僕は初回特典は申し込めなかったし、今忙しくてやる余裕もないですが、今年中には絶対手に入れて、実況もやりたいという心境です…。
まあ、僕の愚痴は置いといて、本編をお楽しみください!
「…あなた、誰?」
「だ、誰って、私ですよ!魂魄妖夢!白玉楼の庭師で、あなたの護衛役でもある!」
「…庭師は妖忌じゃなかったかしら。それに私の護衛役の予定だった人も妖忌よ。一体何を言っているの?」
「え…?貴女の名は西行寺幽々子でしょう?でしたら…。」
「ええ。私は幽々子よ。でもあなたのような娘は知らないわ。」
「そんな…。」
妖夢は困惑したままその場に座り込み、やがて涙が両目から再び流れ出す。
「…変な娘。まるで、私がおかしなこと言っているみたいじゃない。」
嗚咽を漏らす妖夢を、幽々子らしき女性は冷ややかに見つめる。その時、地上では妖夢を見ていたアサギが妖夢の様子が可笑しいことに気づく。
「…どうしたんでしょうか?俺、ちょっと行ってきます。」
紫のそばに浮く霊魂;アサギは妖夢の元に向かうが、西行妖の周囲に結界らしき物が張り巡らされていて、アサギはそれに弾かれた。同時に、結界の壁が無色透明から白く濁っていき、中の様子が分からなくなっていく。その時、結界がドーム状になっているのをアサギ達は確認したが、正直いって彼らにはどうでもいいことだった。
「な、何で結界が…?それに、これじゃあ…。」
「ええ。妖夢が無事かどうかも分からない。エリックくん、試してみてくれる…?」
そう言われたエリックは大砲を構え、弾を発射する。炎のように赤い弾は結界に着弾すると、赤き光を伴ったそこそこの爆発が炸裂する。10秒も立たず、爆発による煙が収まり、着弾点が見えてきたが、傷ひとつついていない。
「うーん、アラガミバレットで傷ひとつ付けられないなんて…。ドームの中からオラクル反応が確認できるんだけどね…。」
歯軋りするエリックに、アサギは純然たる質問を投げ掛ける。
「…えっと、オラクル反応って、何ですか?」
「オラクル反応ってのは平たく言うと、敵がアラガミかどうかの指標だよ。僕のサングラスはそれを可視化できるんだ。あのドームの中に大樹の影と、人の影が一人分ある。それらがアラガミだよ。」
「へえ…、すごいですね、そのサングラス…。ってアラガミが二体もあの中に居るんですか!?それってヤバイんじゃ…。」
「うん。妖夢ちゃん、あの禍々しい剣もそこに置いていっちゃってるし…。」
そう言うエリックの視線の先には、地面に横たわる黒きオーラに覆われた日本刀があった。妖夢はアラガミに唯一対抗できるかもしれない手段を持たずに、ドームの中にいることを、その場に居たものは理解せざるを得なかった。
「…仕方ない。私が救出に行くわ。これでも"境界を操る程度の能力"を持つ大妖怪だし、本人が忘れていても、妖夢は幽々子にとって特別な娘だしね…。」
紫はそう言うと、結界に近づき、結界に穴を開けようと両手を触れた。その瞬間彼女の体が激しく痙攣し始める。
「あがががが、ででで電撃きいいい!?ゆゆゆゆ幽々子お、ななな何ででで…?」
そこまで言ったところで、紫はその場に倒れる。
「…紫様!」
アサギとエリックが駆け付けると、紫はまだ全身にわたって痙攣が続いていて、白目を剥き、口からは泡を吹いている。触れた両手は手のひらが黒く焦げている。大妖怪の往生としては、余りにも惨めである。
「紫様もこんなんじゃ、一体どうすればいいんだ…。」
アサギが頭を抱える代わりに地面に体を擦り付ける。その彼の耳に、気になる言葉が飛び込んできた。
「もう、彼の力を借りるしかないか…。」
その言葉にアサギは浮き上がって側にいるエリックを見た。エリックは自らの武器の大砲を地面に置いて、右手をズボンのポケットに突っ込む。再び取り出された右手には、妖夢が大好きだったウルトラマンティガにはよく出てきた、変身道具スパークレンスらしき物が握られていた。
その頃ドーム状の結界の中では…。
「ゆ、幽々子様…、何故…こんなことを…。」
妖夢の手や足、胴体には西行妖から枝が触手の様に絡み付いている。更にその枝は妖夢の身体を段々きつく締め付ける。
「妖夢ちゃん、って言ったっけ?私はあなたを知らないけど、私を慕ってたのなら、なってくれないかしら?尊い犠牲に…。」
