偽りの理想郷~チートバフ魔法使い兼超最強軍師の俺。転生先がディストピアだったので、最強の軍隊を作って全力でぶっ潰すことにしました~ 作:やきそばVer2
【王城:工房】
ソフィーと工房の作業員たちの努力により、対城壁用の新兵器が完成しつつあった。
テーブルの上に置かれた完成間近の試作品と、それが撃ち出す巨大な砲弾。
その構造は、現実世界での『対戦車ランチャー』に酷似していた。
ソフィーは、試作品を俺に見せながら話し始めた。
「コウヘイ殿、この武器は『無反動砲』と言うのでしたわよね。どう考えても、巨大な砲弾を撃ち出す以上『反動が無くなる』ということはないのでなくって?」
「いい質問だね、ソフィー。天才の君に聞くことじゃないけど、銃の反動はどういう原理で発生するんだっけ?」
「『作用反作用の法則』ですわ。弾丸を撃ち出した力の反作用が『反動』として発生するのでなくって?」
「じゃあさ、『射撃の瞬間に真逆の向きに別の何かを撃ち出す』ことをしたらどうなる?」
俺の質問を聞いてソフィーは一瞬悩んだ。
だが、わずか数秒で彼女は答えにたどり着いた。
この子スゲえ。
理解が早すぎるぞ!
「分かりましたわ! コウヘイ殿が仰ったことを行うと、『射撃の反動が、逆向きに撃ち出されたものによる反動とある程度相殺される』のですわね! 『無反動砲』が『無反動』である所以はそれなのですね!」
「その通りだよ、ソフィー。銃の発射時には火薬を爆発させて高圧ガスを生み出すでしょ? 今回作った試作兵器では、そのガスの一部を後ろに逃がして反動を減らすんだよ。」
ソフィーは試作品を持ち上げた。
鉄パイプみたいな構造の砲身を見ながら、彼女は話し出した。
「だから砲身の後ろ側が塞がっていないのですね。火砲にしてはおかしな構造だと思っていましたが......これならガスを使って反動を減らせますわね。」
「その代わりに射程距離とかは減っちゃうけどね。ガスを逃がす関係上この欠点は克服できないんだ。」
「それでも、歩兵一人で射撃を行えれば十分ですわ。多少射程が短くても、近づけばいいだけですから。」
彼女はとてもとても無邪気な様子だった。
試作品を肩に担いで構えてみたり、砲弾を手に取って眺めたりもした。
彼女が心の底から楽しんでいるのが俺にもよく伝わってきた。
それから少しして、彼女は俺に尋ねてきた。
技術者として気になることがあったみたいだ。
「コウヘイ殿、この武器も元となったものがあるんですの?」
「あるよ。『RPG-2』って武器を元にして設計したんだ。ていうか、ほぼ丸パクリしたものだよ。」
俺は、モデルとなる武器を選定した理由を語った。
あまり長く話してもしょうがないので、可能な限り要点を絞ってだ。
「RPG-2は黒色火薬で成形炸薬弾を撃ち出す武器なんだ。武器全体の構造が単純だから、この世界でも再現可能だと思ってね。個人携帯が可能なサイズだから、進軍速度が下がることもない。だから、RPG-2をモデルにしたんだよ。」
「よくわかりましたわ、コウヘイ殿! 早速生産体制を整えさせますわ。」
「お願いします、ソフィーさん。でも、グレネード弾の量産を優先してください。メイン火力はそっちなので。」
「承知いたしましたわ。」
事務的な会話を済ませた後、ソフィーは興味津々な口調で俺に話しかけてきた。
どうやら、俺が元いた世界の軍事技術に興味が出たようだ。
...え、これもしかして。
もしかしちゃったりする!?
「その『RPG-2』という武器について教えていただけますでしょうか? わたくし、コウヘイ殿の居た世界の軍事技術に興味がありましてよ。」
え、この子本当に食いついてくれた!?
エリシャには拒否されたけど、この子にならいけるかも!
こりゃあ、気合い入れて説明してあげないとだ!!
スイッチが入った俺は早速話し始めた。
まずは、対戦車ランチャーについてだ。
「この『RPG-2』って武器は民兵とかがよく使う『RPG-7』て武器のご先祖様なんだ。今ではRPG-7は時代遅れになりつつあるけど、軽装甲の敵には有効でね。普通の対戦車ミサイルよりも安価だって特徴があるんだ。」
「ふむふむ、それでそれで!? その『RPG-7』という武器は『RPG-2』からどう進化したのですって?」
「弾頭にロケットモーターって言うものを取り付けて、射程を伸ばしたのが一番の改良点だね。後は、対戦車用の成形炸薬以外にも、対人用の榴弾を始めとした複数種類の弾頭が用意されているよ。」
「なるほどですわ。余裕ができたら、その『ロケットモーター』とやらも作ってみますわ。」
やった! ついにやったぞ!
念願だった、女子との軍オタトークが成功したぞ。うっひょー!
それもこんな美少女相手にだ!
今日は俺にとっての最高の日だ!!
「コウヘイ殿、軍事技術のお話とても興味深いですわ! もっと聞かせてくださいませ。」
「もちろんさ! じゃあ次は『戦車』について話すよ!」
「お願いしますわ。早く語ってくださいませ!」
テンションが上がりきった俺。
人生最高の気分にまで上り詰めていた。
だが、そんな幸せすぎる時間は唐突に崩壊した。
現実とは非情なものだ。
「コウヘイ、敵襲だ! 今すぐ出撃するぞ!」
メルビムが工房に入ってくるなり、そう叫んだ。
楽しかった時間はもう終わりだ。
俺の気分は人生の絶頂から、最下層へ一気に転落していった。
だが、今はそんな些細なことを嘆いている場合ではない。
何とか気分を切り替えて、俺は現実へと向き直った。
「......はあ、分かった。すぐ行きます。」
「ご武運をお祈りいたしますわ。帰ってきたら続きをお聞かせくださいませ。」
「もちろんさ! この戦いが終わったら、一緒に軍オタトークしような!」
俺は死亡フラグに似た発言をしてから工房を後にした。
ここから先は、やるかやられるかの世界だ。
素早く気持ちを切り替えて、俺は戦場へと向かっていった。
「メルビムさん、一つお願いがあります。」
「どうした、コウヘイ?」
「これから言う物を準備してほしいです。それと、作業用の多数の人員もです。エデン軍を二重の罠に嵌めようと思います。」
「すぐに準備させよう。」
そう言い残してメルビムは工房を去って行った。
彼が退出したのを見計らって、俺は雄叫びを上げた。
いつもの締めと違って、どうでもいい内容の叫びだが。
「俺の至福の時間を壊しやがって! エデンの連中め、美少女との軍オタトークを邪魔すんじゃねえ!!」
「いきなり叫ぶのはやめて下さいまし! 鼓膜が破れるかと思いましてよ!」
「......ごめん、ソフィー。」
第十七話に続く
本作で最も気に入ったキャラクターは誰ですか? 今後の創作活動の参考にしたいので、よろしければ投票をお願いします。
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主人公のコウヘイ
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メインヒロインのエリシャ
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元騎士のシェムハザ
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工房長のソフィー
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その他
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特に気に入ったキャラクターはいない