ラーメンの〆白米は格別に美味い。
次回かその次くらいで500年は終わりかね。
「死の執政だぁ?」
神櫻で出会ったイスタロトの肩書きに似た単語に、思わず首を傾げ、そんな大物が家の相棒だと知ってもピンと来ていない。
それに反応するように、トゥオネタルが手の甲に埋め込まれた兵器から出てきた。
心なしか顔が青く、何処か怯えるような表情でカスラを見た。
「はい、天理の影の一柱。全ての生命の「死」の力を掌握する神です」
「やめろ…」
「天理の命令のもとカーンルイアの民から「死」を奪う「不死の呪い」を履行しました」
「やめろ…!」
「そして、不死の呪いにより魂と肉体は次第に摩耗していき、記憶が薄れ」
「やめろって言っている!!!」
トゥオネタルは荒げた声で死の力を乗せた炎元素で殺意を込めて彼女へ放つ。
こうなる事は予想したようで、影は雷元素を纏った薙刀を振るう。
炎と雷元素がぶつかれば当然、元素反応を引き起こることは確定。
「落ち着け。2人して被害を引き起こして巻き込む気か?」
嫌な予感を察して彼は剣で死が付与された炎元素を取り込み、薙刀の方は足で勢い良く踏んで止める。
薙刀が床を斬るが気にせず、そのまま踏んだままにしておく。
もし2つの元素がぶつかれば、稲妻城の内部がめちゃくちゃになるのは彼でも目に見える。
「お前らしくねぇぞネタル、ちったぁ落ち着けよ」
「……」
「影もだ。そっちの神同士が馬鹿みてぇに複雑な関係なのは分かったが、こいつが神だとしても俺の仲間だ。煽らねぇでくれ」
「…すみません。つい感情的に…」
人も神も組織がある以上、規模がデカいだけで変わらないんだなとカスラは思った。
そう思うと神も案外、価値観が違うだけで然程変わらないのかもしれない。
「話を戻すぞ。俺は馬鹿だから分からねぇが…要はトゥオネタルが天理の影である死の執政ロノヴァで、俺たちカーンルイア人に不死の呪いをかけた奴って認識で良いんだな?」
「ええ、概ね合ってます」
「なるほどねぇ…」
カスラは記憶を探りながら、ふとトゥオネタル…否、ロノヴァに視線を向ける。
「そう言えば、カーンルイアの事もあってあまり意識しちゃいなかったが…上空で見たあいつと確かに今あは似てるな。あっちは色々とデケェが」
先程より死人のように顔色が悪くなっており、目が合えば逃げるように逸らした。
「あいつが分霊呼びなのは納得したぜ」
「あいつ…?」
「イスタロトだよ。イスタロト」
カスラの発言に、彼女は理解できない者に見ない目を向けると、同時に彼が薙刀を踏む足を離した。
アビスの浄化に関して、イスタロトが助けてくれた経緯など彼女に教える。
凄く信じられない顔されたが、彼が嘘をつくような人間ではないため、認めるしか無かった。
「時の執政が…不思議なものです」
「だろ?あいつの発言に、こいつの呼び方に違和感がある」
イスタロトと会った記憶を引っ張りだし、トゥオネタルに対する呼び方に確信を持った。
「こいつは1500年間も誰にも知られず、本来は初代炎神の為に創られたナタの遺産にいたこいつは…浴に言うロノヴァの分霊だな」
「分霊…つまりロノヴァとは別の存在なのですか?」
「そんな所だな。どう言う訳か一度も使われず初代炎神が死んだ後も、こいつは誰にも触れることはなかった。俺が見つけなきゃ今もそのままだろうよ」
「うぐっ…」
カスラは視線を逸らしているトゥオネタルの腕を掴んで引っ張り、そのまま膝の上に乗せ、ワシャワシャと乱暴に頭を撫でる。
「見つけた時、変な機械共に捕まって手の甲に埋め込む死ぬほど痛え思いをされたぜ」
彼にとって麻酔も無しで手の甲に血肉と骨ごと穴を空けられ、そのまま入れられたのは今でも記憶に残る。
人生で一番痛かったし衝撃的だったといえよう。