「尊い…犠牲…?何の…ですか…?」
「この西行妖のよ。この樹はね、我が西行寺家の繁栄を願ったお父様が私たち子孫に残してくれたものなの。まあ、それを快く思わない人達に封印されちゃったけどね。」
そう言って、幽々子は西行妖の幹の肌を撫でる。それがまるで喜ばしいと言うかのように、幹の表面は放つ赤紫色の光を強弱させる。
「この子が復活するには、人の血が必要なの。後何人かのね。あなたはその尊い役目に選ばれたのよ?喜ばしいことじゃない。」
「…そんな…訳の…分からない…ことで…、私の…命を…差し出すわけには…いきません…。それに…、本当の…幽々子様は…こんなこと…しない…はずです…。目を…。覚まして…ください…!」
「…物分かりの悪い娘ね。あなた達の知る幽々子は、本当の私じゃないんだって。それに、人の言うことを聞かない娘はこうなるって、あなたのお母様は教えなかった?」
そう言うと、幽々子は袖に仕舞っていた短刀を取りだし、妖夢に詰め寄る。幽々子は一笑いすると、妖夢の左手をつかみ、左手首を短刀で切った。あまりの激痛に妖夢の身体は一回痙攣し、左手首からは暗い赤の液体が流れ出した。その液体は樹の肌に触れると、樹の肌に吸収され、樹の肌は先程のように赤紫色の光が明滅した。同じように右手首、右足首、左手首と短刀の刃で切られ、その度に妖夢は痙攣し、樹の肌は光を明滅させる。妖夢の身体からは小さな4つの滝のように血が流れだし、妖夢は貧血を起こしたのか意識が段々薄くなり、目が虚ろになってくる。
「うふふふ…、この樹もあなたの血で喜んでいるみたいよ。でも、まだ足りないわ…。首の頸動脈ってところを切れば、もっと出るかしらね~。」
「…!止めて…下さい…。幽々子様…。目を覚まして…!」
「まだそんなことを言ってるの。まあすぐに楽になるから、じっとしてなさい。」
幽々子はそう言って、妖夢の口を塞ぐ。妖夢には最早目を閉じるか開けるかくらいの選択肢しか残されていない。妖夢の首に刃が突き立てられ、刃が皮膚を切り裂こうとした、その時だった。それまで傷1つついていなかった結界の壁に、ヒビが入り始めた。ヒビは段々大きくなり、やがて果てしなく広がっているように思える壁一面に広がる。幽々子は結界の崩壊を悟ると、妖夢から離れ、何かの詠唱を始める。
結界の外側には、アサギと気絶している紫、そしてエリックが変身したウルトラマンティガがいた。ティガが四方からハンドスラッシュを撃ちまくったお陰で、結界に無数のヒビが入った。ヒビが全体に広がった頃、結界のドームに異変が起こった。ドームが少しずつではあるが、上へ上昇を始めたのだ。
「…!もう時間がない。エリック、いやティガ、頼んだぞ…!」
アサギの頼みにティガは大きく頷く。暫くすると、最初はドーム状だった西行妖を包む結界も、今や球形となり、上昇を続けている。その結界に身体を向けたティガは、両腕を前方で交差させ、左右に大きく広げた。彼のカラータイマーを中心に濃い紫のエネルギーらしきものが集約する。ウルトラマンティガの必殺技の1つ、ゼペリオン光線だ。
「チャァッ!」
L字に交差した腕から、白色の光線が放たれる。光線が命中した結界は激しい桜色の明滅を繰り返した後、硝子が砕けるように消滅した。
それを確認するなり、ティガば飛び上がって西行妖のもとへ向かう。西行妖に追い付いたティガが見たものは、彼を妖しげな微笑みで見つめる幽々子と、枝に拘束され四肢から流血が見られる妖夢の姿だった。ティガは妖夢への接近を試みるが、周囲の枝がティガに行かせまいと攻撃を仕掛け、更には幽々子の符の攻撃もティガを襲う。地上にこそ落ちなかったものの、高度をかなり下げられたティガのカラータイマーが赤く点滅し始める。ティガは上昇する西行妖に焦りを感じざるを得なかった。
再び上昇を続けるティガは妖夢が拘束されている箇所を見て、あるこ気がついた。先程枝と言ったが、正確には一本の大きな根に張り付くように小さな根が彼女の四肢や胴体にまとわりついている。そしてこの根が今、だらしなく下にぶら下がっていたのだ 。
"あの根っこごとうまく切れたら、妖夢を助けられるかもしれない。そして、加速しながら上昇する西行妖に一番相性がいいのは…。"
