君もゴッデスだ、ピナ   作:ピナの強化素材になりたい

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名を失ったトランスフォーマー

意を決して大型の排水溝らしい地下道を歩む。

ロボットの身体だからか、汚水やその原因が消えたのか下水の臭いの有無がわからない。臭くないに越したことはないものだけれど。

 

高さは猫背になれば今のところは進める。

天井はほどほど高く、床はそこまで汚くない。まるで別の目的でもあったかのように下水道じゃないみたいだ。

怪しい研究の跡とかもとくにない。

 

歩行により金属がコンクリートの床を踏む音がズン、ガチャン、とよく響く。どんなにスニーク的なことをしても慣れない身体じゃどうにもならないなぁ…どうか音や振動を察知してヤバい奴が襲って来ませんように。

 

脳内マッピングは意外にも頭の中で忘れずに覚えてられる。紙とかに記録しなくてもいいのはありがたい。おかげでここまでの道のりは引き返すだけなら問題なし。

 

 

さて、最初の分岐。丁字路のためライトの光度を上げて両側を照そう。

次の瞬間には見たことを後悔した。

 

『うわっ!?これは…』

 

思わず後退りする。片側は床に血溜まり。そして遺体。状態は損壊が酷くまた想定される元の姿は近くに焦げた軍帽が落ちているため軍服姿の非武装。……いや、遺体から少し離れて落ちているハンドガンだけの軽装か。

 

本当に気分が悪い。帰りたい。

反対側も照らそう……こちらは行き止まりか。

あぁ…嫌だけど遺体のある方向に行かしかない。

 

 

 

遺体のあった通路を進み気付いた。謎生物の死骸もそこかしこに落ちている。

 

原型はそれなりに留めている。全貌は一頭身で頭部と胴体が分かれておらずその下に脚がある構造のようだ。

 

やっぱり見たことある。背中で語るガンスリングアクションとかにいる敵対存在っぽい?

 

気のせいにしたいが自分の姿すら意味がわからない現状、とりあえず受け止めよう。どう考えても『ラプチャー』にしか見えない。

また破片を拾って念の為近くに投げる。

 

反応なし、だだの屍だ。

バカみたいだけど今はこれをいちいちやってないと気が済まない。

 

そうして全部のラプチャー?に同じことをして死んでいると自分に言い聞かせて進む。

 

いくつもの動かない死体を目にして今動いているのは自分だけ、この雰囲気が堪らなく怖い。

 

今にでも逃げ出したい。それで解決するならそうする。

しかしここまでの短い道のりで掴んだことはゼロじゃない。少なくとも危険な状態に身を置いているとわかったのだから。

 

 

さっきよりも進んで次の通路は曲がり道。右方向へのみ進めるみたい。

通路の曲がった先がどうなっているかより見ざるを得ないことがある。女性の兵士の遺体だ。

今まで遭遇した遺体よりもずっと状態が良い。思うところは当然あるがおかげで誰がいたのかがよくわかる。だって自分はその世界観のゲームで遊んでいたから。

 

この兵士はニケだ。

 

頭のメット部から足まで黒ずくめの量産型。悔しいが正式名は覚えてない。特徴にはバイザーで顔半分まで覆われ女性とわかるものの個性を消し去った容貌がある。没個性的な特徴は量産型ニケに当てはまる。

 

彼女の手に握られた拳銃、寄り添った壁と床への流血、状況は察せる。きっと自決用の銃を自身に使ったのだ。

 

自分の中で考えがまとまる。

 

この兵士はニケとなれば謎生物達はラプチャーで確定。

そしてここはラプチャーに襲われた。

 

とりあえずここがどこかわからないなりにわかっただけでも収穫だ。

わかったところで心労が加速的に増えたのは仕方ない。

 

自決用の銃を使ったニケなので侵食攻撃を受けてる可能性やリスクを考慮して彼女にも申し訳ないが落ちてる破片を周囲に投げて様子を見る。

 

幸か不幸か投げた破片への反応は無し。

 

このまま通路を曲がろう。あのニケにできることは後で弔うことぐらいしかないのだから。

 

 

曲がった先は少し広い駐車場だった。駐車場の奥にドアがあるけど一般人用なので自分の体格から鑑みて入るのは無理だ。

 

何台かありほとんどがひしゃげたりひっくり返っていたり、一部が吹っ飛んでいたりと散々だが無事なものもあった。

車内に誰か乗っていないかな?

