は砂狼シロコ。アビドス高校二年生」
「アビドス高校の生徒さん!じゃあ行き先は同じですね!」
と、嬉しそうに言うベルリにシロコは警戒心を解きながら逆に質問する。
「ん、ベルリ先生に質問。それは何?」
シロコの視線の先にあるシャンクに、ベルリは屈託なく教える。
「これはシャンクって言って、僕の世界じゃ自転車の代わりの乗り物みたいなものだね」
「ん、今度乗ってみたい」
「なんならこの後、乗せてあげるよ!」
そんな約束を交わしながらアビドス高校に到着するベルリ。
アビドス高校に在籍する生徒は五人。
全員、アビドス復興委員会の所属で部屋も生徒会
ベルリはそのメンバー全員を事前に把握はしていたが、いざ実際に対面すると……みんな美人揃いで驚いた。
「わぁ……みんな美人さんだぁ…」
自身の姉も、一目惚れするほどに美人だが五人もいるとそれも霞んでしまいそうだ。
「うへ、そんなに褒めても何も出ないよ~」
「何よコイツ……」
「あはは…」
「お、お世辞は結構です!」
だが、そんな言葉は彼女達にはバッドコミュニケーションだったようで、警戒心を逆立てたようである。
迂闊な発言に思わずベルリは手で口を塞ぐが、既に時は遅い。
何とも言えない雰囲気の中、たはは、と笑って誤魔化しながらベルリは互いに自己紹介しつつ補給物資の受け渡しを完了させた。
「あ、ありがとうございます!」
「これでしばらくは持つね~」
先程の空気を入れ替えるように和気藹々となる。
が、それもすぐに一発の銃声と窓ガラスが割れる音で掻き消える。
その下手人は、メガホンを手に校門前で名乗り上げる。
「我らカタカタヘルメット団!今日こそアビドス高校を頂くぞ!!」
そう叫ぶヘルメットを被った不良少女と、同色のヘルメットで統一した仲間らしき姿の群れ。
ベルリは慌てるわけでも驚くわけでもなく、ただ淡々とアビドスの生徒達を見て確認する。
「みんな、戦闘指揮は僕が取る!」
「ええっ!?」
迷わず放った言葉に動揺するのは眼鏡の少女、奥空アヤネ。
普段は彼女がオペレーターを担当するのだから、突然の代打に驚くのも致し方ない。
だが、ヘルメット団はアビドス側の都合など考えてくれる義理などないのだ。
アビドスの面々の視線は、自然と最高学年の小鳥遊ホシノに向く。
のんびりな口調と物腰、『おじさん』と自称する彼女は小柄でありながらアビドス生徒達の纏め役であるのだ。
そんな彼女は、緊張感のある空気の中で変わらずのんびりな口調で答えを返す。
「うへ、じゃあお願いするねベルリ先生」
「任された!」
そう言うや否や、生徒達は窓から飛び降りてすぐに戦闘に入る。
その光景にベルリは少し呆けるように笑う。
「キヴォトスの女の子達はパワフルだなぁ…」
窓越しに敵の配置と味方の配置を見ながら、シッテムの箱の戦闘支援システムとインカムの波長合わせを行う。
ここで少し、ベルリ・ゼナムについて語ろう。
彼は少し前まで、キャピタル・ガードと呼ばれる防衛組織の候補生だった。
キャピタル・ガードの主任務は、フォトン・バッテリーを狙う不届き者や、
そんな組織の候補生だったベルリは、飛び級生であり、周りとは一歳ほど年上の先輩達と同級生である。
そんな彼の戦闘に関する才覚は、多くの面で優秀である事は分かるだろう。
そして、彼は実戦までも経験している。
そんな彼が、指揮官としては未熟とはいえ守備を主とした教育の元に育てられた指揮の才覚は、語るべくもない。
要は、ただ群れた不良集団ではアビドス高校という叩き上げの精鋭チームとベルリ先生という統率する指揮官を倒すことなど万に一つもないということである。
不幸にも、ベルリのいるアビドス高校に襲撃したヘルメット団が返り討ちに遭い、その後にアビドス生徒達が拠点に奇襲して壊滅させてから数日後。
ベルリは先生としての職務を果たし……ているとは言えない状態だった。
「ベェルゥリィィィセンセェェェ!!!」
と、鬼の形相で轟く声をあげるのはミレニアムサイエンススクールに通う青髪のツインテール少女、早瀬ユウカ。
ちなみにベルリからは幼馴染みの
口調……というか話し方も初めての当番の日から、ユウカによく指摘されて矯正されてたりもする。
まあ、ベルリにはそれは別に悪くないと思っている。
問題はシャーレに送りつけられる書類の山だ。
この片付けが終わらない書類の山に、ベルリは嫌気が差す度に放置してキヴォトスの各地を巡っているのだ。
書類の山は余りにも多く、超法規的組織【連邦捜査部シャーレ】の顧問はベルリたった一人。
当番で呼ばれる生徒のお手伝いを含めても二人しかいない状況で、書類の山が一つ二つと重なる地獄をまだ十八歳を過ぎた頃の青年にやらせるような量でもない。
青年の行動は至って当然とも言える。
……だが、それを手伝おうとしてくれるユウカの優しさを不意にしてる時点で、ベルリが100%悪いのだが。
今日もベルリが本来、業務に励む為に置かれているデスクの上には【遠出してきます】と達筆な日本語で書かれた紙が、ウサギのバッジを重石代わりに置かれていた。
ベルリだって若者だからね。
先生ほど大人じゃないんや。
そんな若者が、初恋の姉の想い人と自身の恩師を殺して、無差別虐殺してる筈がないじゃないですか。