第一幕 戦端
【ホメオスタシス】
「第一次ルーチェモン戦役。その最終局面を迎えた中央聖域では、かつてない力同士が対峙していました」
(狭間劇場のスクリーンに、中央聖域の外門が映し出される。白い城壁に囲まれた広場には、十体の究極体が並び、その正面には白と黒の翼を広げたルーチェモン:フォールダウンモードが立っていた)
(かつて多くのデジモンを救った天使と、その支配に抗うため究極体へ進化した十戦士。双方が望むものは、同じ平和であるはずだった)
(だが、その平和に至る道は、決定的に異なっていた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「最後に、もう一度だけ聞くよ。君たちは僕の秩序に従うつもりはないんだね?」
【グレイモン】
「ない。俺たちは誰かに支配されるために生きているんじゃない」
【ガルルモン】
「お前が争いをなくしたいと思っていることは分かる。だが、そのためにすべての自由を奪うなら、俺たちは止める」
(ルーチェモンは残念そうに目を伏せた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「自由、自由って……君たちはそればかりだね。自由があるから争いが起こる。誰もが勝手に振る舞うから、弱い者が傷つくんだ」
【ホーリーエンジェモン】
「だからといって、すべての者の意志を奪うことが正しいとは思えません」
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……君まで、また同じことを言うんだ」
(その声から、穏やかさが消えた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「分かった。だったら、力で示すしかないね」
(白と黒の翼が大きく広がり、ルーチェモンの周囲に異質な光が渦巻く)
【アルケーエンジェモン】
「来るぞ! 全員、構えろ!」
(十戦士が一斉に身構えた)
(最初に動いたのは、グレイモンだった)
【グレイモン】
「うおおおおっ!」
(巨大な翼を広げ、炎をまとった身体が一直線に突進する。進化前とは比較にならない速度と質量を備えた一撃が、ルーチェモンへ迫った)
(だが、ルーチェモンはその場から動かなかった)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……遅いよ」
(片手が振り上げられる)
(衝突の瞬間、グレイモンの巨体が横方向へ弾き飛ばされた)
【グレイモン】
「ぐっ……!」
(グレイモンは地面を削りながら着地する。大地に深い爪痕が刻まれた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「究極体になったからって、僕に勝てると思ったの?」
【ガルルモン】
「一体で勝てるとは思っていない!」
(ガルルモンが地面を蹴った)
(白銀の閃光がルーチェモンの側面へ回り込み、鋭い斬撃を放つ。ルーチェモンが振り向いた瞬間、その反対側からグレイモンが再び突進した)
【グレイモン】
「今度は二体だ!」
(炎と光が、左右から同時に迫る)
(ルーチェモンの表情が、わずかに変わった)
⸻
第二幕 十戦士の連携
(ガルルモンの刃を回避したルーチェモンは、上空へ飛び上がろうとした)
(しかし、その頭上に巨大な影が落ちる)
【メガテリウモン】
「逃がさん!」
(メガテリウモンが冷気を解き放ち、空中に氷の障壁を形成する)
(ルーチェモンは進路を変えた。だが、その先にはイリスモンが待ち構えていた)
【イリスモン】
「ここは通さないわ!」
(激しい風が吹き荒れ、ルーチェモンの身体を地上へ押し戻す)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……へえ」
(地面へ降りたルーチェモンの足元で、岩盤が盛り上がった)
【ボルケーモン】
「捕まえたぞ!」
(巨大な岩の壁が四方から迫り、ルーチェモンの動きを制限する)
【トロイアモン】
「補強する!」
(トロイアモンの力が岩壁を支え、簡単には崩れない牢獄へと変えた)
【ビートモン】
「そこだ!」
(雷光が走った)
(幾筋もの雷撃が岩壁の隙間を縫い、内部にいるルーチェモンへ集中する)
(轟音とともに爆煙が広がった)
【オーガモン】
「やったか!?」
【ワイズモン】
「まだだ。油断するな」
(ワイズモンの警告と同時に、岩壁の内側から強烈な衝撃が走った)
(轟音を立てて岩が砕け散る)
(その中心から現れたルーチェモンは、わずかに衣服を乱していたものの、大きな傷を負ってはいなかった)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……なるほど」
(ルーチェモンは十戦士を見回した)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「一体ずつなら大したことはなくても、十体で協力すれば、僕の動きを制限できるんだね」
【スフィンクモン】
「その通りだ」
(スフィンクモンが静かに前へ進む)
【スフィンクモン】
「我々は、お前のように一体ですべてを支配しようとは思わない」
