「…………さてと」
俺は男のスタンドを観察する。
男の話を信じるのならばあの変化しているところはヤバい液体なんだろう……
触ってもダメ、その上時間制限があると来た。
「……はあ、どう考えても詰んでるな……でも新に言ったからにはきちんとやんねえとな」
俺は自分でもわかるぐらいに口元がニヤリと裂けていく。
「新があれだけ頑張ったんだ。俺だってなんかしなくっちゃかっこわるいぜ……」
口調はやれやれとでも言いたそうな感じだが、今俺の気持ちは最高に高まっているんだ。
自分の事を顧みない行動を俺みたいに2度目じゃあない、ただの子どもがやったんだ。そんな勇気を振り絞ったんだ。
本当に……本当に新、お前に敬意を表するよ…………
新は自分を懸けたんだ……だったら俺はそれに応えねえとな!!
「ハハッ……最高じゃねえか」
こんなヤバい状況なのに思わず笑ってしまう。
新の勇気を見て俺は不思議と心が踊ったんだ。
新が追い詰めた敵の自爆……そんなんでこの町が爆破するなんて嫌だ。それに新が責任を感じてしまうかもしれない。新はそういう奴だからな……
だから……俺が何とかする。
「新の勇気を台無しにはさせねえぞ、おい」
そういい俺は男のほうに向かって歩いていく。
「……ッ!!……お前はあの時のガキなのか……?」
「当たり前だろうが……どうした?」
何だ?男は俺をひどく狼狽えたような顔をしてみている。
「……いや、落ち着け俺……どうせここで死ぬんだ……冷静さを取り戻せ俺……死ぬときは最高に楽しく死ぬのが俺の目標だろ……よし」
男が何かぶつぶつ言っているが俺には聞こえなかった。
「あ?何言ってるんだ?」
そう俺は聞くが、
「いや、何でもねえよ」
は……?意味わかんねえなコイツ……おっと、それよりも
「おい、それを今すぐ辞めろ」
「くっくっく……そいつは無理な相談って奴だぜ」
その言い方に少しイラっとしたがそんなのどうでもいい、
「なんだと?」
「なぜならなぁ……」
男は心底楽しそうな笑みを浮かべてこう言った。
「もはや俺にも止められねえんだよ!!残念だったなバーカ!!」
……はあああああああ!!!!!!???
「おっ!おい!、それはどういう事だ!?」
「そのまんまの意味だ。この能力は最初で最後の一回きりの能力なんだ……もう遅いんだよ!!」
冗談じゃねえぞ!!自分で止める方法がないだと!?それじゃあどうすることもできねえじゃねえかよ!!?
「ハッハッハッハッハ!!諦めな!最後は俺様の為に華々しくチリなっ!!」
「まっ、マジかよ……」
くそったれが……このままじゃあ新の行動が無意味になっちまう!!
俺の行動はまだ男を倒せて一応片ずいたからよかったが、これじゃあ新の戦いが!……新の勇気が無意味で終わっちまう!!…………
「そんなこと認めてたまるか!!!」
「うおっ!?なんだ?」
バカか俺は!何考えている!今はどうするか考える事が大切だろうが!!
正直俺は今……俺の命が無くなることよりも新の勇気が消えることが怖い。
それにこの町の人々の命……鈴さん、杏子さん、安宏さん、鈴美ちゃん、そして何より俺の大切な友達、吉良と新。その人たちが死ぬのが怖い。
俺の大切な物をこの男の勝手な行動で壊されてたまるかっ……弱気になるなよ俺!今俺は自分のためだけじゃあない、他の人たちの命を背負ってんだっ……
それに何より……新の勇気を受け取った!新に俺に任せろと言ったんだ、それ相応の覚悟で挑まなければいけないんだ。
パアン!!「……よしっ!!」
俺は自分の頬を叩いた。
拳を握れ、相手を見ろ、覚悟を決めろ俺!!
