輪廻の輪を外れたからもう一度生きてる   作:佐波 大和

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第三十一話

「……まちな、俺がもう負けたって思ってるんならそいつは違うぜェ」

 

 

「……ッ!?なっ、……いや、これで倒せたと思ってた俺が甘かったっつうことか……」

 

 

チッ……こいつを、俺と戦ったときは手を抜いていたこいつを、俺は甘く見過ぎていたか……相馬さんが心配だが……今は相馬さんより俺の方があぶねえよな。正直相馬さんはきっと大丈夫だろ……そんな感じがするんだよなあ。

 

 

「おいガキ……いや、錬と呼ばせてもらうぜ。テメエはよお、なぜ俺達を狙った?この前の続きがしてェッて思ったけどよォ、それにしちゃあちょっと俺をボッコボコにせずに意識だけを狩りに行きやがった……」

 

 

やっぱりこの男、言動とか考え方があれだから第一印象はアホとか脳筋みたいなイメージに見えるけどそんなことはねえ、立派に分析できる能力にそれなりの頭の回転差を持っていやがる。

 

 

「さあてな、なんでだと思う?」

 

 

「答えは簡単さァ、俺達『ブラックガーディアンズ』を倒そうとしているんだろォ?」

 

 

……答えがバレちまったがどうしようか……取り合えず、こいつを倒してから考えようかッ! いっちょやろうかッ!頼んだぜ俺のスタンド、頼りにしてるぞッ!

俺はスタンドを出し、戦闘態勢に入る。

 

 

「おっとォ、俺的には今すぐやり合ってもいいんだがよお、っつうか今すぐ戦いてェ、だがよ、ひとつ確認しておくぜ、なぜ俺たちを狙うんだァ?錬よォ?」

 

 

「そりゃあ……世界の平和のため?か……」

 

 

まあそんな感じだよなあ?……え?こんな感じだよな……?

 

 

「……ァア?世界の平和?……ハッ!錬ッ!その言葉を理由にするっつうんならよォッ!俺より、もっと強い奴を相手にしねえといけねえっつうことだぜェッ!分かってんのかァ!?」

 

 

……まあ、な……相馬さんが言ってたサピアーディっつう奴もかなり強いらしいしな……相馬さんレベルの奴らと戦うっていう事なんだろ?

 

 

「んなこたあ分かってんだよ、なら簡単だ。俺がその敵より強くなればいい。それだけだ」

 

 

こちとら負けっぱなしは癪に障るからな……必死こいて追いつかせてもらうぜそん時はよお。

 

 

「______ハッ、ハーッハッハッハッハァーッ!!」

 

 

「……何かおかしいか?俺が弱いッつうなら安心しろ……今からテメエを俺は倒すからよ」

 

 

「アーッ、本当におもしれえ奴だ志熊錬、テメエの気持ち……通用するかどうか確かめてやるよ、まずは俺を超えてみろォッ!!」

 

 

柳哲彦はスタンドをだして俺を攻撃してきた。

……ハッ!アンタとは2度目だが、前は引き分けだった……ここで決着つけてやるよッ!!

 

 

「志熊錬ンンッ!!」

 

 

笑いながら、ではなくこの間とまるっきり反対の真剣な表情で柳哲彦は俺に向かってスタンドで殴りつけてくる。

 

 

「柳哲彦ォッ!!」

 

 

俺もそれに対抗するかのようにッ、スタンドで攻撃するッ!!!

 

 

「オラァアァアァアアッタッ!!!」

 

 

「ウゥラアアアァアァアァッ!!!」

 

 

俺が2発攻撃を充てると俺の攻撃の2倍の威力を持った柳哲彦の攻撃が飛んでくる。

……どっちが先に倒れるかッ!勝負と行こうかッ!!

 

 

「ハッハーァッ!!どうしたどうしたそんなもんなのかァッ!!」

 

 

「……ッ!まっだまだァッ!!ウッラアアァッ!!」

 

 

……この野郎、本気できやがった。いや本気で来られた方がスッキリするんだが……強いなやっぱりッ

 

 

「強いからこそッ!超え甲斐があるッ!!」

 

 

「おっとおォッ!超えると言ったかァ!戦いの中で言えるっつうことはそれなりにその気持ちはあるんだなァッ!!」

 

 

「気持ちじゃあなくてただの俺の意地だがなッ!!」

 

 

俺は前、この男柳哲彦と初めて戦かったとき自分大切な物を守れるぐらいの力を欲した。

あの蛇野とかいう男との2度目の戦いもそれに拍車をかけた。

だからッ、俺は強くなるッ!これはなりたいと言う願望じゃあないッ!なってやると言う意地だッ!!

