それではスタート!
コズミック・イラ68年、オーブ連合首長国のコロニー、ヘリオポリス。そこに俺は住んでいる。俺の名前はラウオ・カンベ。オーブ出身のナチュラル。それが今の俺だ。前世の記憶がありこの世界が俺がガンダムに嵌ったきっかけのガンダムSEEDの世界だと知った。
この世界を俺は子供の頃はとても楽しんで見ていたが大人になると見方が随分と変わったのを覚えている。まあ、それよりも機体の方が好きなのでそこが盛り上がったのだが。ともかく前世の記憶を取り戻した俺はこの世界でどう生きるかよりもやりたいことができた。
それは…モビルスーツに乗って操縦したい!ただそれだけである。幸いにもナチュラルなのに運動神経はコーディネーターに引けを取らないことがわかった。別に神様に頼んで転生してもらったわけでもないのにな。ただ頭はそこまでよくないんだよな。前世でもそうだったし。
兎に角このままではモビルスーツには乗れない。例え乗れてもこの世界のOSはコーディネーター専用なので操縦すらできない。どうしようかと思案している。ただ、OSに関しては前世でやったあるゲームの知識がありそれを使えばもしかしたら操縦できるのではと思っている。
しかし俺の家族は軍関係ではないからな。親父はある組合と関係あるんだが如何せんそれでもだめだ。どうしたらいいのかとズルズルと時が過ぎていった。このままだと原作に突入してただのモブに成り下がってしまう。それはいいがモビルスーツに乗れず操縦できずに終わることだけは絶対に嫌だ。
どうしたものかとこの時は思っていた。
「初めまして。今日からお隣に引っ越して来ましたヤマトと言います」
「あらあら、丁寧なご挨拶どうも。カンベです」
(また引っ越ししてきた家族か。最近多いよな。ん?ヤマト?)
その名を聞いて俺はすぐさま玄関に向かう。あたかもそこを通り過ぎるかのように。
「あら?そちらは息子さんですか?」
「ええ。息子のラウオです。ほらラウオ、隣に引っ越してきたヤマトさんよ。挨拶して」
「わかってるよ。初めまして、ラウオといいます」
「あらあら、礼儀正しい良い子ね。ウチにも息子がいるんですけどちょっと内気で」
「そうなのですか」
「ラウオ君、君でもしよかったら息子と友達になってくれませんか?」
「ん〜…いいよ!」
「ありがとう」
うん!すっげぇ見たことあるわ。原作主人公の母親だわ。実の母親じゃないけど間違いない。ということは間違いなくそうだよな。これは会わないといけないよな。
原作主人公と会ったのは次の日、まだ学校が休みだからすぐに出会えたよ。挨拶の為にヤマト家へ。
「いらっしゃい。ゆっくりしててね。キラ、彼がお隣に住んでいるラウオ君よ」
「ラウオ・カンベです。よろしく」
「えと…キ、キラ・ヤマトです」
いや〜!マジで感激だよな!あのキラ・ヤマト!スーパーコーディネーターで勝ち組エースパイロットのキラ・ヤマトとご近所さんに慣れたんだ。そんなキラ・ヤマトと友達になれるかもしれないと分かると最高だぜ。そんなわけでキラの部屋へご招待してもらったよ。
ん〜…!普通の部屋だよな。ゲーム機とはないし本は一応ある感じでなんか窒素な部屋だな。
「こ、ここが僕の部屋だよ」
「……なぁ、ゲーム機とかないの?」
「えと…ないよ」
「漫画は?」
「ないよ。パソコンはあるけど」
「マジか。お前、人生を損してるぞ」
「え?」
「よし!俺ん家に行こう。俺の部屋ならゲームあるからパーティーゲームとかできるからそっちに行こう」
「え?え?」
「おばさん。すみません、俺の家で遊びます。俺の部屋なら色々とありますので遊びなら」
「あらあら、キラったら友達と遊ぶ為のものが少なすぎるから。ごめんなさいね」
「いえいえ。よし行くぞキラ。俺が子供の娯楽というものを教えてやる」
「え?」
うわぁ、キラがすっげえ混乱してるわ。そういうわけで俺はキラを連れて俺の部屋に入れてゲーム機を出して遊ぶ。前世では現行だがこの世界で旧時代のゲーム機になってしまった。ちょっと悲しくなったが親父のツテで手に入れて俺はめっちゃ遊び倒している。
そんなゲームをキラと共に楽しむ。キラもこういうのは初体験だったようで目を輝かせて楽しんでいる。これがきっかけで俺はキラと友達になった。そうして数日くらい経った頃だ。キラの部屋でも遊ぶようになった俺はキラがプログラムをしているのを見てある考えが浮かんだ。