「まあいい!!スタンドは今使えないが、俺様自らボッコボコにしてやるよ!!」
男はそういい、こっちに向かって走ってきた。
「クッ……こいつは……」
男は何かの体術を使って俺を攻撃してきた。
「クハハッ!!俺はお前に攻撃するがお前は当たったらいけない上に俺を攻撃してはいけないんだぜ!!」
「無茶苦茶だなオイ!!」
俺はそう叫ばずにはいられなかった。
やっとどうにかしようと覚悟を決めたのに一方的な攻防をしなければいけないなんてホントに最悪だ!!
そう思うがもちろん男がやめてくれるわけがない。
「ヒャーハッハッハ!!!どうだ!俺様に手も足も出ない感想は!!」
「クソッタレがっ!!!」
今でこそ男の攻撃を避けているが、それはたぶん男が遊んでいるからだ。
男の体術は結構な物であり、このタイミングのために在るかのように相手が避けにくい事を追及したような体術で、当たってもそこまで痛くないだろうが今は当たったら一発で終わりなのだ。
「本当っっっっにクソだなオイ!!!!」
「ハハハハハ!!!もっと苦しんで死んでいきなあ!!俺のために!」
やっぱりこの男性格が最低だな!!……いや俺も自分の都合のために人の気持ちを考えない奴だが、この男は人を苦しめることが自分の楽しみっていうようなクソだ!!
……なおさら負けたくなくなってきたぞ。……こんな奴に一方的に負けているって思うとムカムカしてきた…………なんで俺が逃げ回らくちゃいけないんだ…………違くないか?やっぱり逃げ回っちまっていたが違うだろ?
「そうだった、ものすごい一方的な攻防なせいで忘れていたがどうやって対処しなくちゃいけないか、だったんだよな」
避けるのに神経を集中しすぎて忘れていたが、まあいい……どうやって対処しようか……
「とりあえず逃げててもしょうがねえ!!」
俺は自分のスタンドを出し突っ込んで行った。
「クッハッハッハッハ!!その威勢はいいがそれからどうするんだあ?攻撃できねえもんなあ!!手も足も出ないよなあ!!?」
その通りである。突っ込んで行ったは良いがそのあとの行動は何もできそうにない。
俺は何もできない苦々しい思いを抱いた。
「ハッハ―!!オラア!!」
そんな俺に男の蹴りが飛んできた。
「うをおおおお!!」
間一発転がることでその蹴りを避けられた。……マジ危なかった……死ぬかと思った……
「……あっぶねえ…………」
「チッ、運がいい奴だな。」
俺は男がそう言うのを聞いて今までに思っていたことを聞いてみた。
「なあ、なんで自分から死ぬようなことをしようとすんだアンタ?」
「あ?……クックック……ハーハッハッハッハ!!!!」
どうしたんだこの男?頭が可笑しくなったのか?……ああ元から可笑しかったか……
「クックック……そんなの簡単だあ、この能力を発動してしまったからにはもう俺は死ぬことは決定だ。…………だから俺が認めた奴を一緒に道連れにさせる。それが楽しいんだよ。俺の座右の銘は『最後は楽しく散る』だ。あの餓鬼を、いや今はお前も道連れれに死ねたらものすごく楽しめるんだろうな。クケケケケケケケケケ!!!!」
はあ?意味わかんねえよコイツ……
「意味が解らないって顔だなあ…………教えてやるよガキィ、いやお前たちには恨んでるが感謝しているんだぜ」
「感謝だと?」
恨まれることはあるが感謝されるようなことをした覚えがない。
「お前たち、いやあのガキに倒されるまでは俺はわがままで目標も何もないどうしようもない奴だった。だが俺はあのガキに負けたことにより少しは違う考え方ができるようになった。」
そうなのか……
「そして素晴らしい出会いを俺はした」
「出会い?」
「そう、俺が能力の応用について考えていると一人の男が声を掛けてきたんだ。
『面白そうな能力だね……それを俺のもとで高める気はないか?』ってな」
「それで……?」
「まあ話が長くなるから省くが俺はその人について行ったんだ、そしてその人は言うんだ『ここにはほかにもスタンドを使える人がいるんだ』って、俺はびっくりしたさ、その人について言ったとこにはほかにもスタンドを使える奴がたくさんいたんだからな。そのあと聞いてみればそこはスタンド使いの組織でその人はそこのボスだったんだ」
「ッ!!まっ、まさか!」
その組織と言うのを聞いて急に思い出してきた。さっき戦ったあの男もボスがなんとかって言っていた。まさか同じ組織なのか?
