輪廻の輪を外れたからもう一度生きてる   作:佐波 大和

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話は大まかに考えているんだけど指が進まない……


第二十話

「なあ、ほんとに良いのか?」

 

「しつこいねえ、良いって言っているだろ?」

 

「いやしかしこんなにして貰うのは……」

 

「いいからいいから」

 

ほんとにおかしい。………ああ何がおかしいっていうのかはこの家族、この女性と女の子だ。

いやだってそうだろ、さっきも思ったがこの人たちは善意の塊だ。

……いろいろやろうかと思ったんだが体が動かないんだなこれが……うっとうしがられると家から放り出されるかと思ったんだがな……この人たちは甲斐甲斐しく俺の世話をしてくれた。

今のご時世仕事でも介護とか嫌がる人多いんだがこの人たちは何の見返りを求めず俺の世話をしてくれている。

 

「……なあ」

 

「なんだい?」

 

俺は思い切って質問してみることにした。

 

「なんでアンタ達はそんな善意の行動が出来る?」

 

すると女性は少し考えたようなそぶりを見せこう言った

 

「……そんなの簡単さ。あたしがやりたいからやっているんだ。ただそれだけの自今満足のためさ」

 

っつ!!、なるほど……俺と同じような信念っていうか思いを持っているのか。

だが俺とはまるで違う。比べるのすらおこがましい行為だ。

俺の場合は自分の都合のために人の思いを踏みにじって歩いているがこの人は他人のために自分の都合を犠牲にしているのだ。

 

「……すごいなアンタは」

 

素直な感想だ

 

「それほどでもないさ」

 

女性は照れ臭そうに頭を掻いた。

……この人に敬意を表そう。だから

 

「名前を、アンタの名前を聞かせてくれ」

 

「そういえばまだ自己紹介してなかったね……明子、桔梗明子。それがあたしの名前さ」

 

「明子さんか、覚えたぜその名前」

 

俺は興味が無い物にはほとんど関わらないし覚えようともしない。

だから俺が人の名を覚えるってことはその人が俺の大切な物、または敬意を表す相手だったり俺が惹かれる人だってことだ。

 

……かなり自分勝手だと思うかもしれないけどしょうがない。

名前ってのはその人の魂を表すものだ。だからと言って普通だったらそんなの関係なしに覚えるだろう。

だが俺は一度死んでいる。いや、魂が剥き出しの状態になった。だから人の魂を表す名前は記憶に残る残らないじゃなく魂に刻まれるかどうかってことになる。

 

「アンタの名前は?」

 

「志熊錬だ。よろしく」

 

俺は手を伸ばす。

 

「ああ、よろしくしてやっているのはあたしだけどな」

 

明子さんは皮肉に笑い俺の手を掴んだ。

……ほんとお世話になります……

 

「そうだ錬……だよね? 錬はアタシの娘の名前知らないよな?」

 

娘?……ああ、あの女の子か。

 

「ああ、知らないな」

 

それがどうかしたのか?

 

「今日だけだけど泊まって行くんだ、名前を知らないのは何かと不便だからね」

 

明子さんはそう言って今いる寝室だと思われる部屋から出て行った。

しばらくするとこっちに戻ってきた。

 

「よし、自己紹介だ」

 

……あの女の子も連れて。

 

「えっと、お母さん?どういうこと?」

 

ほんとどういうことだ明子さん?

俺も状況が理解できないんだが……

 

「だから自己紹介。アンタらで」

 

「えっ、」

 

「そういうことか……」

 

なるほど、俺たちで自己紹介をしろって事か

 

「明子さんの娘さんだよな?俺の名前は志熊錬。何度も言うが怪我の治療ありがとう。」

 

そろそろしつこいか?

 

「……あっ、その、……」

 

「……ほらシャキッとしなさい。悪いね、この子初対面の人にはすごく人見知りをするんだよ」

 

それなのに血まみれ不法侵入の完璧不審者の俺と挨拶を強要するってかなり酷じゃないのか?

 

「ああ……無理しなくても……」

 

俺が気遣ってそう言うと女の子は

 

「……大丈夫、……私の名前は愛奈。よろしくね……」

 

そう言いながらだんだんと明子さんの後ろに隠れていく。

 

「あらら、錬アンタ何かしたの?一度自己紹介した相手ならこうはならないはずだけど」

 

「嫌われたのか?」

 

まあ、無理もないか。

そう思っていると愛奈ちゃんは首を振った。

 

「ううん、嫌いじゃないけど……何か苦手」

 

嫌われてはいないのか。……少しうれしいわ。やっぱり嫌われるのは心に来るものがあるからな。

 

「ま、よろしくね錬」

 

明子さんは愛奈ちゃんのセリフを言うかのようにそう言った。

 

「お世話になりますわ」

 

ほんとに迷惑かけるな……あ、

 

「なあ、電話貸してもらっても良いか?」

 

「ん、良いけど。 ほら」

 

明子さんはそう言うと携帯電話を投げてきた。

 

「どうも」

 

俺はそれをキャッチすると番号を思い出しながら打って行った。

 

「誰に掛けるんだい?家族にはもう掛けたよ」

 

「ああ、友達だ。心配してるかもしれないからな」

 

電話を掛けようとしている相手は新だ。

新にあれから会っていないから心配かけてるかもしれない。

新だけじゃなく吉良も……心配してくれるのかアイツ?