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……それが君たちの答え?」
【スフィンクモン】
「ああ。互いの足りないものを補い合う。それこそが、我々の選んだ道だ」
(ルーチェモンの瞳が細められる)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「だったら、その絆がどこまで通用するのか試してあげるよ」
(黒い翼から、禍々しい力が溢れ始めた)
⸻
第三幕 守るための戦場
(戦場の後方では、三大天使が抵抗軍と中央聖域の住民を守っていた)
(ルーチェモンと十戦士の戦闘は、広場の地面を砕き、周囲の建造物を震わせるほど激しいものとなっていた)
【エンジェウーモン】
「負傷者はこちらへ! まだ動ける方は、崩れた建物から離れてください!」
(エンジェウーモンが治療を施し、倒れた兵士を助け起こす)
(そこには北方抵抗軍の者だけでなく、中央聖域軍の兵士もいた)
【中央軍兵士】
「……なぜ、敵である我々を?」
【エンジェウーモン】
「今は敵かもしれません。でも、あなたもこの世界で生きる一人です」
(兵士は何も言えなかった)
(その時、戦場から巨大な衝撃波が押し寄せる)
【アルケーエンジェモン】
「伏せろ!」
(アルケーエンジェモンが前へ飛び出し、防御の力を広げた)
(衝撃波が結界へ激突し、凄まじい音を響かせる)
【アルケーエンジェモン】
「くっ……!」
【ホーリーエンジェモン】
「支えます!」
(ホーリーエンジェモンが加わり、二体の力で結界を維持する)
(やがて衝撃波が収まり、周囲にいた住民たちから安堵の声が漏れた)
【アルケーエンジェモン】
「……助かった」
【ホーリーエンジェモン】
「まだ戦いは始まったばかりです。ここを守り抜きましょう」
(ホーリーエンジェモンは遠くの戦場を見つめた)
(その先では、かつて自分たちが仕えた主君が、十戦士と激しくぶつかり合っている)
【ホーリーエンジェモン】
「ルーチェモン……」
(その名を呼ぶ声には、悲しみが滲んでいた)
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第四幕 光と闇の力
(戦場中央)
(ルーチェモンが片手を掲げると、周囲に白と黒のエネルギーが集まり始めた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「少し、本気を出そうか」
(空気が変わった)
(それまで十戦士の攻撃を受け流していたルーチェモンの周囲に、触れることさえ危険だと分かるほど濃密な力が渦巻く)
【ワイズモン】
「全員、散開しろ!」
(直後、ルーチェモンの力が爆発した)
(白と黒の光が広場を駆け抜け、地面を抉り取る)
【グレイモン】
「ぐああっ!」
(グレイモンが直撃を受け、地面へ叩きつけられた)
【ガルルモン】
「グレイモン!」
(ガルルモンが駆け寄ろうとした瞬間、ルーチェモンがその前へ現れる)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「余所見はよくないよ」
(強烈な蹴りがガルルモンの身体を捉えた)
(白銀の巨体が宙を舞い、遠くの岩壁へ激突する)
【イリスモン】
「二体とも!」
(イリスモンが救援へ向かおうとする)
(しかし、ルーチェモンはその進路へ光弾を放った)
【イリスモン】
「きゃあっ!」
(イリスモンは風を使って直撃を避けたが、衝撃で体勢を崩す)
【ビートモン】
「この野郎!」
(ビートモンが雷撃を放つ)
(ルーチェモンは片手で受け止め、指先から黒い光を返した)
【ビートモン】
「ぐっ……!」
(雷撃が押し返され、ビートモンが後退する)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「どうしたの? さっきまでの勢いは?」
(ルーチェモンの表情には、余裕が戻っていた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「究極体になった程度で、僕に勝てると思わないことだね」
(その言葉を聞きながら、グレイモンはゆっくりと立ち上がった)
【グレイモン】
「……まだだ」
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「ん?」
【グレイモン】
「俺たちは、まだ終わっちゃいない!」
(グレイモンの咆哮が戦場へ響き渡った)
(それに応えるように、ガルルモンも立ち上がる)
【ガルルモン】
「……そうだ。俺たちは、あの日のままじゃない」
(十戦士は再び隊列を整えた)
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第五幕 十の意志
【ホメオスタシス】
「ルーチェモンの力は、十戦士の予想を超えていました。究極体へ到達したことで、彼らは初めてルーチェモンと正面から渡り合えるようになったのです」
「ですが、それは勝利を保証するものではありませんでした」
(十戦士は互いの位置を確認しながら、少しずつ間合いを広げた)
【ワイズモン】