 

 

人がいないか確かめて__な、なんだ!?更に変な光?

 

そんな機能知らないし出した覚えもない!これ頭のか!?

 

カメラアイからのライトが切り替わり、急にレーザー光を出して車両に当てている?

その光は扇状の広がり先端から最後尾までをスキャン解析しているかのようだ。

頭が、頭に車両の情報が刻まれていく。

外側から内部まで構造が隅々までわかる。そこは便利だ。

 

 

『……ん?』

 

既視感…これ、あれじゃない?実写版トランスフォーマー3部作のダークサイドムーンでゴミ収集車をスキャンしてトランスフォームしてたヤツいたけどそれでは?

 

 

全身に違和感……!?

少しずつ部品が動きだしてる!色も一部変色してる!

まさかやるのか?このボディにロボットが車のデータをスキャンして姿も車のデザイン的な意匠が浮き出ている!!NIKKEの世界でアレをやるのか!!

 

 

変形(トランスフォーム)!!!

 

 

思った時には身体を構成するパーツがまるで目的を持つように可動し腕、足、胴体、頭、それらが一瞬で別のパーツを構成するために形を失っていく。やがてスキャンした車両と同じ外部、内部へと変わってその結果視界がより低い位置となった。

 

変形したため今まで鳴らなかったエンジンの音が駐車場を反響する。

 

いや、本当に車になってしまった。

装甲車とSUVを組み合わせたデザインの車両に。

 

擦り切れそうなメンタルもこのロマンによって僅かに持ち直した。

 

まさかトランスフォーマーだったとは……でもこのボディは誰のだろうか?

オプティマスじゃないし…メガトロンでもなさそう。

元のロボット形態はディセプティコン、デストロン系のデザインだとは思うのだけどあんまり注視してなかった……。顔見たらわかるかなぁ。

 

 

さて、意識を現実へ切り替えよう。この先は入れない……破壊すれば入れる可能性はあるがどうなるか分からないのは怖いし危険。

今は大人しく光るヘッドライトを頼りに来た道を戻ろう。

運転免許とかどうなるかなど頭の片隅に思い浮かべてる。……ならまだ精神面は大丈夫だ。

 

タイヤを手足でも動かすみたいに器用に可動させられるから精密な運転ができる気がする!

 

 

 

 

地下を出て地上に戻って来た。周囲に特に変化はなし。

……量産型のあのニケと軍帽の人の遺体も持ち運んで出た。

 

ここで目覚めてやりたいことができたんだ。

彼らを埋葬する。自己満足だろうがさせて欲しい。

 

ニケは少し重く感じるが多分全員できるはず。ラプチャーはどうしよう?

 

まぁ自分の出来うる限り、全部埋葬するのだ!

 

 


 

 

すっかり夜になってしまった。孤独を感じる。寂しい。

辺りは真っ暗、ライトで照らさないと何も見えない。熱源探知をしても死体は基本熱源とならないから多少危険だが明かりがないと労働効率が落ちる。

 

ニケやニケじゃない人をあっちこっち探して地面に埋めた。武器は自分じゃ使えないが誰かのために使えるよう集めている。

遺体から回収するのは心苦しかった。

でも生きている人のために使って欲しい個人的なわがままで集めた。

 

それとノリで小型のラプチャーまで埋めた。兵士たちとは距離を離して埋めたし多分変なことは起きないはず。えっと、起きないよね?

 

もうここらでやることもない。ひとまず休もう。日が出たらまた手がかりになりそうな場所を探すつもりだ。

 

 

そのへんで寝転ぶか、あるいは車に変形して寝るかどうしよう?