 

「っし、確かこの番号だったはず」

 

そして俺は電話を掛けた。

 

『……はいもしもし』

 

ビンゴ、新の声だ。新の奴知らない番号から電話が掛かって来たから少し警戒してるな

 

「よ、俺だ」

 

『っ!?、この声は錬!?錬なのか!?』

 

「そのとうりだ。悪いな電話かけるの遅くなって」

 

『それは良いよ。……はああぁ、よかったー!無事だったんだね錬』

 

「ああ、ちょっと今動けないけどな」

 

『ねえ錬、今どこにいるの?』

 

「んん、」

 

ちょっとこれは困った質問だな。……だって

 

「悪いな、俺もここがどこなのか詳しくは分かんねえんだよ。マンションだって事ぐらいしか分からねえ」

 

そう、俺はここが何処の何処なのか全く分かんねえ。

落下してきたときに見えたっていうか覚えたって言った方が正しいのかもしれないが、ここがマンションって事だけしか俺は覚えていない。

 

『ええ!?どういうこと!?」

 

「だからそのまんまの意味だ。ここがどこか俺には分かんねえ」

 

『……錬、まあいいや。これからどうするつもりなの?』

 

「そうだな、今日一日俺のことを手当てしてくれて面倒見てくれた良い人達のとこで世話になる事になったから明日家に戻る」

 

『そっか、その人たちには俺も感謝しないとね。分かったじゃあ明日何時くらいに家に戻るの?』

 

「そうだな、ちょっと待ってろ新」

 

俺は明子さんの方に向いて、尋ねた。

 

「なあ明子さん。明日何時くらいに俺はこの家を出て行けばいいんだ?」

 

「そうだね、アタシも用事があるから昼過ぎくらいかな?送ってってやろうか?」

 

「そこまで世話掛けられねえ。自分で帰るさ」

 

さすがにこれ以上なんかして貰う訳にはいかないな

俺は再度携帯電話を耳に付けた。

 

「と言うことだ新。昼過ぎくらいだな」

 

『うん分かった。俺もそのくらいに錬の家に行くよ』

 

「おう分かった。……新は今吉良と一緒に居るのか?」

 

『ギリイ!……ああ、吉良君、吉良君ね……一緒に居るよ』

 

居たらいろいろ迷惑かけたと謝りたかったんだが、

そんな気持ちで新にそう聞くと、なぜか歯ぎしりをして、嫌そうな声で言った。

 

「……どうした新?」

 

『いやなんでもない。何でもないからいいよ。ああそうだ錬、体が動かないなら無理し無い方がいいよ。したとしても吉良君の前に行かない方が良いよ』

 

「お、おおう」

 

俺は不思議に思ってそう聞くが、新の怒涛の言葉に気おされてしまった。……本当に何があったんだ?

 

「まあいい、じゃあまた明日逢おう。いろいろ話したいことがあるからな」

 

あの男が言っていた組織とかも気になるしな……

 

『分かった。じゃあまた明日』

 

「おう」

 

そうして新との電話は終わった。

 

「明子さん電話ありがとな」

 

「いいや、そんぐらいいつでも言いな」

 

……ほんとこの人は……いいや、慣れよう。いつまでも呆れてたら身が持たねえ。

 

「さて、ご飯も食べ終わったし風呂……は無理か。だったらもう寝な。布団はひいてあるだろ」

 

……ご飯は間違いなく俺の黒歴史に残るな。……何が起きたかは俺の体があまり動かないってとこで察しろ。

 

「ああわかった。何から何まで悪いな」

 

「ふふ、別にどうって事無いさ」

 

「うおっ」

 

明子さんは照れたように俺の頭をクシャクシャっとしてきた。

……懐かしいな、前の世界の父親や母親に小さいころよくやってもらってたっけ。

なんか似てるのんだよな。何でだろ?明子さんは何か初めて会った感じがしないんだよな……

敬語を使うのをついつい忘れるくらいだし……明子さんは笑ってスルーしてるけど他の人だったら怒られても文句は言えないな……

 

「なにすんだよ……お休み」

 

「ああ、お休み」

 

「……お休み錬君」

 

「ああ、愛奈ちゃんもお休み」

 

愛奈ちゃんも優しい人だ。ほんとこの家族すげえよ。

 

 

 

 

 

 

そう小さな疑問をその時すぐに忘れたが、ちゃんと気にしていたら後々の大きな出来事を先に対処することができていたのかもしれない。

俺は先の未来でそう思うこととなる。




最近ようやく少しずつ一つの出来事の内容を長く書けるようになってきた気がする。
気のせいだとしてもこれから今のようなひどい文章じゃなくてちゃんと読みやすいように書けるようになりたいです。
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