偽りの理想郷~チートバフ魔法使い兼超最強軍師の俺。転生先がディストピアだったので、最強の軍隊を作って全力でぶっ潰すことにしました~   作:やきそばVer2

2 / 5
第2話:『理想郷』での最高な生活

【王都オラム:謁見の間】

「ここは神々が治める世界なのですか?」

 

「その通り! ここは我らが治める理想郷じゃ。この世界は『エデン』という名だ。」

 

(この人たちに失礼な態度取ったら絶対にヤバいな。礼儀正しくしよ。)

 

 

玉座に座るこの世界エデンの主『イオフィエル』

金色の長い髪と紫の宝石のようにきれいな瞳。

ゆったりとした白い服。

パッと見は普通の好青年に見えるが、一つだけ普通の人間とは大きく異なる点があった。

背中から生えている一対の白い大きな翼。

その服装と相まって、彼は宗教画に描かれている『天使』のような姿であった。

 

イオフィエルだけではない。

聖騎士団の団長である『メタトロン』にも同様の白い翼が生えていた。

そんな彼らを見て、冒頭の台詞が思わず口に出ていた。

 

(あの翼邪魔じゃないのかな? 仰向けに寝るのもキツいだろうし、着替えるときも大変だと思うけど。)

 

俺は思わず変なことを考えてしまった。

口に出したらヤバそうだから、絶対に言わないけど。

 

 

俺の考えを知ることなく、イオフィエルはとても優しい顔で言葉を紡いだ。

 

「そなたも異世界から来たそうじゃないか。それに薬師の少女を助けてくれたとも聞いている。礼としてこの世界で暮らすことを許可しよう。」

 

 

最初に出会った騎士『シェムハザ』がイオフィエルの言葉を聞いて反応した。

彼には翼は生えておらず、普通の人間の姿をしていた。

 

「承知しました陛下。住宅地Bブロックに空き家があるので、そちらに住んでいただきましょう。いいですか、コウヘイ君。」

 

「ええ、ありがとうございます。」

 

 

こうして、俺は第二の人生を歩み始めた。

一見『理想郷』にしか見えない場所で。

 

 

 

 

【王都オラム:住宅地Bブロック】

シェムハザの案内で俺は住宅地にやってきた。

いくつかある空き家のうちの一つを指さして彼は告げた。

 

「ここが君の新しい住処だよ。」

 

そこには質素だが、小綺麗な住宅が建っていた。

青い屋根に白く塗られたきれいな壁。

こじんまりとした平屋だが、一人暮らしにはちょうど良い大きさだ。

 

シェムハザが俺に確認してきた。

 

「ここでの決まり事は覚えているかい?」

 

「『他の住宅ブロックに入ってはいけない』と『幸福を追求する』の二つですよね。」

 

「問題ないね。それじゃあ、またね。」

 

 

シェムハザの事務的な質問に、俺は答えた。

彼に背を向けて、俺はもらった家に入ろうとした。

入る直前に、少し前から気になっていたことをシェムハザに聞いてみた。

 

「シェムハザさん。空き家がいくつもあるようですが、なぜですか?」

 

「陛下が『住居がなくて困っている人を絶対に作るな』と命じてね。みんなが頑張って作りすぎたせいで、余った家がいくつもできちゃったんだ。」

 

 

返事を聞いて納得したが、俺の中にはまだ違和感が残っていた。

 

「それにしてはやけに生活感があるように見えますが。」

 

「自宅をリフォームする人が、空き家を一時的に使うのさ。生活感があるように見えるのはそのせいだよ。」

 

(一時的に滞在したにしては、生活感が強すぎるような......まあ、いいか。)

 

 

シェムハザはもう一度俺に尋ねてきた。

 

「他に聞きたいことはあるかな?」

 

「いえ、特にないです。」

 

「OK。ここでの生活を楽しんでね!」

 

 

そう言って、彼は去って行った。

期待を胸に、俺は新たな住処へと入っていった。

 

 

 

~~~~

次の日

 

朝食を食べ終えた俺は、軽く散歩をしようと家から出ようとした。

玄関を開けたら、目の前には何十人もの人々が立っていた。

同じBブロックに住む住民たちだ。

 

 

「「理想郷へようこそ!! 今日からコウヘイ君もここの一員だよ!!」」

 

歓迎の言葉とともに、俺に花束が渡される。

クラッカーの弾ける音もして、俺の家の周囲はお祭り騒ぎになっていた。

 

「あ、ありがとうございます。歓迎してくれてうれしいです。」

 

あまりの大歓迎ぶりに、俺は思わず縮こまっていた。

軽い気持ちで家を出るつもりが、家の外がこうなっているとは思っていなかった。

 

隣人たちの温かすぎる目線に、思わず俺は困惑してしまう。

困惑が冷めやまぬまま、不自然なほど丁寧な口調で隣人たちに挨拶をした。

 

 

「よそ者ですが、よろしくお願いいたします。」

 

少し疑問に思ったことがあったので、質問してみた。

 

「ずいぶんタイミングがいいですが、皆さん長い間待機してくれていたんですか?」

 

 

近くにいた二人が答えた。

 

「そんなことないよ。君が家から出てきそうなタイミングで集まったのさ。」

 

「あたしらは、お互いに見守り合っているのさ。みんな同じ時間に同じようなことをしているから、コウヘイ君の動きもなんとなくわかるのよ。」

 

「皆さんは凄いですね。よそ者の俺の行動パターンも予想出来るなんて。」

 

「「もちろんさ。見守り合うことは大事だからね。」」

「「病気になったとしても、すぐに駆けつけてあげるから安心してね!!」」

 

(凄く良い人たちだ。なんて優しい世界なんだ。)

 

 

その日の歓迎会は夜まで続いた。

こうして、俺は理想郷での新生活が幕を上げた。

 

 

 

 