 

 

「ウラララララララララァアッ!!!」

 

 

「ハハハァーッ!気持ちは本物見てェだがよォ!」

 

 

より早く、そして少しでも強く。そんな気持ちを汲み取ったのか心なしか俺のスタンドが少し強くなっている気がする……ッ!

 

 

「気持ちだけじゃあどうにもならねえ差っつうもんがあるんだよなァッ!!」

 

 

「ッ!! ッガァアァアァアァ!!!」

 

 

……が、そんなもんで一発逆転できるほど世の中は甘くなかったんだ。むしろ今までが異常だったんだ。

男の攻撃が俺の体に響き渡る。

俺のスタンドは、どっちかっつうと遠距離、中距離と言った方が良いか、そういうタイプのスタンドだ。

だが柳哲彦のスタンドは近距離タイプ____この本気を出した男の裏をかいてどうにか距離を取ることの出来ない俺は、単純な近距離戦闘で勝てる訳がなかったのだ……

 

 

「どうしたッ!!ガラ空きだぜェ!!」

 

 

……ッッ!……クッソォ、距離を取れれば何とかなるかも知れねえが……やっぱりこの男、見た目と違ってかなり頭が回るらしいな……さりげなく、攻撃しながら俺が距離を離せないようにしていやがる……ッ!!

 

 

「ウッラァ!!アンタ相当手加減していやがったな!!」

 

 

この前と比べて強さは段違いだ。スタンドのパワーとかは手加減していないようだが……

 

 

「経験とでも言うのかな、そんなんを捨てて獣のようにこの間は戦っていただろアンタ!」

 

 

「ンー、まあなァ……俺はお前を、錬を倒したいんじゃあなくて錬との戦いを楽しみたかったからなァ、ま、今はチョッチ本気でお前を試してるから手加減は無いぜ」

 

 

フッ、こっちは死ぬ気で戦ったって言うのによ……チョット最近調子に乗ってたからな……良い機会だ、心構えを変えようかッ

 

 

「……今は、たぶん俺はアンタには勝てねえ」

 

 

「ンン、まあそうだろうなァ、経験の差が大きすぎるからな」

 

 

「だけどッ!!……俺はアンタに勝つ。今勝てなくてもこの戦でいろいろと俺に積み重ねていく。『戦闘の経験』だけじゃあ無いッ!『次に勝つ勇気』を俺は手に入れていくッ!!」

 

 

「そんな勇気は弱者の戯言だぜェ、次は無い、そんな戦いがこの世にはたくさんある……お前は、そんなことを体験したことないからこそそんなことを言えるんじゃあないかァ?」

 

 

そうかも、いや……ある。少なくともスタンドを液状にさせるスタンドを持ったアイツとの戦い……、戦いと言うよりあれは後処理か、勇敢に戦ったのは新だ。

 

 

「戦い事態は無い、のかもしれないが……知らない訳ではないッ」

 

 

「ハッ!知っていようが理解して無きゃ意味はねえぞォ!!」

 

 

「じゃあよおッ!今理解していくぜッ!!」

 

 

見極めろ俺、がむしゃらにダメージを与えるように攻撃するんじゃあない、この男柳哲彦の攻撃の癖、パターン、そして考え方をしっかりと見極めるんだ……ッ!

 

 

「そうかよォ!だったら俺のスタンド!特と味わっていきなァ!!」

 

 

柳哲彦のスタンドが俺を攻撃するために動き出す。

このスタンドは速さがあまり早くない。それだけが救いであり突破口の筈なのだ。この男が頭がよくなければ、だったがな。

 

 

「ハッ!そんなもん不味くて吐き出しちまうだろうよッ!!」

 

 

神に祈らない、運だと割り切ることもしない。

……こっから先の人生、俺は自分の力で道を切り開いていこうじゃあないかッ!

 

 

「ウララァッ! 殴り合うと思ったかッ!俺は正面からじゃあお前には勝てないってわかってんだよ!」

 

 

柳哲彦が一撃を出したと同時に俺も2発打ち込む。そうしてラッシュを繰り出したと思わせッ、俺はこの男から距離を取るッ!!