もしかしたら俺の夢が叶うかもしれない。だから俺はごく自然に、気にしたように聞く。
「なあキラ、もしかしてコーディネーターか?」
「えっ!?えと…う、うん」
「やっぱそうか。だってさっきからプログラムをやってるからさ。コーディネーターじゃないのかなって思ってたんだよな」
「そ、そうなんだ。それが、何なの?」
「ん?なんだ?もしかしてコーディネーターってことでイジメでもあったのか?それはそいつらが悪いだけだ」
「ち、違うよ。その…気にならないの?」
「あ?気になる?別に?コーディネーターだろうがキラはキラだろうが。コーディネーター、ナチュラル、そんなの別に関係ねえだろ?」
「…そう、かな?」
「そうだよ。くだらないことを聞いてんじゃねえよ。そんなことよりコーディネーターならさ。頼みたいことがあんだよ」
「頼みたいこと?」
「おう。俺さ、モビルスーツってのを乗って操縦してみたいんだ。ほら、ザフトが作ったジンってやつ。ああ言うのを乗ってみたいんだよな」
「え?モ、モビルスーツに乗りたい?乗るくらいなら」
「バッカ。乗るじゃねえよ。操縦だよ操縦」
「ええ!?む、むりじゃないかな?だって、ジンのOSってさ、コーディネーター用に調整されてるからナチュラルじゃ操れないよね」
「だからそれをナチュラルでも操縦できるようにするんだ。そうすれば俺でも操縦できるだろ?」
「で、でも結局無理だよ。だってジンなんかプラントとかに行かないと」
「大丈夫大丈夫、実は俺の親父さ。ジャンク屋連合との繋がりがあるんだ。親父がそういう仕事に継いていてさ。ジャンク屋連合にはジンがあるんだ。旧式のヤツとかもな」
「ラウオのお父さん、ジャンク屋と繋がりがあるの?すごいね。けど、やっぱり無理だよ。ナチュラル用のOSを作るなんて」
「俺に考えがあるんだ。別にナチュラル用にする必要はねえ。誰にでも操縦できるOSを開発するんだ。その方法も考えてんだけど俺にはプログラムとかからっきしだからさ。そういうことができなかったんだ。ジャンク屋の人達にも頼んだことがあったけど難しいって言われちまった。けど、俺の勘が言ってるんだ。キラ、お前となら絶対にできるって」
「ぼ、僕と…!」
「よし!決まったら全は急げだ!さっそく親父に行って明日にでもジャンク屋連合の所に連れてってもらおう!」
「えっ!?明日!?急過ぎるよ」
「こういうのは思い立ったら吉ってやつだ。これで俺も、モビルスーツを操縦できるぞ!」
何とかキラを説き伏せて親父にも頼み込む。親父は二つ返事で了承してくれて明日には行くことが決定した。キラはまだ迷ってるようだがここは押して押しまくって逃さないようにするぜ。俺はもう止まらないぜ。モビルスーツを操縦できるんだ。興奮が止まらない。
翌日、俺はキラを連れて親父と共にジャンク屋組合の所にやって来た。ヘリオポリスの雰囲気からかけ離れたまさに工場とかいった雰囲気だ。オイルの匂い、鳴り響く音、けたたましい声とこれぞ仕事場だとわかる。初めて来たキラはかなり引け腰だ。まあこの頃のキラならそうだよな。
さて、俺はキラを連れてある人物のいる所まで歩く。
「ロウさん!」
「おう!ラウオじゃねえか!なんだ!?まだモビルスーツを操縦できるようにしてほしいか!?無理無理だ。俺でも8がねぇと無理なんだ。諦めな」
「そうでもないですよ。もしかしたらモビルスーツを操縦できるようになるかも知れないです」
「あ?んだと?」
SEEDASTRAYシリーズの主人公の一人であるロウ・ギュール。そしてその仲間達。俺が初めてこのジャンク屋組合の所にやって来た時に知り合った人達だ。俺は最初はこのロウさんにモビルスーツを操縦できるOSを製作してほしいと頼んだ。しかし残念ながらロウさんでもメカニックなら何とかなるがプログラムは無理だった。
しかし今はキラというプログラムのスペシャリストとロウさんというメカニックのスペシャリストが揃っている。間違いなくできる。
「ロウさん、コイツはキラ・ヤマト、俺ん家の隣人として引っ越して来た友達だ」
「キ、キラ・ヤマトです」
「おう、俺はロウ・ギュール。ジャンク屋でメカニックさ。メカのことなら俺以上に詳しいヤツはいねえよ。んで、コイツを紹介しにきたのか?」
「ラウオ君、そのキラ君はコーディネーターかな?」
「リーアムさん。ええそうです。しかもプログラムがすっげえ得意なんですよ。な?」