「単純な連携では通用しない。相手はこちらの攻撃を見切り始めている」
【メガテリウモン】
「ならば、どうする?」
【ワイズモン】
「十体の力を、別々の方向からではなく、一つの流れとして使う」
【マーメイモン】
「一つの流れ……?」
【ワイズモン】
「我々が攻撃する順番を変える。防御、拘束、誘導、攻撃。そのすべてを連続させるんだ」
【スフィンクモン】
「なるほど。相手に次の行動を選ばせないというわけか」
【グレイモン】
「よし。やろう!」
(十戦士が動き出した)
(最初に仕掛けたのはマーメイモンだった)
【マーメイモン】
「お願い、みんな!」
(水流が地面を走り、ルーチェモンの足元へ広がる)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「水で僕を止めるつもり?」
(ルーチェモンが飛び上がる)
(だが、その瞬間、メガテリウモンが冷気を放った)
(地面を覆っていた水が一瞬で凍り、無数の氷柱となって上空へ伸びる)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……!」
(ルーチェモンは翼を広げ、氷柱の間を抜けようとした)
【イリスモン】
「そうはさせない!」
(風が渦を巻き、ルーチェモンの進路を狭める)
(その先で、ビートモンの雷撃が待ち構えていた)
【ビートモン】
「食らえっ!」
(雷光がルーチェモンを包み込む)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「くっ……!」
(初めて、ルーチェモンの身体が大きく揺らいだ)
(その隙を逃さず、ボルケーモンが地面を持ち上げる)
【ボルケーモン】
「今だ!」
(巨大な岩柱がルーチェモンを押し上げた)
(トロイアモンが周囲の足場を固定し、ルーチェモンの退路を塞ぐ)
【トロイアモン】
「これで逃げ道はない!」
(さらに、スフィンクモンが闇の力を広げ、ルーチェモンの周囲へまとわりつく)
【スフィンクモン】
「その力、しばらく抑えさせてもらう」
(ルーチェモンの周囲で渦巻いていた黒い力が、一瞬だけ乱れた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……何?」
【ワイズモン】
「今だ、二体とも!」
(ワイズモンの声が響く)
(グレイモンとガルルモンが、左右から同時に飛び出した)
【グレイモン】
「うおおおおおっ!」
【ガルルモン】
「はああああっ!」
(炎と光が交差する)
(グレイモンの巨大な爪がルーチェモンを捉え、ガルルモンの鋭い斬撃がその防御を切り裂いた)
(轟音が響き、ルーチェモンの身体が地面へ叩きつけられる)
(地面に巨大な亀裂が走った)
(爆煙が広場を覆う)
【ビートモン】
「……どうだ!」
(十戦士は息を整えながら、煙の向こうを見つめた)
(やがて、煙がゆっくりと晴れていく)
(そこには、片膝をついたルーチェモンの姿があった)
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第六幕 初めての傷
(ルーチェモンは、しばらく動かなかった)
(白と黒の翼には傷が刻まれ、頬には細い亀裂のような損傷が走っている)
(彼はゆっくりと自分の頬へ手を伸ばした)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……僕に、傷を?」
(指先に触れた傷を見つめる)
(その表情から、微笑みが完全に消えた)
【グレイモン】
「……どうだ」
(グレイモンが荒い息を吐きながら、一歩前へ出る)
【グレイモン】
「俺たちは、もうお前に一方的に倒されるだけの存在じゃない!」
【ガルルモン】
「ルーチェモン。まだ間に合う。ここで戦いを終わらせよう」
(ルーチェモンは答えなかった)
【ホーリーエンジェモン】
「ルーチェモン!」
(ホーリーエンジェモンが前へ出る)
【ホーリーエンジェモン】
「もう十分でしょう! あなたも、彼らの力を認めたはずです!」
【エンジェウーモン】
「これ以上、誰も傷つく必要はありません!」
(ルーチェモンは、ゆっくりと顔を上げた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……認める?」
(その声は、驚くほど静かだった)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「僕が、君たちを?」
(ルーチェモンが立ち上がる)
(その周囲で、白と黒の力が再び渦巻き始めた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……勘違いしないでほしいな」
(翼が大きく広がる)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「僕は、まだ本当の力を見せていないんだよ」
(その瞬間、中央聖域全体が震えた)
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第七幕 死か、生か
(ルーチェモンの周囲に、白と黒の球体が現れた)