ラプチャーは知らないが人には車に偽装していた方が変に撃たれなさそうだ、そうしよう。

 

……待った、車をスキャンしたらラジオ機能ぐらいあるだろ。欲しい情報があるかもしれない。

マジで危うく寝るところだった。

 

周波数はよくわからないからちまちま調整していこう。

 

 

…

……

………

 

………電波をぜんぜん拾えない。

 

これはあれか?自分がラジオの周波数を合わせるの下手クソなの?一応車内ラジオは間違いなく生きてる、砂嵐みたいな音がするし。

 

下手クソなら繋がるまで根気強く調整するだけだが全てのラジオ番組、局が停止していたとかだとキツイな。

 

ええい、なんとかなれー!

 

なんか、中央政府の公式放送くらいあるはず、せめてそこに繋がればいいんだ!

 

途中で周波数のメーターが吹っ切れた。

それでもなんかの電波が拾えたらありがたい!

 

 

 

 

 

“_送ってください。以上です。返答をお待ちしております。”

 

 

!?!?!?

 

なんか繋がった!!いけたぞ!!周波数計を突破して受信できてるから普通のラジオの周波数じゃないけど!私はやったんだーっ!耳かっぽじいて聞いてやる!!耳あったかな?

 

おらっ、トランスフォーム!

からの『体操座り』で、だ!

 

………

 

“__ゴッデス部隊からアークへ。”

 

聞いた事のある声。さっき聞いたのと同じ人物の声だ。

 

“現在の私達の状況は、絶望的です。”

 

 

……あかん(絶望)

 

“一刻も早い支援と補給が必要です。アークの入り口を守れなくなる可能性がどんどん高まっています。”

 

聞き覚えしかないあのいい感じに擦れてるニケの声、ゴッデス時代のドロシーだ。それもまだ綺麗な心を残している時の。

 

“この音声を確認次第、支援と補給を送ってください。以上です。返答をお待ちしております。”

 

 

 

……さて、聞かなかったことにしようか。

 

これからどうなるか、そんなのわかっているんだし無理に行っても死にに行くのと同義。無視したまえ。

でも今の状況、勝利の女神:NIKKEでの時間軸はわかった。

時代はアーク封鎖直前。そしてちょうどOver Zoneのところだ。

 

内容は屈指の鬱イベント。ドロシーがなぜあんな捻くれ者になったかを綴った物語である。

 

一般人よりは役に立てそうだけど従軍どころか戦闘経験皆無の丸腰なんだ。身の程を知れ。

集めた銃はともかく、自分じゃただのおもちゃと相違なし。

引き金を引けないしリロードもできないから、その辺のコンクリートブロックの方がよっぽど自衛できる。

 

できることがあるとすれば、物質を渡してクールに去るのが安全でかつ貢献できるってもんよ。行かんけど。

それすら下手すればバットコミュニケーションでゴッデス部隊のニケに撃たれて死ぬ。

だから行かないけどね!

 

 

 

 

─翌日─

 

銃火器ヨシッ

食料スクナイケドヨシッ

自分のエネルギー残量…ヨクワカラナイケドヨシッ

 

指差し確認終了。準備万端、いざ出動!!トランスフォーム!!

 

昨日は一晩中物資を探して回収していった。どれも心許ない量だが贅沢は言ってられない。生存者だって探した…残念ながら見つからなかった。

 

念の為に火器と食料もある程度残していくことにした。

 

ゴッデスとの合流方法はドロシー音声電波の指向性と強度を頼りにして追跡していくのが無難だろう。

 

あれだけ行かないと決めたのに、結局向かう覚悟をして今車体を全力で走らせていた。ま、まぁ…ラプチャーに襲われる危険性があるなら頼もしいスペシャリストの近くが安心できるよねってことで……。

とにかくタフなハートが大事!

 

あっという間に最初に倒れてた荒野に戻り、砂と砂利の大地を駆け抜ける。

気を紛らわせそうとするにもラジオはずっと聞けず、車と地面の織り成すエンジンと砂利の音を堪能するか、今にも泣きそうなドロシーボイスを堪能するかの二択とは、娯楽が少な過ぎる。

せめて音楽が聞きたい。

今は自認サイバトロン成人なのでトランスフォーマーシリーズのOPとかが無性に聞きたい。トランスフォーマーアニメイテッドのとかおすすめだ。

 

 

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