そう思ったエリック、いやティガは両腕を額のクリスタルの前で交差させ、勢いよく下へ下ろす。赤と紫、銀の模様が走った身体が、紫と銀の模様へと変わる。スカイタイプは空中戦闘に特化した形態だ。特有の高速飛行で西行妖との距離を一気に詰め、妖夢の捕まっている根に迫る。幽々子もそれに気付き符での攻撃を仕掛けてくるが、回避にも特化しているスカイタイプのティガは、ぬるぬると避けていく。そして妖夢を拘束する根を見据えると、ティガ・スカイチョップで根を切断した。妖夢を乗せた大きな根は、宙を少し舞った後、ティガの手の中に収まった。
ティガはこのまま追撃を加えようと一瞬思ったが、妖夢を地上に下ろすのが先決と思い、地上に降下することを選んだ。地上に着いたときには、西行妖は遥か彼方のところにあった。追跡を諦めたエリックは変身を解除し、妖夢の手当てを行う。途中妖夢が"幽々子様…幽々子様…"と譫言のように呟いているのを、アサギとエリックは痛ましい顔で見つめていた。
次の日、妖夢は白玉楼の寝室で目覚めた。周りには永遠亭印の輸血パックや点適用栄養剤のパック、注射器等の医療器具が散らばっている。
「あれ…?私…、幽々子様に殺されたはずじゃあ…?今までのは全て…夢だったのでしょうか…?」
「夢ではないぞ。」
妖夢の独り言に答えたのは、念力でお粥を運んできたアサギだった。妖夢は「ありがとうこざいます。」と言ってお粥を受け取り、口で冷ましながら口に一口ずつ運ぶ。アサギは昨日のことについて妖夢に話始めた。エリックがウルトラマンティガであることも含めて。妖夢も結界内での出来事について話し出すが、途中で妖夢の涙が頬を伝ってお粥に落ちているのに、アサギは気がついた。
「おい、妖夢。どうしたんだ。」
「何で…、幽々子様が…。うううっ…。」
このあと、妖夢の泣きが小一時間ほど続き、アサギは妖夢の背中に乗っかってさするくらいしか出来なかった。
暫くすると、紫が寝室を訪れ、アサギと妖夢をエリックの待つ居間へと誘導する。紫からは生前の幽々子のことについて、少し詳しい説明があった。幽々子の父である歌聖は、1000年前幻想郷随一の陰陽師だったらしい。しかし、彼が西行妖を用いた幻想郷転覆を企んだ為、八雲家は歌聖を含む西行寺家の一族を皆殺しにした。その時、紫は自らの友人だった幽々子の始末を命じられたと言う。
「そんなことがあったんですか…。紫様、幽々子様両方残酷な運命の下だったんですね…。」
「あの時割りきったつもりだったんだけどね…。今でも時々あの時の幽々子が夢に出てくることがあるの。本当にああしてよかったのか、今でも迷っているわ…。」
続いてエリックからはアラガミについての話が主になった。アラガミはオラクル細胞と言う特殊な細胞の集合体である。細胞自体がかなりの物理・化学的耐性を持っている上に、強固な細胞結合のせいで、通常の武器では全く歯が立たない。それ以外に人間が恐れている特徴は、何でも食べると言うことである。これのせいで多くの人命だけではなく、建造物など人類の貴重な文明の産物が多く失われた。このようなことを説明され、周囲には絶望感に似たものが漂った。
そこにエリックは付け加える。人類はもうアラガミと対等に戦うための力を着けていることを。それこそがエリック達ゴッドイーター。彼らは神機と言うオラクル細胞の力を受けた武器を用いて、アラガミにダメージを与え、倒す。彼らはフェンリルと言う世界的組織に属し、アラガミに襲われる人々を守っている。しかしいいことばかりと言う訳ではなく、アラガミの力を得たとはいえアラガミに喰われるリスクはきちんと存在し、アラガミの力が暴走して自身がアラガミになってしまい、殺処分された人もいると言う。
次の説明では、フェンリル極東支部に連絡してゴッドイーターを派遣して貰うので、彼らの指示に従ってフェンリル極東支部に避難してほしいと言うものだった。説明が一通り終わり、エリックが耳のインカムで通信を行う。口調から、彼の友人と話しているらしいと、妖夢は推測した。妖夢は「すみません。話したいことがあるんですが…。」と言ってエリックに話しかける。エリックは一端通信を終了させ、妖夢に向き直る。
「何かな?」