~~~~

それから数ヶ月後。

 

【王都オラム中心部:大聖堂】

俺は隣人の『オスカーさん』と近くに住む『サーシャおばさん』と一緒にBブロックの外にある共用エリアの大聖堂に来ていた。

場所はBブロックの外の共用エリアにそびえたつ大聖堂。

現実世界で建設中のサグラダ・ファミリアよりも巨大で、この王都のシンボル的存在だ。

 

 

俺たち三人は、大聖堂内部椅子に座っていた。

毎食同じ内容の配給弁当を持ち寄って、ランチを食べに来たのだ。

 

「三食無料なんて、この世界はすごいですね! この食事はどこで作っているんですか?」

 

 

俺は二人に疑問を投げかけた。

二人は、とてもいい笑顔で質問に答えた。

 

「王宮で作られているらしいよ。多分騎士団の方たちが暇を見つけて作ってるんじゃないかな?」

 

オスカーが答えた。

俺は彼の答えの不自然な点に気づいて、別の質問を投げかけた。

 

「騎士団の方たちだけでは作りきれないと思いますが。奴隷にやらせたりしてないですか?」

 

 

今度はサーシャが俺に聞いてきた。

 

「コウヘイ君。『ドレイ』って何?」

 

「自由を奪って無理矢理働かせられる人のことです。」

 

「コウヘイ君。そんなことをして何の意味があるんだい?」

 

「労働力にするためです。俺がいた世界では、過去にそういったことをしていました。」

 

 

二人はため息をついて答えた。

その態度はとてもあきれ果てたものだった。

 

「いいかい。この世界に住む人間の最も大事な『権利』と『義務』はなんだったかい?」

 

「『幸福に暮らすこと』ですよね? どんな人間も幸せに暮らす権利があり、それが義務でもあるんでしたよね?」

 

「よく覚えていたね。コウヘイ君。」

 

 

受け答えを聞いていたサーシャが語りかけてきた。

 

「ちゃんとわかってるじゃない。『人の幸福を奪う』なんてひどいことして良いわけがないわ。」

 

「お二人のおっしゃる通りです。俺が元いた世界がひどすぎておかしくなっていたみたいです。自殺する人が出てくるような、俺が元いた世界はおかしすぎたみたいです。」

 

 

俺の返事を聞いて二人は笑顔になった。

そして、俺に話しかけた。

 

「コウヘイ君。そんな悪趣味な概念なんて忘れちゃいなさい。」

 

「サーシャさんの言うとおりさ。この世界ではそんな言葉自体不要だよ。」

 

「「君も全力で幸福を追い求めて良いんだよ。なんたってそれが『最大の権利であって義務』なのだから。」」

 

「さ、今日はお開きにしましょ。しっかり休んでね、コウヘイ君。まだ前の世界での心の疲れが残ってるみたいだし。」

 

サーシャおばさんの台詞を最後に、この日の小さな集会は終わった。

 

 

 

 

~~~~

数日後

 

「良い朝だ~。今日は何をしようかな。」

 

心地の良い朝。

カーテンを開けて穏やかな日光を全身に浴びる。

 

今日の分の配給弁当を取り出して朝食の準備を始めた。

中身はいつものパンと、よくわからない物でできた肉料理。

デザートは謎の物体でできたゼリーだ。

 

 

カランカラン!

 

「誰だろう? 今開けまーす。」

 

いつも通りのルーティーンの最中に、玄関の呼び鈴が鳴った。

ドアを開けたら、シェムハザの姿があった。

 

 

「やあ、コウヘイ君。朝食を食べ終わったら、腕試しをしてみない?」

 

「腕試しですか。急ですね。」

 

(朝食を食べてないことをなんで知ってるんだろ?)

 

疑問が浮かんだが、別にどうでも良さそうだったので軽く流した。

そんなことをいちいち気にしてたら、この世界で生きていくのは大変だ。

 

 

「君にもそろそろ『レイド』に参加してもらいたくてね。」

 

「『レイド』ってなんですか?」

 

「知っての通りこの世界の外には『魔物の支配領域(ゲヘナ)』があるんだ。ごくまれにそこの魔物がこの世界に忍び込んできて、一般市民を襲うんだ。それを防ぐための正義の戦いだよ。」

 

「魔物と戦うのって、危険じゃないんですか?」

 

「もちろん危険さ。だからこそ実力は必須だよ。でも、君は来てすぐにゴブリンを追い払ったんでしょ。ぜひ君の腕を見たいんだ。問題なさそうなら次のレイドに参加してほしい。」

 

「俺の実力はたいしたことないと思いますが......とりあえず腕試しをやってみます。ゲームみたいで楽しそうですし!」

 

「良い返事だ。さあ、さっそく腕試しに行こうじゃないか!」

 

 

『魔物と戦う』

この言葉が俺を少し緊張させた。

だが、不思議と不安や忌避感も出てこなかった。

その理由はいくら考えてもわからなかった。

 

(戦うこと自体が嫌だと考えていたような。まあ、いっか。)

 

 

 

 

第三話に続く

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。