「それからこいつの声が直接、脳から聞こえて死の力という物騒な能力を手に入れたり、隠し事は多くて謎だらけだった」
「だが、こいつと一緒に武者修行という形の旅で良く分かった」
「俺は馬鹿だから、あんたらの関係は良く分かんねぇ。それでも…まあ、なんだ」
相棒と共に過ごした旅、そしてカーンルイアで見たロノヴァに神櫻で姿を見せたイスタロトの発言。
カスラの言える事はただ一つ。
「
死の執政だからだ嫌うなんて、そんな下らん理由で捨てるよう馬鹿でもないし、知った所でどうでも良い。
相棒の事は誰よりも見てるし、嘘偽りのない本心を告げる。
どんな存在であろうとカスラにとっての相棒なのは揺るぎない。
「ま、そう言うことでトゥオネタル…いや、俺のロノヴァを嫌いにならないでやってくれ」
「カス……ラ…」
変わらない関係だと告げる彼に、小さなロノヴァは震える声で振り向き、胸元へ抱き締める。
「おい、まさか泣いてるのか?」
「泣いてない…」
「そうか…いや、胸元から冷たいの感じるんだが!?やっぱ泣いてるだろお前!」
「泣いてない!」
「嘘つけ!」
ギャーギャーと喚く2人を他所に、呆然とした影は我に返って考えた。
何処か彼女に対して偏見を持っていた。
しかし、実際はどうだろうか。
立場とな関係なく、まるで大人と子供の下らない理由で言い争って口喧嘩している光景に、敵意を向けた自分が馬鹿らしく思えた。
「…分かりました。あなたは死の執政と同じ様な存在ではないと認めます」
持っている薙刀を消し、そのまま彼女の元へ近寄ってしゃがむ。
「先程までの不愉快な発言で気分を害してしまいましたね…申し訳ありません」
「フン…わたしも少し感情的になって、きみを攻撃した。お互い様だ」
「えっと…それは許してくれているのでしょうか?」
「そうだぞ」
ロノヴァは顔を逸らして言い、影は何処か困惑気味にカスラへ向けると、彼は首を縦に振って頷いて代わりに答えた。
一時はどうしたものかと思ったが、無事に和解して何よりだと彼は安堵した。
「ふぅ…仲直りして何よりだ」
息を吐いて呟き、立ち上がって次の所へ向かう場所を彼女に言った。
「そろそろ…俺たちはモンドへ向かう」
「モンドですか」
「ああ、イスタロトの奴が会いに来るならモンドへ来いって言ってたからな。個人的に色々と聞きたいことがあるしよ」
「彼女自ら…執政は我々にも姿を滅多に見せません。正直、何か企んでいるとしか考えられないかと…」
イスタロトに対して何とも言い難い顔だが、彼女なりにカスラを心配しているのだと理解した。
「どっちにしろ行かねぇと話にならねぇだろ。まあ、その後のことは何とかなるだろ」
「それが杞憂なら良いですが…」
時の執政という七神の上司にあたる存在に対し、楽観的な言葉を口にする彼に不安な気持ちが勝る。
「んじゃ、俺は行くか」
「他国は未だにアビスなどの敵と出くわすでしょう。気を付けて行ってください」
「おうよ。まあ斬って飯とか食って……あ」
2人で出口の方へ向かい扉を開こうとしたら、何かを思い出したのか彼女の方へスタスタとぎこちない歩き方で戻ってきた。
何処か気恥ずかしい表情の彼に、影は首を傾げた。
「まだ何か?」
「あー…恩を返す形として、ちっと情けない頼みになっちまうがよ…」
「モラ…死ぬほど足りなくてな」
この後、凄まじい量のモラを出されて怖くなり、あっちが納得するように交渉してモラを頂いた。
神は金銭感覚がバグっているんだと学び、懐が凄まじく潤った。
カスラ
ふ〜ん俺の相棒が死の執政の分霊ねぇ…で?それがどうした。
相棒
これからはロノヴァと呼ぶようになる。
ロノヴァ
カスラはわかりやすいように死の執政と呼ぶ。
雷電影
凄まじい量のモラをあげた。十分の一くらい。