「エリックさん。私を、ゴッドイーターにしてもらえませんか?」
「…それは君がゴッドイーターになりたいってことかい?」
妖夢ははっきりと頷く。しかし、ゴッドイーターの仲間内ではゴッドイーターになってから後悔するものも少なくないというのを知るエリックにとって、素直に歓迎は出来ない。それにゴッドイーターは誰にでもなれると言う訳ではなく、適性と言うものがある。その事を妖夢にも伝えるが、彼女の意思は変わる様子はない。
「…何が、君をそこまで駆り立てるんだい?」
「…私は今まで、この刀の神話を信じてきました。この刀は一振りで妖怪10匹を倒せると言われています。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、それだけ強いと言うことです。でも、アラガミを前にして儚く散ってしまいました。」
そう言って妖夢がちゃぶ台の上に置いたのは、桜模様の鞘から抜いた彼女の愛刀、楼観剣。刃がほぼ削れていて、残りの刀身も簡単に折れてしまいそうなくらい細く、ボロボロになっていた。
「もうこの刀で戦うことは出来ません…。でもエリックさんの話を聞いているうちに、思ったんです。その神機があれば、アラガミに対して優位に戦えるし、この世で一番強い武器ということになるじゃないですか…!」
「ま、まあ、そんな捉え方も出来ない訳じゃないかな?でも、神機を持って君は何と戦いたいんだい?」
「まあ、昨日のアラガミは勿論のことですが、私はそれを以て、幽々子様と戦いたいです。」
「え?でも、彼女は君にとって大切な人だろ…?紫さんやアサギ君にとっても…。それを何故…?」
「…結界の中で私が囚われていたとき、幽々子様は私を知らず、父の目的の為なら人殺しもいとわないということを言ってましたが、私はそれが幽々子様の本意だということに、納得出来ないんです。あの時は幽々子様とまともな話が出来ませんでしたが、次は対等の立場で幽々子様と話したい…。そして、心変わりさせたいんです!」
エリックはそんな妖夢の言葉を聞くと、腕を組んで考えを巡らせ始めた。安全性から言えば、彼女には他の避難民と同様に居住区へ避難してもらうのがベストだか、彼女の意を無にする訳にもいかない。彼には、妖夢がゴッドイーターになれる要素が少しでも必要で、考えを巡らせたところ、昨日西行妖の復活の引き金になった刀、妖刀「叢雲」のことを思い出した。一頭だけだか、アラガミを一撃で倒していた。
「あの黒い刀…妖刀「叢雲」。何処から持ってきたのかな?」
「えっと、入手の経緯は…。お祖父ちゃんが手に入れたものなので、詳しくは分かりませんが、昔旅の途中で手にいれたみたいです。」
「そうか。これはあくまで僕の推測なんだけど…、西行妖からはオラクル反応が出ていた。それを封印していたと言うことは、神機の一種である可能性が高い。それを扱えたと言うことは…。」
「え?と言うことは…。」
「君はゴッドイーターの適性があるかもしれない。勿論、確実ではないけどね。」
「そ、それじゃあ…! 」
「適性を確かめるには、適性試験を受けなきゃならない。行くんだったら、早くの支度をお願いするよ。僕の相棒も心配するだろうし。」
「…はい!分かりました!1時間で支度します!」
それから妖夢は寝室などの部屋を飛び回り、自らの荷物を居間に運んだ。家具など特別大きなものは無かったが、それでもかなりの量になったので、要らない物を元の場所に戻したり、ゴミとしていつもの集積場所に置いた。最後の意味合いの家の掃除を含め、エリックの待つ階段の前に着いたときには3時間が経過してしまっていた。エリックは「待っている間に、持っていた小説の本を一周しちゃったよ…。」と言って、不機嫌な顔をしていた。妖夢はひたすらに頭を下げ、謝罪の言葉を連続して放つ。少しすると彼は期限を直し、アサギを含めた三人は、長い階段をひたすらに駆け降りる。
