相馬さんに出会ってから5日間は平和に過ごせた。
スタンド使いに遭遇するということもなく、トラブルが起こるということもなかった。
だけどそんな日常に別れを告げる一本の電話が来た。
『もしもし錬君かい?』
「あー、何ですか相馬さん?」
これから言われる内容は分からないが、平穏な日常とは無縁の事だろうと大体予想できてしまうので少し面倒くさそうに答えた。
非日常には憧れるが面倒くさいのは少し苦手だ。
『やることができたよ』
「なんですかそれは?」
『東京だ』
「はい?」
『東京にブラックガーディアンズの奴らがいる……倒しに行くよ』
え?……はあ?
「……わかった。何時行くんだ相馬さん?」
『何を言っている……今からだ』
「はい?」
思わず聞き返してしまった。
「ちょっ、ちょっと待て!俺何の準備もしてないぞ!それ以前に家族とかに何て言えばいんだよ!?」
『ああ、それについては大丈夫だ』
俺の部屋(二階)に誰かが上がってくる音がする。
「話はさっきつけて置いた。さあ行くよ」
「は、っはあああ!!?」
これには俺も頭が付いて行かなかった。
「ちょっと急すぎるだろ!?」
もうちょっと前もって連絡しておいてほしい。
「しょうがないだろ、情報を手に入れたのがさっきなんだから」
「…………了解、5分くらいで準備するからちょっと待ってろ」
まあしょうがないか、いつその場所から動くかわかんないからな……
「ああ、急ぎなよ」
「……うし、相馬さん準備できたぜ」
お金とか相馬さんが出してくれるらしいので戦闘に使えそうなものを鞄に入れてきた。
「それじゃあ行こうか」
そうして相馬さんについて行ったら車があり、それに乗った。
「11時発の飛行機に乗る予定だから」
「わかった」
……まだ時間には余裕がありそうだな
「相馬さん、時間がまだたくさんあるから寝てていいか?」
「だめだ」
「えっ、なんでだ?」
「ちょっと用事があるからな……あと10分ぐらいしたらやるから起きてなよ」
「用事って……ああ、分かった。分かったから車の中でスタンドを出すな」
黙ってろと言うことなのだろう。車を運転しながら俺の目の前にスタンドを出した。
……危ねえよオイ、運転に集中しろよ。
「…………」
「…………」
……何だこの空気?……別に俺と相馬さん仲が悪いわけじゃないのに……悪いわけないよな?
車の走る音と車のにおい。それらだけがこの静寂の中をとうり過ぎていく。
そんな状態で10分ぐらい、でも体感時間ではそれ以上たったころようやく車が止まった。
「……ここどこだ?空港じゃなさそうだが……」
そこは学校の運動場みたいな場所で、少なくとも空港ってことはなさそうな場所だった。
「速くこっちにきな」
「ちょっと相馬さん?何やるんだ?」
「さっきは悪かったな、いろいろと考え事をしていたんだ」
運転中にか?……俺相馬さんの運転する物に乗りたくなくなってきたんだけど……
「それはいいが結局何するんだ?」
「これから敵と戦うんだ……味方の力がどのくらいか知っておく必要がある」
「えっ、って、てことは……」
「俺と錬君、君が戦うんだ」
やっぱりか……
「……じゃあ、始めようか」
相馬さんはそう言ってスタンドを出した。
「まさかこういうことになるとは……」
そう言いながらも俺はスタンドを出した。
「10秒後戦闘開始だ、いいね」
「……ああ」
ま、やれるだけやってみるか。
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「……はぁ、はぁ……っく……」
何なんだあの人……無茶苦茶強ええ……能力とかじゃねえあの人は……相馬さんは能力を全く使わないで俺に手も足も出させなかった……ついでに言えばスタンドも最初は攻撃には使ってなかった。
「……少しは自分が強いと思ってたんだがな……はあ」
ここまで実力差を見せつけられて思わずため息を吐いてしまう。
「……いや、その年でその実力は評価できるものだよ」
ははっ、嬉しいことを言ってくれるな……
「でも戦うのは今だからな……今実力が付いてないとダメだろ……」
「別にそんなことないぞ?」
「えっ?どういうことだ?」
俺の耳に予想外の言葉が聞こえてきた。
「確かに日本に来た敵は倒しに行くがこっちから攻めに行くのはまだ後だ」
「それじゃあ何で今俺を誘ったんだ?」
別にその時でもよかっただろう?