 

 

「ッ!ッとお!だが俺の能力を忘れてんじゃあねえだろうなァ!!」

 

 

だが男の能力で俺は男の目の前に戻される。

 

 

「今のような真似で俺を出しぬけると思ったんならよォ!まだお前が俺に勝つには百年早いぜェッ!!」

 

 

スタンドの拳が飛んでくる……が、俺の顔に浮かんでいたものは笑みだった。

 

 

「そんな簡単な方法で出しぬけるとは思ってないな……俺の目的が距離を取ることならな!!」

 

 

「ッ!何イ!!?」

 

 

俺は攻撃を避け、そしてあるものを投げる。―――俺が今取りに行ったテニスボールをッ!!

柳哲彦、いくらアンタのスタンドのパワーが強かろうが、いくらアンタが経験を積んでいようが、分かんねえものには一瞬だろうが不意を付かれるんだッ!

 

ここで相馬さんに言われた言葉を思い出す。相馬さんと戦ったときに言われたことだ。

 

『いいかい錬君、君はスタンドのスピードやパワーがそこまで優れているわけでもないし、錬君は経験が少ないからある程度相手の攻撃を読んだりとかそういう事をする事も出来ないしまだ能力を十全に使いこなすって事もできてない』

 

『じゃあ俺はダメダメって訳か……』

 

『いや、経験を積めばいいだろうしスタンドは何もステータスで決まるわけじゃない。まあ能力の方も要練習だね。でもね、努力とかそういう物じゃあ無くて、天性の物が一つ錬君にはある』

 

『……天性、才能っすか?そんなもの一般ピーポーな俺にあるとは思えないだが……』

 

『いや、あるよ。普段の生活じゃああまり分からないかもしれないけどね、錬君、さっき言った成長祖億度もそうだが君はね――――』

 

 

 

 

 

『攻撃の発想がそこらへんの奴らより長けているんだ』

 

 

相馬さんッ!アンタのこの言葉ッ!信じていいんだよな!?

こんな避けられたら終わりな手、正直進んでやろうとは思わないけど……何でも試さないと俺じゃあ勝機が見えてこないってもんだからなッ!!

 

 

「こんな至近距離だと流石のアンタも避けられないだろッ! ウラァアッ!!」

 

 

「能力はまだ使えねえ……ッ!ハッ!最高におもしれえじゃあねえかッ!!」

 

 

この技の威力を知っているはずなのに、この男は避けようとはしなかった。

それどころか逆に殴り掛かったッ!!

 

 

「グウウゥ……ッ!」

 

 

俺が投げたテニスボールに殴り掛かった男は、苦渋の声を漏らす。

 

 

「……ッ!だがァ!テニスボールだったことが仇となったなァ!!!」

 

 

「ッ!!?……チッ」

 

 

なんてこったッ!確かにダメージは有っただろうが……跳ねる力が強いボールだという事が仇になっちまった……ッ!

テニスボールは俺の方向に殴り飛ばされた。だが勢いは無かったから取ることはできたが……威力はけっこう落ちちまったな……

 

 

「この期に及んで俺に対して手加減してんのかァ!?見損なったぜッ!お前はそこらへんの甘ちゃんじゃあないと思ってたのによォ!!」

 

 

「好き放題言いやがって……ッ!テニスボールを渡してきたのは相馬さんだっ……ッ!?」

 

 

まてよ……、相馬さんだぞ、あの人が何も考えずにこんな物を渡すはずがない……何でだ、何で相馬さんはテニスボールをわたした……?

 

 

「錬よおッ!お前にはきたいしているんだぜェ!今はそんな甘ちゃんでもよォ、次に戦うときはよォ!!もっと強くなってこいッ!!」

 

 

男は一瞬にして俺の背後に移動し、完全に仕留める気で攻撃をしてきた。

……ちょっと待てよ!まだ考えてんだろうがッ!!

