love live!! そして彼女達の青春が始まる   作:二階堂吉四六

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始めまして、二階堂吉四六と申します。更新頻度は1本/週を目安にしていきたいと思います。
よろしくお願いします。


♯1 音ノ木坂オ・デビュ

3月、桜も盛りを過ぎ、新緑が見え始める頃、僕はこの町に戻ってきた。

 

幼い頃に過ごした懐かしい町。優しさとほんの少しのずうずうしさがやけに心地良い、そんな町。好きだったあの子はもうこの町を出たと人伝に聞いたのだけれども、思い出はまだ、そこら中に残っているーーー

 

東京都千代田区神田。僕は、この町に、戻ってきた。

 

 

 

 

 

 

♯1 音ノ木坂オ・デビュ

 

 

 

 

 

 

 

コンコンーーー

硬質な音をドアが奏でる。流石に学院長室ともなれば防音性を重視するのだろう、厚みのあるいい木を使ってるようだ。表面は荘厳な彫りの植物、蔓だろうか、が描いてあり、そこが如何にも入りにくさを助長している。さて、果たして中にいるのはどんな人物だろうか、と思いを馳せていると、鈴の鳴るような透明感のある声が響いてきた。

 

「どうぞ」

 

すこし声の若さに驚きながらもドアノブに手をかける。

 

「失礼します」

 

入室すると、中は意外とシンプルに纏まっていた。赤い絨毯と、左手に応接スペース、正面には大きなデスク、そしてーーーー

 

「本日付で音ノ木坂学院に赴任しました、神波 樹です。よろしくお願いします。」

 

「はじめまして、神波先生。私は本学院の理事長をしています、南です。急に呼び出してごめんなさいね。」

 

年齢不詳の美人がそこにいた。おい、どう見ても高校生の娘さんがいるようには見えないぞ!もっとおばちゃんを想像してたのだが……

 

「いいえ、お気になさらず。職員室の整理がありましたし、引き継ぎも出来ましたので。それで、学院長先生が何御用でしょうか?」

 

そう、実は僕は本日4/1付でこの音ノ木坂学院の英語講師として赴任することになったのだ。前任の先生は一年間の産休を取るそうだ。目下就活中であった僕は書類を片っ端から送っており、(もちろん学校だけでなく私企業にも送っていた)運良くこの学院の面接を突破、採用になったのだ。前任の先生の妊娠も学院に取っては寝耳に水だったようで、(おそらくダブルハッピーな婚姻だったのだろう)早急に講師が必要だったそうだ。僕の採用はトントン拍子に決まったらしい。なんせ、面接の時には校長、教頭の2人しかおらず、「是非春から宜しくね‼︎」と言われたのだ。仮にも伝統ある女子校なのにこんな得体の知れない男性教員入れていいのか、経営陣。と思ったのだが、渡りに船、無い袖は振れないのである。これも社会が悪い。景気なんとかしてくれよ、もう。

 

 

「そう、実は神波先生にお話ししておきたいことがあるのです。良い方と悪い方、どちらから聞きたいですか?」

 

すこし沈鬱な表情の理事長。色っぽい……はっ、一瞬惑わされそうになったぜ、この美魔女め!!

 

「では、良い方からお願いします。こういう時は悪い方を重視したいので。」

 

「分かりました。実は前任の伊藤先生ですが、産休が明けても学院には戻ってこない事になりました。先日校長先生伝に連絡がありました。ですので神波先生は1年だけ講師をお願いしていましたが正式にこの学院の教師になっていただこうと思います。」

 

mjd?ktkr!一気に半ニート脱出!

 

「そうですか、ありがとうございます。それで、悪い方は?」

 

「実は昨今の学院に対する入学者数の減少により、理事会は廃校を検討しました。夏の進路希望、オープンハイスクールの結果によっては来季以降の入学者受け入れを行わないこととします。すなわち三年後にはこの学院は無くなってしまう、ということです。」

 

「こう言っては失礼ですが、差し引きゼロな感じですね。」

 

正社員にはなるけれども三年間限定ね‼︎みたいな。前任の先生もこれが分かってたのではないのか……

沈んでいく船に乗りたがる奴はいないからな……俺にとっては今沈むか後で沈むかだけど。

 

「そうなの、来たばかりで申し訳ないけれどお願い出来るかしら?」

 

「ええ、構いませんよ。もとより契約期間が終わったらまたニートになってましたし、働けるだけでもありがたいです。よろしく願いします。」

 

はい、延命行為ktkr。今すぐニートになるよりは三年後にニートになった方がいいでござる‼︎退職金ももらえるし‼︎軽く頭を下げる。頭を上げるとホッとした顔の学院長と目があった。

 

「良かったわ、納得してもらえて。本当にいきなりだったから怒られたりしたらどうしようかと思っていたの。ありがとう、神波先生。」

 

「いえいえ、こちらこそ何か粗相をしたことを咎められるのでは、と肝を冷やしました。」

 

「ふふ、登校初日でもう粗相をしてしまったのかしら?結構やんちゃのなのね、神波先生は。」

 

「いやいや、やんちゃじゃないと大学卒業してから履歴書に2年も空白期間作りませんよ。」

 

「そういえば、聞いておきたかったのだけれど、その期間はなにをしていたのかしら?」

 

「そうですね、一言で言うとーー流しのピアニストですね。」

 

 

 

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そして、翌々日、入学式&始業式である。

 

新入生は新しい学校への期待で、在校生は新しいクラスに一喜一憂しながら入場してくる。どうやら新任の先生の紹介や担任の発表はこの場で行われるようだ。って、新任教師俺しかいないじゃないか……式は粛々と進み、いよいよ新任教師発表と担任発表の時間だ。

 

『それでは新任の先生の紹介です。神波先生、よろしくお願いします』

 

ふっ、来たな。クールに決めてやるぜ!

 

落ち着いた足取りで壇上に向かう。国旗に一礼、先生方、保護者方に一礼、そして生徒たちに一礼。マイクに向かう。

 

「は〝し〝め〝ま〝し〝ーーーー」

 

いきなりのハウリングである。マイクチェックはどうした、いや俺の声がでかかったのか。失態失態。オーディエンスも少々笑っているようだ。恥ずかしいぃぃぃ。

次は大きくならないように、

 

「始めまして。本年度より赴任しました、神波 樹、と申します。担当教科は英語です。先日4/1付で本校に入ったので、新入生の皆さんとは同級生になります。一緒にこの学校の良い所を探しましょう。在校生の皆さんは先輩になります。この学校の楽しい所を沢山教えてくださいね。大抵は職員室に居ますので、英語の質問があれば何時でも来てください。よろしくお願いします。」

 

よし、スムーズにいったね。バッチリだ。

 

『神波先生には2年2組の担任をしていただきます。また、前任の伊藤先生に引き続き生徒会執行部の副顧問をして頂くことにーーーー』

 

 

 

××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××××

 

 

 

その人が壇上に上がった時、

 

私は言いようもない感情に支配されました。どきどきと鼓動が止まらず、ずっとその人を見つめていたくなるような、そんな気持ち。私がこの感情に名前を付けるのは、もう少し先の話。

 

 

 

 

この物語は、私達の青春についての、そして、私がこの感情に名前を付ける物語ーーーーーー

 

 

 

 




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