「ああ、それは強くするためだよ」
「強くするため?そんなことせずに普通に強い奴を誘えばいいじゃないか」
「そういう強い奴は誘いに乗る確率が少ない。もしできたとしても大人しくしたがってくれるとは思えない」
「なるほど」
「そういうこともあるが……時間があるなら錬君、君のような子を強く育てた方が強くなる」
「……買い被りじゃないのか?」
要は俺が相馬さんより強くなるって事だろ?無理だはそんなの。
「いや、そうでもない。錬君、君は自分の凄さについて理解してないようだね?」
「俺の……凄さ?」
「ああ、その年でその冷静さ、戦闘能力はすごい。だけどそれだけじゃあ探せば他にもいると思う」
だろうな、新なんかもそうだと思う。
「君の本当にすごい所はその成長速度だ」
「成長速度?」
「極端に言えば最初は勝てそうにない相手でも最後にはその領域まで届いてる。そんな感じだ」
「……別にそんなことない
「あるんだよ。事実さっきの戦闘で最初は攻撃を全く当てられなかったのに俺に一撃届いたじゃないか。それに攻撃の発想も面白かった」
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「先手必勝!!」
俺は10秒たったと同時に飛び出した。
「ウラァ!!」
射程距離に相馬さんが入ったから思いっきりスタンドで殴りつける。
最初に攻撃を決めた方が何かと有利になる。
「もらったあ! はあ!?」
意味が解らない。この距離のパンチを避けやがったぞこの人!?
「……なるほど、ハプニングな事態には弱いと」
「ちっ、近グボッ!」
近いとも言う暇もなく蹴られた。
攻撃を避けられた驚きで固まっているちょっとした隙を付かれたな……
「ッ!!……ウラァ!!」
「っと、だが立ち直りは早いと」
もう一発蹴りが飛んでくるのが見えたのでスタンドでカウンターを入れる。
……つもりだったんだが、相馬さんのスタンドで防がれてしまった。
「ッチィ!!近接は無理か!!」
どんなに頑張っても近接戦では勝ち目がないと分かったので戦い方を変えることにする。
「後ろに下がった?……戦い方を変えるのか、判断力は良いみたいだな。いや、冷静に物事を観れてると言った方が正しいのかな?」
ッ!……相馬さんはこっちの実力を評価している。……余裕かよ……
「ならこれはどうだ!!」
家から持ってきた石と同じように投げられるいらない物を能力を使いながら投げる。
この技は苦労した甲斐がある物でかなり使い勝手がいい。本来なら近距離でしか使えない俺のスタンドが遠距離攻撃ができるようになったのだ。
「……能力の使い方もいいとするか」
「ッ!!?…………マジかよ……」
俺は自分の眼を疑った。それと同時に俺と相馬さんの差が分かってしまった。
なぜかと言うと一瞬で最善の選択をしたのだ。
俺の攻撃に対して相馬さんは自分をスタンドに引っ張らせるということをして射線上から離れたのだ。
俺も魂だけの状態になったから物事を冷静に見えるとしてもそれは冷静なだけだ。
その中で最善の方法が思い浮かんだりしない。
「……次はこっちから行くよ」
ッ!?早い!!あっという間に俺と相馬さんの距離が縮められてしまう。
「ほらほら、俺はスタンドで攻撃はしてないんだよ?」
相馬さんは防御にしかスタンドを使わない。……攻撃にスタンドを使わなくても勝てるって事か……舐めてる風にしか思えないけどそれが事実だからただ歯痒い思いをするしかない。
「ッチクショウ!スタンド使い本体が戦えるとこんなに強いものなのかよ!!」
こんなに一方的にやられている理由の一つにこれがあると思う。
俺はあくまでスタンドだけでしか戦えない。俺が殴ったりしてもダメージはあまりないと思う。