 

 

「ぶっ飛びなァアッ!!!」

 

 

だが、そんな思いも汲み取られるはずがないのである。

 

 

「ウゴォッ!!――――――――ギッ!!?」

 

 

……確かに今の俺の体が小学生の小さな体だ……簡単に浮かんで吹っ飛ぶってもんだよな、……だけど壁にぶつかった後バウンドしてそのまま地面で顔面からズリズリッと滑って行くとはな……ッ、さすがに男のスタンドのパワーが強いか……

 

 

「ウぐゥ……ッ、ゲホッ……」

 

 

っつう……ッ!さすがにこれは効いた、つうより聞いたってレベルじゃあねえな……ハハッ、この俺の体質は慣れてないものなら激痛による俺の精神的感情も薄く……するんだな……でも、今はこれに百パーセントマジに感謝だッ!!!

 

 

「うぎぎぎぎ……体は痛む、力は出ない。頭がくらくらする……俺は死神かなんかの悪運が付いてるのかもしれねえ、ほんっと、ピンチになるとこう言う……光がさ、アンタを倒す『方法』と『希望』が見えてくるんだ。ほら、いつも若干濁ってる俺の眼も心なしか光ってる気がしねえか?」

 

 

何気に離さなかったテニスボールは俺の手にあるッ!

吹っ飛ばされたおかげで俺は壁沿いにいるッ!

肉体は万全じゃあないが俺はスタンド使いだッ!

能力も今の俺ならもっと使いこなせる気がする!いやッ、使いこなして見せるッ!!

 

 

「……何言ってんだァ?」

 

 

「言葉はもういらねえ、さっきも言ったが俺がアンタを倒す。それがすべてだ!!」

 

 

「……そうかいッ!!じゃあ行動で示してみなァッ!!」

 

 

「言われなくてもッ!ウラアァッ!!」

 

 

いつも道理軽くしてからボールを投げつけるッ!!

 

 

「ハッ!その手にはもう引っかからねえよッ!!」

 

 

しかし、男は能力を使って俺の真後ろに移動してしまうッ!!

 

 

「ハッハーッ!これで最後だァ!!」

 

 

この男は常にすぐに攻撃、引くぐらいなら攻撃。そんな性格の男だと思ってる……俺の攻撃も普通に回避するために避けるんじゃあない。次の攻撃が一番当てやすいように避けているんだ……

 

だから!今も左右に避けるんじゃあなくて俺の目の前か後ろに来ると思ったよッ!!

 

 

「ウラァッ!!」

 

 

「よわっちいぜェッ!!」

 

 

俺の全力の攻撃もアンタにとっちゃあ紙切れみたいなもんだろうが……何とか軌道を逸らすことは出来た!

 

 

「だがまだまだ次があるぜェ!!」

 

 

男が再攻撃してくるッ!その瞬間!俺はしゃがんだ!

 

 

「……ンン?何だァ?…………ッ!!?」

 

 

そしてッ!俺の頭上を通り過ぎ!凄い勢いで『テニスボール』が柳哲彦に向かって飛んで行った!!

 

 

「確かに俺の体は小学生だから小さいけどなあッアンタからボールを隠すことぐらいはできるんだぜェッ!!」

 

 

俺がさっき狙って投げたのは柳哲彦ッ!アンタじゃあないんだよ!俺が狙ったのはその後ろの壁だッ!!

 

あの時いつも道理軽くして当たる直前に重くした。……そしてッ!当たった瞬間に重さを軽くしたッ!!そうすれば強い衝撃で軽いものだから勢いよく跳ね返ってくるんだよ!!

いつもなら能力をそんなに使いこなせねえかもしれねが……俺と俺のスタンドは成長したッ!!

 

 

「何イイイイイ!!?」

 

 

「やはりアンタの欠点はスピードの遅さだ!次々いうならアンタがまず先にそれを直してきなッ!!」

 

 

そしてッ!男に当たる直前で重くするッ!!

 

 

「能力の移動もまだ使えねえしアンタのスタンドも間に合わねえだろッ!!」

 

 

「……ッ!!、ハハハハハハハハハハハッ!!!!やっぱり錬ッ!お前は最高におもしれえなァッ!!!!」

 

 

そして―――柳哲彦は吹っ飛んで行った。

 

 

「……フン、ありがとうよ……今度こそ……ありがとう、だ」

 

 

マジのマジに今度は勝ったッ!!

なによりッ成長したという実感が出来たッ!!

 

 

「さてと……今度こそ相馬さんの所に行こうか……ッ、ってああ……ちょっと休憩してから……だな」

 

 

ちょっとすぐには行動できそうにないな……

俺は壁にもたれかかって空を見上げた

 

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