俺の警戒心が男が言うこの組織に対して最大限の警報を鳴らしている。ただの嫌な予感だが妙に胸騒ぎがする。
「あ……どうした?……まあいいそこで俺は学んだんだ、『人生ってのは最後まで楽しく生きた奴が勝ち』なんだとな。」
だからと言って自分の命を自分の娯楽のために終わらすのか?……俺には分からねえ……
「それが理由だ。……さてと、時間ももうそろそろだぞ?」
その言葉で俺の意識は一気に覚醒した。
男のスタンドを見るともう4分の3くらい変わっていた。
ヤバいな……どうする……
「もう諦めて俺に殺されろって」
「ふざけたこと言ってんじゃねえ!!諦めてたまるものか!!」
そう、俺には背負ってる物があるんだ!!
「そうかい……だが何もできないだろ?フッ」
男が最後に小さく笑ったのがめちゃくちゃ腹立たしい。
まて、冷静に、冷静になれ……感情に身を任せたら見える物も見えてこねえ……
ッ!!!!これは!!!!
瞬間俺の脳裏には対抗する作戦が思い浮かんだ。
「これがうまくいけば……」
「なんだあ?まだやる気かあ?」
男のその言葉を合図に俺は後ろに走って行った。
「おいっ!逃げんのかテメエ!!逃げるんじゃなくて俺に殺されろ!!」
「いやに決まっているだろ!!」
俺は走りながらその辺にある石やブロック、新と男の戦闘で壊れた瓦礫などを掴んでいく。
「これを……こうして!」
その掴んだ物を男の足元、横などに当たらないようにしながら投げていく。
「なんだあ!?当てる気ねえのかあ!!?だったら投げんなよなうっとうしい!!」
男のうんざりしたような声が届くが、俺は無視して走りながら掴んでは投げを繰り返しす。
「はあ、手間かけさせてくれるぜ全く……ようやく追い詰めた」
それから三分くらいたって、ついに俺は追い詰められてしまう。路地裏の行き止まりに動きを封じられた。
「さあ、そろそろ終わりだ……この爆発の範囲内からもう一人のガキも逃げられねえ……くっくっく、興奮してきた!!」
「くっくっく……どうした?もう声も出ないほど絶望したのか?」
「そりゃあ傑作だ!諦めないってほざいてたのにな!!」
「……やっぱりあの感じは気のせいだったか……」
「……おい、何か反応しろよなつまらねえ……」
「……チッ、もういい終わりだ……」
男は構えて、
「オラア!!!」
こっちに突っ込んで殴り掛かってきた。
「そ れ を 待 っ て い た!!!!!!!」
男が俺の目の前に来た瞬間俺は男の攻撃を避け、男のスタンドを目指して走って行った。
「ッ!!?はあ!!?」
俺は1年半ぐらい前、風船で遊んでいたことがあったんだがよお、もちろん破裂させるのとかは楽しいからな。
……これは何時になっても楽しいものだ……ンンッ、それで、遊んでいる最中、『能力を使っている最中に破裂させたらどうなるのか』って思ったんだ。
俺のスタンド能力は『触れたものの重さを増減させる能力』なのだが、破裂させた後触れた部分だけが重さが変わって他の部分は何ともないのか、ってことと風船と言うその一個の物全体に能力が掛かっているのかってな。
気になった俺はやろうとした。でもその時ちょっと膨らまさせるのが上手くいきすぎてすぐ破裂してしまい、破裂した瞬間にびっくりしてその瞬間に風船に能力をかけてしまったんだ。
……そしたら、風船の破裂が止まっていた。いや、超スローモーションになっていたんだ。
もちろんその時は意味が解らなかったがだんだんと調べていくうちに俺の能力にはまだまだ可能性があることが分かった。
俺のスタンド能力は、『現象すら重さを増減できる』と、
じゃあなんで重力とかそういうのは重さを変えられないのかって思うんだけどよ、それは現象の重さを変えるには『動きの始め』、その時だけが重さを変更できる能力を付けられる、『能力付与』をその現象に付けることが出来るからなのだ。
『動きの始め』っていうのはその名の通り動きの始めのことだ。
例えば椅子に座るときとかは立ち終わり座り始める瞬間、ほんの一瞬その瞬間が『動きの始め』なのだ。
まあ俺の能力人の重さは変えられないけどさ……
爆発とか破裂とかは『動きの始め』が存在している。だから重さを変えられるんだけどよお、重力とかはそれが無い、っつうかまず触れない。あくまで俺の能力は『触れたものの重さを増減できる能力』なのだ。
爆発とかも触れないって思うかもだけど爆発は物体が、触れるものが破裂するから爆発なのだ。
……まあ俺もそんな細かく詳しくは良くわかんねえけどそういう物っつうことだ。
「うおおおおおおおおおお!!!!!!」
だけど俺が今からやるのはそんな重さを変えられない事じゃあない。
ただ単に爆発を重くするだけだ。
「自爆しに行ったのか!!?」
男が騒いでいるが無視だ無視。
『動きの始め』を見つけるのは大変で、とても難易度が高いけどよお……テメエの場合は違う……自分から爆発させに行くんならよおッ『動きの始め』も分かるっつうもんだよなあッ!!