(その数は次第に増え、やがて広場の上空を埋め尽くす)
【ワイズモン】
「……まずい!」
(ワイズモンが叫ぶ)
【ワイズモン】
「全員、最大防御!」
(ルーチェモンが両腕を広げた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「《デッド・オア・アライブ》」
(白と黒の力が、一斉に解き放たれた)
(十戦士は即座に防御へ移る)
【ボルケーモン】
「全員、俺の後ろへ!」
(ボルケーモンが巨大な岩壁を形成する)
【トロイアモン】
「支える!」
(トロイアモンが岩壁を補強する)
【メガテリウモン】
「冷気を重ねるぞ!」
(氷の層が岩壁を覆う)
(さらに、マーメイモンの水流とイリスモンの風が加わり、複数の防御層が完成した)
(しかし、白と黒の力は、そのすべてを容赦なく削り取っていった)
【ボルケーモン】
「ぐっ……なんて力だ!」
【トロイアモン】
「まだ……持ちこたえろ!」
(防御壁が砕ける)
(爆発が広場を包み込み、十戦士の身体を次々と吹き飛ばした)
【グレイモン】
「ぐああああっ!」
【ガルルモン】
「くっ……!」
(グレイモンとガルルモンは地面へ叩きつけられた)
(周囲の建造物にも衝撃が及び、遠くで悲鳴が上がる)
【エンジェウーモン】
「住民を守って!」
【アルケーエンジェモン】
「結界を維持しろ!」
(三大天使が力を合わせ、避難区域を守り抜く)
(やがて爆発が収まった)
(広場には、巨大な亀裂と深い穴が残されていた)
(十戦士は全員生きていた)
(しかし、その身体には無数の傷が刻まれていた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……まだ立てるんだ」
(ルーチェモンは、少しだけ驚いたように呟いた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「やっぱり、究極体は違うね」
(その言葉に、グレイモンが歯を食いしばる)
【グレイモン】
「……当たり前だ」
(グレイモンは震える脚で立ち上がった)
【グレイモン】
「俺たちは……まだ、終わらない!」
⸻
第八幕 失われかけた希望
(十戦士は再び立ち上がったものの、先ほどまでの勢いは失われていた)
(ルーチェモンの攻撃は、彼らの防御を容易く貫き、連携を崩していた)
【ビートモン】
「くそっ……あれだけ攻撃したってのに……!」
【メガテリウモン】
「落ち着け。焦れば、また同じことになる」
【マーメイモン】
「でも、このままでは……」
(マーメイモンが言葉を切る)
(ルーチェモンは、そんな彼らを見下ろしていた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「もう分かったでしょう? 君たちがどれだけ強くなっても、僕には届かない」
【スフィンクモン】
「……まだ、そうとは決まっていない」
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「強がりだね」
(ルーチェモンがゆっくりと宙へ浮かび上がる)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「君たちの言う自由も、絆も、結局は力がなければ守れない。だからこそ、僕が世界を管理する必要があるんだ」
(その言葉を聞きながら、ガルルモンは静かに立ち上がった)
【ガルルモン】
「……違う」
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「何が?」
【ガルルモン】
「力が必要なのは、認める。俺たちは弱かった。仲間を守れなかった」
(ガルルモンは、周囲の仲間たちを見回した)
【ガルルモン】
「でも、力があるから正しいわけじゃない」
(グレイモンも立ち上がる)
【グレイモン】
「そうだ。俺たちが強くなったのは、誰かを従わせるためじゃない!」
(十戦士の視線が、再びルーチェモンへ向けられた)
【グレイモン】
「……守るためだ!」
(その言葉と同時に、十体のデジコアが淡く輝いた)
(それは、まだ彼ら自身にも理解できない変化だった)
⸻
第九幕 最後の抵抗
(ルーチェモンが上空から降下する)
(その身体を包む白と黒の力は、先ほどよりもさらに濃密になっていた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……もう終わりにしよう」
(彼が両腕を広げる)
(次の瞬間、ルーチェモンの身体が高速で動き出した)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「《パラダイスロスト》!」
(凄まじい速度の連続攻撃が、十戦士へ襲いかかる)
(最初に吹き飛ばされたのはビートモンだった)
【ビートモン】
「ぐあっ!」
(続いてメガテリウモンが地面へ叩きつけられる)
【メガテリウモン】
「ぐっ……!」
(イリスモンが風で逃れようとしたが、ルーチェモンはその進路を先回りした)
【イリスモン】
「そんな……!」
(強烈な一撃がイリスモンを捉える)