……それ以前にそんな真似できない。スタンドを操作しながら戦うのだけでも結構集中力がいるのにスタンドを操作しながら自分も格闘戦をするとか理屈じゃわかっていてもできない。
「次行くよ」
「……そんなこともできんのかyプゲラ!?」
俺のスタンドの攻撃を回って回避したかと思えばそのまま回し蹴りを放ってくる。
そして俺は地面に倒れる。……それ高等技術だと思うんだが……
「やられてばっかでいられるかよ!!」
すぐさま立ち上がり相馬さんに突っ込んでいく。
「なんど来ても無駄だよ」
「それはどうかな!!」
「……ッ!?」
砂投げ目つぶし!! 俺がやったのはそれである。
さっき地面に倒れたときに手の中に握りこんでおいた。
「くらえ! ウラァ!!」
よし! 当たった感触が会った!
俺は攻撃が通ったと思ったが、それは間違いだった。
「周囲の物を有効活用できる、と」
「……これもダメ、か……笑えないぞこれは……」
当たってはいるが、完全にガードされている。
「うん、状況の使い方とその発想はいいと思うよ。……相手がスタンド使いじゃなければ」
「……そうだったな……必死で忘れてたよ」
スタンドも見えるんだったな……相馬さんの眼を封じただけじゃあだめだったわ……
「……でもな」
でも目的は目つぶしだけじゃあないんだよ!
「ッ!? これは!?……ハッ!」
「気づいたか!でももう遅い!」
さっきの砂のもう一つの目的。それは!!
「さっきの砂は俺の服とかに付いた砂を重くして俺を動けなくするためだったのか!!」
「そのとうり!! ウラァ!!」
今度こそ決まってくれよ!!
「そう簡単にいくと思わないでくれよ!」
ッ!! ついに相馬さんがスタンドを攻撃に回しやがった!……だけどやるしかないな!
「やっと攻撃してきやがったか! ウラァ!!」
「スタンド自体の強さは普通ね、っと!!……近距離パワー型と言うには射程が長いしパワーが弱いけど遠距離と言うには射程が短いしパワーが強い……ま、普通ってことだな」
……その余裕な顔をゆがめてやる! 行くぜ!!
「ウラララララララララ、ラァ!!」
「ラッシュか、ならこちらもそうさせてもらうよ!」
俺のスタンドと相馬さんのスタンドの拳がぶつかり合う。
……だが徐々に俺のスタンドが押し始めてる。つまり俺のスタンドのほうが相馬さんのスタンドよりパワーが強いらしい。
……1個でも優れているものがあると分かっただけでだいぶ違う。
「ッ!……ここにきて動けないのが痛いか……」
「このままぶん殴るぜー!!」
「………………」
「ウラララララララァ!!!」
いける! 俺はそう確信した。
「…………悪いね……押されるのは好きじゃないんだ」
「ウララララァー! ッッ!!?」
が、もう少しで攻撃が通るという所で相馬さんが予想外の行動を見せた。
殴りに行ったスタンドの腕を相馬さんは内側からその腕を叩くことで攻撃が逸らされ、ラッシュしていたので急に止めることができなくて伸びて行ったもう片方の腕も同じように内側から力を加える。
そうすることによって今の俺のスタンドはガードなど全くない無防備な状態になってしまう。
━━まずいと思ったときにはもう遅い。相馬さんのスタンドの拳が伸びてくる。
「ガッ!、グボッ! ゲホッ!」
「……総合評価、その年にしては素晴らしい。絶賛ものだが一般と比べると普通より上ぐらい。……将来が楽しみだ……」
「ガッ!!」
今この時ほどこの冷静さがいらないと思ったことは無い。無駄に冷静だから相馬さんの言った事を聞いてしまう。
そしてこう思う。頑張って挑んでも余裕を揺らがせなかった、と。
「もういいかな……終わらせるよ」
「グボゲェ!!!」
相馬さんの膝蹴りが飛んでくる。セリフから判断してこのまま気絶させるつもりだろう。
……だけど……だけど……ッ!