それから数日後。妖夢はフェンリル極東支部内にある難民一次避難場所に、多くの着の身着のままの人達の中にいた。ゴッドイーターになるためには、まずフェンリルの管理する戸籍に登録し、遺伝子検査を経た後、適合試験をクリアしなければならないとエリックは説明していた。早速妖夢は戸籍登録と適性検査の手続きを行った。だが、適適性検査の結果が出るまでは4-5日ほどかかるという。エリックは、その間彼の家に泊まるように進言したが、妖夢は「家の人に悪いです。」と辞退し、その日までここで過ごすことにした。ここでは朝と夕方に配給が有り、妖夢は避難民の人と長蛇の列をつくって食料を受けとるのだか、皆避難民生活が長いのか目が虚ろ、身体も痩せていて、餓鬼と間違えるような人々ばかり。妖夢はそんな中自分だけがピンピンして彼らの食料を盗っているような罪悪感さえ覚えるが、生物の性により、妖夢はその列から離れることはしない。
一時間待った結果、やっと順番が回り、妖夢は配給を受けとる。急ぎ足で自分のビニールシートに帰り、配給の中身を確認すると、小さな乾パン3枚、コンソメのキューブ2つ、缶の御茶一缶が入っていた。
「…今日も少ないな。俺は完全な霊体だから食べなくてもいいけどさ。なあ、妖夢?」
「…こんなにたくさんの人に食料を届けなければならないんですから、仕方ないですよ。まあでも、たくさん食べる幽々子様にご飯とか大盛りにしていたのがまるで昨日のようです…。」
こんな話をアサギとしながら、妖夢は少ない食料を平らげる。数日前に適性検査の申請をし、DNAのサンプルとか言うので妖夢は髪を差し出したが、何の返答もない。妖夢の中にも、"ゴッドイーターになれない"という絶望感が漂う。かといって、今更白玉楼に戻れない。そんな妖夢に、一人の男が近づいてくる。
「やあ、妖夢ちゃん。元気だったかい。」
彼は妖夢をここまで導いたとも言える青年、エリックである。こちらではゴッドイーターであることは勿論、良いところのお坊ちゃんらしいと言うことを噂で耳にしていた。
「…これが元気があるように見えるのか。」
「…うん。数日も待たされてちゃ、当然だよね。僕の無礼を許してくれ。」
「…いえ、いいですよ。傷つけられたとは思ってません…。」
「まあ、妖夢が良ければそれでいいけど…。ところで、フォーゲルヴァイデ財閥の御曹司がこんなところに何か?」
「…あまりその事を言わないでくれるかな?親戚の間でも、僕がゴッドイーターになったことについて、反対の声がまだあるんだよ…。それより、今日は妖夢ちゃんにこれを渡しに来たんだ。」
そう言ってエリックが差し出したのは、切手の位置に竜のスタンプが押された一枚の茶封筒。竜の印はフェンリルの公式ロゴなので、これはフェンリルからの公式通知と言うことになる。
「…適性検査のことだと思う。開けてみて。」
妖夢は「はい…。」と頷き、丁寧に封筒を開ける。その紙の内容は、DNA鑑定の結果妖夢が適性検査を無事パスした、ということだった。妖夢の瞳に光が戻り、そこから雫が垂れてくる。エリックとアサギもそれを横から見た。
「おお…!予備検査、パスしたんだな…!おめでとう…。」
「ええ…。よかった…。本当に、嬉しいです…!」
「おめでとう。でもまだ適合検査が済んでいないから、楽観は出来ないけどね。それに…。」
エリックは少し俯いた。妖夢が理由を尋ねると、適合検査で過去に数えきれない人々が亡くなったという話しで、妖夢の背に悪寒を走らせた。しかし、それでも妖夢の決心自体は揺らいでいないようだった。
「…あれ?妖夢。封筒の中にもう一枚入ってるぞ?」
アサギのアドバイスで中を確かめると、確かにもう一枚入っていた。そこに書いてあったのは、今日の1100に適合検査を行うので、それまでに時間厳守で第101訓練室に来てほしい、ということだった。妖夢が辺りを見回すと、先程の配給受付の時計が、10時ちょうどをを指していた。
「よ、妖夢ちゃん!急がないと!第101訓練室って結構遠いよ!」
「え!そうなんですか!?本当に急がないと!」
妖夢は引いていたビニールシートや寝袋を急いでたたみ、それらを配給受付窓口に返却した。すぐに引き返して荷物をまとめた妖夢はアサギと共に、希望を胸に抱いて、階段を駆け上がっていく。
やっと第零話終わりです。長かった…。因みにここ出ててくる西行妖は、ウルトラQに出てきた植物獣みたいな扱いでOKです。次回からはもう少しプロットなんかをしっかりくんで、資料集めも積極的にやっていきたいです。
次回は第一話「ゴッドイーターの少女とウルトラマンの青年」
次回もお楽しみに!