「ウラアッ!!」
そして俺のスタンドの拳が男のスタンドに当たった。
それと同時に俺は能力を発動させた。すると
「こっ……これは!!?」
スタンドの爆発がまるでスロー再生されているかのように起きていた。
「おいテメエ何しやがった!!……ッ!!?俺の体が!!」
男の体が爆発の拡大に合わせてゆっくり膨れ上がっていく。
「よっおおおっし、……正直できるって確証してた訳じゃあ無かったからひとまずよかったぜ……本当に……な……」
笑い事じゃあねえんだよ。俺が失敗したら町が一つドカンだぞ。そんなことになったら俺は耐えられねえ。
まあ俺もこんなことやりたくなかったけど他に手が無かったからなあ……おっと、そんな場合じゃあねえな。
「この能力付与、時間はあと10秒くらいってとこか……」
そう、この現象に能力を付与する場合、時間制限が存在する。
「ハッ!それならこれが終わった瞬間みんな死ぬだけだ!!」
確かに10秒は短い、だが何もできないって訳じゃあないんだよッ!
「一つ言っておいてやるよ。……お前はこの場所にまんまと誘き出されたんだ」
「なんだと!!?」
「ウオラアア!!!!!」
「こっ!!これは!!!」
俺のスタンドを男の真下のマンホールに潜らせ、マンホールを軽くして一気に殴る。
すると男の体は今現象が重くなっているので動けてない。動いていないものはいくら重かろうが動いているものに競い負ける。
つまり男はそのまま吹っ飛んでいく。スタンドの射程距離より離れていくのでどんどんスタンドも上に吹っ飛んでいく。
「クソがああああ!!!だがまだ!!まだこの距離なら全然平気だ!!」
「ウラララララララララララララ!!!!!」
「ぐおあああ!!!貴様ああああああ!!!!」
マンホールをぶっ放しただけだとまだ爆発の範囲内なので、頑張ってこの場所に集めていた瓦礫やら意志やらを重さを変えて投げて行く。
今回は重くする必要はないので、より早く狙いを定めて投げられた。
さすがに200メートルくらい離れると当たらなくなるので石を重さを変えたくさん腕に抱えて、自分を軽くして、投げた石にスタンドの反応速度で捕まりそこからまた投げて行く。
「ウラララララララララ!!!!」
「まだか!まだ10秒経たないのか!!?」
もう8秒は経過した。俺はより早く、強く投げて投げて投げまくる。
「うおおおおおおおお!!!!!」
「早く!!!早く経て!!このままじゃあ!!!」
9秒
「ウオオオオオオオオラアアアア!!!!!!月まで吹っ飛びな!!」
「チックショーォッッッ!!!!クソがあああああああァアァアァアッッ!!!!」
10秒
『ドゴオオオオオオン!!!!』
そして能力が切れ、遥か上空で直径500メートルほどの爆発が起きた。
その爆発は同じく上空にいた俺にものすごい衝撃を与え、
それに押されるように俺は地面に落下していった。
説明が分かりにくかったらすいません。