「え、ええ」
「なるほど。もしかしてですけど彼を使って」
「そうです。キラ、俺でも乗れるOSを作ってくれ」
「ええっ!?昨日も言ったけどそれは無理だよ」
「そうだぜラウオ。いくらなんでもよ」
まあそうだよな。いくらなんでも唐突で無理だろうな。けど、俺には秘策がある。
「俺に考えがあります。それはここにいるジャンク屋の皆さんの力をお借りしてOSを作るんですよ。ここにはナチュラル、コーディネーターが人種関係なく一緒に働いています。ここでなら色んなデータが集まって完成できると思っています」
「なるほどな。確かにここでならそれは可能かもしれねえ。けどよ。どういうOSにすんだよ」
「それはもう色々と簡略するんですよ。歩かせるのも物を持ち上げるのも、動作諸々を思った通りに動くようにするOSを」
「はあっ!?そいつはさすがに夢物語すぎるだろ!どう考えても不可能じゃねえか!」
さすがのロウさんも不可能だと思ってる。けどここはガンダム、所謂SFの世界なんだ。できるはずだ。車だってそうだ。当初はマニュアルでレバー部分は複雑だった。けど時代が進みオートマ化しレバーは簡略されるようになったんだ。複雑を簡略にすることくらいできるはずだ。
「どうやってやるんだよ!なんか考えでもあるんか?」
「あります。ジンを使ってやる。ただそれだけです」
「は?どういうことだ?」
「一機のジンの装甲を全て剥がして中身を調べるんですよ。動作とかをね」
「あっ!なるほど!それは盲点だったわ!うわ〜!そんな単純なことになんで気づかなかったんだ!」
「ど、どういうこと?」
「ジンの中身を見て動作確認をするんだ。それをコーディネーターとナチュラル両方にやらせて最適な動きができるようにプログラムを、OSを作っていく。そうしたら俺でも簡単に動かせるようになるってことだ。俺だけじゃねえ。ジャンク屋のナチュラルの皆だって操縦できるようになるんだぜ!」
「な、なるほど!」
「それなら間違いなくできる!不可能が可能になったぜ!よっしゃ!さっそく使わないジンを持ってくるぜ!」
「頼みます。キラ、時間を掛けてじっくりとやろう。焦ってやるよりも時間を掛けて徹底的に調べれて完成させようぜ」
「うん!なんだろう…!すごくワクワクしてきたよ…!楽しくなってきたかも…!」
「だろ?」
「まさかロウと同じくらい規格外のナチュラルがいた事に驚きです。その発想力はなかったですよ」
そもそも不思議だったんだよ。後にできるストライクとかのG兵器はどうやって出来たんだろうって。どう考えてジンを調べて出来たものではないことがわかる。G兵器はオーブで開発されているアストレイから着想を得て出来たものだ。恐らくだがそのオーブはジンから着想を得てできたはずだ。
でなければOSで手こずるわけはない。ジンを鹵獲とかできていれば調べるのは当然だ。初代ガンダムだって鹵獲したザクを調べてガンダムやジムができたんだ。ただ足りなかったのはデータのみ。つまりしっかりと調べデータを取ればナチュラル用のOSはできるということだ。
そういうことをしなかったのは恐らくだがジンはコーディネーターしか乗れないという常識に囚われていたからだ。ロウさんのように8があって乗れるのは稀有な例だ。ここはジャンク屋組合だ。ジンだけでなくデータになる人達はたくさんいる。もちろん俺もその一人だ。
有効活用しないと完成しない。ロウさんとキラ、2人の主人公が揃ってるなら不可能はない。一人では不可能でも皆でやれば可能だ。やってやるぞ。絶対に俺でもできるOSを完成させてモビルスーツに乗るんだ!こうして今の俺の夢であるモビルスーツに乗り操縦するというのを叶えようとする。
この時の俺は想像していなかった。この出会いが本来の歴史をただ変えただけでは済まなくなったことを。俺の夢は世界を大きく変化させてしまうなどと誰もわかっていなかったのであった。
ラウオ・カンベ
本作の主人公。見た目は肩ほどある黒髪で前髪が目を隠すほどの長さ、身長はキラよりも2cm高く意外にも細マッチョ。前世の記憶があり交通事故で亡くなり転生したらオーブ出身のナチュラルとなった。ナチュラルだが身体能力は並のコーディネーターを上回る程だが頭はそこまでよろしくない。前世の知識を使った閃きをもって色んな発想を思い浮かべることができる。夢はモビルスーツに乗って操縦すること。