「こっ……このまま、何も……何もできないで……終わるのは……ッ、いやだ……」
「……これは驚いた、あれをくらって立ってられるなんて……」
「何も……努力して無くて……終わるなら、良い……」
だけど……
「でも……今までの努力を……手も足も出なくて……努力を無駄と思うのだけは嫌だ……」
何もせずに負けるのならいい。
だけど俺は今まで努力してきたんだ。
小さい努力かもしれない。
そんなの努力じゃない、当たり前のことだと言われるかもしれない。
だけど、だけど俺は今まで頑張ってきた時間を無駄だとは思いたくない!
「ウラァ!!」
「……まだやる気なのかい……だけど無駄だよ」
アッパーをするが避けられてしまう。だけどいい。それが目的じゃないんだ
「……何だ?指についているのは?……糸、か? ッ!?これは!?」
スタンドの指の先についた糸の先を見て気付く、がもう遅い。
「同じような攻撃の仕方にはまってんじゃねえよ!!」
つい顔がにやけてしまう。ついさっき思いついたとっておきだ。
「さっきのアッパー、本当の目的はそのヨーヨーか!!」
「そのとうり! ってさっきもこのやり取りやらなかったか?……」
俺はさっきのアッパーの時手の中に握りこんでおいたヨーヨーを投げた。
そしてヨーヨーの位置を調節して相馬さんの真上に行ったと同時に能力を使って重くする。
すると一直線にヨーヨーは落ちていく。
「ぐっ、錬君のこの攻撃は見た目と威力が全く違うから困る!」
相馬さんは落ちてくるヨーヨーに対してスタンドの腕をクロスさせて防御した。
「隙ありだ!くらいな! ウゥラァ!!」
「しまっ、まにあわな、グッ!」
「………………」
……当たった?……うん、当たった。……
「…………い、……いよっしゃあ!」
柄にもなく叫んでしまう。それほどに相馬さんに攻撃を与えたということは俺の中では嬉しかった。
今までの努力が無駄じゃないってわかって本当に良かった。
「…………何一発当てただけで攻撃をやめるんだよ」
「ウゴ!!?」
そんなことをしていたら相馬さんにかなり強く蹴られた。
……でも、それもそうだな……たった一発当てられただけなのに……
「はぁ、あー……気抜いた……瞬間、ものすごく疲れた……はぁ……」
終わったと思った瞬間疲れとかダメージがどっと出てきた。
「……はぁ、はぁ……っく……」
何なんだあの人……無茶苦茶強ええ……
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「な?そうだろ?……本気になれるのは少しだけ、と、あとは、まあ攻撃の発想だけは合格点……かな?」
そう俺を励後に相馬さんはメモを取っていく。……ていうか
「それだけが、合格点って……判定厳しく、無いか?」
「何をバカなことを言っているんだ……俺の実力が合格ラインだ」
え?……は?
「はああああああああ!?」
無理だろ!この人の実力を超えるって、さっきも思ったけど無理だって
「大丈夫だ。俺が鍛える。絶対そこまで実力をつけてやる。……無理やりな」
「今危険な言葉が聞こえたんだけどっ……!?」
この人に付いてって大丈夫なのかな?……俺の体が……
戦闘シーンだけ見にくいと思い間を2行あけました。ダメだったら行ってください。