デジモンストーリー・タイムストレンジャー IF:時の狭間 作:通りすがりのヌメモンA
ふと思いついた、タイストのアイギオモンとハカメモのエリカの共通点から、二人を絡ませるべく妄想しております。
とりあえずはタイストサイドからゆっくりと物語を進めていきたいと思ってます。
しばしお付き合いいただければ幸いです。
では、短いですが本編をどうぞ。
デジタルワールド・イリアス。
少し前までガーディアンパレスのユノモンが率いる世界勢力と、ダークフィールドのプルートモン率いるタイタン族との争いが絶えなかった世界。
しかし、世界の守護者として覚醒したデジモン・ユピテルモンによって争いは終わり、平和が齎された。
デジタルワールドの裏で暗躍していたのは、堕ちた英雄にして、かつて世界の時を司る時の歯車という存在そのものであったデジモン・クロノモン。
その野望を食い止め、ユピテルモンが新たな時の管理者としてその座に収まることで、ようやく世界は崩壊することなく前に進み始めた。
ーーーそしてこれは、世界がほんの少しだけ巻き戻ることによって、最後に揺らいだ時空が起こしたきまぐれ。
時空の歪みに住まうかのデジモンすら知り得ない、とある邂逅のお話…。
☆
「ぶっはあぁ〜〜〜〜!やっぱりいい酒じゃねぇか〜〜〜〜!!」
紫色の肌で真ん丸と太った巨体の神が大きく口を開けて笑っている。
にこやかな顔のまま、腹に開いたもう一つの大口に向けて、樽に詰まっていた酒をザバザバと注いでいく。
上の口から美味い美味いと言葉が溢れ、分かりづらいが顔色はどんどんと赤みを増していた。
元々はこのギアフォレストにある世界樹の守護者としてこの地に降り立つも、その使命への重責と戦いによる疲弊を誤魔化す為に大酒飲みとなった彼である。
しかして、ようやくその役目も終わり、永らく無かっただろう"次"を考えずに済む宴の場であるが故、普段以上に酒の進みも早かった。
「…過ぎたるは及ばざる如し、という言葉を知らんのか。森の集落の長が聞いて呆れる」
相対するは招かれた客人である緑の鬼神。
口からこぼれるのは斬撃の如く鋭い皮肉。
相棒の大剣は近くの地面に突き立てられたまま、鬼神の背もたれになっており、その近くで骨で出来た身体の乗騎が伏して肉に齧り付いていた。
地べたに腰を下ろした鬼神の手にも酒が並々と注がれた樽が一つ。
申し訳程度に付けられた取っ手に手をかけながら、豪快な相手とは違ってちびりちびりと口にしていく。
そんな鬼神の近く、彼と比べれば遥かに小柄な…とはいっても一般的な人間程度の体躯の赤い魔女が、置かれたテーブルに頬杖をついている。
どこかアンニュイな表情を浮かべ、ため息と共に言葉を吐き出す。
「いや、タイタモン様に同意する訳じゃ無いけれど、あの酔っ払いでホントに良くここまで森の守護が持ったわね。
…一度陥落させかけたアタシが言う事でも無いけどさ」
魔女の座るテーブルの対面に立つのは植物でその身を構成している神人だった。
桃色の花や深緑の蔦で飾られた仮面の下、口元に苦笑を浮かべながら女神は困った様な口調で応える。
「許してあげてね。
ようやく守護の役目から解放されて、何の瑕疵もなく騒げるようになったモノだから…」
「いや、アンタら毎日宴してたでしょうが…!
それも毎度毎度、アタシらを追っ払うのに成功する度に…あー、思い出すのもイヤだ!!
…プルートモン様も、何でアタシらをここに回したのやら」
女神のフォローを魔女は事実をもってバッサリ両断する。
似た者主従ここにあり、と言うべきか。
それに加えて同時にかつてのやらかしを思い出してか、自らもジョッキを仰いで酒を胃袋に流し込む。
困った様に微笑みながら、女神もまた手に持っていた杯を優雅に傾ける。
これがかつては謀略を尽くして殺し合った仲とは誰が信じようか。
何ならとある時間軸では、女神が女神へと至る事無く、酒飲みの神と共にこの魔女に謀殺されている。
…もっとも、その真実を知るモノは今となっては数知れたモノだが。
しばし、各々が器を乾かす時間に浸る。
ちらりと目をやれば、広場で騒ぐ両陣営の住人たちの姿が見える。
いつの間にか意気投合したのか、怪しげなピエロが自動傀儡と共に何やらステージで出し物をする様子。
ーーー爆発に巻き込まれたグリフォンが吹っ飛んだ。
途端に爆笑と阿鼻叫喚に包まれる会場。
鬼神と魔女は呆きれた視線だが、酒神と女神はいつものコトとばかりにどこか楽しげに見やっている。
吹っ飛んだグリフォンは部下のピポグリフがどうにか担いで回収して来た。
ーーー爆発に巻き込まれたトノサマカエルを筆頭とした歌唱団が吹っ飛んだ。
いつの間に出し物に参加していたのか、身体が骨だけの恐竜が、側から見ても分かる程動揺した仕草への変化で「やべっ!?」という感情を露わにしていた。
吹っ飛んだ歌唱団リーダーを鬼神が受け止め、恐縮する歌唱団団員達を他所に、表情など無い筈の骨恐竜が顔を青ざめさせる。
ーーー爆発を背にした蜂サイボーグが勝利のVを模したカッコいいポーズをキメた。
ーーー背にした爆発によって、緑赤青の鬼人達がコミカルに吹っ飛んだ。
頭に青筋を浮かべた魔女が片手を振るうと、空から観賞していた昆虫や妖精を避けて、鬼人三人衆のみが竜巻に巻き込まれて空へと消えていった。
鬼神の乗騎が牙を剥きながら大きく欠伸をする。
最終的に女神がピエロと傀儡に拳骨を落として叱りつけることで、出し物は終了した。
お読みいただきありがとうございます。
短くて寸切りでも、小まめに投稿できる様に頑張ります!
因みに、序章なのでお試しの様な形で一体を除いてデジモンの名称を入れないという縛りで描写を頑張ってみました。
ご意見などあれば、感想に放り込んでくだされば幸いです。
作中の出し物についてですが、自由に想像して下さい!
尚、ヌメモンの中では、
「消失マジック」「ジャグリング」「ヒーローショー」をイメージしております。