(さらに、ボルケーモンとトロイアモンの防御を突破し、マーメイモンとワイズモンを吹き飛ばした)
【ワイズモン】
「……速すぎる……!」
(スフィンクモンが闇の力で迎撃する)
【スフィンクモン】
「ここで止める!」
(だが、ルーチェモンはその力を正面から打ち破った)
【スフィンクモン】
「ぐああっ!」
(残されたグレイモンとガルルモンが、同時に前へ出る)
【グレイモン】
「うおおおおっ!」
【ガルルモン】
「はあああっ!」
(炎と光がルーチェモンへ迫る)
(しかし、ルーチェモンは二体の攻撃をかわし、その身体へ連続攻撃を叩き込んだ)
【グレイモン】
「ぐああああっ!」
【ガルルモン】
「ぐっ……!」
(二体が地面へ倒れる)
(ルーチェモンは、その中央へ静かに降り立った)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……終わりだよ」
(広場には、倒れた十戦士の姿があった)
(全員が生存していたが、立ち上がることさえ難しいほどの傷を負っていた)
(ルーチェモンは、そんな彼らを見下ろす)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「君たちの力は、確かにすごかった。でも、それだけだ」
(彼は、ゆっくりとグレイモンへ近づいた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「もう、諦めなよ」
⸻
第十幕 消えない誓い
(グレイモンは、地面に倒れたまま空を見上げていた)
(身体が重い)
(翼を動かそうとしても、思うように力が入らない)
(それでも、彼の意識ははっきりしていた)
(脳裏に浮かぶのは、北方の戦場だった)
(消滅していった仲間たち)
(傷ついたパンジャモン)
(そして、あの日交わした誓い)
【グレイモン】
「……まだだ」
(グレイモンが、地面へ爪を立てる)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……まだ立つつもり?」
【グレイモン】
「……俺たちは……」
(その声は、かすれていた)
【グレイモン】
「……絶対平和を、誓ったんだ……!」
(ルーチェモンの表情が変わる)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……絶対平和?」
【グレイモン】
「誰も……誰かに支配されず……自分の意志で生きられる世界を……!」
(グレイモンが、ゆっくりと身体を起こす)
【グレイモン】
「……俺たちが、守るんだ!」
(その瞬間、グレイモンのデジコアが強く輝いた)
(同時に、ガルルモンのデジコアも光を放つ)
【ガルルモン】
「……そうだ」
(ガルルモンも、ゆっくりと立ち上がる)
【ガルルモン】
「俺たちは……まだ、負けていない」
(その言葉に応えるように、残る八体も身体を起こし始めた)
【ビートモン】
「……へっ。そうだな……」
【メガテリウモン】
「……ここで諦めては、あの誓いが嘘になる」
【イリスモン】
「……まだ、守りたいものがあるもの」
【マーメイモン】
「……私たちの未来を、誰か一体に決めさせたりしない」
(十体のデジコアが、同時に淡い光を放つ)
(ルーチェモンは、その光景を見つめていた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「……どうして?」
(その声には、初めて理解できないものへの戸惑いが滲んでいた)
【ルーチェモン:フォールダウンモード】
「どうして、そこまでして立ち上がるの?」
【グレイモン】
「……仲間が、いるからだ」
(グレイモンは、ガルルモンを見た)
(ガルルモンも、静かに頷く)
【ガルルモン】
「俺たちは、一体じゃない」
(十体の光が、少しずつ強まっていく)
(だが、それはまだ限界突破の完成ではなかった)
(彼らの内側で、何かが目覚めようとしていた)
⸻
終幕 未来へ続く光
(狭間劇場)
(スクリーンに映る十戦士の姿を、サイガは食い入るように見つめていた)
【サイガ】
「……すごい。あれだけやられても、まだ立ち上がるなんて」
【イグドラシル】
「十戦士の強さは、究極体になったことだけじゃないんだね。守りたいものがあるから、何度でも立ち上がれる」
【崑崙】
「ただし、精神力だけで勝てるほど、ルーチェモンは甘くない。彼らには、まだ何かが必要だね」
【ホメロス】
「ですが、その何かを生み出すのも、彼ら自身の意志なのでしょうね」
【サイガ】
「……まだ、何か起こるの?」
(ホメオスタシスは、静かにスクリーンを見つめた)
【ホメオスタシス】
「ええ」
(画面の中では、グレイモンとガルルモンが、再びルーチェモンへ向き直っている)
(その背後には、八体の仲間たちが立っていた)
【ホメオスタシス】
「十戦士の戦いは、まだ終わっていません」
(十体のデジコアが、同時に輝きを増していく)
(それは、まだ誰も知らない力の始まりだった)
【ホメオスタシス】
「次に観測するのは、十戦士が最後に辿り着く答え。そして、原初の世界に刻まれる、一つの決着です」
(スクリーンがゆっくりと暗転する)
第14話「光と闇の激突」――完。
次回 第15話「原初の天使」